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1 評価についての方針 ASSESSMENT POLICY サニーサイドインターナショナルスクール 2015年8月

Assessment Policy 2015 (Japanese) 日本語版...PYPにおける評価は、探求の過程と、探求によって得られた結果の両方を大切にし、 そのどちらにも役立つものでなくてはならない。5

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評価についての方針 ASSESSMENT POLICY

サニーサイドインターナショナルスクール

2015年8月

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教育理念

時代が瞬く間に変化する現在、子どもたちが 20年後の社会を堂々と生き、

世界中の人々の平和に貢献できる人材の育成を目指します。

礼儀ただしく、他人を思いやれる優しい子どもを育成します。

日本人としての育ちを大切にし、 その文化や伝統を幼児期から経験する中で、

真の国際人の育成に努めます。

健康的な身体、知的発達、穏やかな情緒、 それらをバランスよく兼ね備えた幼児の育成に努めます。

School Philosophy

For the children of Sunnyside International Kindergarten we envision a future of confidence. By shaping our young, inquiring minds, we strive to plant the seeds of international-mindedness. It is our hope that our children lead their future lives driven by compassion, equality and a respectful care for all others. Through the lens of a strong Japanese cultural tradition, our children will enter into the global society peacefully, and ready to make an active contribution. We believe that it is through the identification of our own cultures and traditions that we can seek to better understand and learn about the importance of others. In order to offer a balanced and meaningful education for our children, we strongly value the equal importance of social, emotional, physical and intellectual development.

評価(アセスメント)の方針 (2015)

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1. PYPにおける評価の方針 1.1. PYPにおいて評価とは何か? 1.2. 評価についての大まかな考え方

2. 評価の目的と方式

2.1. 様々な評価の目的(事前の評価とまとめの評価) 2.2. 様々な評価の方法(評価ツールや方法)

3. 本校における記録とレポート

3.1. ポートフォリオと生徒主体の評価 3.2. 全体的な評価

4. 参考文献

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1. 評価についての方針

1.1 PYPにおいて評価とは何か?

評価とは PYP における授業と学習においてその核をなすものである。本校、及び PYPの理念においては、生徒の学びに対する効果的な振り返りが重要と考えている。 本校における評価は意欲的な生徒に対し、質の高い振り返りをもたらすものでなくてはならない。評価は公平で、包括的でなくてはならず、生徒ひとりひとりの達成度を示

すものでなくてはならない。 更に、評価は現状を反映しているものでなくてはならない。評価は教師(そして生徒自身)が様々な方法で集めた情報を分析したものであり、生徒の現状を反映したもので

なくてはならない。そのような評価があって初めて、次の学びの段階が明確になり、教

師は自らの授業計画に、そして生徒は自分自身のゴール設定に生かすことが出来る。評

価の様々な方法は互いに関連性を持っており、授業計画と授業実践は繋がっていてそし

て、それを包括的に捉えることでその意味を成す。 <図1>

生徒による意味の構築:PYPにおけるカリキュラムの定義 自分たちは何を学びたいのか? どうすればより深く学べるか? どうすれば自分たちが学んだことを知ることが出来るか?

図1は授業計画、授業実践、振り返りのつながりを表しています

PYP における評価は、探求の過程と、探求によって得られた結果の両方を大切にし、そのどちらにも役立つものでなくてはならない。

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本校における評価においては互いに関連性をもつ以下の3つの要素から成り立っている。 ● 評価をする・・・生徒たちが何を知っていて、何を学んだのかを知る ● 記録をする・・・生徒の学びに関するデータをどのように集め、分析するのか ● レポートを作成する・・・どのように情報を伝えるか

1.2 評価についての大まかな考え方

本校、そして PYPにおいては、より良い、信頼性のある評価を行うため、多くの大きな考え方をもっています。

1. 評価は明確な目的を持って、計画性のもとになされ、生徒の学びの成果に基づいたものでなくてはならない

2. 評価は様々な目的で、様々なタイミングで行い、あらゆる種類のデータを集めることにより、生徒の全体的な姿を知ることが出来る

3. 様々な評価方法(口頭でのインタビューによるもの、行動観察、生徒が書いたものなど)をバランス良く採用しなくてはならない

4. 評価とそれに続く授業は密接に繋がりをもっていなくてはならない、なぜなら効果的な評価がより深い学びをもたらすからである

5. 評価とは、テストの点数や、記号を使った段階評価などよりも、言葉で伝える方が生徒にとってより役立つ。生徒の行動に対し、教師がコメントを返すことは、

特に幼少期の子どもにとって重要なことであると考える 6. 評価とは、生徒自身による評価、生徒間の評価、教師による評価などを使い、学校全体で協力しあって作り上げるものである。

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2. 評価の目的と方法

2.1 評価の様々な目的(事前評価、まとめの評価、生徒間 /生徒自身による評価)

本校、及び PYP において評価は様々な目的を持っています。評価の目的は生徒の理解度を見定め、次の学習ステージを明確にするための基本です。評価をすることにより、

学びのそれぞれの段階において、生徒がすでに知っていること、理解していること、出

来ること、感じていることなどを知ることが出来ます。評価する事のもうひとつの目的

は学びの段階について、生徒自身や保護者、教師、校長などに現状を知らせることです。

その為には効率的な報告のシステムが求められます。 効果的な評価を行うことにより・・・

● 生徒は振り返りや自らの学びを表現し、より意欲的に学びを進めることができます。

● 教師はどのような方向性をもって授業を進めていくかを考えることができ、生徒やその家族と学びの段階や理解度を共有することができます。

● 保護者は子どもの学びや発達段階を知ることができ、それをサポートしたり、また褒めたりすることが出来ます。

● 校長(学校)は、学校全体として生徒の学びがどのように進んでいるかを知ることが出来ます。

教室における評価は3つの異なる段階(しかし密接につながりがある)に分かれていま

す。 (A)学習を進めるための評価(formative assessment) (B)学習を進めていく中での評価(Peer/self assessment) (C)学習の成果に対する評価(summative assessment)

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A - フォーマティブアセスメント(学びを始めるための評価) フォーマティブアセスメントを行うことにより、こられから始まる学びに役立つ情報を得ることが出来ます。フォーマティブアセスメントにより生徒と教師は生徒がすでに

知っていること、出来ることを知ることが出来ます。フォーマティブアセスメントとそ

の後に行われる授業は直接的につながっていて、その関係は重要な意味を持ちます。 フォーマティブアセスメントを通して、教師は生徒に様々な質問を投げかけ、それによって生徒自身も自分の知識や理解度を知ることが出来ます。そしてそれがこれから始

まる学びに対する意欲につながり、自分が何を知りたいのか、何を理解することが目的

なのかを生徒自身が明確にすることが出来ます。フォーマティブアセスメントを多く取

り入れることで、生徒の学習意欲が著しく高まったという報告が多くされています。 B - ピアー/セルフアセスメント生徒間/生徒自身による評価(学びを進める中での評価) 前述の評価のカテゴリーは、大抵の場合、教師がリードして行われますが、このピアー/セルフアセスメントはそれと反対に生徒が主体になります。生徒が中心となり、自分や、

自分の仲間が目指す方向性やゴールを定め、その達成度を評価していきます。この評価

のカテゴリーにおいては生徒は学びの過程と、学びの成果と両方に注目し、自分たちの

学びがどのように進んでいるかを見極めます。

この学びの中での評価は、いわば継続的に行われる自己評価であり、自分の学びの到達

度を自分で確認する為のものであるため、個々の生徒によって、内容が異なります。生

徒自身の学びの評価は生徒自身が更に理解を深めるためのものです。

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C - サマティブアセスメント(学習のまとめの評価) サマティブアセスメント(Summative assessment)とは、学習の成果を評価するものであり、教師と生徒自身に、学んだことがらを明確に表すことを目的としています。 サマティブアセスメントは学びの活動の頂点に位置づけられるもので生徒に自分が学んだ

ことを表現する機会を与え、かつ色々な観点を同時に見ることが出来ます。サマティブ

アセスメントにより生徒は自らの学びの達成度を知り、それが次のより深い学びにつな

がり、また教師が行うその後の授業に役立ちます。セントラルアイデアの理解度、そし

て生徒がそれをどのように生活に生かしているかを知るためのものです。

2.2 異なる評価方法(評価ツールと目的)

より信頼性のある評価をするために、様々な評価の目的に応じて様々な評価ツールが使われます。生徒の学びについてどういう情報を集めたいかを教師は考え、それにあっ

た評価ツールを利用し、記録していきます。

評価ツールとは、評価の目的に応じた情報を得るための手段です。

<評価ツール>

Rubrics ルーブリクス

生徒の学びを全体的に評価するための表で、評価者は評価の項目ごとに、

生徒のどのような姿を見つけるか、そしてそれを予め決められた基準と照

らし合わせてどの段階にあるかを見極めます。ルーブリクスは教師のみな

らず、生徒が作成して利用することもあります。

Exemplars サンプルとの対

学びの目標に到達したというひとつのサンプルを定め、それと比較する中

で達成度を測ります。一般的には、ルーブリック形式で、段階ごとにベン

チマークが定められています。それぞれの学校が定める評価基準は適切で

あり、学校ごとに理念と相入れるものであることが求められます。

Checklists チェックリスト

データ、生徒の姿、学びの達成度を示す要素など、具体的な指標が示され

たリストで、達成できたものにはチェックマークを入れていくものです。

事例の記録Anecdotal records

事例の記録とは、生徒の実際の様子を観察し、それを短いコメントで記録

したものです。学びの過程(Learning Story)とは、生徒の様子を詳しく記録したものであり、のちに分析することが出来ます。これらの記録は一定

のシステムによってまとめられ、管理されたものでなくてはいけません。

継続的観察 Continuum

生徒の学びの成果を視覚的に評価するための方法です。これを見ることに

より生徒がどの段階にいるのかを見極めることが出来ます。

<Strategies目的にあった評価方法を探す>

評価方法は細やかな部分を評価しようとするものから、学習全体の進度を評価するも

の、科学的なものまで色々なものがあります。Observations(観察), Performance Assessments(生徒のパフォーマンスの評価), Process-focused Assessments(学びの過程

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に注目した評価), Selected Responses and Open-ended tasks(定められた質問に答える、自由なテーマに基づく学びの評価). <評価の方法>

観察 Observations

教師は頻繁に、また、定期的に、全生徒を色々な角度から観

察します。例えばクラス全体を観察したり、または個人や個

別の活動を観察したり、活動に参加している生徒と、そうで

ない生徒の違いを観察したりします。

生徒のパフォーマンス

の評価 Performance assessments

これは、学んだことを身につけているかを見極めるためのも

ので、教師が生徒に対し、何かタスクや問題を与え、それら

を解決できるかを見極めます。この場合、問題解決の方法は

大抵ひとつではなく、数多くあることがあります。この評価

方法においては、ビデオや録音など、色々な方法が良く使わ

れます。

生徒の活動の様子に注

目する評価 Process-focused assessments

生徒の様子は、頻繁かつ定期的に観察され、多面的な見方を

することで、生徒の本来の姿に見合ったものにしていく。コ

メントの量や、記録に費やす時間を減らすため、チェックリ

ストや表などを利用したり、また口語体で記録するなどする

手法がよく使われる。

定められた質問に答え

る Selected responses

1度きりの評価。テストやクイズという形式がこのスタイル

の評価として良く使われる。

自由なテーマに基づく

学びの評価 Open-ended tasks

生徒を励まし、語りかけ、自分ならではの回答を引き出す。

その答えは短い文章であるかも知れないし、描いた絵や、 図や解決方法であるかも知れないが、それらはポートフォリ

オに含めることも出来る。

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3. 本校における記録と報告

記録と保存 生徒の理解度を評価するため、教師はあらゆる手法で記録を保存します。これらには、ビデオ、音声、写真、絵など、さらにはそれ以外のものもあります。教師は生徒同士の会話や、生徒の

発言や生徒が説明しようとしたことも記録して、それらが最終的にポートフォリオの一部にな

ると考えられます。

3.1 ポートフォリオと生徒主体の評価

Portfoliosポートフォリオ

PYPにおける学びの始まりから終わりまで、生徒が経験したこと、カリキュラムの内容は、生徒の学びの記録としてポートフォリオに格納されます。本校における生徒のポ

ートフォリオは以下の目的のために使われます。

² 生徒が学習において達成したことや進度を評価するための情報を集め、記録

する

² 学習における成長、高度な思考力、創造性、学びの評価と振り返りなど、何に積極的に取り組んだのかを記録する

² 意欲的に学習に取り組んだことを称賛するための記録 ² 一定期間における、個人活動やグループ活動を通して、生徒ひとりひとりがいかに成長したのかを示すものとしての記録

² 生徒が自分自身の学びを教師や保護者、そして仲間と振り返るための記録 ² 生徒の得意なことや、今後成長が期待されることを明確にし、教師の授業計画に生かすための記録

<ポートフォリオに関するきめごと>

ポートフォリオは本校の生徒が取り組んだ貴重な学びを振り返るための重要な記録で

あり、以下の項目を含んでいないといけない。

² 生徒氏名、学年、年度、教師の氏名 ² ポートフォリオの紹介文

Ø ポートフォリオの目的に関する記述

Ø ポートフォリオの構成

メインとなる箇所 – メインとなる箇所は、生徒の一年間における成長を示すため、時系列に並んでいないといけない。これは、生徒ひとりひとりのポートフォリオにおいて

最低限の決まりである ● ユニットに関連している

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Ø ひとつひとつのユニットに対し、まとめの作品、年長児においては、生徒自身の

振り返りを含む

Ø 上記以外に、少なくとも1ページはユニットに関連する記録が保存してある

Ø ページを作る内容は生徒自身が選んだもので、またどうしてそれを選んだのかを記述しなくてはならない

● Single Subject Teachers専科の教師

Ø 専科の教師は、一人の生徒につき、学期ごとに1ページ記録を残す。これらは写真などでも良い。

● Mathematics算数

Ø ポートフォリオの中で、最低でも1つの分野について記録する。その分野とは教育課程(scope and sequence) において決められたものである(データの扱い、測定、空間と形、パターン、関数、数字)

● Language言語

Ø ポートフォリオの中で、最低でも1つの分野について記録する。その分野とは教育課程(scope and sequence) において決められたものである(リスニング、スピーキング、視覚的理解、発表、読み書き)

● Extra activities(その他の活動)

Ø 行事などから学期ごとに最低1ページを含む。ポートフォリオに含まれたものは、日付をいれなくてはならない。 更に、それについての説明は、以下のひとつ、

またはひとつ以上に言及していなくてはならない。 ² The learner profileラーナープロファイル ² An attitude アティチュード ² A key concept キーコンセプト ² A related concept 関連するコンセプト ² An ATL (transdisciplinary) skill 教科をこえた視野での学び ² A section of the inquiry cycle 探求のつながりについて

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3.2 全体の評価

本校における学びの評価では、「ひとりひとりの生徒に適した評価のあり方」を重要

と考えています。すべての授業及び学習課題は、クラス、グループ全員が同じではなく、

ひとりひとりに合ったものでなくてはならないと考えます。

継続的に生徒を観察することで、ひとりひとりの異なる理解度や、知識、スキルや態

度を知ることができ、それによって、指導方法は柔軟に考えられなくてはなりません。

生徒の学びを評価しようとするときは、生徒ひとりひとりに合った達成目標を設定し、

それを評価しなくてはなりません。また出来る限り学びを振り返る活動をする時は、生

徒と一緒にそれを行うべきと考えます。 評価を計画するとき、以下の質問を自分に投げかけることが大切です。 ● このアセスメントは何を測るためのものか ● 評価されるべきセントラルアイデアや学習目標は何か? ● 学べたことを示すためどのようなエビデンス(証拠、指標)を探すのか? ● それらはどのようにすれば集めることが出来るか? ● 生徒がより意味のある振り返りをするためにどのようなサポートをしてあげられるか?

● 評価のため、生徒が行うタスクは生徒の理解度を表しているか? ● その評価方法は、生徒の学びの評価としてしっかりと結論付けられるだけの信頼性があるか?

● 評価を行うためのデータをどのように分析し、記録するのか? ● いつ、どのようなフィードバックを生徒に返していくか?

本校のアセスメントはすべて、学習を始める前の段階から、教師が常にこのような疑問を自分自身に投げかけ、学習が生徒ひとりひとりに合ったものになるよう、考えてい

くものである。

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4. 参考文献

本アセスメントポリシーの策定にあたっては以下の学校のそれを一部取り入れています。

- Tsukuba International Schoolつくばインターナショナルスクール - K International School Kインターナショナルスクール

また以下の文献を参考にしています。 ² Making the PYP Happen: A Curriculum Framework for International Primary Education. Cardiff:

International Baccalaureate, Dec. 2009. PDF.