7
CEE Newsletter CEE Newsletter CEE Newsletter CEE Newsletter 東京大学エネルギー工学連携研究センター Collaborative Research Center for Energy Engineering CEE 東京大学エネルギー工学連携研究センター Collaborative Research Center for Energy EngineeringCEE2011 No.10 April 1 CEE Newsletter No.10 東京大学 エネルギー工学連携研究センター センター長 堤 敦司 3 月11日に起こった東日本大震災および津波によって、甚大な被害を被り多くの方々が亡くなるというまさに未 曾有の大災害に見舞われました。またそれに続く福島原子力発電所の事故は、現時点でも終息しておらず、 我が国のエネルギー政策を根底から見直す事態となっています。まずは、原発を何とか押さえ込み、これ以上 の放射性物質の放出を食い止めることが最も重要でしょう。また、余震に備えつつも、仮設住宅の建設やインフ ラの復旧も急がなくてはなりません。一人一人ができることは限られていますが、今こそ、力を合わせてこの難局 を乗り越えていくことが求められています。まず、私たちが出来ることは節電があります。東京大学では、緊急の 節電を行い、通常の半分まで電力使用量を削減するという努力を続けています。CEEの岩船准教授は、急遽、 緊急節電ホームページを立ち上げ、家庭で会社ですぐにできる節電方法について情報発信を行っています。私 も、ホームページを見て自宅の電球をすべて LED 電球に取り替えました。私たちの生活において、エネルギー の無駄遣いはまだまだ多く、各人が知恵を絞って節電すれば、かなりの削減が可能でしょう。被災地へのボラン ティアに行けなくとも、まだまだ出来ることは多くあるのです。 また、エネルギー問題から見た場合、今回の原発の事故の影響は計り知れないものがあります。原子力は CO2 削減では優等生です。我が国の25%削減もその半分は原子力に期待していたのです。原子力の見直しが 避けられない現状で、エネルギー問題と地球環境問題の同時解決を図っていくことはさらに厳しくなってきたと言 わざるを得ません。地道な省エネ努力を続けていくとともに、革新的なエネルギー技術開発を行っていくことが重 要でしょう。大学においてエネルギーの研究を行っている我々の任務は重大です。 今回のCEEニュースレターは、東日本大震災への対応として情報発信が中心です。CEEの先生方から、 多くの提言、情報発信をいただいています。まずは節電が緊急の課題ですが、何事も自粛では経済活動がシュ リンクしてしまいます。むしろ、震災からの復興をバネに、世界最高の省エネルギー技術を開発し、より強靱で柔 軟なエネルギーシステムを我が国が世界に先駆けて構築していくことが最も大切であると考えます。全ての大学 研究者の責務であり、勇気を持って、これまで以上に全力でこれに当たっていくことが求められていると思います。 がんばりましょう! 東日本大震災からの復興をバネに大いなる飛躍を

CEE Newsletter No.10 AprilNo.10 April CEE Newsletter No.10 1 東京大学 エネルギー工学連携研究センター センター長 堤 敦司 3月11日に起こった東日本大震災および津波によって、甚大な被害を被り多くの方々が亡くなるというまさに未

  • Upload
    others

  • View
    3

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

  • CEE NewsletterCEE NewsletterCEE NewsletterCEE Newsletter東京大学エネルギー工学連携研究センター

    Collaborative Research Center for Energy Engineering(CEE)東京大学エネルギー工学連携研究センター

    Collaborative Research Center for Energy Engineering(CEE)

    2011

    No.10April

    1CEE Newsletter No.10

    東京大学 エネルギー工学連携研究センター

    センター長 堤 敦司3月11日に起こった東日本大震災および津波によって、甚大な被害を被り多くの方々が亡くなるというまさに未

    曾有の大災害に見舞われました。またそれに続く福島原子力発電所の事故は、現時点でも終息しておらず、

    我が国のエネルギー政策を根底から見直す事態となっています。まずは、原発を何とか押さえ込み、これ以上

    の放射性物質の放出を食い止めることが最も重要でしょう。また、余震に備えつつも、仮設住宅の建設やインフ

    ラの復旧も急がなくてはなりません。一人一人ができることは限られていますが、今こそ、力を合わせてこの難局

    を乗り越えていくことが求められています。まず、私たちが出来ることは節電があります。東京大学では、緊急の

    節電を行い、通常の半分まで電力使用量を削減するという努力を続けています。CEEの岩船准教授は、急遽、

    緊急節電ホームページを立ち上げ、家庭で会社ですぐにできる節電方法について情報発信を行っています。私

    も、ホームページを見て自宅の電球をすべてLED電球に取り替えました。私たちの生活において、エネルギー

    の無駄遣いはまだまだ多く、各人が知恵を絞って節電すれば、かなりの削減が可能でしょう。被災地へのボラン

    ティアに行けなくとも、まだまだ出来ることは多くあるのです。

    また、エネルギー問題から見た場合、今回の原発の事故の影響は計り知れないものがあります。原子力は

    CO2削減では優等生です。我が国の25%削減もその半分は原子力に期待していたのです。原子力の見直しが

    避けられない現状で、エネルギー問題と地球環境問題の同時解決を図っていくことはさらに厳しくなってきたと言

    わざるを得ません。地道な省エネ努力を続けていくとともに、革新的なエネルギー技術開発を行っていくことが重

    要でしょう。大学においてエネルギーの研究を行っている我々の任務は重大です。

    今回のCEEニュースレターは、東日本大震災への対応として情報発信が中心です。CEEの先生方から、

    多くの提言、情報発信をいただいています。まずは節電が緊急の課題ですが、何事も自粛では経済活動がシュ

    リンクしてしまいます。むしろ、震災からの復興をバネに、 世界最高の省エネルギー技術を開発し、より強靱で柔

    軟なエネルギーシステムを我が国が世界に先駆けて構築していくことが最も大切であると考えます。全ての大学

    研究者の責務であり、勇気を持って、これまで以上に全力でこれに当たっていくことが求められていると思います。

    がんばりましょう!

    東日本大震災からの復興をバネに大いなる飛躍を

  • CEE Newsletter No.102 CEE Newsletter No.10 3

    地震の影響による発電所の停止などを受け、関東地方の電力の

    供給能力が不足している。暖房期が終わり、当面は計画停電の不

    安からは解放されたが、今後夏に向けて再度危機が顕在化する。

    このような状況下で、WEB上では危機回避のためさまざまな手段がさまざまな立場から提案され、情

    報が氾濫している。何が効果的で、手軽にできそうなのはどれなのか。この先電力需給はどうなって、

    どの程度の取り組みが必要なのか、そういった情報を整理し、的確な情報発信を試みるべく、岩船研

    では緊急節電ホームページ(http://kinkyusetsuden.jp/)を作成し公開している。

    生産・経済活動、日々 の家庭の営みに電気は不可欠であり、いつどこまで節電すればいいのか、という問い

    は、いつどこまでこれらの活動を抑制するのか、と言い換えることになる。生産量や活動量を抑制し、不便さに

    耐えれば当然節電はできるが、そういう節電をめざしては、産業や業務における生産・経済活動と社会全体

    の安定性を確保できない。そのような活動量を抑制しないためにこそ、

    より積極的な節電をめざし、まずは痛みの少ない対策を浸透させ、かつ

    最も厳しい時期には多少無理をした対策も組み合わせ、需給のひっ迫

    を緩和して行こう、というのが我々が目指すべき節電ではなかろうか。

    例年の夏のピーク需要の内訳を推定した結果を表1、図1に示す。

    8月最大は猛暑日におけるピーク需要を示している。8月平日で家庭:業

    務:産業で2:4:3という感じである。

    これは8月平日で産業用全体の1/3で

    2000万kW、家庭用が600W/世帯と

    して2000万世帯で1200万kW、残り

    が業務用という想定である。内訳をみ

    ると(図1)、業務用空調と家庭用空調

    を合わせると、8月平日で全体の2割

    弱、8月最大で全体の4分の1程度を

    占めている。よって冷房対策がやはり

    最も重要なポイントとなる。家庭の内訳

    を推計した結果が図2であり、8月平日

    の在宅比率を40%と想定している。在

    宅世帯のピーク電力が1000-1200W

    で、非在宅世帯が300Wとなってい

    る。冷蔵庫を除いてもベースとなる

    東京電力管内の電力不足に向けた節電対策岩船由美子

    出典:経済産業省:夏期の電力需給対策について(2011年4月8日)http://www.meti.go.jp/earthquake/electricity_supply/0408_electricity_supply.html

    表2 夏期の節電メニューと削減ポテンシャル

    家庭部門(対象世帯の半分が取り組んだ場合)在宅世帯(痛みの少ない対策)在宅世帯(より積極的な対策)

    エアコン冷房1℃上げる 16-24万kW(40-60W/世帯)テレビ輝度調整8万kW(20W/世帯)エアコン冷房消す160-240万kW(400-600W/世帯)テレビ消す 40万kW(100W/世帯)

    全世帯

    業務部門

    温水洗浄便座(暖房-温水消す)20-30 万kW(20-40W/世帯)炊飯器保温やめる20-30 万kW(20-30W/世帯)冷蔵庫設定温度変更(強→弱、中→弱) 15万kW(15W/世帯)モデム・ルータ等の不在時OFF 10万kW(10W/世帯)風呂場等の換気扇の不在時OFF 10万kW(10W/世帯)

    照明を3割削減 150万kW(空調の削減効果50万kW)空調を3割削減 210-300万kWデスクトップPCをノートPCに置換 10万kW

    図3 東京電力昨年の夏季・端境期の最大需要日における供給パターン

    部分は一世帯150W程度と結構大きいことが

    わかる。この中身が多種多様であり、この部

    分をいかに下げていくかが重要なポイントかも

    しれない。もうひとつ注意したいのが、ピーク

    需要の時間帯は結構長い、ということである。

    午後早い時間帯だけではなく、午前から夕方

    まで比較的フラットに需要は大きくなっている

    (図3)。政府は、ピーク時間帯として、7月~9

    月の10~21時の需要引き下げを呼び掛けて

    いる。夕方以降は、家庭における在宅率 が

    長くなり、家事用の家電利用、照明、空調など家庭の寄与率が大きくなるのでその対策も重要である。

    2011年4月7日時点、東京電力管内の需要は、各方面の節電努力により昼間で平年を約700万kW程度下

    回っている。このペースが続けば、夏期のピーク抑制もある程度無理ないレベルでできる可能性もある。

    対策メニューとしては、ポテンシャルを表2に示すように算定した。既に取り組み済みのメニューもあるのでこれら

    全部を積み上げることができるわけではないことに注意されたい。家庭では夏期平日昼間の在宅世帯である程

    度頑張ってもらうとしても、全世帯におけるベース部分の10-30Wというさまざまな機器の削減を積み上げることも

    また重要である。業務部門は削

    減ポテンシャルが大きいが、業態

    が多様でかつさまざまなステーク

    ホルダーがかかわるだけに、誰

    にどのような働きかけをしていくか

    を綿密に検討し、単なる情報提

    供にとどまらず、即効性のある緊

    急節電を重視した診断事業を

    大々的に実施していくようなきめ

    細かい対策が必要であろう。

    図1 夏期ピーク需要の内訳詳細(岩船研推計)

    300

    500

    300

    300

    600

    600

    700

    1000

    500

    500

    1100

    1100

    2000

    2000

    0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000

    8月平日

    8月最大

    ピーク需要(万kW)

    家庭 空調

    家庭 冷蔵庫

    家庭 その他

    業務 空調

    業務 照明

    業務 その他

    産業

    表1 夏期ピークにおける需要の内訳推定 (岩船研推計)

    (単位:万kW)

    合計産業業務家庭

    55002000230012008月平日

    60002000260014008月最大

    緊急企画

    図2 住宅における夏期ピーク需要の内訳(岩船研推計)

    150

    150

    150

    150

    150

    150

    400

    600

    300

    300

    0 200 400 600 800 1000 1200 1400

    在宅世帯(8月平日)

    在宅世帯(8月最大)

    非在宅世帯

    夏期ピーク需要(W/世帯)

    冷蔵庫 冷蔵庫以外ベース エアコン テレビ+照明+他

    電気の消費量を表す時、電力(kW)と電力量(kWh)という単位が混同されることが多い。停電しないためには、電力(kW)の値が、常に供給能力を下回っている必要がある。平常時であれば、発電設備の供給能力は最大のkW値より大きいが、今は供給能力が制限されているため、最大のkW値が供給能力を上回って停電を引き起こす危険性がある。だから、緊急節電では図の高さ、最大のkW値をどう下げるかということが重要になる。一方、「省エネ・省CO2」というのは、時間には関係なく図の面積を小さく

    すること、電力量(kWh)を下げることを意味する。夏の大規模停電を回避するために、今、重視しているのは電力、高さである。この山の高さをいかに減らすか、それが緊急節電である。

    電力(kW)と電力量(kWh)のちがい

    出典:電力需給緊急対策本部(http://www.meti.go.jp/earthquake/electricity_supply/s_d.pdf)

  • 5CEE Newsletter No.104 CEE Newsletter No.10

    緊急企画

     日本全体の空調機の総冷房能力はストックで3.5億kW程度であり、平均COPを3.5とすると全ての

    空調機が稼動したときの電気入力は約1億kWとなる。夏場のピーク電力増加が10電力合計で約

    5000万kWなので、ピークでは全量の約半分が稼動しているという計算になる。ピークでも総量の半分

    ということ自体、稼働率から考えてかなり低い気がするが、これをさらに減らすというのは余程のことであ

    る。こっそり冷房をガンガン利かせてもチェック機能も罰則もないので、正直者が馬鹿をみないよう配慮し

    なければならない。家庭用電気料金を一時的に10倍くらいにすれば皆我慢するのかもしれないが、そ

    の前にもっと痛みが小さくかつ効果的な対策が無いのか考えてみたい。

     最も重要なのは、当たり前だが熱負荷を減らすことである。そのためには、①冷房する床面積自体を

    減らす、②室内の発熱を抑える、③外部熱負荷を減らす等の対策が必要である。冷房床面積を減らす

    と言っても、無計画に空調機を切るのは駄目である。例えば、大規模事務所ビルでは、熱源機よりも送

    風機やポンプ動力の方が大きい場合があるので、むしろこれらの補機動力を減らすことを考えることが

    重要である。一方、多くの中小ビルでは直膨型のパッケージエアコンが採用されており、この場合は冷

    房を控えたときに各個体の負荷率を下げ過ぎないことが重要となる。空調機は負荷率が30%程度以下

    となるとCOPが急激に低下してしまうので、冷房を控えたつもりでも電力があまり減らないなど、努力が

    無駄に終わる可能性がある。特に、複数の室内機が一つの室外機と繋がっているマルチエアコンは、

    どの室内機がセットになっているのかを今のうちに調べて計画を立てておくべきである。②の室内発熱抑

    制は、発熱を冷やすための電力削減の2重の効果があるので、岩船先生の節電に大いに期待したい。

    ③の外部熱負荷低減については、夏の日射量は約400W/m2もあるので、窓に庇のない生産技術研究

    所などはアルミ簾等の遮光性の高いバリア層を設置したりして、建屋内に熱を極力入れないようにする

    取り組みが必須であろう。また、外気負荷はピーク負荷の3割程度を占めるとのことなので、健康影響の

    無い範囲で換気量を減らすことも短期的な緊急措置として考えられるかもしれない。

     続いては、脱電力化である。本当に暑さが我慢できない人は、今年の夏は車やバスに乗ってしのぐし

    かないと思う。どうしてもオフィスにいたいのであれば、吸収式冷凍機やガスエンジンヒートポンプを優先

    すべきである。これらは高効率発電所と高効率電気式冷房の組み合わせに対して一次エネルギー換算

    COPで見劣りするため、近年は導入が減っているようだが、吸収式の設備費用は発電所と電気式の合

    計額の約半分と言われる。これまでは償却の終わった古い発電所があったので電気式冷房が良かった

    が、今は状況が変わって電源が足りないのである。積分したエネルギー消費量が小さいのであれば、

    電源を新設するべきか、あるいはピーク用に安い吸収式を設置して浮いたお金をベースロードの高効率

    化や他の省エネ対策に振り分けるべきか、検討する価値はあるのではなかろうか。

    図1 室外熱交換器水噴射による消費電力削減効果と 東京の乾湿球温度(2010年8月)(R410a、冷媒熱源間温度差ΔT=5℃、サブクールSC=5℃、スーパーヒートSH=5℃、圧縮機全断熱効率η=80%)

     最後は、いよいよ熱源機の入力低減策である。ここで

    は、即効性のある対策を3つほど紹介したい。まずは、室

    外熱交換器に水を噴射することである。湿球温度は乾球

    温度よりもかなり低く、低温度差で動く熱機関にとっては極

    めて大きな効果がある。昔から水噴射の効果は知られて

    おり、ウィンドウ型ではドレン水を散布する方式が実際に使

    われているが、スプリット型ではなぜかほとんど普及してい

    ない。図1は、室外熱交換器表面温度が湿球温度まで下

    がったときの冷房消費電力削減効果を見積もった結果で

    ある。図中の記号は、昨年8月の東京での最高温度と湿

    球温度のデータである。もちろん、これはうまく湿球温度ま

    で下がったとした場合の試算であるが、ポテンシャルとして

    30~40%のピーク削減効果がある。しかも熱は潜熱として放出されるので、室外の温度上昇が抑制され

    る。人を雇って水を播いてもらったとしても、発電所を新設するよりもはるかに安上がりであろう。第二は、

    景気が不透明な中で難しいかもしれないが、省エネ機への買い替えである。業務用のパッケージエアコ

    ンは10年前の機種に比べて定格性能は大きく向上しており、買い替えが非常に効果的である。一方、

    家庭用ルームエアコンの場合は1990年代半ばから省エネ競争が始まったので、10年前の機種でも既

    に性能はかなり高く、今の製品と比べても部分負荷特性は劣るものの定格性能はそれほど変わらない。

    買い替えによって年間電力消費は削減できても、ピーク削減に対する効果は残念ながらそれほど大きく

    ないと思われる。もちろん、もっと古いものを買い換えるのは効果的である。ただルームエアコンの場合も、

    同じ冷房能力のものを買うのではなく、容量が半分のものを2つ、1/3のものを3つ買うようにすると効果

    がある。一般に、定格COPは小容量の方が高いのに対し、価格は能力にほぼ比例するためである。

    室外機の設置場所がなければもちろん無理であるが、台数が増えれば、最適な負荷率で運転できる自

    由度も増す。良かれと思って大型の高級インバーターエアコンを買ったのに、負荷とマッチせずに断続

    運転になってしまうほど悲しいことはない。メーカーには、目安でも良いので是非リモコンに負荷率を表示

    する機能をつけてもらいたいものである。第三は、フィルターの掃除である。フィルターによる風量低下は

    馬鹿にならない。機種にもよるが初期状態でもフィルターの通風抵抗は全体の2割程度あり、目詰まりす

    るとこれが際限なく増えていく。フィルターを掃除するとエアコンの消費電力が25%減るとの報告もある。

    本当はフィルターそのものを取り外して欲しいくらいであるが、熱交換器が汚れる等のデメリットがあるの

    で積極的に勧めることは控えておく。少なくともフィルター掃除を強制するか、あるいはいっそのこと新品

    を支給しても良いのではないだろうか。同じように、室外機のファンの前に何か荷物を置いて塞いでしま

    うのも厳禁である。室外機は筐体の圧力損失が極めて小さくファン出口動圧が相対的に大きい上に、プ

    ロペラファンは圧力損失の増加に非常に敏感で簡単に風量が落ちてしまうので、これには是非ご注意

    頂きたい。見栄えを良くするためにカバーで室外機を覆っている例を見受けるが、この夏だけは取り外し

    てもらえると有難い。中長期的な観点からは、暖房と給湯は太陽熱や温熱専用熱源に任せて、ピーク

    需要を満たす安く・高効率・小型な冷房専用機の開発が望まれる。

    空調用電力の低減策鹿園直毅

    COP(Coefficient of Performance):冷凍サイクルのエネルギー効率の指標として用いられる。例えば冷房の場合、冷房COP=(冷房能力[W])/(消費電力[W])で表される。

  • CEE Newsletter No.106 CEE Newsletter No.10 7

    緊急企画

    エネルギー需給の今から将来を考える- 震災からの回復、供給セキュリティの観点を含めて -荻本和彦

    1. 何が起こったか

     東日本大震災は、被災地において人命、建物から始まり、道路、港湾、鉄道、エネルギー、水

    など様々なライフラインに甚大な被害を与え、各種インフラの機能回復の遅れは、被災地における

    復旧の大きな障害となった。また、直接の被災地ではなくても、東北・関東全般においては、電力

    供給の不安定性、風評被害や買いだめなどによる社会不安による影響を含め、食料品をはじめと

    する様々な物品の不足、様々な自粛などによる社会・経済活動全体の沈滞を引き起こし、さらには、

    半導体産業を始めとする企業・企業間のサプライチェーンの不全による日本全体、世界全体への

    生産活動への影響も極めて大きい。

     このような中、エネルギー分野においても東日本大震災が突き付けた課題は大きい。まず、供給

    の途絶えた地域にとって、電力、ガス、石油製品などのエネルギーの供給不足は、まだ寒い3月に

    おける毎日の暖房、調理といった避難生活の維持から、交通・輸送、工場の操業の回復などの復

    旧・復興の大きな障害となり、現在もその影響は大きい。

     エネルギーに関して阪神・淡路大震災と東日本の大震災の違いを見ると,前者の場合は被災地

    が日本全体からみると一部地域に限られ、エネルギーの需給は、短期には周りからの供給が立ち上

    がり、中期には被災地のインフラを基本的には原状に復旧することで、復興を行うことができた。こ

    れに対し、東日本大震災の場合は、南北数百km、に亘る地域における、製油所、発電所、ガス、

    電力のネットワークといった供給側、揺れと津波などで壊滅的な被害を受けた需要側に、極めて広

    範囲の被害を与え、その復旧・復興には時間的、空間的に規模の大きいロジスティクスが必要とい

    う特色を持つ。

    2. これから何をすべきか

     これらのエネルギーインフラの復旧・復興にあたっては、すべてのエネルギー共通に、可能な限り

    迅速にこれ行うという点は基本であるが、電力、ガス、石油製品の需要地での流通部分(配電線、

    ガス管、ガソリンスタンド、タンクローリーなど)の中には津波被害の甚大な個所を中心に産業の復旧・

    復興のあり方の議論を待つべき部分が少なくない。エネルギーの供給力については、変電所や配

    電網、ガスホルダーやガス管、ガソリンスタンドなどネットワークと拠点の地道な復旧に数週間から数

    か月かかるものもある。特に壊滅的打撃を受けた太平洋岸の発電所の復旧については、長いもの

    は数年におよび、直接の被害のない発電所の定期点検、休止、新設などのスケジュールの変更な

    どを組み合わせた対応が当初から行われている。しかし、東北・関東地域の電力需給の厳しい状

    況は今夏、今冬、来夏など継続すると考えられ、広域の大停電の発生や計画停電の実施を回避

    するために、厳しい省エネ、節電を行う必要がある。

     また、福島第一原子力発電所の事故は、その処置に予断を許さない状況が続いているが、日本

    において約1兆kWhの電力供給のうち現状2700億kWh(2009年度値)を占める原子力発電

    全体の考え方に大きな課題を提起した。原子力発電は、再生可能エネルギーと並びエネルギー

    の安定供給と低炭素化に大きな期待をかけられているが、原子力発電の安全性の問題への取り

    組みは、日本、さらには世界のエネルギーの安定供給と低炭素化への取り組みにも影響を及ぼし

    始めている。

     当面は大停電、計画停電の回避に節電という需要側への制約を含め、短期的に取り組むべきこ

    とは間違いないが、中長期的な需給安定も並行して取り組むべき課題である。例えば、被災した太

    平洋岸の発電所を火力発電で代替した場合は、化石燃料の消費増という資源問題(震災後、石

    油、石炭、LNGは高騰している)、燃料費用などの費用増(石油火力代替を想定した場合、原油

    価格が110ドル/バレル、90円/ドルとすると、110万kW出力相当原子力1基の代替で、燃料費の

    みで約1000億円/年)などの経済性、そこからの二酸化炭素排出の増加という環境性の課題など、

    様々な問題が発生する。太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーの利用増も期待できる

    が、利用率が低いことから、火力・原子力発電に対するエネルギー量換算では、現状の200万

    kW/年の国内生産量の太陽光発電は25万kW相当、既設の200万kW風力発電は40万kW相

    当であり、これらによる代替を進めるには10年単位の時間が必要であることは明らかである。従っ

    て、中長期的には、様々な選択肢を組み合わせた総合的な取組が求められる。

    3. 対応方針

     エネルギー需給が不安定または高コストになることによる、社会経済活動の停滞ひいては国内産

    業の国際競争力の失墜を避けるために、今後、直ちに短期、中長期の対応方針を検討し、実行に

    移すことが必要である。

    ⑴短期的には、短期にできないことをいくら議論し、また実施しても結果は得られない。また、緊

    急避難以上に中長期的方向からはずれたことを行うのは、単に無駄ばかりではなく、将来への

    弊害も大きい。社会経済活動の破たん回避のため、エネルギー全体の供給力の回復と、本来

    行うべき省エネルギー(エネルギーを使う目的、意義の確認、経済性の成立している個々の対

    策の適用)の徹底が必要である。特に、時々刻々の発電と利用の需給バランスが求められる電

    力分野については、大停電や計画停電などの回避が必要である。このため、省エネルギーと

    一定の社会経済活動への制約も含めた節電を「実効ある方法」で、生産活動を担う産業部門

    ばかりではなく、家庭・業務部門を含めて実施すべきことは論を待たない。これ以上の節電は

    難しいという現場の声も聞こえるが、建物内での白熱電灯や不要な機器の利用と冷房需要増

    加は数多の建物で見られる。照明、空調、はては暖房便座に至るまで、個別のスイッチがない、

    あるいは調整・操作方法が分からないという状況も多い。着目すべき視点とそれに対する対応

    方法を各々の利用状況に即して具体的に伝えることができれば、大きな犠牲を伴わない対応の

    余地は、特に業務、家庭部門に多くあると考えられ、すべての部門での取り組みが重要である。

    そして、これらの対応の多くは今後継続的に適用でき、ハロゲンランプからLEDへの変更を始め

    とし、若干の投資も1~2年で元が取れるものは少なくない。

  • 9CEE Newsletter No.108 CEE Newsletter No.10

    緊急企画

    図1 東北・関東主要発電設備(太平洋岸)

    東日本大震災の経験と教訓- 火力発電の現状と今後の動向 -金子祥三

    被害を受け停止中の火力:920万kW 同   原子力:910万kW

    合計:1,830万kW

    1. 火力発電の現状

    ⑴2011年3月11日の大地震で多くの発電所が停止した。通常であれば停止後、点検・確認し直ちに

    再起動ということが可能であるが、今回はその後の大津波によって東北・関東の太平洋岸の発電所

    は火力・原子力を問わず浸水・冠水の被害を受け、復旧にはかなりの時間を要するのが現実である。

    ⑵まず火力で見ると、北は東北電力の八戸火力から南は東京電力の鹿島火力まで殆どが津波の被

    害を受け、復旧時期は早いもので数か月、遅ければ1年以上と予想される。(図1参照)

    ⑶このうち電力の供給が一番心配な東京電力の現状を見ると次のようになっている。

     これは東京電力の発電能力の約30%に相当する。

    ⑷被害状況はやはり地上に設置されている機器や電気設備の被害が大きい。主機である蒸気タービ

    ンやボイラなどの損傷は殆どないが、復水器やポンプ類、送風機や熱変換器、変圧器や遮断器な

    ど数多くの機器が被災しており、これらの復旧に相当な時間を有するのが実情である。

    ⑸以上のような状況のため、2011年夏の東京電力の供給能力は4,600~4,800万kWと想定される

    のに対し、管内のピーク電力は5,500~6,000万kWと考えられることから、少なくとも1,000万kW

    程度の電力が不足すると予想されるため、思い切った節減対策が必要である。

    2. 今回の教訓

    今回の火力発電所の被害状況を見ると、地震そのものによる被害は微少で、殆どが津波による冠水・

    浸水被害である。そもそも内陸立地の発電所が多い欧米(従って冷却塔による冷却となる)と異なり、

    日本の場合は99%が海岸立地(従って海水冷却となる)であるから、欧米の基準とは関係なく日本独自

    の津波対策が必要である。

    ⑴敷地高さの確保:海抜15m以上を目標とする。

    ⑵基礎高さの確保:敷地高さがどうしても確保できない場合でも、主要機器建屋床面を地面から

    5m高くすること。

    ⑶発電設備から海岸までの間の敷地にはできるだけ機器を置かない。

    ⑷循環水ポンプなどどうしても海面近くに設置しなければならないものは、徹底して浸水対策を考慮

    した上に、浸水・冠水を覚悟して予備機を保管するなど最短での復旧を可能にすること。

    ⑸タンク類も従来は内部の油や液が外部へ流出することを防ぐことを主目的として防油堤・防液堤

    が設けられていたが、これに加え津波対策が必要である(浸水防止、浮遊・移動防止など)。

    以上、少し過激な意見とも受け取られるかもしれないが、前述のように海岸に99%以上の発電所が

    あるのは世界で日本だけであり、かつ津波の被害は日本近郊の地震によるものとは限らないことから、

    今後徹底的に対策を施し、"事故の再発はいかに自然災害といえども人災である"という覚悟で臨むべ

    きと考え、敢えて提言する次第である。

    ⑵中長期的には、将来のエネルギー需給構造として、資源制約、環境制約、技術や社会経済などの

    不確実性を視野に入れ、今回の震災からの教訓を含めて安定性(Stability)、安全性(Security)

    と持続性(Sustainability)を確保する需給を実現することが必要である。持続可能なエネルギー

    の安定な需給構造を実現する鍵は、技術、制度、人間の対応の組み合わせを、エネルギー技術、

    制度、ライフスタイルの確立・改善には、研究開発、導入普及、インフラ整備、教育研修など長期

    的視野で考えることであろう。特に、震災を始めとする大きな擾乱への備えには、供給側のみの対

    策では過大な設備投資あるいは計画停電のような厳しい使用制限が避けられない。従って、すで

    に「節電」でクローズアップされたように、需要を管理することについても検討・対策を広げることが新

    たな視点となろう。実際の取り組みでは、環境・資源制約の時期と大きさ、各時点での社会システ

    ムの状況などにより、技術、制度などの選択肢を組み合わせライフスタイルによる対応も含め、頑健(ロ

    バスト)な計画を策定することが重要であろう。多様性と不確実性のもとで様々な取り組みを効率的

    かつ効果的に進め、技術、制度、ライフスタイルなどの将来の姿を描くために、我々は「エネルギー

    システムインテグレーション」の研究に取り組んでいる。

    以下の研究室ホームページに本件に関する関連資料「エネルギー需給の今後を考える-震災か

    らの回復、供給セキュリティの観点を含めて-」を公開しています。

    http://www.ogimotolab. i is .u-tokyo.ac . jp/

  • CEE Newsletter No.1010 CEE Newsletter No.10 11

    今回で第9回目の開催となるCEEシンポジウム「低炭素社会におけるエネルギー・資源開発の役割」が平成23年3月8日、東京大学本郷キャンパスの小柴ホールにて開催されました。今回のシンポジウムはエネルギー・資源フロンティアセンター(FRCER)、先端電力エネルギー・環境技術教育センター(APET)との共同主催による東京大学工学系エネルギー関連3研究センターの第2回合同シンポジウムでもあります。当日は、以下のようなプログラムで、7件の講演および総合討論が行われました。

    第10回 コプロワークショップ開催報告

    Report緊急企画

    平成23年2月24日、生産技術研究所コンベンションホールにおいて、第10回コプロワークショップ「エネルギー・物質の併産(コプロダクション)およびエクセルギー再生による革新的省エネルギーと次世代産業基盤の構築」が開催されました。参加者は136名でした。まず、堤敦司教授よりこれまでのコプロダクション研究の経緯説明の後、「エクセルギー再生原理とコプロダクション」と、「超燃焼エクセルギー再生石炭ガス化による超高効率(89%)発電(S-IGFC)」についての講演がありました。また、堤研究室で提案している自己熱再生方式を用いた技術について、岸本啓研究員より「革新的自己熱再生型CO2化学吸収分離技術」、伏見千尋助教より「革新的バイオマス・褐炭乾燥技術」、そして苷蔗寂樹特任助教より「自己熱再生分離技術」についての講演がありました。いずれも自己熱再生方式を用いることにより、従来の方式に比べて大幅な省エネルギー削減につながることが説明されました。さらに「自己熱再生を用いた省エネルギー型バイオエタノール蒸留プロセス」の研究紹介が、新日鉄エンジニアリング木内崇文氏により行われ、自己熱再生方式の実証研究も進んでいることが紹介されました。講演会の後、産業総合技術研究所 赤井誠氏、エネルギー工学連携研究センター 金子祥三副センター長、ルネッサ

    ンスエナジー 岡田治氏、東京電力 陶昇氏、川崎重工業 堤香津雄氏をパネリスト、堤敦司センター長をモデレータとしてパネルディスカッションが行われました。二酸化炭素排出の大幅削減目標を達成するために、日本としてどのような省エネルギー技術の開発を行って技術的な優位性を持つかについての議論が行われました。また、世界の中で日本や日本企業が生き残るためには、実績重視主義や減点主義ではなく新しいことに挑戦することを積極的に評価する社会にすることや、長期的な視野で自由な雰囲気の元に技術開発を行うことの重要性が提案され、活発な議論が行われました。

    「持続可能なエネルギーの将来像-World Energy Outlook 2010に基づく展望」 国際エネルギー機関(IEA)国別審査課長 藤野 真司

    「非在来型天然ガス革命と日本・アジアの温暖化対策」 (独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)特別顧問 石井 彰 

    「エネルギー収支的視点から見た石油天然ガス開発のパラダイムシフト」 東京大学大学院工学系研究科エネルギー・資源フロンティアセンター准教授 松島 潤 

    「クリーンな気体燃料源としての石炭層」 東京大学大学院新領域創成科学研究科環境システム学専攻准教授 島田 荘平

    「高効率火力発電とCCS」 電源開発株式会社技術開発センター所長 後藤 秀樹

    「高圧ガスパイプラインで構築する水素エネルギー社会」 東京大学大学院工学系研究科システム創成学専攻教授 粟飯原周二

    「物質・エネルギー環統合モデルとエネルギー・資源開発」 東京大学大学院工学系研究科原子力国際専攻教授 藤井 康正

    「総合討論」

    第9回 CEEシンポジウム「低炭素社会におけるエネルギー・資源開発の役割」

    図2 火力発電の高効率化の動向

    3. 復旧対策と今後の動向

    ⑴緊急対策(1か月から6か月の間に実現):被災火力の復旧には時間がかかることから応急措置として、

     

    などが既に実行されている。また定期検査中であったプラントはすでにほとんどが定期検査を切り

    上げて起動済みであり、また電力需要の点から長期休止中であった火力の復旧・再稼働も当然

    検討されている。

    ⑵準緊急対策(6か月から1年の間に実現):次に建設期間が短い発電設備として、大型のガスタービン

    単体(30万kW級)の設置も検討されている。これらは容量も大きいことから、当面は単体での早期運

    転を目指すにしても、将来排熱回収ボイラや蒸気タービンを追設して複合発電化し、高効率と優れた

    環境性能が実現可能なようにあらかじめ計画しておくべきである。なおこれらの1年以内に着工するプ

    ラントに対しては環境アセスの特例措置が取られ、1日も早い建設が可能となる予定である。

    ⑶長期対策(1年から5年の間に実現):被災した原子力の復旧は相当に困難を伴うと予想されることから、

    電力の安定供給のためには、この原子力の喪失分を火力がカバーしなければならない。このため高効

    率天然ガス焚複合発電の増強は当然であるが、エネルギーセキュリティの点から、石炭ガス化複合発

    電(IGCC)に代表される高効率石炭火力の建設も重要である。即ち、追設する大型火力は高効率によ

    る燃料節減とCO2低減を同時に達成できるものでなければならない。また石炭火力へのバイオマス混焼

    の本格的な実施(もちろん究極の目的は日本の森林再生の同時実現)も加速して実行すべきである。

    ⑷東西連携線の強化:日本の東地区(50Hz)と西地区(60Hz)を結ぶ東西連携線は現在100万

    kW分しかない。これはそれぞれの給電能力約1億kWのわずか1%に過ぎない。少なくともこれを

    5%にするように早急に対策を打つべきである。

    ⑸地球温暖化対策:地球温暖化問題は世界的な課題であり、粘り強く、じっくりと長期にわたって取り

    組まなければならない。CO2削減に対する原子力の寄与分を修正せざるを得ない場合、これを補う

    ものが必要となるが、これには削減量の大きさから上記のような火力発電の更なる高効率化が不可

    欠である。従って、燃料電池と組

    み合わせたトリプル複合発電など

    究極の高効率を実現できる発電

    システムの迅速な実用化が最大

    の研究開発の目標となる(図2参

    照)。それと同時に地熱発電の加

    速(地域共生を踏まえつつ)、革

    新的波力エネルギーの利用技術

    などこまめな再生エネルギー利用

    技術の開発加速も望まれる。

    •ディーゼルエンジン/ガスエンジンの設置• 小型ガスタービンの設置• 太陽光パネルの設置• 非常用電源の常用化• 民間の自家発やコジェネ電力の買い上げ

  • CEE Newsletter No.1012

    第10回 CEEシンポジウム「エネルギーシステムインテグレーション - スマートグリッドがもたらすもの -」

    Events

    編集・発行東京大学エネルギー工学連携研究センター〒153-8505 東京都目黒区駒場4-6-1 東京大学生産技術研究所内 TEL:03-5452-6899 FAX:03-5452-6728 http://www.energy.iis.u-tokyo.ac.jp/index.html

    【お願い】CEE Newsletterの記事を転載または引用する際には、掲載する刊行物にその旨を明記し、該当刊行物を東京大学エネルギー工学連携研究センター事務局までお送りくださいますようお願いいたします。

    CEE Newsletter No.10 2011年4月22日

    東京大学エネルギー工学連携研究センターでは、スマートグリッドに象徴される新しい考え方を導入したエネルギーシステムの将来を考えるシンポジウムを開催いたします。国内外の取り組みの紹介、家庭、自動車、電力システムなどの各分野の技術動向と展望、導入の考え方について御講演をいただき、パネルディスカッションでは今後の進め方についてフロアを交え議論します。

    ■お申込み:ホームページのWeb申込みフォームよりご登録ください。■お問合せ:東京大学エネルギー工学連携研究センター(CEE) 江頭 桂子(えとうけいこ) 電話:03-5452-6899 ファックス:03-5452-6728 電子メール:[email protected]

    日 時:平成23年6月10日(金)10 :00~ 17 :40(受付開始 9:30)会 場:東京大学生産技術研究所コンベンションホール(An棟 2階)定 員:250名(定員になり次第締め切りとさせていただきます)参加費:無料  要旨集代:2,000円  意見交換会費:3,000円

    主催: 東京大学 エネルギー工学連携研究センター(CEE)共催: 東京大学 先端電力エネルギー・環境技術教育研究センター(APET)協賛: 東京大学 エネルギー・資源フロンティアセンター(FRCER)

    プログラム等の詳細はホームページ(http://www.energy.iis.u-tokyo.ac.jp/)に掲載いたします。

    低炭素社会の構築を目指した動きが進む中で、CO2を排出するエネルギー・資源開発は一般的に低炭素社会下では疎まれネガティブな側面しかないように目されています。しかし、エネルギー・資源開発は低炭素社会に向けての過渡期においては当然重要な役割を果たすものと期待されていますし、低炭素社会の到来時においても社会の上流部門において重要な役割を果たし続ける可能性を持っています。今回のシンポジウムでは、低炭素社会におけるエネルギー・資源開発の役割のポジティブな側面を多角的に抽出する形で多様性に富んだご講演を頂き、総合討論においても活発な議論が交わされました。小春日和に恵まれた晴天の下、190名に上る多くの方々にご来場頂き、熱気にあふれたシンポジウムとなりました。