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2013.10.11 14 筆者 小原康裕 ホテルジャーナリスト。 慶応義塾大学法学部法律学科卒。74年 Munich Re入社。85年築地原健㈱代表 取締役。2001年投資顧問会社原健設立、 代表取締役CEO。JHRCA、日本ホテル レストランコンサルタント協会理事。 ※現在、著者のホームページで「世界のリ ーディングホテル」を連載中。多くの美し い写真と興味深いコメントで、世界中の ホテルとそれら関連都市を紹介。 www.jhrca.com/worldhotel マンダリン オリエンタル クアラルンプール Mandarin Oriental, Kuala Lumpur 世界にはまだまだ日本人が訪れていないホテルがある。このコーナー ではホテリエが知っておくべき「世界のリーディングホテル」を紹介する。 これまで多くのホテル紹介本が出版されてきたが、そのほとんどが現地 のホテルと事前に取材の連絡を取り合い、プロのカメラマンや通訳、そ のほか大勢を連れ立っての大名取材であり、宿泊は省略といったことも 多々であった。本連載では、著者自身が長年にわたる個人旅行中に自分 の目で感じ取り、コメントを書き込み、自分のカメラで思いのままを撮っ てきた写真を掲載する。 ※本連載は毎月2・4週号掲載 世界のリーディングホテル VOL57 広大なKLシティーパークから望む「Mandarin Oriental, Kuala Lumpur」と、隣接するクアラルンプールを代 表するランドマークである「Petronas Twin Towers」の全景 KLCCの一角にオープンした「Mandarin Oriental, Kuala Lumpur」の正 面ファサード 広いレセプションホール。レセプションデスクとコンシェルジュが一列 に並ぶレイアウトだ 漢字が書かれたお馴染みの扇など、東洋趣味の雰囲気が漂うエレベー ターホール 早朝のまだ人影の少ないプールサイド クアラルンプール市内の高層ビル群が望める オープンエアのスイミングプール 2013.10.11 15 マンダリン オリエンタル クアラルンプール(以 下MO/KL)はクアラルンプールのランドマークで あるペトロナスツインタワーに隣接し、目の前は 広大なKLシティーパークの緑が映える絶好のロケ ーションに立地している。この辺りはKLCC 「Kuala Lumpur City Centre」地区と呼ばれ、伊勢 丹や紀伊国屋も入るショッピングモールやコンベ ンションセンターも含めたマレーシア最大級の複 合施設である。 MO/KLは隣接するペトロナスツインタワーとは 密接な関係にある。タワーは地上452m、88階建 ての超高層ビルで、ツインタワーとしては現在も世 界一の座を保っている。そして、MO/KLは複合施 設KLCCの宿泊施設部門を担っており、どちらも 1998年に合わせて開業している。KLCCがオープ ンされる以前は、高級ホテルの先駆けとなった旧 リージェントをはじめリッツカールトン、ウェスティ ンなど多くのホテルは繁華街のブギッ・ビンタン地 区に集中していた。そこは道路が狭い上に複雑に 入り組んでおり交通渋滞で難儀していたが、最近 はグランドハイアットなど新規開設の大型ホテル は区画整理がなされたKLCC地区に移行してきて いる。 MO/KLは602室を数えるゲストルームと41のス イート、そして51のレジデンスを擁する大型高級ホ テルだ。ホテルはL字形をした30階建ての建物で、 客室の眺めによってパークビューやペトロナス・タ ワービュー等にカテゴリーが分かれる。筆者にア サインされた部屋は「Deluxe Park View Room」で、 KLシティーパークやスイミングプールを望む約40 ㎡の広さの客室だ。エントランスホールやレセプ ションカウンターは充分な広さを確保し、エレベ ーターホールには漢字をモチーフにしたお馴染み の扇を掲げるなど東洋趣味の雰囲気が漂ってい る。ロビーを真っすぐ進むと、シティーパークに面 したラウンジ「Lounge on the Park」がありアフタ ヌーンティーで賑わっている。左手にはオールデ イダイニングの「Mosaic」があり、和食を含めて世 界各国の料理が楽しめる。そのほかファインダイ ニングの「Mandarin Grill」、広東料理の「Lai Po Heen 麗寶軒」、日本料理の「わさび・ビストロ」な ど館内には9軒のレストラン・バーがあり、ゲストの あらゆる要望に応えている。スパは8室のトリート メントルームを備えた「The Spa at Mandarin Oriental」があり、フィットネスやエアロビクススタ ジオも併設されている。ここの屋外プールは人気 が高く、クアラルンプールの高層ビル群を望み終 始賑わいを見せている。 MO/KLは前述したようにKLCCにあるペトロナ スツインタワーとセットでオープンし、抜群の立地 や話題性からしてその成功が約束されていたと言 える。しかし、それに甘えることなくハード・ソフト 面でゲストへの配慮を心掛け、常にホスピタリテ ィー意識の向上を図っている。 「Deluxe Park View Room」のベッドルーム。約40㎡の広さがあり広大なKLシティーパークの向こうにクア ラルンプール市内の高層ビル群を望める 部屋から眺める緑の美しいKLシティーパーク と、KLCCを取り巻く高層ビル群 標準的スペースの使い勝手の良いバスルーム 中2階の回廊から俯瞰したカクテルタイム時の 「Lounge on the Park」 マンダリンスパのロゴが掲げられた 「The Spa at Mandarin Oriental」のエントランス ロビーを真っすぐ進んだ正面にあるラウンジ 「Lounge on the Park」 広東料理の「Lai Po Heen 麗寶軒」の店内

世界のリーディングホテル VOL57 マンダリンオリエンタル ...ohtapub.co.jp/wlh200/WLH057.pdfKuala Lumpur 世界にはまだまだ日本人が訪れていないホテルがある。このコーナー

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  • ― 2013.10.11 ―14

    筆者 小原康裕ホテルジャーナリスト。慶応義塾大学法学部法律学科卒。74年Munich Re入社。85年築地原健㈱代表取締役。2001年投資顧問会社原健設立、代表取締役CEO。JHRCA、日本ホテルレストランコンサルタント協会理事。※現在、著者のホームページで「世界のリーディングホテル」を連載中。多くの美しい写真と興味深いコメントで、世界中のホテルとそれら関連都市を紹介。www.jhrca.com/worldhotel

    マンダリンオリエンタルクアラルンプールMandarin Oriental,Kuala Lumpur世界にはまだまだ日本人が訪れていないホテルがある。このコーナーではホテリエが知っておくべき「世界のリーディングホテル」を紹介する。これまで多くのホテル紹介本が出版されてきたが、そのほとんどが現地のホテルと事前に取材の連絡を取り合い、プロのカメラマンや通訳、そのほか大勢を連れ立っての大名取材であり、宿泊は省略といったことも多々であった。本連載では、著者自身が長年にわたる個人旅行中に自分の目で感じ取り、コメントを書き込み、自分のカメラで思いのままを撮ってきた写真を掲載する。 ※本連載は毎月2・4週号掲載

    世界のリーディングホテル VOL57

    広大なKLシティーパークから望む「Mandarin Oriental, Kuala Lumpur」と、隣接するクアラルンプールを代表するランドマークである「Petronas Twin Towers」の全景

    KLCCの一角にオープンした「Mandarin Oriental, Kuala Lumpur」の正面ファサード

    広いレセプションホール。レセプションデスクとコンシェルジュが一列に並ぶレイアウトだ

    漢字が書かれたお馴染みの扇など、東洋趣味の雰囲気が漂うエレベーターホール

    早朝のまだ人影の少ないプールサイド

    クアラルンプール市内の高層ビル群が望めるオープンエアのスイミングプール

    ― 2013.10.11 ― 15

    マンダリン オリエンタル クアラルンプール(以下MO/KL)はクアラルンプールのランドマークであるペトロナスツインタワーに隣接し、目の前は広大なKLシティーパークの緑が映える絶好のロケーションに立地している。この辺りはKLCC「Kuala Lumpur City Centre」地区と呼ばれ、伊勢丹や紀伊国屋も入るショッピングモールやコンベンションセンターも含めたマレーシア最大級の複合施設である。MO/KLは隣接するペトロナスツインタワーとは

    密接な関係にある。タワーは地上452m、88階建ての超高層ビルで、ツインタワーとしては現在も世界一の座を保っている。そして、MO/KLは複合施設KLCCの宿泊施設部門を担っており、どちらも1998年に合わせて開業している。KLCCがオープンされる以前は、高級ホテルの先駆けとなった旧リージェントをはじめリッツカールトン、ウェスティンなど多くのホテルは繁華街のブギッ・ビンタン地区に集中していた。そこは道路が狭い上に複雑に入り組んでおり交通渋滞で難儀していたが、最近はグランドハイアットなど新規開設の大型ホテルは区画整理がなされたKLCC地区に移行してきている。MO/KLは602室を数えるゲストルームと41のス

    イート、そして51のレジデンスを擁する大型高級ホテルだ。ホテルはL字形をした30階建ての建物で、客室の眺めによってパークビューやペトロナス・タワービュー等にカテゴリーが分かれる。筆者にアサインされた部屋は「Deluxe Park View Room」で、KLシティーパークやスイミングプールを望む約40㎡の広さの客室だ。エントランスホールやレセプションカウンターは充分な広さを確保し、エレベーターホールには漢字をモチーフにしたお馴染みの扇を掲げるなど東洋趣味の雰囲気が漂っている。ロビーを真っすぐ進むと、シティーパークに面したラウンジ「Lounge on the Park」がありアフタヌーンティーで賑わっている。左手にはオールデイダイニングの「Mosaic」があり、和食を含めて世界各国の料理が楽しめる。そのほかファインダイニングの「Mandarin Grill」、広東料理の「Lai PoHeen 麗寶軒」、日本料理の「わさび・ビストロ」など館内には9軒のレストラン・バーがあり、ゲストのあらゆる要望に応えている。スパは8室のトリートメントルームを備えた「The Spa at MandarinOriental」があり、フィットネスやエアロビクススタジオも併設されている。ここの屋外プールは人気が高く、クアラルンプールの高層ビル群を望み終始賑わいを見せている。MO/KLは前述したようにKLCCにあるペトロナ

    スツインタワーとセットでオープンし、抜群の立地や話題性からしてその成功が約束されていたと言える。しかし、それに甘えることなくハード・ソフト面でゲストへの配慮を心掛け、常にホスピタリティー意識の向上を図っている。

    「Deluxe Park View Room」のベッドルーム。約40㎡の広さがあり広大なKLシティーパークの向こうにクアラルンプール市内の高層ビル群を望める

    部屋から眺める緑の美しいKLシティーパークと、KLCCを取り巻く高層ビル群

    標準的スペースの使い勝手の良いバスルーム

    中2階の回廊から俯瞰したカクテルタイム時の「Lounge on the Park」

    マンダリンスパのロゴが掲げられた「The Spa at Mandarin Oriental」のエントランス

    ロビーを真っすぐ進んだ正面にあるラウンジ「Lounge on the Park」

    広東料理の「Lai Po Heen 麗寶軒」の店内