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新製品 BLOGS12 シノプシスでは、最新鋭のカスタム設計自動化ツールCustom Compiler™がご提供する各種の画期的な機能をわかりやすくご説明 するブログ Custom Layout Insightsを公開しています。 https://blogs.synopsys.com/customlayoutinsights/ 本稿では、その中から2記事を抜粋してご紹介いたします。他にも興味深い記事を多数掲載しています。是非、サイト上でご確認 ください。ブログですので、皆様からのご意見もご投稿いただけます。これまでのカスタム・レイアウトを振り返りながら、未来の イノベーションにつながるアイデアを探り、21世紀のカスタム・レイアウトのあるべき姿について意見交換をしませんか? 前回はCustom CompilerのLayout Assistants(レイアウト支援機能)の1つ、 Symbolic Editorについて見てきました。Symbolic Editorでは、レイアウト・ エンジニアが希望のレイアウトをグラフィカルに選択するだけで自動的に 配置が実行されます。今回はLayout Assistantsの2つ目の機能としてルータ をご紹介します。配線タスクは特に自動化が強く求められている機能の 1 つ です。しかしこれまでのソリューションはテキスト形式の制約を大量に与え る必要があり、それでも「希望に近い」配線結果しか得られませんでした。 Custom Compilerのルータは、ユーザーが与えた指示に基づいて配線を 自動的に実行します。このビジュアル・アシスト機能では、レイアウト・ エンジニアが配線の開始点をクリックし、配線したい方向にマウスをドラッグ するだけで配線エンジンが自動的に可能な接続を探索してくれます。接続が 見つかると、ピンへの引き込み配線が自動的に生成されます。このように、 ユーザーがマウスを使って大まかな配線意図を指示するだけで、ルータが 自動的に詳細な配線を実行してくれます。 このルータには、FinFETアレイの配線に役立つ機能があります。それが、 自動配線クローニングです。FinFETデザインでは同じ配線を多数作成して 接続する必要がありますが、この機能を利用すると、ある部分で作成した 配線と同じ配線(クローン)が、必要な部分に自動的に作成されます。 Custom Compiler の Layout Assistants シノプシス デザイン・グループ プロダクト・マーケティング・ディレクター Graham Etchells 図1 は、くし型配置にした完全整合ディファレンシャル・ペアのゲートを このルータで接続したものです。黄色のフライラインは配線の開始点と現在 のカーソル位置を示しています。ルータが自動的にピンへの引き込み配線を 生成し、下段のデバイスにクローン配線を作成しています。 FinFETベース・デザインでは、カラーリングおよびメタル・グリッドに関 するルール・チェックもこのルータが実行してくれます。カーソルを動かす と配線がリアルタイムに表示されるため、レイアウト・エンジニアは生成さ れる配線のスタイルをすぐに確認し、その場で変更を加えることができま す。このルータには接続スタイルのオプションがいくつかあり、たとえば フィッシュボーン・スタイルを選択すると中央の配線から上段と下段のピン に引き込み配線が生成されます。それ以外には制約を入力する必要がほと んどなく、コードの作成も必要ありません。これまで数時間かかっていた レイアウトが数分で完成します。 設計者が大まかな指示を与えるとツールが自動的に配線を実行してくれると いうこの強力な組み合わせにより、FinFETプロセスへの移行によって低下 していた生産性を再び引き上げることができます。 次回はさらに別のレイアウト支援機能についてご紹介します。 図1. 配線クローニングとピンへの引き込み配線を自動化した対話型ルータ このルータの実際の動作は、こちらのビデオでご覧ください。 ウェブビデオ:Routing Assistant - bit.ly/1VZA4D1 Custom Compilerに関するウェブセミナーのお申し込みはこちらから。 ウェブセミナー:Custom Compiler - bit.ly/1Q590kt Custom Compiler Visually-assisted Automation

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シノプシスでは、最新鋭のカスタム設計自動化ツールCustom Compiler™がご提供する各種の画期的な機能をわかりやすくご説明するブログ “Custom Layout Insights” を公開しています。https://blogs.synopsys.com/customlayoutinsights/

本稿では、その中から2記事を抜粋してご紹介いたします。他にも興味深い記事を多数掲載しています。是非、サイト上でご確認ください。ブログですので、皆様からのご意見もご投稿いただけます。これまでのカスタム・レイアウトを振り返りながら、未来のイノベーションにつながるアイデアを探り、21世紀のカスタム・レイアウトのあるべき姿について意見交換をしませんか?

前回はCustom CompilerのLayout Assistants(レイアウト支援機能)の1つ、Symbolic Editorについて見てきました。Symbolic Editorでは、レイアウト・エンジニアが希望のレイアウトをグラフィカルに選択するだけで自動的に配置が実行されます。今回はLayout Assistantsの2つ目の機能としてルータをご紹介します。配線タスクは特に自動化が強く求められている機能の1つです。しかしこれまでのソリューションはテキスト形式の制約を大量に与える必要があり、それでも「希望に近い」配線結果しか得られませんでした。

Custom Compilerのルータは、ユーザーが与えた指示に基づいて配線を自動的に実行します。このビジュアル・アシスト機能では、レイアウト・エンジニアが配線の開始点をクリックし、配線したい方向にマウスをドラッグするだけで配線エンジンが自動的に可能な接続を探索してくれます。接続が見つかると、ピンへの引き込み配線が自動的に生成されます。このように、ユーザーがマウスを使って大まかな配線意図を指示するだけで、ルータが自動的に詳細な配線を実行してくれます。

このルータには、FinFETアレイの配線に役立つ機能があります。それが、自動配線クローニングです。FinFETデザインでは同じ配線を多数作成して接続する必要がありますが、この機能を利用すると、ある部分で作成した配線と同じ配線(クローン)が、必要な部分に自動的に作成されます。

Custom CompilerのLayout Assistantsシノプシス デザイン・グループ プロダクト・マーケティング・ディレクター Graham Etchells

図1は、くし型配置にした完全整合ディファレンシャル・ペアのゲートをこのルータで接続したものです。黄色のフライラインは配線の開始点と現在のカーソル位置を示しています。ルータが自動的にピンへの引き込み配線を生成し、下段のデバイスにクローン配線を作成しています。

FinFETベース・デザインでは、カラーリングおよびメタル・グリッドに関するルール・チェックもこのルータが実行してくれます。カーソルを動かすと配線がリアルタイムに表示されるため、レイアウト・エンジニアは生成される配線のスタイルをすぐに確認し、その場で変更を加えることができます。このルータには接続スタイルのオプションがいくつかあり、たとえばフィッシュボーン・スタイルを選択すると中央の配線から上段と下段のピンに引き込み配線が生成されます。それ以外には制約を入力する必要がほとんどなく、コードの作成も必要ありません。これまで数時間かかっていたレイアウトが数分で完成します。

設計者が大まかな指示を与えるとツールが自動的に配線を実行してくれるというこの強力な組み合わせにより、FinFETプロセスへの移行によって低下していた生産性を再び引き上げることができます。

次回はさらに別のレイアウト支援機能についてご紹介します。

FinFET向けソリューションの今エレクトロマイグレーションとはどのようなもので、なぜ注意が必要なのでしょうか。

Wikipedia®によると、エレクトロマイグレーションとは「電気伝導体の中で移動する電子と金属原子の間で運動量の交換が行われるために、イオンが徐々に移動することで材質の形状に欠損が生じる現象」と定義されています。

簡単に言えば、エレクトロマイグレーションとは配線の幅に対して電流密度が高すぎる場合に発生する問題です。問題の現れ方としては、金属配線にボイドが発生して回路が開放する場合(オープン故障)と、ヒロックが成長して他の配線に短絡する場合(ショート故障)の2通りがありますが、どちらにしてもデバイスは故障します。エレクトロマイグレーションは温度と機械的応力によっても悪化します。

現在、エレクトロマイグレーションはFinFETプロセスにおける一次作用の1つであり、金属配線の平均故障時間を大きく左右する要因となっています。したがって、耐久性のあるロバストなデザインを作成するには、インターコネクトと電源グリッドの金属配線の幅を十分に検討して決める必要があります。

では、インターコネクトの金属配線の幅を正しく決めるにはどのようなツールを利用すればよいでしょうか。

エレクトロマイグレーション・チェックを実行できるツールとしては、総合的な「サインオフ」ツールのほか、カスタム物理レイアウト作成中に実行できる高速スタティック・チェッカなど、さまざまなものがあります。

シノプシスのサインオフ・ツールCustomSim™には、幅の狭い信号線の電流密度を計算してエレクトロマイグレーション発生の可能性を判定する機能があります。CustomSimはデザイン内に発生するジュール熱を監視するのに必要となるRMS電流の計算を含め、双方向からの電流の流れを正確に考慮します。また、接地キャパシタに加えて、レイアウトから抽出されたカップリング・キャパシタをすべて考慮して解析を実行します。これにより、信号線

ヒロック(ショート故障)

のインターコネクトの各セグメントで流入・流出する電流量をきわめて高精度に測定でき、結果品質が向上します。結果はGDSIIファイルとして出力され、これをデザインにオーバーレイ表示してエラーを可視化できます。

レイアウト作成中に対話形式で実行できる高速スタティック・チェッカを利用すると、レイアウト・エンジニアはエラーを簡単かつ早期に発見できます。エレクトロマイグレーション・チェックを実行するには、まず各レイヤのシート抵抗モデルを用いてデザインをセットアップします。このシート抵抗モデルは、インターオペラブル・プロセス・デザイン・キット

(iPDK)に含まれるITF(Interconnect Technology File)のデータを使用して作成します。このデータを処理したら、次に電流密度の制約およびブロックそしてデバイスのポート / ピンの電流値を設定します。この電流値は平均値、ピーク値、RMSのいずれでもかまいません。以上の情報を設定しておけば、これらのピンを接続先とするすべての配線についてエレクトロマイグレーション・チェックを実行できます。チェックは、目的の配線を選択してチェッカを起動するだけで実行できます。エレクトロマイグレーション・エラーが検出されると、レイアウト内にエラー・マーカーが点滅してエラーの場所が示されます。エラーの種類や修正方法などの詳細情報は、エラー・ブラウザに表示されます。

このようなツールを利用すれば、レイアウトの作成段階でエレクトロマイグレーションの問題をすばやく簡単にチェックできます。

いかがでしょうか。確かにFinFETは複雑で、正しく機能するロバストなデザインを作成するには数多くのルールや規則に従う必要があります。しかしこれまでの投稿で見てきたように、物理レイアウトを自動化してレイアウト・エンジニアの負担を軽減してくれるツール機能はたくさんあります。

では、これ以外に自動化は必要でしょうか。レイアウト・エンジニアが本当に求めているのは何なのでしょうか。

これについては次回にご説明します。

著者紹介Graham Etchells:私とEDAの出会いは1977年にさかのぼります。当時はまだ「EDA」という言葉が存在せず、単にCAD(Computer-Aided Design)と呼ばれてい

ました。私は母国イギリスのマンチェスターにあるGEC Traction社で機関車の制御ギアを担当しており、重機械のリレーやスイッチを扱っていました。その後エレクトロニクス革命が起こり、最初のCADシステムが納入されました。それは緑色の光を放つベクター・スキャン・ディスプレイとデータ入力用の大型デジタイザを備えたCALMA GDS1システムでした。16KB(キロバイト!)のコア・メモリーを搭載したData General Eclipseコンピュータの処理能力には圧倒されたものです。私はすぐにこのCADシステムのオペレーションに配属されました。そのシステムは世界最大とは言わないまでも、ヨーロッパでは間違いなく最大規模のものでした。その後、私は当時事業を拡大していたCALMA社にアプリケーション・エンジニアとして入社しました。これがEDA業界でのキャリアの始まりです。その後、Silvar-Lisco社、Neolinear社でのマーケティング / セールス職を経て、Cadence®社でVirtuoso®のマーケティングを担当しました。このとき以来、アナログ / カスタム・レイアウトの自動化という「聖杯」を探し求めています。このブログでは、シノプシス・ツールの最新動向をお届けします。

図1. 配線クローニングとピンへの引き込み配線を自動化した対話型ルータ

このルータの実際の動作は、こちらのビデオでご覧ください。 ウェブビデオ:Routing Assistant - bit.ly/1VZA4D1Custom Compilerに関するウェブセミナーのお申し込みはこちらから。 ウェブセミナー:Custom Compiler - bit.ly/1Q590kt

このブログについて当ブログ “Custom Layout Insights” では、これまでのカスタム・レイアウトを振り返りながら未来のイノベーションにつながるアイデアを探り、21世紀のカスタム・レイアウトのあるべき姿について論じていきます。みなさまからのご意見をお待ちしています。

ボイド(オープン故障)

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