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グレイスSDGsレポート2019 www.grace-e.co.jp [本  社] 102-0083 東京都千代田区麹町5-4 セタニビル5F TEL.03-3263-0871 FAX.03-3263-0872 E-mail. infograce-e.co.jp [関西支社] 541-0041 大阪市中央区北浜2-5-13 北浜平和ビル TEL.06-6223-1961 FAX.06-6223-1965 E-mail. kansai grace-e.co.jp 人材派遣/厚生労働大臣許可(般) 13-010461 人材紹介/厚生労働大臣許可13- -010593

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グレイスSDGsレポート2019

www.grace-e.co.jp

[本  社]〒102-0083 東京都千代田区麹町5-4 セタニビル5FTEL.03-3263-0871 FAX.03-3263-0872E-mail. info@grace-e.co.jp

[関西支社]〒541-0041 大阪市中央区北浜2-5-13 北浜平和ビルTEL.06-6223-1961 FAX.06-6223-1965E-mail. kansai@grace-e.co.jp

■人材派遣/厚生労働大臣許可(般)13-010461■人材紹介/厚生労働大臣許可13-ュ-010593

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京浜工業地帯に生まれ、小学生当時から公害問題にさらされてきた私は、24年前環境に貢献する人材を

提供したいと考え、グレイスを創業いたしました。

企業における環境問題はこの20年間に公害対策から経営の課題へと変遷を遂げ、現在はサステイナブル

人材のニーズが非常に高くなっています。一方、国内の労働環境においても働き手の減少や働く人の価値

観の変化に加え、ITの革新が人々の働き方にも大きな変化をもたらすなど大きな転換期を迎えております。

このような背景の中、今年はグレイス社員のディーセント・ワークの実現に向け、CRMや、評価制度、RPA

の導入に資金投入し業務の効率化を図りました。これにより当社のビジネスの核であるマッチングの質的、

量的な向上と、担当社員が週休3日へ移行できる職場の働き方改革も実現しました。また、千葉大学

OPERAプロジェクトの参画にあたり奨学寄付を実施いたしました。

SDGsの取り組みには、推進委員会や勉強会を通じて社員全員で取り組むため、今後もさらなる資金的

及び人的投入を計画しています。

当社のビジネスである“企業と人材の適切なマッチング”は、SDGs各項目に大きく影響を及ぼすものです

が、中でも「4.教育」「5.ジェンダー」「8.働き甲斐」「17.パートナーシップ」を当社の重要課題として、

社員一丸となって取り組んでいきます。この取り組みを確かなものにするため、SDGsレポートとしてまとめ、

毎年さらなるチャレンジをしてまいります。

グレイスのSDGs取り組みにご期待ください。

                         代表取締役社長 安井悦子

■人材ビジネスにおける基本的な取組姿勢国連が提唱するグローバルコンパクト上に謳われている基本的な考え方である「人権」、「労働」、「環境」、「腐敗防止」、及びSDGs(持続可能な開発目標)等の社会課題への取り組みを踏まえた人材ビジネスを行います。SDGsやESG等の社会課題へ積極的に取り組む企業や職種への就職、転職支援を行うことで、社会課題の解決に貢献します。人材ビジネスを通じてお客さまのビジネスを積極的に支援していく一方で、新規石炭火力発電開発に関る職種及び石炭火力発電所の運営に関わる職種等、環境に重大な負の影響を及ぼすおそれのある職種・プロジェクト、また深刻な社会課題である「人身売買等の人権侵害への加担」や「児童労働や強制労働」への直接的または間接的な関与が認められる企業、兵器産業、たばこ産業への人材紹介依頼については、原則的に対応しません。また、「職業紹介優良事業者認定制度」ならびに「優良派遣事業者認定制度」の「優良事業者」である当社は優良事業者に求められる行動基準を行動指針として定め、労働者と企業を結びつける人材紹介・人材派遣事業の社会的役割を自覚し、適切な事業運営を行います。1. 派遣社員・求職者の個人情報および派遣先・紹介先企業に関する情報の保護に充分留意します。2. 派遣社員・求職者の人権、人格、個性を尊重し、安心・安全で働きやすい環境を確保するとともに、キャリア形成を  支援します。3. 事業運営は、特にコンプライアンスを徹底し、商業倫理、社会通念、国際慣行  等にも配慮するとともに、業務の適正運営とサービス向上を常に心がけます。4. 事業に関する情報の開示に努めるなど、広く社会とのコミュニケーションを  行い、透明性の高い事業運営を行います。5. 人材派遣・人材紹介事業の運営に携わるすべての社員が法令遵守を徹底し、  特に人材派遣に関する法令・契約を遵守しない企業には厳正な態度で臨み、  適正な運用を促します。

【企業活動全体で貢献する目標】 【環境ビジネスへの人材マッチングで貢献する目標】

1

経営者メッセージ

■持続可能な開発目標(SDGs)とは2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として、2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2016年から2030年までの国際目標です。持続可能な世界を実現するための17のゴール・169のターゲットから構成され,地球上の誰一人として取り残さない(leave no one behind)ことを誓っています。この目標達成に向けて、多くのリソース(資金・技術・人材)が集まる企業(民間セクター)には大きな役割が期待されています。

■グレイスとサステイナビリティグレイスは設立当初より、働く人が環境問題への意識を持ち、社会との関わりを考えながら、自らの仕事に「やりがい」と「可能性」を見出して活き活きと働くことが、企業を、ひいては社会を変えていく「グリーン雇用」という考え方、ワークスタイルを提唱してきました。これからも私たちは、人材ビジネスを通じて持続可能な社会の実現に貢献します。

■グレイスとSDGsグレイスは環境省が定める「環境汚染防止」「地球温暖化対策」「自然環境保全」「廃棄物処理/資源有効利用」の4つのテーマをはじめ、広く環境貢献を目指し活動する企業と求職者のマッチングを行っています。環境コンサルタント、気候変動の研究員、特殊廃棄物プラントエンジニア、再エネ事業開発、環境分析技術者、自然環境調査員、ESG、CSR推進担当など、SDGsの目標に大きく貢献する職種において適材適所のマッチングを行うことで、間接的にSDGs目標への貢献に繋がると考えています。私たちが運営する環境ビジネスに特化した求人サイト「エコリク」は、2001年「環境web.net」としてスタートし、以来リニューアルを繰り返し、「環境job.net」~「エコリク」と名称を変え現在に至ります。最新の業界動向・潮流を踏まえて独自のジャンルに分類し、全国の求人情報を掲載するほか、有識者や教育関係者への業界動向インタビューや、実際の転職モデルケースの紹介、環境分野のキャリア開発につながる資格講習・セミナーなど、求人情報に限らず、就職の現場にいる我々が持つ情報の価値を最大化するために、日々新たなコンテンツを企画しています。会員数は30,000名(2019年4月)を超え、2015年からは環境分野を目指す学生に向けた「エコリク新卒エージェント」学生向け就活支援サイトも開設し、これからの社会を担う若い世代に向けた情報提供とキャリア支援にも力を入れています。環境の課題解決に貢献する仕事は多様化し、技術向上や複合的なマッチング機会により、新たな経済生産性を生むものと考えます。

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■グレイスが目指す姿日本が抱えるジェンダーの課題は、「なんでもいいから女性を市場労働に参加させれば良い」という単純で量的な解決策ではこれ以上の改善は期待できないと思っています。一人一人の希望と「個性」を理解し、その人にマッチした「働きがい」が持てる仕事や職場と出会えるような労働の質を高める支援が必要と私たちは考えます。性別に関係なく、専門性(個性)を活かし、一人一人に合った中長期的なキャリア開発をサポートすることが、一人当たりの生産性を高め、日本社会の持続可能な発展に繋がると考えます。

■グレイスの取組グレイスでは、転職市場でメインターゲットと言われる20~30代の特定年齢層に限らず、理系・環境系のバックグラウンドを持った全ての世代、男女の就職支援を分け隔てなく実施しています。日本の女性就業者の4人に1人以上は事務従事者です。事務職は人手不足の現代においても求人倍率1を割り続ける人余りの人気職種ではありますが、作業的・定型的な業務割合が高く、自動化(ロボット)される流れにありキャリア形成・能力開発という点では将来の失業リスクが高い職種と言えます。私たちは性別にかかわらず、理系・環境系の専門性を活かし、自分らしく成長・活躍できるコンサルタント職や調査・研究職のマッチングに特に力を注ぎ、中長期的なキャリア開発の機会を提供しています。

2 3

目標 4 すべての人々への包摂的かつ公正な質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する。

4.7 2030年までに、持続可能な開発のための教育及び持続可能なライフスタイル、人権、男女の平等、平和及び非暴力的文化の推進、グローバル・シチズンシップ、文化多様性と文化の持続可能な開発への貢献の理解の教育を通して、全ての学習者が、持続可能な開発を促進するために必要な知識及び技能を習得できるようにする。

■日本の課題ESD(Education for Sustainable Development)とは持続可能な社会づくりの担い手を育む教育を指し、2015年9月に持続可能な開発目標(SDGs)が発表されて以来、様々なESDに関連する取り組みがSDGsと関連して実施されるようになりました。持続可能な社会を実現するうえで教育機関だけでなく、各セクターがそれぞれのリソースを活用するとともに、協力・連携して人材育成に取り組むことが求められています。

■グレイスが目指す姿グレイスは、ESDが掲げる、環境・エネルギー・気候変動・生物多様性・防災などに関わるビジネスについて理解を深められる勉強会・セミナーやインターンシップを企画、開催することで、知識の伝達にとどまらず、仕事の体験を通じて、探求や実践に繋がる人材育成の機会の提供に努めます。

■グレイスの取組グレイスでは、大学生を対象に、持続可能な環境・社会の実現に貢献する環境産業・サステイナブルビジネスを知るための勉強会やインターンシップの紹介、SDGsをテーマとした就職イベントの開催を行っています。これまでの教育課程におけるESDを通じ、環境関連に興味を持ち、仕事として持続可能な社会の実現に貢献したいと思う若い人材をサポートします。

❶ 大学出張講義環境分野を専攻しているが、活かせる仕事や企業が分からない、どのようなスキルが求められるのか、どんな社会人が働いているのか、といった悩みを抱える学生や就職支援担当教授からの依頼を受け、当社のマッチングディレクターが専門のキャリアカウンセラーとして講義を行うほか、環境ビジネスの現場で働く社会人を講師に招き、出張講義を行っています。[過去の実施大学] 横浜国立大学・首都大学東京・東京農工大学・筑波大学・東京農業大学・東京都市大学・麻布大学ほか

❷ 環境ビジネス実践プログラムエネルギー、防災、廃棄物などの分野で貢献する企業と連携し、環境分野に関する課題解決型のテーマに基づき、学内実習+学外実習(インターンシップ)を行うプログラムを提供しています。学内教育だけでは身に付けることができない専門知識やスキルを身に着け、課題解決のできる人材育成を目指しています。[過去の実施大学] 武蔵野大学

❸ SDGsをテーマとした就職イベント「エコリク」の開催環境ビジネス企業のみを集めた合同企業研究会を毎年開催しています。環境ビジネス・SDGsをキーワードにした就活イベントとしては国内で唯一の開催となっています。「理系の専門性を活かしたい」「環境問題に関わりたい」「SDGsに貢献する企業を知りたい」という思いを持った全国の大学生が毎年約200名参加、他のイベントでは出会えないマッチング機会を創出しています。

❹ 積極的なインターンシップの受け入れ当社では大学生、高校生を対象にしたインターンシップの受け入れを積極的に行っています。東京都が主催する「ECO-TOPプログラム」にも協賛企業として参加し、自然環境に軸足を置いたジェネラリストを目指す学生のキャリア教育を推進しています。[過去の受入校] 桜美林大学、法政大学、芝商業高校ほか

(出典)文部科学省

目標 5ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児の能力強化を行う

5.5 政治、経済、公共分野でのあらゆるレベルの意思決定において、完全かつ効果的な女性の参画及び平等なリーダーシップの機会を確保する。

■日本の課題かつて先進国で最も低い部類にあった日本の女性就業率は、この20年で大幅に上昇し、56%から71%(2019年2月時点)まで上昇し、米国(66%)とユーロ圏(62%)を追い抜くまでに至りました。それにも関わらず、依然として男女格差の度合いを示す「ジェンダーギャップ指数」で日本は世界144カ国中114位(2018年)となり、過去最低だった2017年の111位からさらに後退しています。

環境学習

ESDの基本的な考え方[知識・価値観・行動等]環境、経済、社会の統合的な発展

エネルギー学習

国際理解学習

世界遺産や地域の文化財等に関する学習

その他関連する学習

気候変動

生物多様性

防災学習

20代(16%)

30代(21%)

40代(24%)

50代(23%)

60代(16%)

就職支援実績(世代別)

女性の紹介支援実績(職種別)

コンサルタント職(70%)

調査・研究職(12%)

理系専門事務職(9%)

事務職(6%)

営業職(3%)

201816141210080604020098969492908886848280

70.7%

66.1%

62.2%

75%

70%

65%

60%

55%

50%

ー 日本 ー 米国 ー ユーロ圏

女性就業率推移(日本・米国・ユーロ圏)

日本と米国は2019年2月現在、ユーロ圏は2018年9月現在(出典)OECD

女性(51%)

男性(49%)

就職支援実績(性別)

※2017年度~2019年度の就職支援実績より

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■グレイスが目指す姿研究者人材が減少する背景には、国内の若手人口の減少に加え、研究者のキャリアパスの不安定さ(イメージ)も進路選択を阻害する一因と私たちは考えています。環境学・地球科学の領域は研究論文数が増加している数少ない領域です。研究に興味を持った若い人材が、将来のキャリアを不安視することなく進学を選択できるようキャリアのサポートをすることで、日本の研究力の向上に寄与できると考えています。

■グレイスの取組一般社団法人日本生態学会「キャリア支援フォーラム」の運営日本生態学会は、会員数4,000人を超えるアジア最大の「生態学」に関する学会であり、 生物多様性や気候変動などの環境問題に関して、調査・研究・開発、政策提案などを行っています。学会には若手研究者(修士号・博士号取得者)が多く在籍し、多くの学生がアカデミックポスト(大学や公的機関)への就職を目指しています。しかしアカデミックポストは数が限られ、意図したキャリアがつめない、研究経験を活かせない進路を選んでしまう学生も少なくありませんでした。そこで私たちは毎年開催される学会全国大会において、民間でも研究活動を継続できる企業や研究経験を活かせる職種を紹介する就職相談会を実施しています。キャリアのミスマッチを防ぐだけでなく、民間セクターの研究力向上にも貢献できると考えています。

■私たちが目指す姿私たちは、人材ビジネスを通じた持続可能な社会の実現に貢献するために、まず自らが労働環境を是正し、社員一人一人がディーセントワークを実現できるよう、社内の改革を進めています。労働時間の削減だけでなく、顧客へのサービスの質を落とすことなく、営利企業として売上を伸ばしていく「労働生産性の向上」を自らが実現することで、SDGsの意義を体感し、顧客へ真の価値を提供できると考えています。

■グレイスの取組❶ 週休3日が可能な新勤務体制法定有休とは別に、40日/年の特別有休を付与(年間休日170日超)し、社員の月間労働時間を25%以上削減。趣味や自己投資、ケア労働に充てる時間が増えることで、社員それぞれのワークライフバランスを推進しています。

❷ 業務プロセスの見直しと自動化CRMシステム導入により、業務の一元管理を実現。RPA(Robotic Process Automation)、BPO(Business Process Outsourcing)の活用により、単純作業の削減を図るとともに、社員の労働力を付加価値の高い業務へシフトすることが出来ました。

❸ コミュニケーションツールの拡充メール・電話・対面といった従来のコミュニケーションに限定せず、SNSやチャットツールを積極的に活用し時間と場所を選ばないカウンセリングを実施することで、顧客サービスのクオリティ向上と一人当たりのカウンセリング時間の削減による業務効率化を実現しました。

★副次的な効果新勤務体制を導入したことで、自社採用における応募者数が中途(5倍)、新卒(3倍)と大幅に増加し、優秀な人材獲得にも貢献しています。

(出典) 科学技術・学術政策研究所「科学技術指標2018」4 5

目標 9 強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る

9.5 2030年までにイノベーションを促進させることや100万人当たりの研究開発従事者数を大幅に増加させ、また官民研究開発の支出を拡大させるなど、開発途上国をはじめとするすべての国々の産業セクターにおける科学研究を促進し、技術能力を向上させる。

■日本の課題研究開発費の削減、論文数の低下など、日本の研究力の世界での相対的な地位は下降を続けています。主要国の中では日本のみ人口100万人当たりの修士、博士号取得者数が減少していますが、研究開発の担い手の育成と確保は科学技術イノベーションの推進に必要不可欠です。

目標 8 包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する

8.2 高付加価値セクターや労働集約型セクターに重点を置くことなどにより、多様化、技術向上およびイノベーションを通じた高いレベルの経済生産性を達成する。

8.5 2030年までに、若者や障害者を含むすべての男性および女性の、完全かつ生産的な雇用およびディーセント・ワーク、ならびに同一労働同一賃金を達成する。

■日本の課題近年、多くの企業で「働き方改革」が叫ばれ、様々な施策が進められています。特に大きく問題として挙げられるのが長時間労働と生産性の問題です。日本の労働生産性は主要先進国の中で最も低い水準にあり続けています。労働者の年間総実労働時間は2,000時間前後で推移を続け、週の労働時間が60時間以上の労働者割合は、特に30歳代男性で15.0%に上ります。成果の出ない働き方で、長時間拘束を強いられているのが日本の労働者の現状であり、長時間勤務は成果に結びつかないだけでなく、労働災害の増加、ケア労働(家事、子育てや介護等)への不参加、キャリア開発や自己投資の不足など、持続可能な社会を目指すうえで大きな障害となっています。長時間労働と生産性は私たち人材業界にも大きく関係しています。クライアント(求職者)の多くは、日中働いている場合が多く、カウンセリングは、就業終わりの夜間や休日を希望しています。求職者に寄り添いたいと思うほど、社員の労働時間は増えていき長時間労働や休日出勤が常態化していました。

人口100万人当たりの学位取得者の国際比較

修士号取得者数

博士号取得者数

アメリカ

ドイツ

フランス

イタリア

カナダ

イギリス

日本

0(円) 2,000 4,000 6,000 8,000

(出典) 日本生産性本部「労働生産性の国際比較2018」

先進7カ国(G7)の1時間当たりの労働生産性

■分野分類不明

■その他

■自然科学

■人文・社会科学

■分野分類不明

■その他

■自然科学

■人文・社会科学

人400

350

300

250

200

150

100

50

0

人口百万人当たりの博士号取得者数

人口百万人当たりの修士号取得者数

日 本 アメリカ ドイツ  フランス イギリス 韓 国   中 国年度

年度

人4,000

3,500

3,000

2,500

2,000

1,500

1,000

500

0

08 08 08 08 08 08 0814 14 14 14 14 14 14

日 本 アメリカ ドイツ  フランス イギリス 韓 国   中 国08 08 08 08 08 08 0814 14 14 14 14 14 14

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■グレイスが目指す姿パートナーシップの実現には、それを推進する人材が各セクターにいなければなりません。環境・社会と企業の長期的価値創造に必要な統合思考、社会課題解決に向ける想い、そして、それを実現するスキルを持ち、持続可能な社会の実現に自ら積極的に貢献しようとする人材を私たちは「サステイナビリティ人材」と称し、その創出と活躍を支援する活動に取り組みます。

■グレイスの取組千葉大学OPERAの人材育成・教育プログラムへの協賛私たちは千葉大学が中心となって推進する社会環境の整備により疾病を予防するゼロ次予防戦略に基づき、暮らしているだけで健康・活動的になる「Well Active Community(WACo)」プロジェクトに協賛しています。プロジェクト内の人材育成領域において、持続可能社会の実現に向けた人材研修プログラム策定に向けたニーズ調査を社会人・学生を対象に実施しています。

一般社団法人サステイナビリティ人材開発機構の立ち上げ2018年、私たちは人材の採用支援に限らず、持続可能な社会の実現に貢献する企業と人材を育成するための組織として、一般社団法人サステイナビリティ人材開発機構を設立しました。サステイナブルビジネスを展開する企業と、次代を担う能力を備えたサステイナビリティ人材の支援を通じSDGsの実現に貢献するほか、組織や個人への支援だけでなく、多様なステークホルダーとのパートナーシップを生み出し、新たなイノベーションが創造されるプラットフォームとなることを目指しています。

★具体的な取組❶ セミナー企画・運営サステイナブルビジネスの中核をなすベンチャーや中堅企業の人事・総務担当者などを対象に、SDGsの企業の取り組み事例や、昨今問題となっている企業ガバナンスや労働領域など、CSRをテーマとしたセミナーを開催しています。

2018.11.21(水) ・SDGsとサステイナビリティ人材 Sus-Pro代表 川村雅彦 ・SDGs達成に向けた 地域企業戦略と事例紹介 (社)産業環境管理協会 白鳥和彦様

2019.3.13(水) ・SDGsは戦略的ビジネスツール -SDGコンパスから学ぼう- (社)産業環境管理協会 壁谷武久様

・アセアン諸国においてのMDGsからSDGsへの取組と成果 サラヤ(株) 竹内光男様

❷ 大学向け情報発信と就職イベント「エコリク」の協賛グレイスが毎年開催する理系・環境系の学生向け就職活動支援イベントの協賛団体として、就職イベントの案内や企業の求人・インターン情報、就活に役立つアドバイスなどの情報を環境分野の研究を行う全国の大学教員約10,000名に向けて配信しています。情報は指導教員を通じて研究で多忙な大学生に伝わります。

目標 17 持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する

17.16 すべての国々、特に開発途上国での持続可能な開発目標の達成を支援すべく、知識、専門的知見、技術及び資金源を動員、共有するマルチステークホルダー・パートナーシップによって補完しつつ、持続可能な開発のためのグローバル・パートナーシップを強化する。

17.17 さまざまなパートナーシップの経験や資源戦略を基にした、効果的な公的、官民、市民社会のパートナーシップを奨励・推進する。

■日本の課題SDGsの目標を総合的に達成するためには、利害を超えて多様な主体がお互いのリソースを共有し、パートナーシップをもって取り組むことが求められます。パートナーシップが求められる領域として、「資金」「技術協力」「人材育成」といった具体的な手段が掲げられています。

SDGsの企業行動指針の「SDG Compass」に「独立型のSDGs報告書の発行を

選択した企業は、当該SDGsを中心に内容を整理・編集することで、読者にとって

最も重要なSDGsに関する情報を発見しやすくできる」とあるものの、日本

企業では稀有である「SDGsレポート」を発行されたことに敬意を表します。

多くの報告書でSDGsに言及しているものの、自社で特定したマテリアリティ

にSDGsの目標、ターゲットをマッピングしているだけで、それらをどのよう

に理解し解決に向けて取り組むのか明瞭ではありません。SDGsは政府間の

合意事項であり、政策的な文言や国家レベルの到達目標などが書かれている

ため、そのままでは企業の取り組みに落とし込みにくく、日本、業界、自社に

論点を引きつける「翻訳」が必要です。

本レポートを拝見すると、各目標に対する「翻訳」がされており、日本の状況を

考察してその中から「目指す姿」「取組」「実績」が整理されており、SDGsに対する

戦略的思考を見ることができます。また、自社内においてもディーセント・

ワークなどSDGsの掲げる2030年の姿を着実に実現されていることもわかり

ました。

今後、どのように「目指す姿」を実現されていくのか、注目していきたいと思い

ます。そこで、各目標に関するKPIを設定し、本レポートを年次レポートとして

発行してその進捗状況を報告していただくことを期待します。また、各目標は

それぞれ連関していますので、特定した目標以外にも目を向け、新たなビジネス

を発見されることも期待しています。

NPO法人 循環型社会研究会次世代に継承すべき自然生態系と調和した社会のあり方を地球的視点から考察し、地域における市民、事業者、行政の持続可能な社会形成に向けた取り組みの研究、支援、実践を行うことを目的とする市民団体。CSRワークショップで、「企業の情報開示のあるべき姿」を研究し、提言活動を行っている。 ホームページ: http://junkanken.com/

第三者意見

NPO法人循環型社会研究会

理 事 山口 民雄