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日本企業が人材の国際化に対応している度合いを 測る指標(国際化指標) 平成21年4月 経済産業省

Minister of Economy, Trade and Industry - 日本企業 …...3.昇進・昇格の基準にTOEICなどの英語力を示す指標(資格)を組み入れている 英語力を測る客観的な指標を組み入れることは、前述1の指標の実効性を高めるととも

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日本企業が人材の国際化に対応している度合いを

測る指標(国際化指標)

平成21年4月

経済産業省

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目次

背景と趣旨 ........................................................................................................ 2

指標の構成 ........................................................................................................ 3

指標の内容 ........................................................................................................ 4

Ⅰ 人材育成 .................................................................................................. 4

(1)一般社員の教育 ................................................................................. 4

(2)グローバルな幹部人材の育成 ........................................................... 6

(3)技術・ノウハウの移転 ...................................................................... 7

Ⅱ 評価・処遇とキャリアパス ..................................................................... 8

(1)グローバル人材の適材配置 ............................................................... 8

(2)外国人材に開かれたキャリアパス・公平な評価 ........................... 10

(3)世界標準の報酬・処遇 .................................................................. 12

Ⅲ 企業内コミュニケーション・文化 ...................................................... 14

(1)コミュニケーションの円滑化 ....................................................... 14

(2)ダイバーシティマネジメントへの取組 ......................................... 16

(3)企業理念浸透への取組 .................................................................. 18

(4)適正なワークスタイル・福利厚生制度の充実 .............................. 19

Ⅳ 採用 ..................................................................................................... 21

(1)海外での高度な外国人材の採用(若年層、未経験者) ................ 21

(2)海外での高度な外国人材の採用(経験者) .................................. 22

(3)国内での高度な外国人材の採用 .................................................... 22

(4)知名度・イメージ ......................................................................... 24

人材マネジメントの国際化に向けた提言 ...................................................... 26

指標の全体像 ................................................................................................. 29

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日本企業が人材の国際化に対応している度合いを測る指標(国際化指標)

平成21年4月

経 済 産 業 省

背景と趣旨

現在、日本企業は試練と変革の時を迎えている。足元の経済環境は、米国発の金融危機

の影響で輸出を中心に需要が大きく落ち込んでおり、雇用環境も急速に悪化している。企

業の多くは、国内外ともに短期での景気回復は難しいと見ている。

他方、中長期的には、グローバル競争は激化し、アジアをはじめとした新興国市場は拡

大するとの見方が大勢である。すなわち、日本企業がさらなる成長を志向するためには、

海外市場に打って出る必要がある。こうした見通しの下、日本企業は、当面は国内外の需

要縮小に対応した「守り」の経営に徹しつつも、海外市場への進出・拡大を見据えた「攻

め」の経営を検討していかなければならない。現に、世界的な経済不安をむしろ好機と捉

え、クロスボーダーM&A などにより積極的に海外市場へ打って出る企業も尐なくない。

また、海外に進出していない企業にとっても、顧客や取引先のグローバル化に対応しな

ければならない機会が増えつつある。

こうしたグローバル化への対応に際して、多くの日本企業が経営課題としているのが、

グローバル化に対応した人材の育成・確保である1。具体的には、日本人社員のグローバル

対応力の強化や、高度な外国人材の活用が必要であり、こうした人材を戦略的に採用、育

成、評価するための体系的な人材マネジメントシステムの構築が重要になっている。

このような人材国際化の必要性について、多くの企業は総論として認識している。しか

しながら、具体的に何をすべきで、何から着手すべきかわからないまま、結果として取組

が遅れている企業は尐なくない。しかし、人材育成・確保には尐なからず時間がかかると

いうことを考慮すれば、グローバル対応の必要性が真に顕在化してから取り組むのでは遅

い。日本人社員のグローバル対応力の強化をはじめ、国内外を問わず多様な人材がいきい

きと活躍できる人材マネジメントの実現に向けた早急な取組が求められる。

こうした現状認識の下、経済産業省は、日本企業が人材の国際化を進める上で重要であ

ると考えられる取組を調査・分析することで、日本企業の具体的な取組を後押しすべく、「日

本企業が人材の国際化に対応している度合いを測る指標(国際化指標)」(以下「指標」と

いう。)を策定する。具体的には、国内外の先進企業や有識者に対するヒアリングや、国内

先進企業の関係者および有識者で組織される「国際化指標検討」委員会(委員長:白木光

1 「日本企業の経営課題2008」(社団法人 日本能率協会)によると、企業が経営のグローバル化を進

める上での「現在」の課題、「今後(3年後)」の課題、ともに、「海外要員、赴任者の育成」「グローバル

に通用する経営幹部の育成」「グローバルな人材マネジメント体制の確立」の3つを挙げる声が多い。

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秀早稲田大学教授)の検討結果をまとめた「国際化指標」検討報告書などを踏まえ、検討

を行った。

指標を策定・公表することにより、各企業において具体的に人材の国際化を進める上で

1つのきっかけとなり、最も効果的な人材マネジメントを実現する際の参考となることを

期待したい。

指標の構成

指標は、企業が人材の国際化を進める上で重要な取組を取り上げた。構成としては人材

育成、評価・処遇とキャリアパス、企業内コミュニケーション・文化、採用の4つに分類

し、更にそれぞれの分類を細分類して、合計72の取組を指標とした。

なお、人材の国際化に求められる取組は、日本国内にのみ拠点を設置している海外未進

出企業と、既に海外に進出している企業とでは異なる。前者は人材の国際化に向けて、海

外拠点あるいは日本本社と海外拠点間で実施する取組が求められるのに対し、後者は日本

国内での取組のみに限定されるためである。

そこで、指標では、日本国内にのみ拠点を設置している海外未進出企業と、既に海外に

進出している企業の2つの企業タイプに必要な指標を示している。企業は、自社のタイプ

に応じた指標を参考にされたい。

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指標の内容

前述のとおり、本国内にのみ拠点を設置している海外未進出企業と、既に海外に進出し

ている企業の2つの企業タイプに応じて必要な指標を示している。既に海外に進出してい

る企業にのみ必要な項目については、項目の横に「海外進出企業のみ」と付記している。

Ⅰ 人材育成

企業を担うのは人材(ヒト)である。人材がグローバルな対応力を身につけなければ、

経営のグローバル化は画竜点睛を欠いたものになる。そういう意味で、本項目は最も本質

的な指標の1つと言える。実際に、海外進出をしている日本企業が、今後特に課題であり

重要だとして感じている項目として、「グローバルに活躍できる幹部人材の育成」と、「日

本国内で採用した人材の国際化」の2つを挙げる回答が特に多い2。また、国内市場のグロ

ーバル化が進む中、海外進出企業はもちろん、海外未進出企業においても、人材がグロー

バルな対応力を身につけることが重要である。更に、成長意欲がある外国人材にとって、

人材育成の機会の有無は、企業を選ぶ上で重要な要素であり、こうした観点からも、企業

は国内外を問わず十分な人材育成の機会を用意する必要がある。

(1)一般社員の教育

人材の国際化を進めるにあたっては、ボリュームゾーンの一般社員を効果的・効率的に

育成することが重要になる。日本人の国際化を進めることで、外国人材がより違和感なく

働ける職場にも近づいていく。また、単に研修メニューや海外経験の機会を設けるだけで

はなく、英語能力や海外勤務経験を昇進・昇格の基準に取り入れるなど、実質を担保する

仕組みを作ることが重要である。更に、日本本社だけでなく、海外拠点の人材育成にも配

慮し、本社と同水準の研修機会や、日本や第三国で学べる機会を設けることは、意欲ある

人材を引き付ける上で重要な取組である。

1.英語教育(研修)や専門研修を実施している

グローバルにビジネスを遂行する上で、共通言語としての英語でコミュニケーションが

できることは、重要な要素である。その他にどれだけビジネススキルがあっても、言語ス

キルが伴わなければ、国際的なビジネスの場で具体的に発揮することはできない。このた

め、日本人社員に対して、国内外でビジネスをするために必要な英語教育や専門研修を実

施することは、人材国際化を進める上で最も基本的な取組の1つであると言える。

2 「国際化指標」検討委員会報告書のアンケート調査結果を参照。

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2.一般社員が海外経験を積める機会を設けている

英語や国際感覚を身につけるのに効果的なのは、海外派遣や海外研修などの海外経験を

積める機会を設けることである。こうした経験を通じて、人材が自らの強みや弱みに気づ

くことが重要であり、なるべく早い段階で企業がその機会を準備することが鍵になる。ま

た、こうした海外経験を積ませる前に、必要な研修を受講できるような、事前のサポート

体制の構築なども併せて重要である。

3.昇進・昇格の基準にTOEICなどの英語力を示す指標(資格)を組み入れている

英語力を測る客観的な指標を組み入れることは、前述1の指標の実効性を高めるととも

に、社員の語学力強化に対するモチベーション向上につながる重要な取組である。日本と

同じ非英語圏である韓国や欧州の先進企業の多くは、英語能力が要件として、明確に昇進・

昇格の基準に組み込まれている。日本企業においても、TOEIC などの英語力を示す指標が

昇進・昇格の基準として組み込まれている例が散見されるが、基準が低く設定されていた

り、厳格に運用されていなかったりすることも多い。

4.社員の英語力やグローバルなビジネスノウハウが、海外業務を実施できる水準に、開

発・維持されている

英語教育やグローバルなビジネスノウハウの教育・研修を行っているだけではなく、そ

れらの能力が実際に開発・維持されていることが重要である。また、全ての社員に海外経

験を積ませることは難しいため、日本本社においても英語による会議を定例化するなど、

日常業務にグローバルなビジネス要素をうまく取り入れる仕組みを作ることが有効である。

5.海外拠点の社員も国内社員と同水準の育成プログラムを海外拠点で受講することがで

きる(※ 海外進出企業のみ)

海外拠点の社員も、国内社員と同様に企業の貴重な人材プールであるという認識が必要

であり、長期的な視点にたって育成することが重要である。海外拠点の社員にも国内社員

と同水準の育成プログラムを用意することで、国内社員と差別していないことを伝えるメ

ッセージになり、モチベーション向上につながるため、海外における人材の採用や定着に

も効果的である。

6.海外拠点の社員に対して、日本本社への招へいや第三国への海外出向・海外研修の機

会を設けている(※ 海外進出企業のみ)

海外拠点の意欲ある社員にとって、日本本社へ招へいされ、日本の技術やノウハウに触

れる機会があることは、モチベーションの向上につながる。また、第三国への海外出向・

海外研修の機会も、グローバル人材としての能力を身につける良い機会となり、モチベー

ションの向上につながる。

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(2)グローバルな幹部人材の育成(※ 海外進出企業のみ)

企業活動がグローバル化するほど、国内・海外拠点の幹部人材には国際的な経営感覚や

人材マネジメント能力が問われるようになる。実際に、海外進出をしている日本企業が今

後課題であり重要だと感じている項目として、「グローバルに活躍できる幹部人材の育成」

を挙げる声が最も多い3。国際的な企業競争力の強化に向けて、世界中の幹部人材を対象に、

国際的なビジネス経験やマネジメント能力を獲得させる取組が求められる。

7.幹部候補を対象にしたMBA(Master of Business Administration)取得など、グロ

ーバルリーダー育成プログラムを整備している

グローバル化の進展に伴い、経営幹部に求められる能力・役割が大きくなる中、幹部候

補を対象に、グローバル化に対応した経営知識・スキルなどを身につけるグローバルリー

ダー育成プログラムを整備することは重要である。特に、MBAなどの経営に関する知識・

スキルは、グローバル化に伴う経営環境の変化に対応できる専門的職業能力として、国際

的に広く認識されており、海外の先進企業では幹部昇進の条件としてMBA取得を重視し

ていることも多い。また、幹部候補が短期間でグローバルリーダーに必要な要素を集中的

に学べるEMBA(Exective MBA)や、AMP(Advanced Management Program)など

のプログラムを受講することも効果的であるといえる。

8.日本本社にいる人材も含め、各拠点の幹部や幹部候補を集めて、研修を行っている

グローバルな幹部人材の育成に際しては、各国拠点の幹部人材あるいは幹部候補人材が

同じ場に集い、互いに刺激しあいながら研修できる機会を作ることが効果的である。こう

した取組は人材育成の側面だけでなく、企業全体のビジョンの共有、各拠点の人材のモチ

ベーション向上、国境を超えた社員間のネットワーク形成など、様々な効果につながるこ

とが期待される。

9.幹部候補のキャリアパスに海外勤務やグローバル業務を体系的に組み込んでいる

グローバルな幹部候補がグローバルなマネジメント能力を身につけるためには、海外勤

務やグローバル業務を通じた経験が必要であり、キャリアパスに体系的に組み込むことが

重要である。特に、日本本社は日本人社員の割合が高く、他国の企業に比べて必ずしも多

様な人員構成ではないため、日本本社内の経験だけではグローバルなマネジメント能力を

身につけることは難しいと指摘されている。日本人のグローバルリーダーを育成するため

には、より若い段階から海外経験を積める機会を戦略的に用意することが求められる。

3 「国際化指標」検討委員会報告書のアンケート調査結果を参照。

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10.幹部昇格の条件に海外勤務経験やグローバル業務経験を設定している

前述の9の指標の実効性を高めるためには、幹部昇格の条件に海外勤務経験やグローバ

ル業務を設定することが求められる。また、昨今の若い日本人は、アジアなどの人材と比

べ、グローバルな環境を積極的に志向しない傾向にあると指摘されている4。日本人社員の

国際化に対する発奮を促すという意味でも、経営幹部として活躍していくために海外経験

が必要である、というメッセージを発信することは意味があるといえる。

(3)技術・ノウハウの移転 (※ 海外進出企業のみ)

企業が海外拠点の生産性を高め、より早い段階で自立的な運営を実現させるためには、

日本国内で開発・考案された最先端の製造技術や、経営や営業販売のノウハウを戦略的に

移転する仕組みを作ることが不可欠である。また、海外現地人材の中には、日本企業の高

度な技術・ノウハウを学びたいと考える意欲的な人材も多いことから、海外拠点の生産性

向上だけでなく、現地人材の自己成長意欲の充足を通じたモチベーション向上にも効果を

有している。

11.日本本社の技術・ノウハウを現地拠点へスムーズに移転する仕組みが整備されてい

日本本社の技術・ノウハウは、多くの場合、高度熟練技能者などの日本人社員の暗黙知

として、目に見えない形で蓄積している。これらを現地拠点にスムーズに移転・再現する

ためには、マニュアル化など、目に見える共通の形で各拠点に提供する工夫が求められる。

こうした作業には手間がかかるが、自社の強みを見直すプロセスにもなり、重要である。

12.日本本社などから海外拠点に技術指導者を定期的に派遣している

日本本社のノウハウ・技能を移転するに当たっては、前述のマニュアル化だけでは限界

があるので、人から人に直接伝える機会を作ることが効果的である。具体的には、日本本

社などから定期的にトレーナーや指導者を派遣する仕組みを作ることが望ましい。また、

本社の熟練技術者などから直接学ぶことは、現地社員のモチベーション向上にもつながる。

13.現地の技術・ノウハウ指導者を国内へ一定期間招へいし、教育を実施している

一度海外に移転した技術やノウハウについては、常にモニタリングして、改善ポイント

を見出すことが重要である。このため、国内から海外拠点に指導者を派遣するだけでなく、

海外の指導者を対象に国内で教育することが重要である。また、優れた技術やノウハウを

有する日本での研修機会の提供は、現地社員のモチベーション向上や各国の社員間のネッ

トワーク形成などにも効果が期待される。

42007年の「第3回 新入社員のグローバル意識調査」(産業能率大学)によると、2007年の新入社

員は、2004年の新入社員と比べ、「海外では働きたくない」が28.7%から36.2%に増加し、海

外赴任について、「喜んで従う」が37.1%から29.3%に減尐、「できるだけ拒否する」が21.8%

から30.5%へ増加するなど、海外で働くことについて否定的な回答が増加している。

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Ⅱ 評価・処遇とキャリアパス

これまで、多くの日本企業は、日本人同士による「年功序列」や「長期雇用」などの慣

行を背景とし、必ずしも人材の評価・処遇やキャリアパスを明確にしない文化を形成して

きた。しかし、外国人材からは、「日本企業は昇進・昇格に限界がある(いわゆる「ガラス

の天井」)」という声が大きく、あいまいな評価・処遇や不明確なキャリアパスは、高度な

外国人材にとって、日本企業を敬遠する大きな原因となってしまっている。今後、国内外

の優秀な人材を引き付けていくためには、公正な人事評価・処遇の実施と、キャリアパス

の明確化が不可欠である。

また、日本企業は海外現地において、生産や物流のプロセス・システムに関するグロー

バルな整備は比較的進んでいるものの、人事管理部門については、必ずしも十分な整備が

できていない。実際は、日本本社からの出向者など、一部の人に依存した属人的な人事管

理が行われていることが多いと指摘されている。人材を適材適所に配置するためには、人

事情報をグローバルに管理・評価するシステムの構築が必要となる。

(1)グローバル人材の適材配置(※ 海外進出企業のみ)

企業の活動範囲がグローバル化した際に、世界各国の人材を、国籍や採用国、所属する

拠点にかかわらず、必要とされる知識や経験、技能などに応じてグローバルに配置する取

組が重要ある。こうした取組は、それまでの人事システムや慣行などとの兼ね合いにより、

必ずしも容易でないことも多いが、思いきった抜擢をするなどにより、徐々に前例を作っ

ていくことが効果的である。また、拠点間の人事異動を行う際に、評価や報酬基準や手当

てなどの切り替えに納得感を持たせる取組や、人材が実際に動くことを前提にした制度設

計も重要である。

14.コア人材に関する人材情報が管理・共有されている

海外進出が進み、海外拠点が自律的に運営できるようになると、各地域に適した人材の

育成・採用などが進む一方、会社全体としての人材の情報管理は難しくなる。しかし、会

社全体の更なる成長を実現するためには、採用拠点や国籍を超えて、優秀な人材を活用し

ていくための環境整備が求められる。このため、海外拠点で一定レベル以上の評価を得た

人材(コア人材)の情報については、企業全体として管理・共有されていることが求めら

れる。また、各海外拠点の意欲ある外国人材にとって、自身がコア人材として企業から認

識されうるという可能性は、モチベーションの向上につながるという意味で重要である。

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15.採用拠点や国籍に関係なく、ポジション(スキル)の需要に応じ、配置を行ってい

前述のとおり、企業は採用拠点や国籍によって人材を限定的に捕らえるべきではない。

優秀な人材であれば、必要に応じて日本国内や第三国のポジションに登用する柔軟な姿勢

が重要である。そのためには、海外拠点にどんな人材がいるかを把握するとともに、その

ポジションに必要な能力・スキルをある程度明確にすることが必要になる。

16.プロジェクトチームなどを組成する際は、国籍を問わず世界中の人材を対象にメン

バーの選別を行っている

プロジェクトを達成するためにチームなどを組成する際には、拠点内に閉じることなく、

各拠点からふさわしい人材を結集し、個々の能力を最大限に発揮できる状況を作ることが

望ましい。また、こうしたプロジェクトの実施は、世界中の人材とのネットワークの形成

や、多様な人材と共に働くことによる国際感覚の醸成などにもつながり、有効である。

17.所属する拠点・国籍にかかわらず、幹部候補を選別している

グローバル人材の適材配置を徹底するという観点から、幹部になるためのキャリアパス

は、所属する拠点・国籍などの理由により閉じることなく、開かれていることが望ましい。

幹部に登用される可能性があることは、各拠点の人材のモチベーション向上につながると

いう意味でも重要である。

18.幹部に対し、海外拠点間での異動を行っている

企業のグローバル化が成熟してくると、各地域の海外拠点が、それぞれの独自の強みや

ノウハウを持つに至る。この結果、日本本社と海外拠点の 2 点間のつながりだけではなく、

海外拠点同士が交流する意義がますます強くなり、海外拠点間の人事異動の重要性も増す。

特に、エリア域内における幹部の人事交流によって、拠点間協働によるシナジー効果が期

待される。

19.異動の際の、評価基準、報酬、手当てなどに関するポリシーを明確にしている

拠点を超えた人材の適材配置や、海外経験を通じた戦略的な人材育成を行うにあたって

は、人材が国境を越えて異動する機会が増す。この際、異動先における評価・報酬基準や

手当てなどが納得感をもったものでなければ、人材の意欲をそぐことになりかねない。こ

のため、異動に際しては、公平感のある評価基準、報酬、手当てを実現するというポリシ

ーを明確にし、拠点間移動を前提とした制度設計に取り組むことが必要である。

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(2)グローバル人材に開かれたキャリアパス・公平な評価

グローバル人材に開かれたキャリアパスの設定や、公平な評価を実施することは、国内

外を問わず優秀な人材を引き付けるために不可欠である。特に、日本人社員がグローバル

に活躍することを積極的に志向するようになるためには、海外経験などが昇進・昇格にと

って重要な要素になることを示すことが効果的である。また、併せて、個人に与えた権限

を明確に示すことや、仕事の成果に対する公平な評価を行うことも重要である。

20.国籍に関係なく、昇進・昇格の機会が平等に与えられていることを説明している

前述のとおり、国内外を問わず優秀な人材を引き付けるためには、開かれたキャリアパ

スの設定や、公平な評価の実施が必要である。特に、グローバルな人材獲得競争を勝ち抜

いて高度な外国人材を引き付けるためには、日本企業で働くことが外国人材にとってもキ

ャリアアップになりうる、ということを認識してもらうことが不可欠である。このため、

国籍に関係なく、昇進・昇格の機会が平等に与えられていることはもちろん、そのことを

丁寧に説明することが重要である。

21.国内での採用・海外拠点での採用に関係なく、昇進・昇格の機会が平等に与えられ

ていることを説明している (※ 海外進出企業のみ)

グローバル人材に開かれたキャリアパスと公平な評価を実現するためには、人材が採用

された場所にかかわらず、昇進・昇格の機会が平等である必要がある。しかしながら、日

本企業では、海外拠点のトップや幹部に日本人社員が起用されるケースが多いなど、海外

拠点の外国人社員が不満を覚える場合がある。前項と同様、昇進・昇格について平等に機

会が与えられていることを丁寧に説明することが求められる。

22.現地採用の社員にも能力・業績に応じて日本本社管理職などへの昇格のキャリアパ

スが設定されている (※ 海外進出企業のみ)

20,21の指標の実効性を高めるためには、海外拠点で採用された外国人社員でも、

本人の能力・業績に応じて日本本社の管理職への登用や役員に昇格できるような仕組みが

必要である。日本企業の中には、海外拠点の外国人社員が日本本社へ転勤しても、国内社

員の人事制度とは区別され、結果として昇進・昇格に限界(「ガラスの天井」)が生じてい

る場合がある。グローバル人材の意欲を向上するためには、「ガラスの天井」のない公平な

登用制度が求められる。

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23.海外拠点のトップや幹部に外国人社員を抜擢している

海外現地の人材にとって、海外拠点のトップや幹部に現地人材が採用されていることは、

どのような言葉でキャリアパスを説明されるよりも、わかりやすく、象徴的なことである。

現地人材のモチベーションを高めるという観点からは、海外拠点のトップや幹部には、で

きるかぎり現地人材を抜擢することが望ましい。この際、現地展開の進展度合いなどによ

っては、海外拠点のトップや幹部を日本人に任せる方が良い、という判断は十分あり得る。

しかし、現地人材のマネジメントという観点からは、中長期的には現地人材に任せられる

よう、必要な人材育成や環境整備を進めることが大切であり、そのことを現地人材に伝え

ることが重要である。また、一部の企業においては、日本国籍の人材でも、現地国籍の人

材でもない第三国の人材がトップや幹部に就いている例も見受けられるが、国籍にこだわ

らずに適材適所に人材配置をした結果として現地人材に認識されているとすれば、意欲あ

る現地人材にとって、更にポジティブなメッセージになる。

24.幹部人材に対しては、その所属や国籍を問わず、世界共通の人事評価基準を設定し

ている (※ 海外進出企業のみ)

グローバルに活躍する幹部人材に対しては、国境を越えた人事異動の可能性を見据えた

人事評価制度を設計することが必要である。世界共通の人事評価基準は、国籍や採用拠点

によらずに人材を適材適所に配置するための基準になるため、重要である。一方、国境を

越えて異動する可能性がない一般社員については、必ずしも世界共通の基準で評価を行う

必要はなく、企業理念などをふまえつつ、現地の事情に適合した人事制度が求められる。

25.個人に与えた権限の範囲を明確に示している

日本企業では、個人に与えられた権限の範囲が明確でないまま、日本人同士があうんの

呼吸で業務を行っていることが多い。しかしながら、異なる文化や背景を持つ多様な人材

が働く環境では、こうしたあうんの呼吸は必ずしも成立しないことが多く、個人に与えら

れている権限の範囲を明確にすることが必要である。権限を与えていない場合でも、意思

決定のプロセスを明確に示すとともに、そのことを説明することが求められる。

26.企業の中長期的な計画を社員に示している

企業の中長期的な計画や、計画実行のための戦略などを社員に示すことは、社員がより

納得感を持って今の仕事をできるようになるという意味で重要である。特に、留学生など

外国人材を日本国内で採用・育成するにあたって、企業の中長期的なグローバル戦略の中

で、その人材に何を期待しているのか伝えることにより、働く目的意識や組織への帰属意

識を高める効果が期待される。

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27.キャリアパスに関するフィードバックや本人の希望を尋ねる機会を設けている

キャリアパスの公平性については、採用時に説明するだけでなく、実際にフィードバッ

クする機会や、本人の希望を尋ねる機会を設け、きめ細かく配慮することが重要である。

また、この取組は、外国人材だけでなく、自らのキャリア形成に関心を寄せる若者を中心

とした国内の人材を維持し、意欲を高めるためにも必要である。

(3)世界標準の報酬・処遇

国内外を問わず意欲的な人材を引き付けるためには、社員が会社や経営者・管理者を信

頼し、自分の行っている仕事に誇りを持ち、一緒に働いている人たちと連帯感が持てるよ

うな働きがいのある職場であることが重要だが、納得のできる報酬・処遇であることもま

た重要な要素である。特に、高度な外国人材をはじめグローバル人材を獲得するためには、

世界的な報酬水準と比べて見务りしないレベルの報酬水準を設定することが求められる。

また、人材の定着のためには、社員に対する評価基準や評価方法の明確化、評価のフィー

ドバックを行うことも重要である。

28.欧米企業も含めた競合他社の同職務の報酬水準などを調査し、自社の報酬水準の見

直しを行っている

グローバルな人材の獲得競争に打ち勝つためには、一定以上の報酬水準を設定すること

が不可欠である。特に、海外現地において、仕事の内容などで差を示しにくい同業種の競

合他社と競争する際、自社の報酬水準が明らかに低ければ、高度な人材を引き付けること

は困難である。このため、欧米企業も含めた競合他社が同職務でどの程度の報酬水準なの

か調査した上で、自社の妥当な報酬水準を設定することが求められる。

29.評価基準や評価方法を社員に公開している

従来の日本人中心の長期雇用を前提とした日本企業の人材マネジメントは、社員に対し、

評価基準や評価方法を必ずしも公開してこなかった。しかし、今後、高度な外国人材をは

じめ、多様な人材が働く組織を形成・管理していく際には、これまで以上に人材評価の公

平・公正性が重要になり、評価基準や評価方法を公開することが求められる。

30.評価や報酬に対するフィードバックを行っている

評価や報酬に対して社員により納得感を持たせるためには、社員にフィードバックをし

て話し合う機会を作ることが重要である。この際、できるだけ多角的かつ分かりやすい、

きめ細やかな評価を行うことにより、社員が自己の強み・弱みを認識して次の目標に向か

っていけるような機会にするよう、工夫すべきである。

Page 14: Minister of Economy, Trade and Industry - 日本企業 …...3.昇進・昇格の基準にTOEICなどの英語力を示す指標(資格)を組み入れている 英語力を測る客観的な指標を組み入れることは、前述1の指標の実効性を高めるととも

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31.従来の給与体系に縛られることなく、高度な専門性を持った人材には例外的に高い

報酬を与えるなど、柔軟な制度・仕組みが導入されている

高度な専門性を持った人材を確実に獲得するためには、従来の給与体系に縛られること

なく例外的に高い報酬を与えるなど、柔軟な制度・仕組みを導入していることが必要であ

る。この際、なぜ高い報酬なのか、その報酬に見合った職務内容や責任を明確にすること

で、他の社員との公平性を保つことが重要である。

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Ⅲ 企業内コミュニケーション・文化

企業のグローバル化が進む中で、多様な人材がいきいきと活躍できる環境を実現するに

は、日本本社と海外拠点、日本人社員と外国人社員、経営トップ層と現場の社員、男性社

員と女性社員など、様々な距離を縮めるための円滑なコミュニケーションと、多様な価値

観を理解できる仕組み作りが必要である。また、企業の成長に向けて社員間の一体感を図

るためには、企業理念などの価値観を幅広く、深く共有できる仕組みが必要である。いず

れも、これまで日本人や男性といった同質性を前提にしてきた企業文化を見直すことであ

り、単に制度を作るだけでなく、トップが自らリーダーシップを発揮して、推進部署や担

当者を配置するなど、全社を挙げた取組が求められる。

(1)コミュニケーションの円滑化

企業内の人材国際化が進み、言語や文化的背景の異なる人材の比率が高まると、企業内

コミュニケーションの円滑化に向けた取組の重要性が高まってくる。企業内コミュニケー

ションの円滑化のためには、まず、言語の共通化に向けた取組が必要である。社員同士や

業務上のコミュニケーションを円滑に行うことに加え、海外拠点の社員でも、自社に関す

る情報に日本本社の社員と同時に共有できることが重要である。また、情報インフラを介

してだけでなく、直接対面してコミュニケーションができる場を設定するなど、コミュニ

ケーションの前提となる人と人とのつながりを重視した取組も求められる。

32.外国人社員に対し、日本語の教育機会を設けている

国籍の異なる社員間でコミュニケーションを図るためには、お互いに英語などの共通言

語を使用することが理想である。しかし、日本本社のように、日本人社員の多くが英語を

使えない場合には、かえって業務の非効率化を招く恐れもある。社員が円滑にコミュニケ

ーションを行うという目的を達成するためには、外国人社員の日本語スキルを高めるのは

一手段である。

また、日本企業で働くにあたり、積極的に日本語や日本文化を理解したいと考える外国

人にとって、日本語の教育機会が与えられることは帰属意識を高めることにもつながる。

33.海外拠点では、現地語も公用語としている (※ 海外進出企業のみ)

非英語圏の海外拠点においては、日本語にも英語にも精通していない現地社員も多く、

公用語を日本語と英語に限定してしまうと、コミュニケーションが円滑にできなくなるこ

ともある。このため、海外拠点におけるコミュニケーションの円滑化のためには、公用語

を柔軟に現地語にすることも有効である。

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34.日本本社から発信する重要文書については、英語又は現地語に翻訳し情報共有をし

ている (※ 海外進出企業のみ)

企業において、多様な国籍の人材が円滑にコミュニケーションを行うことを実現するた

めには、全ての文書を英語や現地語に翻訳して共有することが望ましい。しかし、それに

は事務的に膨大なコストがかかるため、必ずしも効率的ではない。このため、尐なくとも、

日本本社から発信する重要文書については、速やかに英語又は現地語に翻訳し、情報共有

を図ることが望ましい。また、こうした取組をルール化することにより、拠点間で発生し

がちな情報格差を是正することにもつながる。

35.日本及び進出先の文化や習慣などの違いに関する留意点などを学ぶための研修を行

っている (※ 海外進出企業のみ)

人材が国境を超えて異動し、円滑なコミュニケーションによって効率よく仕事を行うた

めには、他国の文化や慣習について理解を深めることが重要である。特に、日本人同士の

環境で働くことが多い日本人社員は、海外進出先での文化や習慣などの違いによってカル

チャーショックを受けることが多い。このため、人材が国境を超えて異動する際に、事前

に文化や慣習などの違いを学ぶための研修を受けられるようにするなど、企業がその機会

を用意することが重要である。

36.トップ人材が来訪した際には、現地社員と会話をする機会を設けている

(※ 海外進出企業のみ)

海外拠点の社員にとって、日本本社のトップと直接コミュニケーションを取る機会は尐

ない。本社のトップ人材と海外拠点の社員と会話をする機会を持つことは、海外拠点の社

員にとって、その企業で働くことの意義を再確認する機会になり、モチベーションの向上

につながる。このため、本社トップは海外出張などの際には、積極的に現地拠点を訪問し、

幹部社員だけでなく、できるだけ多くの一般社員とコミュニケーションの機会を作ること

が重要である。

37.日本本社において外国人を含む会議を行う場合、日本語以外に英語も公用語に設定

している(※ 海外進出企業のみ)

日本企業では、ほとんどの場合、日本本社において日本語で会議が行われている。日本

本社で英語を用いた会議を行うのは、日本人社員の英語力が相当程度開発されている必要

があり、現実にはなかなか容易ではない。しかし、今後更に高度な外国人材を日本本社に

受け入れていくにあたっては、外国人を含む会議を行う場合、日本語以外にも英語を使う

仕組みを作ることが望ましい。また、海外経験による人材育成には限界がある中、本社の

日常業務に英語を使用する機会を作ることは、日本人社員の国際化にとって大きな効果が

ある。

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38.世界中の社員のネットワークを促進する情報インフラを整備している

(※ 海外進出企業のみ)

国内外を問わず優秀な人材を集めても、それらの人材が有機的にネットワークされなけ

れば、チーム全体として力を最大限発揮することは難しい。このため、イントラネットを

構築するなど、IT技術を活用した情報インフラの整備により、企業内コミュニケーショ

ンを円滑化することが重要である。

39.日本本社と海外拠点、日本人社員と外国人社員のコミュニケーションが円滑化して

おり、意思の疎通が十分に出来ている(※ 海外進出企業のみ)

社内コミュニケーションにためのインフラの整備や語学教育などの取組を実施するだけ

でなく、実際に日本本社と海外拠点、日本人社員と外国人社員のコミュニケーションの円

滑化と意思の疎通が達成されていることが重要である。また、業務上のコミュニケーショ

ンの機会だけでなく、日本人社員と外国人社員が一緒になったレクリエーションの実施な

ど、福利厚生制度を活用した取組も有効である。

(2)ダイバーシティマネジメントへの取組

ダイバーシティとは、企業を構成する社員の国籍や性別、社会的背景の多様性を確保す

ることである。ダイバーシティを実現することにより、多様化するニーズへの対応や、社

員同士の触発によるイノベーションの創出といった多様な効果が期待される。近年、尐子

高齢化などの流れの中で、ダイバーシティの概念は企業に浸透しつつあり、そのための部

署を置く企業も尐なくない。しかし、大切なのは単に形式的に取り入れるのではなく、ダ

イバーシティが自社の成長戦略にどのように結び付くのか分析し、より深く認識すること

で、企業風土や文化の形成につなげることである。従来型の日本人・男性を中心とした企

業文化・風土の見直しは必ずしも容易でなく、トップがリーダーシップによって強力に推

進することが求められる。

40.ダイバーシティの推進が、企業の経営計画などに盛り込まれており、ダイバーシテ

ィの中に、『外国人』が明確に含まれている

日本企業においてダイバーシティに関する意識は高まりを見せているものの、ダイバー

シティを具体的に実現ためには、企業の経営計画などに盛り込んで徹底することが重要で

ある。また、日本企業の多くは、ダイバーシティについて主に女性の活用を念頭において

おり、必ずしも外国人材を含めたものになっていない。ダイバーシティの中に「外国人」

を明確に含めることが重要である。

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41.外国人社員を受入れる現場に対しても、受け入れ体制の整備を実施している

実際に外国人社員を受入れて、様々な苦労をするのは現場である。このため、企業のト

ップや人事部門などが外国人材を活用する必要性を強調しても、実際の現場は共に仕事を

しやすい日本人を求める傾向にある。こうしたギャップを埋めるため、外国人社員の受入

れに向けた研修や、受入れ後のフォローを実施するなどのサポート体制を整備することが

重要である。

42.セクシャルハラスメント、パワーハラスメント、人種差別などに関する社内規定が

ある

ダイバーシティが高まれば高まるほど、多様な人材が集まる組織の中で発生しがちなセ

クシャルハラスメント、パワーハラスメント、人種差別などを防止することが重要になる。

このため、社内規定の中に盛り込むなどの具体的な研修を通じた社内教育の徹底や、相談・

苦情窓口や苦情処理機関などを設置することが重要である。

43.ダイバーシティを推進する部署や担当者を設置している

ダイバーシティを単なる題目にとどめず、実際に企業の各現場で浸透させていくには、

ダイバーシティを組織横断的に推進する部署や担当者を設置することが望ましい。この際、

部署や担当者を設置すること自体に意味があるのではなく、ダイバーシティの実現を企業

の成長戦略の一環として取り組む推進力を持つことが重要である。そのためにも、トップ

のリーダーシップによって、社員の意識を高める取組が求められる。

44.ダイバーシティマネジメントの成果や活動を評価・モニタリングしている

ダイバーシティの推進は、その重要性が総論として認識されていたとても、きちんと現

場に浸透するには時間がかかる。また、前述のとおり、形式的な実現にとどまらず、その

結果を企業の成長に結びつける視点が重要である。こうしたことから、ダイバーシティマ

ネジメントの成果や活動を、定期的に評価・モニタリングすることが求められる。

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(3)企業理念浸透への取組

企業理念は、企業のアイデンティティーともいうべきものであり、企業活動の羅針盤で

ある。社員に企業理念が浸透すれば、仕事への目的意識と組織に対する帰属意識が高まり、

その結果として、より質の高い製品やサービスが生まれる。従来、多くの日本企業におい

て、企業理念は同じような文化・性質を持つ日本人同士の中で、暗黙に共有されているこ

とが多い。人材の国際化を進めるにあたっては、企業理念を様々な言語で意義を説明でき

るようにするとともに、業務や研修を通じて具体化するような仕組みを作る必要がある。

45.自社の企業理念を明文化し、社員への説明、研修などを行っている

外国人社員を含め、多様な人材に企業理念を浸透させるためには、企業理念を、英語や

現地語に翻訳することまで含めて明文化し、実際に社員へ説明、研修などを行うことが重

要である。実際に、企業の様々な要素を加味しながら、企業理念を明文化する作業は容易

ではない。このように企業理念を明文化して説明するプロセスそのものが、企業理念を深

く理解する契機になるため、できるだけ多くの社員を巻き込んで明文化することが効果的

である。

46.自社のコアバリュー(強み)を明文化し、社員への説明、研修などを行っている

企業のコアバリュー(強み)を社員が理解して共有することは、製品やサービスの質の

確保につながるとともに、社員の一体感や帰属意識の向上につながる。このため、企業理

念とともに明文化して、社員への説明や研修などを行うことが重要である。

47. 企業理念に基づいた行動指針を作成し、社員への説明、研修などを行っている

企業理念は多くの場合、精神性を説明したものであり、抽象的であることが多い。こう

した企業理念を、異文化を背景とする人材に理解してもらうことは、想像以上に難しいこ

とが多く、実際に企業理念に従ってどのように行動すべきか指針を作成するなど、できる

かぎりブレイクダウンした説明や研修が求められる。

48. OJTを通した企業理念や行動指針の浸透に取り組んでいる

前述の企業理念や行動指針の浸透を推進するにあたっては、説明や研修という非日常の

機会で学ぶだけでは、必ずしも仕事を通じて実践するレベルまで浸透しない。このため、

日常のOJTの機会をうまく活用して、実践まで結びつけた浸透を図ることが重要である。

49. 企業理念に基づいた行動や業務が評価される仕組みを採用している

企業理念に基づいた行動や業務が推奨されていたとしても、その結果がきちんと評価に

反映されなければ、社員は企業理念を実践すべき局面において目先の利益を優先した別の

行動をとりかねない。企業理念を徹底を図るためには、企業理念を実践する行動の度合い

がきちんと人事評価に反映される仕組みを採用することが重要である。

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(4) 適正なワークスタイル・福利厚生制度の充実

多様な人材が働きやすい職場を実現するためには、適正かつ柔軟なワークスタイルや、

きめ細かい配慮による充実した福利厚生制度が重要になる。例えば、従来の日本企業に特

徴的なサービス残業などの慣行は、主に日本人・男性という同質性に依存した組織で行わ

れてきたものであり、異なる文化や事情をもつ社員からは理解されにくい。また、日本本

社のワークスタイルの見直しや福利厚生制度の充実化を図るとともに、海外拠点ごとでは

現地の法律や文化に適合してワークスタイルや福利厚生制度を設定する柔軟性が求められ

る。

50.勤務形態は拠点ごとに定められており、現地の文化や制度に合わせている

(※ 海外進出企業のみ)

海外の勤務形態については、それぞれの文化や制度に応じて様々であり、日本企業と異

なる面も多い。このため、日本の制度をそのまま一律的に進出先に持ち込むのではなく、

進出先の文化や制度に適合した制度を柔軟に構築することが重要である。

51.個人のニーズに合った柔軟な勤務体系を運用している

多様な人材がいきいきと活躍できる組織にするためには、個人の事情やニーズに応じた

柔軟な勤務体系を認めることが重要になる。具体的には、いわゆる在宅勤務、時短勤務、

フレックスタイム制などの導入であり、個人が時間や場所になるべく限定されずに、最大

限のパフォーマンスを発揮することができる仕組みが求められる。

52.就業規則や雇用形態に沿った勤務実態が守られている

多くの日本企業で行われてきたサービス残業などの就業規則に合わない勤務実態は、日

本人とは異なる文化を背景に持つ外国人社員が不満を覚えやすい慣行である。また、雇用

形態にかかわらず、能力や経験に応じて働かせるようなあいまいな人材活用も、外国人社

員からの理解は得にくい。こうした日本人・男性という同質性に依存した従来の組織文化

を見直し、規則・契約と実態との乖離を是正することが求められる。

53.日本で働く外国人社員に対し、日本における仕事や生活に関連する情報を発信して

いる

外国人社員が日本で生活しながら働く際には、制度面や文化面など数多くの障壁が存在

する。こうした障壁は日本人にとって気づきにくいものであるが、外国人にとっては切実

な問題であるものも多く、いかにきめ細かい配慮ができるかが外国人社員を引き付けるた

めに重要である。具体的には、日本での仕事や生活に関連する情報を、英語などで表記し

ながらわかりやすく発信していくことが求められる。

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54.福利厚生制度が拠点ごとに定められており、現地の文化や制度に合わせている

(※ 海外進出企業のみ)

国内外の優秀な人材を引き付けるためには、賃金制度だけでなく福利厚生制度が充実し

ているかどうかも重要である。特に、海外拠点の福利厚生制度については、現地の文化や

習慣に考慮した制度を構築することが求められる。また、かつて日本企業でよく行われて

いたような社内運動会や社員旅行などのレクリエーションが、国によっては社員の一体感

を高める取組として好評を得ることもあるなど、逆に従来の日本企業らしさが受け入れら

れることもあるため、試行錯誤が必要である。

55.福利厚生制度は、人材が世界中を動き回ることを前提に設計されている

(※ 海外進出企業のみ)

グローバルに展開する企業の幹部人材に対しては、世界中を比較的短期間で異動するこ

とを前提とした福利厚生制度を設けるが必要である。特に、異動によって生活水準が下が

ってしまうと、海外経験に対する人材のモチベーションが大きく低下してしまうため、こ

うした差を埋めるための制度設計が求められる。具体的には、異動の際に家賃や補填など

の細かい制度も含めて柔軟に切り替えられるようにすることや、子弟の養育費を会社が負

担するなどの仕組みを検討する必要である。

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Ⅳ 採用

人材マネジメントの最初のプロセスは「採用」である。人材の国際化を進めるに当たり、

高度な外国人材をいかに自社に引き付けて採用できるかが大きな課題になる。海外の先進

企業は、国内外を問わず優秀な人材を獲得するため、組織的かつ戦略的に取り組んでおり、

人材獲得競争は熾烈である。日本企業の多くは、外国人材採用の実績や、留学生の積極的

な採用方針を持ちつつも、個別の具体的取組の多くには遅れが見られる。具体的取組とし

ては、人材に対して職務内容・報酬・キャリアパスを明確に示すとともに、様々なチャネ

ルを駆使した自社の魅力の発信などが求められる。

(1)海外での高度な外国人材の採用(若年層、未経験者)(※ 海外進出企業のみ)

海外に進出している企業にとって、進出先で継続的に事業を成功させるためには、日本

人の派遣者だけでなく、現地のビジネスや文化を理解した優秀な現地人材を採用すること

が重要である。特に、若年層や未経験者に対しては、長期的視点に立った人材開発が可能

であり、企業の継続的な競争力強化に対する貢献が期待できる。

56.現地大学・大学院とのネットワークの形成を行っている

海外で優秀な人材を確保するには、現地の大学・大学院とのネットワークを持ち、早期

に人材にアクセスすることが重要である。具体的には現地大学・大学院における寄付講座

の開講や、奨学金制度の導入、寄付・奨学金制度の制定、オンキャンパス・リクルーティ

ングなどといった取組が想定される。欧米企業を中心に、海外企業は進出先で優秀な研究

者やエンジニアを獲得するために、積極的に進出先の大学・大学院とのコネクションを強

化しているが、日本企業は一部の大企業を除き、取組が遅れている。

57.現地大学・大学院との共同研究・研究委託を通じた人材の獲得を行っている

現地大学・大学院との共同研究や研究委託は、優秀な人材の獲得という観点から有効で

ある。特に、理系人材の獲得においては、大学・大学院での研究の延長上として、企業に

入社するケースが想定され、人材獲得に効果的な手段である。海外に製造拠点や研究開発

拠点をシフトする企業にとっては、大学・大学院とのコネクション強化は重要な取組であ

る。

58.キャリア初期の段階の人材に対して就職説明会やインターンシップを行っている

必ずしも知名度が高くない日本企業が、キャリア初期段階の外国人材を引き付けるため

には、就職説明会やインターンシップなどを通じ、自社がどんな企業か理解してもらえる

ような取組が不可欠である。特に、インターンシップは、企業も人材もお互いに対する理

解を深める手段として有意義であり、積極的に機会を作るべきである。

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59.求める人材の職務内容や報酬、入社後のキャリアパスを明確に示している

海外では、企業が採用活動時に、職務に応じた役割、責任、報酬などを明確にするのが

一般的であると言われている。このため、日本企業に多い「就社」的な発想や、「総合職」

的な雇用形態などに関しては、それらの意味を説明することなく外国人材の理解を得るこ

とは難しい。また、外国人材は日本企業に対して「昇進に限界がある。」という印象が根強

い。採用時には職務内容、報酬、将来到達可能なポストや昇格の条件などを含めたキャリ

アパスを、できるかぎり明確に示すことが求められる。

(2)海外での高度な外国人材の採用(経験者採用)(※ 海外進出企業のみ)

海外に進出している企業にとって、進出先で継続的に事業を成功させるためには、日本

からの出向者だけでなく、現地のビジネスや文化を理解した優秀な人材を採用することが

重要である。特に、いわゆるキャリア採用などで採用される経験者は、企業にとって即戦

力となる貴重な人材である。

60.海外進出先において、経験者人材採用に向けた特別な取組を行っている

日本企業に優秀な外国人材を引きつけるにあたっては、そもそも情報が尐ない上に、現

地の地場企業や外資系企業という競争相手がいる環境での採用活動になるため、企業ブラ

ンドが知れ渡っているなどの事情がないかぎり、そのままでは非常に難しい。そのため、

社内でスカウトチームを設置したり、ヘッドハンティング企業を活用したりするなど、組

織的・戦略的な取組が重要になる。

61.求める人材の職務内容や報酬、入社後のキャリアパスを明確に示している

基本的に59の項目と基本的に同趣旨である。

(3)国内での高度な外国人材の採用

国内で高度な外国人材を採用することは、その個人の能力を発揮してもらうという直接

的な意義とともに、同じ職場にいる日本人社員にとって国際化に向けた良い刺激になる、

という間接的な意義も大きい5。採用に当たっては、求める人材の職務内容や報酬、入社後

のキャリアパスを明らかにするとともに、外国人材が活動しやすいような形態にするなど

の工夫が求められる。また、日本で学んだ外国人留学生は、比較的日本企業になじみやす

いと考えられるため、日本企業における外国人採用の近道であると言える。

5 2007年の「グローバル人材マネジメント研究会」(経済産業省)におけるアンケート調査結果では、

「外国人登用現場でのプラス効果」として、49.3%の企業が「グローバルな視点の日本人への浸透」

を挙げている。

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62.高度な外国人材の採用を行っている

海外進出をしている企業が、海外で外国人材を活用することはごく自然な取組である。

一方、日本国内で外国人材を採用することについては、国際業務を担当させるという直接

的な意義はもちろんであるが、日本人と異なる文化や価値観を持つ外国人材が職場にいる

ことにより、様々な気づきやイノベーションを生み出すきっかけになるという間接的・副

次的な意義も指摘されている。こうした気づきやイノベーションは、海外未進出企業にと

っても重要であると言える。

63.ホームページなどで外国籍人材の採用に関する情報を広く発信している

日本企業の国内における採用情報は、必ずしも外国人材の募集を明確にしていないこと

が多く、日本での就職活動に慣れていない外国人材にとって情報の入手が難しいと指摘さ

れている。このため、外国人材にとって尐しでも情報が入手しやすいよう、企業がホーム

ページなどを通じて採用に関する情報を広く発信することが重要である。

64.通年採用、通年入社を実施している

海外の大学などの出身者は、卒業時期や就職活動時期が日本の学生のように一定ではな

いため、採用・入社時期を限定してしまうことにより、外国人材の採用機会を逸してしま

う可能性が高い。採用や入社の時期を柔軟に設定することが重要である。

65.日本に留学している外国人留学生を積極的に活用する方針を持っている。

日本の外国人留学生は、海外の学生と比べて、日本語に精通し、日本文化を理解してい

ることが多いため、日本企業になじんで活躍する潜在能力が高いと考えられる。実際に留

学生を採用している企業からは、留学生の仕事に対する意欲の高さなどを評価する声も多

く、日本に留学している外国人留学生の積極的な活用は、日本企業の人材国際化への近道

であると言える。6

66.外国人留学生向けの就職説明会やインターンシップを行っている

外国人留学生を積極的・戦略的に採用するにあたっては、就職説明会などで留学生に情

報を広く発信したり、インターンシップを通じて日本企業で働くことを体感できる機会を

提供したりする取組が効果的である。特に、必ずしも知名度の高くない中堅・中小企業に

とって、留学生に対し様々な機会を通じてアピールすることは効果的である。

6我が国企業に就職意志のある優秀なアジアなどの留学生の潜在能力に着目し、彼らを日本に引きつけるた

め、産学連携で開発した専門教育プログラム、ビジネス日本語研修、日本ビジネス研修、インターンシッ

プなどの専門教育から就職支援などまでを一貫したパッケージで提供し、優秀な留学生の受入を強化する

とともに、産業界で活躍する人材育成を促進する「アジア人財資金構想」を、経済産業省と文部科学省の

連携の下、推進している。

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67.海外で働くキャリア人材採用に向けた特別な取組を行っている

基本的に60の項目と同趣旨である。

68.求める人材の職務内容や報酬、入社後のキャリアパスを明確に示している

基本的に59と同趣旨である。

(4)知名度・イメージ(※ 海外進出企業のみ)

海外における企業の知名度やイメージは、人材採用を進める上でも重要な要素である。

知名度やイメージの高い企業は、多くの現地人材から注目をされ、人材募集に対する反応

が良くなると考えられる。一般消費者向けビジネスを行っていない企業であっても、会社

に関する情報をメディアに発信することで、世間一般への知名度を向上させることが重要

である。

69.ホームページなどで、外国人社員の活躍状況などを広く発信している

日本企業は、外国人材にとって「昇進に限界がある」というイメージを持たれている。

こうしたイメージを払拭するためには、ホームページなどを活用して、外国人材が活躍す

る姿を見せることが重要である。この際、業務内容や職場の雰囲気といった情報に加え、

外国人社員の働く姿やキャリアに対する考え方、企業に対する評価などを広く発信するこ

とが効果的である。

70.企業のホームページなどに、トップ層のメッセージが英語などで掲載されており、

定期的に更新されている

企業のトップ層のメッセージは、企業内外に対し大きな影響力を持つ。このため、企業

の経営戦略や人材戦略について、トップ層自らがホームページなどを通じ、メッセージを

発信することは、意欲ある人材を引き付けるのに効果的な取組である。この際、日本語だ

けでなく、英語などの他言語で発信することは、外国人材に対する積極的なアピールにな

るため、重要である。また、情報が陳腐化しないよう、定期的に情報が更新されているこ

ともメッセージの信頼性を高めるという点で重要である。

71.海外のテレビ、ラジオ、検索サイトなどのメディアを通じて会社又は製品の広告を

行っている

企業の知名度やブランドイメージは、海外において人材を引きつける大きなきっかけと

なるため、現地メディアへの露出は重要な取組である。一般消費者向けビジネスを行って

いない企業にとっても、会社に関する情報をメディアに発信することで、人材になり得る

一般消費者における知名度を向上させる効果が期待される。

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72.本業とは別に社会貢献活動を行い、CSR報告書などを通じて活動内容を外部に公

表している

人材を引き付けるにあたっては、その企業の魅力を発信することが重要である。この際、

本業以外にも、積極的に社会貢献活動を行っていることで、より働きがいのある会社とし

てのアピールにつながる。このため、CSR報告書などを作成・公表することにより、そ

の活動を広く世間に知らしめることは、外国人材を引きつける上でも効果的である。また、

国内だけでなく、海外においても社会貢献活動などを通じて社会的地位を向上させること

で、現地人材の採用やその維持に対して同様の効果が期待できる。

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Ⅳ.人材の国際化に向けた提言

前述のとおり、日本企業が人材の国際化を進めるにあたり押さえるべき取組について、

重要だと考えられる72の項目をまとめた。その際、「国際化指標」検討委員会における検

討やヒアリングなどをもとに、特に課題だと考えられた4点について、以下のとおり提言

を行う。

(1)一般社員も含めた国内人材の国際化

人材の国際化には、「高度な外国人材の受け入れ」と、「日本人社員の国際化」の2つの

側面があり、両者は密接不可分の関係である。すなわち、高度な外国人材が働きやすい環

境を実現するためには、共に働く日本人社員が言語スキルと異文化理解力を高めて国際化

することが重要であり、日本人社員の国際化を進めるためには、高度な外国人材とともに

働く環境を作ることが効果的である。両者を同時進行で進めていかなければならないが、

鍵となるのは「日本人社員の国際化」である。実際に、「国際化指標」検討委員会における

アンケート調査においても、海外進出企業が重要かつ課題であると回答した分野として、

「日本国内で採用した人材(日本人・外国人)の国際化」が2番目に多かった。一方、「国

際化指標」の「一般社員の教育」が、他の項目と比して特に達成率が低いわけではない、

ということも併せて考えると、日本企業の問題意識が特に大きいということがうかがえる。

このため、「国際化指標」の項目として挙げたとおり、社員に対する英語などの研修や海外

経験を積ませる機会を多く作り出すとともに、日本本社の日常業務にもグローバルな要素

を戦略的に取り入れながら、日本人社員が国際化できている状態を維持していくような一

連の取組が重要になる。

一般的に日本は諸外国と比して英語力が低い7。これは日本がグローバル化に関する問題

意識が低いことを象徴しており、必ずしも企業だけの課題ではなく、就職前の学校段階の

教育の課題があるとともに8、それらを支援する国も含めて、日本社会全体の課題である。

それでもなお、特に企業に期待するものがあるとすれば、国際化の必要性に関する社会へ

の発信である9。具体的には、企業が採用の際に人材に求める要素として、英語力や海外経

験などをより明確に打ち出すことであり、実践的なグローバル教育を実施している学校に

対して積極的に評価・協力を行うことである。これにより、学生や親のグローバル化に関

する問題意識が更に強まり、学校教育がグローバルな実践的教育を導入するインセンティ

ブになる。まずは、人材の国際化が自社の成長に不可欠であるということを、日本企業が

7 Education Testing Service(ETS)「Test and Score Data Summary for TOEFLR Internet-Based Test 」

(2005 年 9 月-2006 年 12 月)によると、アジア諸国の TOEFLE のスコア比較において、日本は27か国

中最下位である。 8 産学が人材育成について対話と具体的取組を行う場である「産学人材育成パートナーシップ」の中間取

りまとめにおいても、産学の課題の1つとして「グローバル視点による教育」が挙げられている。 9 平成19年度「企業が真に人材の国際化に対応している度合いを測る指標の策定に関する調査研究報告

書」(経済産業省)によると、日本と同じく非英語圏である韓国・欧州企業では、採用・昇格などの基準に

言語スキルが明確に要求されており、非常に重視されている。

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具体的かつ強く認識することが出発点である。その上で、グローバル化に関する危機感を

産学官が共有し、一体となり全力で取り組んでいかねばならない。

(2)グローバルに活躍できる経営幹部の育成

「国際化指標」検討委員会におけるアンケート調査で、海外進出企業が最も重要かつ課

題であると回答した分野は、「グローバルに活躍できる経営幹部の育成」である。今後、ク

ロスボーダーM&Aなどにより、日本企業の海外進出が加速すれば、グローバルに活躍で

きる経営幹部の育成がますます課題になる。「国際化指標」の「グローバルな幹部人材の育

成」の項目で示したとおり、グローバルリーダー育成プログラムの実施や、幹部候補のキ

ャリアパスに海外勤務やグローバル業務をうまく織り込むなど、戦略的な取組が求められ

る。また、「国際化指標」検討委員会における意見や企業ヒアリングなどで、特に強い問題

意識として挙げられたのは、日本人のグローバルリーダーが育っていないということであ

った。この指摘については、日本企業は欧米などの企業と比べて、人員構成が必ずしも多

様ではないためにグローバルリーダーが育つ環境になりにくい、という構造的な問題とと

もに、日本人社員がグローバルリーダーを志向しない傾向にある、という問題が指摘され

た。海外経験を積んだ人材を抜擢する前例を作るなど、日本人社員がグローバルリーダー

を志向するような環境を作ることが重要である。

(3)海外拠点のトップ・幹部への現地人材活用など、高度な外国人材のキャリアパスの

拡大

高度な外国人材が日本企業を敬遠する1つの大きな理由が「昇進・昇格に限界がある(ガ

ラスの天井)」である。特に、海外拠点において、トップや幹部に日本人が配置されている

ケースが多いのが、日本企業の特徴であると指摘されている。実際、「国際化指標」検討委

員会におけるアンケート調査でも、「外国人材への開かれたキャリアパス・公平な評価」に

おいて、特に「現地法人などのトップや幹部への外国人社員の抜擢」の取組が遅れている

ことが明らかになっている。従来、日本企業は製造業を中心に、海外進出するにあたり、

日本企業の強みを海外現地に移植し再現することを目標としてきたため、日本人を現地ト

ップにすることは自然であると考えられてきた。しかし、今後は現地マーケットを対象と

した販売拠点としての機能強化などがより課題となる流れの中で、海外現地に適合し、現

地人材を適材適所でいかに活用するかが課題になってきている。日本企業がグローバル企

業として脱皮できるか否かは、本社を含め、国籍を問わず人材のキャリアパスを描けるか

否かにかかっているといっても過言ではない。外国人材に現地トップを任せるという前例

が必ずしも多くない中、後述する企業理念・強みの更なる浸透や、人材交流などのあらゆ

る手段を講じることでガバナンス面の強化を図り、高度な外国人材のキャリアパスを広げ

ていくことが求められる。

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(4)企業理念や強みの浸透に向けた更なる取組

企業理念・強みの浸透は、企業がグローバル展開をするにあたり、意欲ある人材を引き

付けて活用するとともに、製品やサービスの質を保つために重要な取組である。海外の先

進企業は、企業理念・強みを徹底的に掘り下げて戦略的に打ち出すことで、確固たるブラ

ンドイメージとして社員をはじめ消費者にアピールすることに成功している。日本にも、

世界に誇る素晴らしい経営理念や強みを持つ企業は多い。しかしながら、「国際化指標」検

討委員会におけるアンケート調査によると、日本企業の企業理念の浸透に向けた取組は、

国内ではかなり進んでいる一方で、海外では必ずしも進んでおらず、ギャップが生じてし

まっている。これは、従来、日本人同士で暗黙的に共有されてきた経営理念や強みを、明

文化する作業が進んでいないため、海外への浸透が遅れているものと考えられる。

企業理念・強みのみならず、多くの日本企業が保持してきた企業文化にひかれる外国人

は多い。例えば、長期雇用を前提に人を大切に育てる日本企業の文化は、転職を前提とし

た他国と比しても特徴的であるといえ、高度な外国人材を引き付ける要因になっている。

人材の国際化は、従来の日本企業のマネジメントの見直しを必要としつつも、これまで築

いてきた日本企業の個性を捨てることではない。むしろ、これまで無意識に行ってきた部

分も含めて、自社の理念・強みを洗い出し、その浸透に向けた取組を行うことが、グロー

バル化への近道であるともいえる。

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Ⅴ.指標の全体像

指標の全体像は、下記のとおりである。前述のとおり、海外未進出企業と、既に海外に

進出している企業とでは、取り組むべき取組は異なる。(★)の取組は、海外進出企業のみ

が取り組む必要がある取組である。

指標の全体像

Ⅰ 人材育成

(1) 一般社員の教育

1.英語教育(研修)や専門研修を実施している

2.一般社員が海外経験を積める機会を設けている

3.昇進・昇格の基準にTOEICなどの英語力を示す指標(資格)を組み入れて

いる

4.社員の英語力やグローバルなビジネスノウハウが、海外業務を実施できる水準

に、開発・維持されている

5.海外拠点の社員も本国社員と同水準の育成プログラムを海外拠点で受講するこ

とができる(★)

6.海外拠点の社員に対して、日本本社への招へいや第三国への海外出向・海外研

修の機会を設けている(★)

(2) グローバルな幹部人材の育成(★)

7.幹部候補を対象にしたMBA(Master of Business Administration)取得など、

グローバルリーダー育成プログラムを整備している

8.日本本社にいる人材も含め、各拠点の幹部や幹部候補を集めて、研修を行って

いる

9.幹部候補のキャリアパスに海外勤務やグローバル業務を体系的に組み込んでい

10.幹部昇格の条件に海外勤務経験やグローバル業務経験を設定している

(3) 技術・ノウハウの移転(★)

11.日本本社のノウハウ・技能を現地拠点へスムーズに移転する仕組みが整備さ

れている

12.日本本社などから海外拠点に技術指導者を定期的に派遣している

13.現地の技術・ノウハウ指導者を国内へ一定期間招へいし、教育を実施している

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Ⅱ. 評価・処遇とキャリアパス

(1)グローバル人材の適材配置(★)

14.コア人材の人材情報が管理・共有されている

15.採用拠点や国籍に関係なく、ポジション(スキル)の需要に応じ、配置を

行っている

16.プロジェクトチームなどを組成する際は、国籍を問わず世界中の人材を対象

にメンバーの選別を行っている

17.所属する拠点・国籍にかかわらず、幹部候補を選別している

18.幹部に対し、海外拠点間での異動を行っている

19.異動の際の、評価基準、報酬、手当てなどに関するポリシーを明確にしている

(2)グローバル人材に開かれたキャリアパス・公平な評価

20.国籍に関係なく、昇進・昇格の機会が平等に与えられていることを説明して

いる

21.国内での採用・海外拠点での採用に関係なく、昇進・昇格の機会が平等に与

えられていることを説明している(★)

22.現地採用の社員にも能力・業績に応じて日本本社管理職などへの昇格のキャ

リアパスが設定されている(★)

23.海外拠点のトップや幹部に外国人社員を抜擢している

24.幹部人材に対しては、その所属や国籍を問わず、世界共通の人事評価基準を

設定している(★)

25.個人に与えた権限の範囲を明確に示している

26.企業の中長期的な計画を社員に示している

27.キャリアパスに関するフィードバックや本人の希望を尋ねる機会を設けて

いる

(3)世界標準の報酬・処遇

28.欧米企業も含めた競合他社の同職務の報酬水準などを調査し、自社の報酬水

準の見直しを行っている

29.評価基準や評価方法を社員に公開している

30.評価や報酬に対するフィードバックを行っている

31.従来の給与体系に縛られることなく、高度な専門性を持った人材には例外的

に高い報酬を与えるなど、柔軟な制度・仕組みが導入されている

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Ⅲ. 企業内コミュニケーション・文化

(1)コミュニケーションの円滑化

32.外国人社員に対し、日本語の教育機会を設けている

33.海外拠点では、現地語も公用語としている(★)

34.日本本社から発信する重要文書については、英語又は現地語に翻訳し情報共

有をしている(★)

35.日本及び進出先の文化や習慣などの違いに関する留意点などを学ぶための研

修を行っている(★)

36.トップ人材が来訪した際には、現地社員と会話をする機会を設けている(★)

37.日本本社において外国人を含む会議を行う場合、日本語以外に英語も公用語

に設定している(★)

38.世界中の社員のネットワークを促進する情報インフラを整備している(★)

39.日本本社と海外拠点、日本人社員と外国人社員のコミュニケーションが円滑

化しており、意思の疎通が十分に出来ている(★)

(2)ダイバーシティマネジメントへの取組

40.ダイバーシティの推進が、企業の経営計画などに盛り込まれており、ダイバ

ーシティの中に、『外国人』が明確に含まれている

41.外国人社員を受入れる現場に対しても、受け入れ体制の整備を実施している

42.セクシャルハラスメント、パワーハラスメント、人種差別などに関する社内

規定がある

43.ダイバーシティを推進する部署や担当者を設置している

44.ダイバーシティマネジメントの成果や活動を評価・モニタリングしている

(3)企業理念浸透への取組

45.自社の企業理念を明文化し、社員への説明、研修などを行っている

46.自社のコアバリュー(強み)を明文化し、社員への説明、研修などを行って

いる

47.企業理念に基づいた行動指針などを作成し、社員への説明、研修などを行っ

ている

48.OJTを通した企業理念や行動指針などの浸透に取り組んでいる

49.企業理念に基づいた行動や業務が評価される仕組みを採用している

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(4)適正なワークスタイル・福利厚生制度の充実

50.勤務形態は拠点ごとに定められており、現地の文化や制度に合わせている(★)

51.個人のニーズに合った柔軟な勤務体系を運用している

52.就業規則や雇用形態に沿った勤務実態が守られている

53.日本で働く外国人社員に対し、日本で働く日本における仕事や生活に関連す

る情報を発信している

54.福利厚生制度が拠点ごとに定められており、現地の文化や制度に合わせてい

る(★)

55.福利厚生制度は、人材が世界中を動き回ることを前提に設計されている(★)

Ⅳ. 採用

(1)海外での高度な外国人材の採用(若年層、未経験者)(★)

56.現地大学・大学院とのネットワークの形成を行っている

57.現地大学・大学院との共同研究・研究委託を通じた人材の獲得を行っている

58.キャリア初期の段階の者に対して就職説明会やインターンシップを行ってい

59.求める人材の職務内容や報酬、入社後のキャリアパスを明確に示している

(2)海外での高度な外国人材の採用(経験者採用)(★)

60.進出先において、経験者人材採用の取組を行っている

61.求める人材の職務内容や報酬、入社後のキャリアパスを明確に示している

(3)国内での高度な外国人材の採用

62.高度な外国人社員採用を行っている

63.ホームページなどで外国籍人材の採用に関する情報を広く発信している

64.通年採用、通年入社を実施している

65.日本に留学している外国人留学生を積極的に採用する方針を持っている

66.外国人留学生向けの就職説明会やインターンシップを行っている

67.海外で働くキャリア人材採用に向けた取組を行っている

68.求める人材の職務内容や報酬、入社後のキャリアパスを明確に示している

(4)知名度・イメージ(★)

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69.ホームページなどで、外国人社員の活躍状況などを広く発信している

70.企業のホームページに、トップ層のメッセージが英語で掲載されており、定

期的に更新されている

71.海外のテレビ、ラジオ、検索サイトなどのメディアを通じて会社又は製品の

広告を行っている

72.本業とは別に社会貢献活動を行い、CSR報告書などを通じて活動内容を外

部に公表している