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RECMMENDED DISC REVIEWS /EDEN PARZIVALS …83V%83%87%83b%83v%98A%93...元KAMA LOKAのメンバーらが結成したオルガン・サイケデリック~レト ロ・プログレッシヴ・ロック系バンド、アグサの「Hogtid」('14)に続くセカンド。新

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Page 1: RECMMENDED DISC REVIEWS /EDEN PARZIVALS …83V%83%87%83b%83v%98A%93...元KAMA LOKAのメンバーらが結成したオルガン・サイケデリック~レト ロ・プログレッシヴ・ロック系バンド、アグサの「Hogtid」('14)に続くセカンド。新

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バロック・プロジェクト /BAROCK PROJECT 地平線 /SkylineSHM-CD+bonus CD/Belle Antique※国内プレス/紙ジャケ/解説・歌詞・対訳Italy '15

DANIELE SEPE A Note SpiegateCD/MVMItaly '15

 元RPWLのベーシスト、Chris Postl(vo、kbd、g、b、マンドリン)によるメロディアス・シンフォニック~うたものプロジェクト・バンド、パルツィヴァールズ・アイの「Fragments」('09)に続くセカンド。マジェンタの看板女性シンガーのクリスティーナ(主にバックvo。イエス曲カヴァー④とスーパートランプ曲カヴァー⑧ではリードvo)はじめ、バンド+多数のゲストにて、フロイド、キャメル、イエス系ルーツのソフトかつキャッチーなサウンドを展開している。冒頭とラストを飾る長尺曲をはじめ、楽曲の質も申し分ない秀作だ。

 トラッドとジャズが溶け合った孤高のサウンドでファンを魅了するナポリの奇才、ダニエーレ・セーペ(sax)。「In Vin Veritas」('13)に続く新作は初のカヴァー集(全曲)。シャールス・ミンガス、フランク・ザッパ、マイルス・デイヴィス、ウェザー・リポート、レッド・ツェッペリン、セロニアス・モンク等、自身のルーツとも言える巨匠の曲を管楽器、ギター、キーボード、ベース、ドラムスらを迎えたバンド編成でプレイしている。セーペとしてはややシリアスなジャズ色の強い作品であるが、持ち味である珍妙さも十分に交えた、ルーツ・リスペクトの大力作に仕上がっている。

 シンフォニック・ロックの王道とも言えるサウンドで人気を博したエデンの3作品がSHM-CD、紙ジャケットでリリースされた。男女ヴォーカリストを擁し、ヴァイオリン、フルートも活躍するファースト「期待(Erwartung)」、前作同様のピュアーかつクリアーなシンフォニック・ロックでドイツならではのロマンティシズムが感じられる「ペレランドラ」(2枚目)、'74~ '80年に作った曲を'80年に録音した、前2作と同傾向の「帰郷(Heimkehr)」、いずれもジャーマン・シンフォニック・ロック屈指の傑作である。3作品を同時にお買い上げのお客様に収納ボックス(個数限定)をプレゼント。

 超絶技巧キーボーダー、ルカ・ザッピーニ率いるイタリア産シンフォニック・ロック・バンド、バロック・プロジェクトの、「Coffee In Neukolm」('12)に続く新作フォース。ELP、フォーカス、ニュー・トロルス等を思わせる華麗なクラシック・ロック色と甘美でキャッチーな歌メロ、モダンなプログレ・ハード色がダイナミックに共存し、驚くべきクオリティのサウンドが展開されている。手法や方向性こそ異なれど、ムーン・サファリと並び、現代プログレッシヴ・ロック・シーンの旗手に躍り出たことは疑うべくもない、歴史にその名を刻む名作 !日本盤はボーナス・ディスク付の2枚組、紙ジャケット仕様。

STREETMARKDryCD/SireenaGermany '79

 独スカイ・レーベルからアルバムをリリースした数少ないシンフォニック・ロック系バンドの一つ、ストリートマーク。彼らのサード・アルバムがリマスター盤 /デジパックで再登場した。女性ヴォーカル /キーボード、ヴォーカル /ギター、ドラムスのトリオによる演奏(ベースがゲスト参加)で、スペイシーなパートも交えたメロディアスなキーボード、ややハードでメロディアスなギター、情感に富んだヴォーカル等が織り成すサウンドはソフトで叙情的な部分とポップで乗りの良い部分を巧みに配し、変化に富んだ展開を見せる。ノヴァーリスに通じる雰囲気もある隠れた好作品。

LUCIFER’S FRIEND●Banquet CD/Repertoire '74

●Mind Exploding CD/Repertoire '76

●Live At Rockpalast DVD:NTSC+CD/Repertoire '78Geramny

 後にユーライア・ヒープに参加するジョン・ロートンが在籍したことでも知られるドイツのハード・プログレッシヴ・ロック・バンド、ルシファーズ・フレンドの3作品。「Banquet」(4枚目)は代表作の一つ。ブラス、ストリングを用いた意欲的な作品でジャズ・ロック/ブラス・ロック色も加わった傑作に仕上がっている。「Mind Exploding」は5枚目。本作のみに参加したKarl Hermann Liier (ss, ts, bs,fl, vln, b-cl)のプレイやロートンのヴォーカルが光る秀作で、ジャズやポップの要素も取り入れたハード・プログレッシヴ・ロックが楽しめる。「Live At Rockpalast」はロートン脱退後の6枚目発表直後のライヴ映像と音源('78)を収めたニュー・リリース。DVD (NTSC)とほぼ同内容のCDのカップリングで、新旧9曲をプレイしたハード色の強い熱演が展開されている。

 デヴィッド・アレン、ジリ・スマイス脱退後、「シャマール」発表前というゴングの大転換期、'75年11月25日のライヴを収めたCDが再登場した。Steve Hillage (g,

vo)、Mike Howlett (b, vo)、Patrice Lemoine (kbd)、Didier Malherbe (sax, fl)、Pierre Moerlen (ds)、Miquette Giraudy (vo)、Jorge Pinchevesky (vln)、Mireille Bauer (per)が「You」「Shamal」、ヒレッジの「Fish Rising」からの8曲を演奏している。創造性と技巧のバランスが頂点に達した「You」の流れを受け継ぎながらテクニカルなプレイを展開する新生ゴングの意欲溢れる演奏が素晴らしい。

VAK Aedividea CD/Soleil ZeuhlFrance '15

 新世代のバンドが続 と々登場し、活性化しているフレンチ・アヴァン・プログレッシヴのシーンに新たに現れた逸材、ヴァクのファースト。マグマに触発された暗黒ヘヴィネス・サウンドに、女性スキャットやフルートによる優美かつ流麗なカンタベリー的ジャズ・ロック・テイストとクリムゾン由来の攻撃性を加えたそのサウンドは強力そのものである。重量級のヘヴィなリフによる高揚感と変化に富んだ曲展開が耳を捉えて離さない、暗黒系ファンならずとも必聴と言えるクオリティの快作 !

APSARA / Archives~Concerts Ete 1983

ALTAIS / Altais CD/Soleil ZeuhlFrance '83, '86

 後にSHUB NIGGURATHの中心メンバーとなるFrank W Fromy (g)が在籍し、'80年代に活動するもレコーディング作品を残さなかった幻の暗黒チェンバー・ロック・バンド、アプサラ。彼らの '83年録音の未発表音源5曲(スタジオ1曲、ライヴ4曲)を収めたCD (54分)とFromyらが脱退しアルタイと改名した活動末期リリースのEP ('86)を初CD化したもの(約14分)のカップリング。マグマの最もダークな部分にキング・クリムゾン的なヘヴィネスを加えたアグレッシヴかつ重厚な雰囲気の傑作。500枚のみの限定盤。

ゴング / GONG ●ライヴ・イン・シャーウッド・フォレスト CD/Belle Antique 解説

●Live In Sherwood Forest CD/M.L.P.France rec '75

 以前、「The Ultimate Edition」というタイトルでリースされた、クラウス・シュルツェの未発表音源から成る50枚組の作品を再編集して再発するシリーズの完結編となる第16弾。これまでは3枚組だったが今回は5枚組で、'72~ '02年の音源が各CDにぎっしりと詰め込まれている(全てのCDにボーナス・トラックを追加)。'72年のスタジオ、'73年のライヴ、マヌュエル・ゲッチング(g)が参加した'81年のライヴ等、貴重かつ興味深い演奏が堪能出来る、シュルツェ・ファン必携の内容。

KLAUS SCHULZE La Vie Electronique 165CD/MIG MUsicGermany

エデン /EDEN●期待 /Erwartung SHM-CD / 2 bonus '78

●ペレランドラ/Perelandra SHM-CD / 2 bonus '80

●帰郷 SHM-CD / 3 bonus '81Belle Antique ※国内プレス/リマスター/紙ジャケ/解説・歌詞・対訳Germany

PARZIVALS EYE DefragmentsCD/Gentle Art Of MusicGeramy '15

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AGUSATva CD/The Laser’s EdgeSweden '15

L’EFFET DE FOEHNVariations Sur Les Variations Goldberg CD/L’Arbre CanapasFrance '14

DUPAINSorgaCD/Buda MusiqueFrance '15

 Gerald Chagnard (as, ss)を中心にトランペット/ベース、ヴィブラフォン、クラリネット、女性ヴォーカル /ヴァイオリンの5人から成るレフェ・ドゥ・フェーンの新作。今回はゲストでドラムス、サックスも加わり、J. S.バッハの「ゴールドベルク変奏曲」の一部を更なる変奏曲という形で演奏している。マイク・ウェストブルックにも通じるシアトリカルで大道風のアヴァン・ジャズがダイナミックな展開を見せる秀作。奔放な女性ヴォイスも印象的である。

 南仏マルセイユを拠点に活動している、コンテンポラリーなフォーク/トラッド・バンド、デュパンの10年振りとなる新作フォース。オック語ヴォーカル /マンドリン、ハーディ・ガーディ、フルート、コントラバス、ドラムスの男性5人組にて、骨太なシブさと、ファンタジックなムードを共存させた、ロック寄りのアコースティック・サウンドを展開している。オクシタン系を下地としつつ、ブルターニュ/ケルト風味を交えたサウンドは、時にペイガン系の香りも漂わせる、深味十分の秀作だ。

トニー・バンクス/TONY BANKS●ア・コード・トゥ・ファー 4CD/Belle Antique 解説付● A Chord Too Far 4CD/Esoteric RecordingsUK

ザ・シン /THE SYN●ライヴ・ロスフェスト CD+DVD:NTSC/Belle Antique 解説付●Live Rosfest CD/U.M.E.UK

サイモン・スティーンズランド /カミカゼ・ユナイテッド ●ライヴ・ギャング・ギャング CD/Belle Antique 解説●Live Gang Gang CD/U.A.E.Sweden '04

 マッツ /モルガンとも交流の深い暗黒チェンバー・ロックの旗手、サイモン・スティーンズランドが '04にリリースした、カミカゼ・ユナイテッドというバンド名義でのライヴ録音作。盟友モルガン・オーギュレン(dr)はじめ、ツイン・キーボード、ギターを加えた(自身はb)バンドをコアに、曲毎に様 な々ゲストを交え、1曲を除き全て新曲がプレイされている。初期に回帰したような暗黒性と、疾走感が高次元で共存した、会心の名演だ。

ALAN SIMON Tristan & YseultCD+bonus DVD:PAL/VerycordsFrance '15

 これまで「Excaliber」「Anne De Bretagne」といった、豪華メンバー参加のケルト・シンフォニック・ロック・オペラを発表しているコンポーザー、アラン・シモンの '15新作は、「トリスタンとイゾルデ」をモチーフとしたロック・オペラとして登場した。オーケストラ、バンド、民族楽器(パイプ /フルート等)、そして、C.デカン(ANGE)を含む男女シンガー/キャストが、その壮大な世界観を見事に描き切っている、これまでの作品同様、傑作と呼ぶに相応しい会心作だ。メイキング、PV等を収録したボーナスDVD付き限定盤。

 スカイ・アーキテクトのドラマーにして、マルチ・プレイヤー/コンポーザーとしてもその才覚を余すところなく発揮している、Chris Bruin。彼が自らの自らのオリジナル・ファンタジー・ストーリーに基づいた新曲を、1年にわたり週1曲ずつウェブ上に公開 /販売するという、壮大な試みの、本作は完結編となる40-52曲目を収めた2CD。今回も自らのヴォーカル、マルチ・プレイにギター、管弦を加えて、クラシカルかつオーケストラルなシンフォニック・サウンドを展開している。カヤック+エニド的な面も見せるスケールの大きな作品は、完結編にふさわしい納得の出来栄えだ。

 元KAMA LOKAのメンバーらが結成したオルガン・サイケデリック~レトロ・プログレッシヴ・ロック系バンド、アグサの「Hogtid」('14)に続くセカンド。新たにフルートが加わった5人編成になり、20分前後の曲2曲を演奏している。ボ・ハンソン、ケブネカイゼ、更には近年のカイパなどにも通じる北欧フォーク系のノスタルジックなメロディをベースに、「エコーズ」期のピンク・フロイド/ジャーマン・サイケデリック風のサウンドも取り入れた、北欧らしいレトロ・モダな傑作。

 '60年代中頃に活動を開始し、故クリス・スクワイア(b)や故ピーター・バンクス(g)が参加したことでイエスに繋がるバンドとしても知られるザ・シン。オリジナル・メンバーのSteve Nardelli (vo)が元イット・バイツのフランシス・ダナリー(g)、キャメル、ルネッサンスにも参加しているトム・ブリスリン(kbd)らを迎えてリリースした「Big Sky」後に行ったライヴの演奏を収めたCDとDVD (NTSC)が登場した。イエスの歌物的な側面とムーディ・ブルースを思わせるブリティッシュ・プログレッシヴ・ポップ風の演奏が融合した秀作である。DVDには参加ミュージシャンのインタヴュー(スクワイア等)を含むドキュメンタリーも収録されている。

 ジェネシスにおいて音楽性の要だったトニー・バンクス(kbd)。ソロ・キャリアの集大成とも言えるCD4枚組ボックス・セットが登場した。「A Curious Feel-ing」('79)、「The Fugitive」('83)から「Bankstatement」('89)、「Strictly Inc.」('96)といったプロジェクト、更にはサントラや近年のクラシック系の作品まで、現在入手困難な作品を含む9枚のアルバムからバンクス自身が48曲(内4曲は未発表)を選曲している。本ボックスのためにリミックスされた新たな音質で聴かせる、ファン必携の決定盤。60ページのカラー・ブックレット付き。

 '10にムゼアからデビュー作をリリースしている、カンタベリー/レコメン寄りアヴァン・ロック・バンド、アクアサージの '14リリースのセカンド。男性ヴォーカル、エレキ・ギター、キーボード等からなる5人組にゲストを交え、R.ワイアットからの影響を感じさせる白昼夢的な浮遊感とザッパ系の屈折したジャズ・ロック色をミックスさせたようなサウンドを展開している。音響ポップやポスト・ロック、エレクトロニカなど、モダンな要素をも巧みに採り込んだ、フランスならではの新鮮味とセンスが魅力を放つ、高水準な作品だ。

 ルイ・スクラヴィスとの共演で知られるフレンチ・アヴァン・ジャズきってのヴァイオリン奏者、ドミニク・ピフアレリの '14年リーダー作。自らのヴァイオリンはじめ、ヴィオラ、ダブルベース、4管、ピアノ、ドラムスという9人編成によるアンサンブル・デダールでの演奏を収録している。ポリリズミックな変拍子を多用した、ダークかつスリリングなシリアス/チェンバー寄りジャズ・サウンドは、グループ名どおり、正に音の迷路のような音像となっている。近年のONJあたりを連想させるようなイメージのサウンドは、ヴェテランの入魂作にしてインパクトも十分な傑作と言える。

AQUASERGEA L’Amitie CD/Chambre 404France '15

DOMINIQUE PIFARELY “ENSEMBLE DEDALES” Time GeographyCD/Pros EditionsFrance '14

THE BLACK CODEXEpisodes 40-52CD/Freia MusicHolland ’15

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 '09のCDデビュー以降、コンスタントに作品を発表しているマルチ・プレイヤー/シンガー/コンポーザー、ザ・サイケデリック・アンサンブル(が個人の名義)による、2年ぶりとなる新作5th。ジャケット・イラスト通りのファンタジックなコンセプト/ストーリーに基づく内容となっており、女性シンガーやステッペンウルフのキーボード奏者、さらには管弦等を加えて、ELP系のたたみかけてくるような展開を見せる分厚くスリリングなサウンドを展開している。所々でJ.タル的なフォーキー・パートも交えながらもダイナミックに押しまくる傑作だ。

 英国シンフォニックの雄、マジェンタが初期のシングルのみに収録されていたレア曲を新規に再録音したアルバム「The Singles」('07)に、イエス"不思議なお話を"、EL&P"ラッキーマン"のカヴァーや、新規リミックス等、数々のレア音源を10曲以上追加して、内容倍増の2枚組拡大版として再発した作品。看板女性ヴォーカリスト、クリスティーナの美声とバンドのキャッチーでメロディアスな側面を出しつつも、中心人物ロブ・リードによる絶妙なシンフォニック&プログレッシヴなアレンジが光る、彼らの魅力が凝縮されている好作だ。

MAGENTAThe Singles Complete CD/Tiger MothUK '07/'15

 アレックス・コラ(g,vo,作曲)を中心とし、あのヴィニー・カリウタ(dr)、デレク・シェリニアン(kbd)、リック・フィエラブラッチ(b)という、名うてのテクニシャンが全面参加している驚愕の新バンド、パーパスフル・ポーパスのファースト。各人の技巧性やメンバー全員で一から制作に携わったというその楽曲の質の高さは言わずもがなで、大々的にフィーチャーされているヴァイオリンも含め、全盛期のイエス/カンサスにジャン・リュック・ポンティを合体させたような、驚異的な傑作だ。

 ジェネシス、スティーヴ・ハケットの初期作から多大な影響を受け、クイーン、ELO等の親しみ易くも壮麗なメロディ・センスを併せ持つ、天才的な作曲家 /マルチ・プレイヤー/シンガー、ピート・ジョーンズによる完全ソロ・プロジェクト、タイガー・モス・テイルズ。デビュー作「コクーン」('15)が賞賛を持って迎え入れられた彼が、「眠れる森の美女」「ハーメルンの笛吹き男」等のおとぎ話をモチーフとした楽曲を集めた新作セカンドを早くもリリースした。前作以上にファンタジックで親しみ易く、それでいて英国的なサウンドに満ち溢れており、本作もメロディー派ならば必聴と言える快作だ。

TOM DONCOURTThe Mortal Coil CD/PhosphorescentUSA '14

 アメリカン・シンフォニックきっての名バンド、カテドラルのキーボード奏者、トム・ドンカートによるファースト・ソロ。メロトロン、チェンバリン、ハモンド、モーグ等各種ヴィンテージ機材の多重と自らのヴォーカルを中心に、男女ヴォーカル(各1曲)や、マティアス・オルソン(dr等)らがゲスト的に加わり、クリムゾン・ルーツのうたもの寄りのモダン・シンフォニック~耽美的かつアンビエントなサウンドを展開している。キーボード・オーケストレーションを効果的に配したダークな音像は所 で々フロイド系の内政的な雰囲気も漂わせる、イマジナリーな秀作だ。

パーパスフル・ポーパス/PURPOSEFUL PORPOISE●ザ・ウォーター・ゲイムス 2CD/Belle Antique 解説付●The Water Games 2CD/GEPUSA '15

THE PSYCHEDELIC ENSEMBLEThe Sunstone CD/Glowing SkyUSA '15

BOX OF SHAMANSBelief And Illusion CD/10tUSA '15

 テン・ジンのギタリスト、マイケル・マティエを中心に、マーズ・ホロウのドラムス、ロケット・サイエンティスツのヴォーカルという、3名ともヘリオポリスのメンバーでもある、言わば別ユニットとなるボックス・オヴ・シャーマンズのファースト。マティエのマルチ・プレイと音楽性を中心としたサウンドは、イエス系を下地としつつもGG風味も強い、ヘリオポリスと比べ、よりダークでコンプレクシャスなものとなっている。フロイドやJ.タルのルーツも見え隠れする、才気溢れる楽曲が並ぶ高水準な仕上りの秀作だ。

CASTLE CANYONCriteria Obsession CD/Bottom Feeder)USA '15

 キーボード奏者 /シンガー、Eric Ian Walkerを中心に、'70年代前半に活動(後にフレッド・シャルノーも在籍)するも当時作品を残さなかった、米キーボード・プログレッシヴ・トリオのセカンド・リリース作。'09にリリースされた「Gods Of 1973」は未発集的な作品となっていたが、こちらは何と復活して'70年代に作成された楽曲を中心に新録(一部 '73ライヴ)しているのが特徴。ハモンド、ピアノ、アープ等を駆使した、初期ELP+-VDGGルーツのサウンドは高水準なもので、なかでも13分の大曲⑤はソフト・マシーン風味を感じさせるハイライト曲となっている。USアンダーグラウンドの底力を示す快作だ。

 元キング・クリムゾンのエイドリアン・ブリュー(g, vo)がドイツのTVライヴ番組「Rockplast」に出演した時の映像を収めたDVD (NTSC)と同内容の音源を収めたCD(インタヴューはDVDのみに収録)。ジュリー・スリック(b)、エリック・スリック(ds)という若き姉弟リズム・セクションを擁しての演奏である。“Dinosaur"“Three Of A Perfect Pair "“Thela Hun Ginjeet"のクリムゾン・ナンバー3曲を含む9曲をプレイしており、さすがの安定感と言えるブリューのギター/ヴォーカルと迫力十分のリズムが一体となったパワフル極まる熱演が楽しめる。

J.A.シーザーライヴ盤「萱

かんぞう

草歌=鬼お に や ん ま

蜻蜓が飛び交う日 2012CD/Asian Crack 解説付Japan rec '12

 天井桟敷で音楽を担当していたJ. A. シーザーが30年ぶりに音楽活動を再開したことで話題になった '12年5月のリサイタル「山に登りて告げよ」に続いて行われた同年9月のライヴ(渋谷La-Mama)を収録したCD(8曲、36分)。女性コーラスを含む若手バンド、ASIAN CRACKBANDがヴォーカルのシーザーとギターの森岳志を支えており、ハードなロック・ナンバー中心の熱い演奏が展開されている。本年5月に亡くなった森の最後の演奏を収めた貴重な作品でもある。

RODOLFO MEDEROS Todo HoyCD/Viajero InmovilArgentina '78

 アルゼンチン・タンゴ系バンドネオンの巨匠、ロドルフォ・メデーロスがプログレッシヴ・ロックに接近し始めた時期の名作「Todo Hoy」がCD化された。元エスピリトゥのGustavo Fedel (p, syn)やリピタル /マクラフリン風のギターを含む5人編成で、アナクルーサを彷彿させる甘美で叙情的な泣きの演奏からリターン・トゥ・フォーエヴァーやELPに通じるテクニカルな演奏まで、南米らしさ満開のドラマチックなサウンドを作り出している。ファン必聴の一枚。ボーナス(サントラ音源)入り。

TIGER MOTH TALESStory Tellers Part One CD/White KnightUK '15

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ADRIAN BELEWLive At Rockpalast DVD:NTSC+CD/RepertoireUSA