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THEMEGUROPARASIT.MUSEUMNEWS 目黒寄生虫館 ニュース 97昭和 42 9 1 9 6 .7 |資料紹介! cculin αsp. 標本番号 6 562 宿 主イワガニ 寄生部位腹部 採集地葉山 寄贈者 小田原利光博士 入手日 1959 2 11

THE MEGURO PARASIT. MUSEUM NEWS 目黒寄生虫館kiseichu.la.coocan.jp/news/mpmnews97.pdf · 理学博 土 士 医学博士 ... 塔を!V;~すと,三つの影が湖面に落ちるというのでこの

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THE MEGURO PARASIT. MUSEUM NEWS

目黒寄生虫館 ニュース

第 97号 昭和42年 9月 1 9 6.7

|資料紹介!

Sαcculinαsp.

標本番号 6,562

宿 主イワガニ

寄生部位腹部

採集地葉山

寄贈者 小田原利光博士

入手日 1959,2, 11

-2- 目黒寄生虫館ニュース

[資料紹介 lの解説

Sacculinaフクロムシは甲殻類の一種であって他の

甲殻類に寄生する種類である その分類学上の位置は

Phylum Arthropoda 節足動物門

Class Crustacea 甲殻綱

Subclass Cirripedia 蔓胸l亜綱

Order Rhizocephala 根頭目

Family Sacculinidae フクロムシ科

となる

フクロムシは袋状, .無節,無肢の両性寄生虫で,

イワガニ Pachygnψsus crassiPes やヨツパモガニ

Pugettia quadrides などの様な短尾類の腹部腹面に

寄生する,即ちこれらのカニの腹面に類円形の結節を

つくり細い柄部をカニの体内に挿入するー(第72図)

フクロムツの構造は主なものは外套と内臓塊 (Vis

ceral mass)と柄部であって,内臓塊の大部分は卵巣

によって占められている. (第71図)

柄部は宿主より栄養を吸収する器官で,宿主体内に

侵入すると根状に分枝する そして宿主のあらゆる組

織に広がってL、く 。即ち筋肉へも,腸,肝臓などに も

叉神経系や生殖巣にも侵入していく.遂には岐l陀内に

さえ入っていく 根は極めて薄い硝子膜を有し, その

下に下皮細胞層を存し,内部には網目状の結合組織が

充満 している この硝子膜を通して宿主の組織や体液

から栄養を吸収するのである .

フクロムシの寄生をうけた雄ガニは生殖能力を失い,

第二次性微も雌に近い間牲となる. (第25図)これを

寄生去勢 parasiticcastrationとL、う 例えほ1位協

の間に欽!肉!の大きさが異る様なカニではuJjの大きな欽

が1tifのごとく小さくなったり,腹部がdliiのごとく拡張

A C

国 12 根頭類2橿.

A: ヨツパモガニ Pugettiaquadγidensに寄生するブク

ロムシ Sαcculinapilosella B :間前の外套表面の小

刺群 C: Sacculinαconj・'ragosa(イワガニ Pachllgra・

psus cγαss!pes に寄生) D:同前の外肇表面の小隆

起紋織 (維野)

J

国 7] 積頭類の発生

B

して交尾針を失うに至る 叉本来は雄にはない!酬が 平不完全な形ではあるが出現する

dliiカニの場合は外部の性微の変化はおこらないが産

卵能力は失うに至る .

(枚野季雄著動物系統分類学 7 (上)より)

国お根頭類の寄生による短尾類 lnachu.s17UJ,u.ritanicω の雌雄の腹部の変化(寄生去勢)•

上段:媛 下段:雌 A:正常個体 B:寄生個体(G. SXITHによる)

2

目黒寄生虫館ニュース -3-

:寄生虫 学 遍路;(ロ) C遺稿〕

理学博土 士医学博士 口

中国遍歴

田 貞 雄

宿の近くに岳玉廟とて岳飛及びその妻を犯る処があ

る 構内は広大であるが,今は廃額している 此処か

ら野勝を辿ると清漣寺と云う寺院があり,境内に清初l

な泉水を湛え,その内に五色の鮒!が遊んでいるとのこ

とで名高い 西湖十八景の一つで,玉泉を閤んで茶室

があり ,精子により魚躍を眺めながら銘茶をすする悠

長な気持はまったく大陸的である .li1fillまには欧陽修や

康有為等知名の人々の書画があり41i本を売っている

之湖ノセ目、1:の小丘上にある六和塔は越王が江流を鎮D'

るために,延寿,賛寧,の二{曽に命じて造ったイ三層

j容で径601沢の大塔である.現在のは,その後再建した

もので,塔上からはずI江省一晴を望み,江上白帆の風

光を双i俸の健に納め,その雄大さはまれに見る荘観で

ある .

西湖から此の湖に行く途中,右側大慈山の下にある

虎飽寺の境内に小さな泉があって消浄な霊水をl噴き出

している 抗州の聖水と称して名高く,これをもって

茶を煎ずれば,味まことに絶佳なりと伝えられ, 叉こ

の水により花胞泉酒という芳酒が造られている .

1鴇を飼い梅を愛した宗代の詩人,材、和術の楼んでい

た古跡も西湖の辺りに遠からぬ処にある 林氏は西湖

孤山にIliを結び, 20年足一度も城市を踏まずと云う風

流入で,常に鶴を友とし梅を愛していた 商砂lに舟を

浮かべて諸芳IJを訪づれ,不在中,客があるとき留守居

の童子が鶴を放っと,林氏はこれを望み見て庵に帰る

を例としていた.放鶴亭として今なお残っ ている 林

氏底庵のあった処には古い梅は勿論ないが,新 しく植

えられた悔の木があって昔を偲ぶことが出来る 康煎

30年聖租帝,御書放鶴扇額及び舞鶴i欧- 1隔をj協うた

其l試に臼く,

処士人何在 山前タ照来 亭空不見鶴

磁古尚留梅 楊柳紫煙搬 裳梨jlli.耐開

今朝間繋艇 還是愛賢才

此の隣接地に林和靖の基や鶴塚がある.

西湖km'l"や四囲蒼翠の連山には,勝地が数えきれぬ

古来,詩人の来遊するもの多きもまた放なしとせず,

試に西池11十景の名を示せば

蘇隠春|此.籾[Ji.良聞鷺花港観魚.

Itll院風荷.平湖毛1i月.尻問l免鐙.

三滋印月 住rr橋残雪tm'峯柳雲

雷峰タ!照.

此の名を聞いたばかりでも,大よその風光を想像す

ることが出来ょう 蘇|堤春晩の蘇院は西海lの西辺を南

北に亘る長堤で,詩人東坂の築いたもので,その名が

ある これに六ケの橋が架けられている.続上の楊~II

若芽をふき出す春暁の風致は蓋し画中のものであろう.

玉橋田く

孤山落日栓疏鐙, 画紡参君杉11岸風

:総夢初自里人末起 金鶴飛上五雲東

私は不孝にして此の光景を味うことが出来なかった

が,幸いにも「平湖秋月」の観を親しくすることを得

た これは孤山の麓三面湖水をめぐらし,全湖の勝を

集め特に仲秋観月に最も好い処 「秋気清爽の候7K痕悉く収り,給月中天すれば千頃一碧快として俗界を忘

る」と誰かが詠じた様に,本当に俗塵を離れて古の詩

人の胸に抱かれた感があった.

三j半印月はiNI中のー島にー洞を肥り多くの蓮花を植

えている処である 其の島の前に三箇の石城:がある

これは蘇東;吸が湖水の浅くなるのを憂い,舟を島に近

づけぬ目標として造ったものであるが,月光が此の石

塔を!V;~すと,三つの影が湖面に落ちるというのでこの

名を得ている

17日夜は,呉光氏が蘇隠々上髄ーの料亭名も大和菜

飯!苫に揚氏と二人を招じ饗応してくれた.おりしも湖

面にl決る秋の月を心ゆくばかりに眺め,当地独得の蟹

料理を初め山海の珍味酒は天下の名酒紹興酒で誠に

旅の疲れを忘れるに充分であった.中国料理ではー皿

が運ばれる毎に主人公が 「諸々」と唱え,綴る杯の乾

盃を求める.数多い料理が運ばれる毎に乾盃叉乾盃と

歓待されるので,いつの間にか陶然としてイイ酔心地

になった 飯応を出てから湖畔の月を貧しながら,其

の昔,江南の三美妓の一人といわれた猪銭の蘇小小の

基を訪うた 基は蘇隠西冷橋の辺にある.その支柱に

「挑花流水杏然去,金粉六朝香車何処」の詩が刻まれ

ている.叉白楽天は

蘇州楊杉11任君誇 更有塘銭l協館娃

若解多1脊等小小緑楊深処之蘇家

程ある,古来,酋湖十景或は十八景などと唱え,最も と詠った

絶勝と称えられるものなお-[・指に余ると言われている . (次号につづく)

目黒寄生虫館ニュース-4-

図古σ〉病皮象

が,こんな古図は私には珍ら しく思った次第で、す.

うろおぼえですが,たしか芥川竜之介の短篇だった

かにもこの病人を扱ったのがあったようです目昔徳川

家康が大御所として駿府で尚采自己をふるっていた頃,

今の静岡の北方に美しい山容の竜爪山がありますが,

その麓のある農家の主人が,この病にかかって難渋し

ているとい う話を家康が漏れきいて,大に好奇心を起

して是非見たいと思ひ,登城を命じたのですが, そう

いう病人ですから如何に大御所様の御命でもお受け致

しかねますと返答して行かなかったのですが,家康は

どうしても見た くてたまらず,一策を按じて御鷹狩に

ことよせて遂に目的を達したという話です そのあと

家康はそれをひきづって歩けるだけ歩いて見よと命じ,

その飼って歩いただけの問地を与えたというのです.

どこまで本当の話か,作り話かわかり ませんが,静岡

は楓l援な地方でもありますから近頃はどうか存じませ

んが,患者はあったらしいです.私が静岡高等学校在

任中(大正12年一昭和 6年)生物学教室で忠実に働い

てくれたMとL、う 小使が,わずかでしたがこれにかか

っていたようでした 九州南部や沖縄には多いとの事

ですし,東南ア ジア等南方には多いので しょう .E. Brumptの Precisde Parasitologieにも コンゴー

の黒人の見事な図がのせであります.

ア係。久誌、t・7

十1>会主lil>Jiてがl

君主主士 、'rt降、てLt: ;i}; う建¥1'

-u

",

-if,骨 z

.{t血骨4ぎ去にn-'t九急車婦の客間

列二依i理学博士

何年か前に風俗画報とかし、 う雑誌が月刊で出ていて

近頃の週刊誌のよう に書庖のj苫先に並べられていたこ

とがあり ました.近頃見かけませんが,所調L、かがは

しいものでしたから発売禁止になったのか, 或は出版

元がつぶれたのかも知れませんが, 大分前でしたが,

とある庖先でペラベラ頁を くって見て居る中に,糸状

虫による陰磁象皮病の古図が 3つ出て居ましたので買

って来ましたが,医動物の講義の時に学生に見せるつ

もりを写しとって置きました. 1つは有名な戯作者十

返舎一九の東海道膝栗毛の戸塚のくだりに記されてあ

るもので図があったかどうか今手許に膝栗毛があり ま

せんのでわかり兼ねます, 戸塚の大ふぐりとして,こ

の病気にかかった人が働くことが出来ないので遂に乞

食におちぶれ道端に坐し,件の物を大風呂敷に包んで

前に置き, その上に仏前なんかにある鉦を置きたた

いて銭を乞うて居る図です.本文の中にあるのが, 7JIJ

の図であるかさだかではないのです.2は常陸の大玉

と題して狂半堂随筆とやらにあるら しい図で,極度に

大きくなったものを前に置いて所在なさにしゃがんで

いるものです その顔の表現など巧みに描かれていま

す.3つ自のものは有名な葛飾北斎 (1760-1849)の

描いたもので,甚だしく大きくなった病人が何かの用

で外出する l専の有様をtllï~ 、てあります件の物を大風

呂敷に包み,結び目に長い棒を通し,相稼を頼んでか

ついで、歩いているところです.まだ他にもあるかも知

れませんが,とにかく江戸時代の作品で珍ら しく面白

いものです或は図の現物もどこかに保存されている

のかも知れません.多く の読者の方は御存知のものか

と思ひます.

私がかようなものの実物を見たのは,た しか大正時

代に上野かどこかで大正博覧会というのがあり ,そこ

で東京帝国大学の解剖学教室とかの出品で大きなかめ

の中に入れられたものを見たように記憶して居ます

老来記憶もうすれて居りますからとんでもない間違を

しているかも知れませんが,近年発行された寄生虫学

の本には青森県の例が見事な写真で載せられてあり,

アメリカの臨床寄生虫学の本にもこの写真が出て居り

ます.下1I主や乳房などのものは古い本にもでて居ます 住血糸状虫による皐丸象皮病の古図戸塚の大ふぐり

目黒寄生虫館ニュース -5-

小伊ゃ汚の久否

定半ATMヰふ干

4き血赤坂曳1二n寺九表在者の吉岡

ム千尋.:tt~

住血糸状虫による宰丸象皮病の古図

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住血糸状虫による著書丸象皮病の古図

-6- 目黒寄生虫館ニュース

文献および標本の寄贈5.31 NHK学校放送部山根宏氏ほか2名,標本撮影

打合せのため来館

(昭和42年 5月開より) 6. 2 調布市晃華学園小学校生徒82名見学のため来館昭和42年 8月15日まで

6. 4 日本獣医畜産大学々生一行見学

5.19 「熱帯医学JVol. 9, No. 1ほか 1篇 長崎 6. 5 春日井事務局長,東京都博物館協議会創立総会

大学風土病研究所 へ出席

5.21 「横川吸虫と高橋吸虫についてJほか 1篇一一 6. 8 東京共済病院外科医長小林博士引率の看護婦研

島根県出雲郡今市町高橋昌造博士 修生16名見学

5.21 農林省家畜衛生試験場年報 (昭和40年)一一農 6. 9 春日井事務局長,東京人文博物館協議会総会に

林省家畜衛生試験場 出席

5.23 日本医科大学雑誌第34巻第 l号一一日本医科大 6.10 アカデミア賞受賞式出席のため亀谷館長夫妻京

寸".,.,一予 都へ出発

5.23 東京医科歯科大学図書目録第4号一一東京医科 6.13 目黒学園幼稚園 240名の焼虫検査開始

歯科大学附属図書館 6.14 東京都食肉衛生検査所技師鈴木輝康氏来館

6. 2 放牧牛の寄生性胃腸炎 農林省家畜衛生試験 6.18 第57回抄読会午後 2時より開催

場渡辺昇蔵氏 6.21 亀谷館長つくし幼稚園に「寄生虫の話」講演に

6.26 「甘日市保健所管内における寄生虫淫浸率につ 出向

いて」ほか 1篇一一広島,松田鎮雄博士 6.22 第58回生物講座午後 7時当館にて開催

6.27 「江の島水族館資料jほか8篇←一 江の島水族 6.24 家畜衛生コース海外班研修生8名,指導官野口

館研究室 一郎先生引率, Mr. MULLERほか 7名.見学

6.27 「農山村における鯛虫の予防 ・撲滅対策jほか のため来館

3篇一一一千葉大学医学部内回昭夫博士 6.25 福井玉夫博土来館

6.28 中国医学 1966年, 1~3号一一中華人民共和国 6.26 亀谷館長,野々部理事アメリカ大使館へ英文出

中国科学院図書館 版の件で出向

7. 5 Ligulidae (Larva)標本 3点一一北海道大学 6.27 公衆衛生院研修生見学のため来館

獣医学部 ・折原美代治氏 6.30 春日井事務局長外務省へ出向

7.26 中国医学 1967年, 1 ~3号 中華人民共和国, 7. 5 第59回生物講座午後 7時より協和銀行目黒支応

中国科学院図書館 講堂において開催

7.27 「目立の条虫J(大復殖門条虫)標本 l点 鳥 7. 8 市原研究員東海区水産研究所へ出向

取大学医学部 ・初!箆了博土 7.11 日本水産星加睦吉氏来館,資料を寄贈する

8.12 A technique for the recovery of strongyloid 7.13 春日井事務局長丸善輸出部へ出向

infective larvae from small units of Pas- 7.19 春日井事務局長日本出版貿易輸出課へ出向

ture.ほか 7篇--TheLibrarian, McMaster 7.22 日進畜産工業岡添匡男氏鑑定依頼のため来館

Laboratory, Australia. 7.23 第58回抄読会午後 l時より当館にて開催

7.27 琉球衛生研究所上原正之技師見学のため来館

実豆 7.28 大洋研究所高塚氏来館

5.16 日本水産中島一吉氏来館 8. 3 日刊食料新聞社安達清治氏アニザキスについて

5.21 目黒寄生虫館第56回抄読会午後 2時開催 館長と面談

5.22 市原研究員資料収集のため我孫子へ出張 8. 4 鳥取大学岩田正俊博土来館

5.24 目黒ユネスコ協会共催 「生物講座」第57回例会 8. 7 アノレゼンチン派遣研修生 Mr.MULLER実習の

午後 7時,協和銀行目黒支!苫会議室において開 ため本日 より来館

催 8.12 亀谷館長ほか職員一同五浦海岸へ慰安旅行

5.25 岐阜大学農学部葛野先生他学生27名見学のため

来館

目黒寄生虫館ニュース -7-

第 57回生物講座

5月24EI,午後 7I時より目黒寄,生虫館において開催.

H百和42年度は遺伝に関する講義を 6聞にわけて受講す

ること『乙なっTこ.

講師森脇大五郎博士(東京都立大学教授)

演題放射線の動物に及ぼす遺伝的影響

第 58回生物講座

6月22日午後 7時より目黒寄生虫館において開催

講師 大羽滋博士(東京都立大学助教授)

演題集団遺伝学

第 59回生物講座

7月5日午後 7時より協和銀行目 黒支応会議室にお

いて開催.

講師 小野記彦博士(東京都立大学教授)

演題分子遺伝学

共催 目黒ユネスコ協会

生物学同好会

後援 目黒区教育委員会

|研究業績服|

29

亀谷了 ・小林緑・鈴木俊邦 (1958):南極|認にて捕

獲された Tygoscelisadeliae の寄生虫について, 第

四回日本寄生虫学会東日本支部大会記事,25

KAMEGAI, S., M. KOBAYASHI & T. SUZUKJ. On

the parasite of Tygosce!is adeliae (HAMBRON' et

]ACQI、OT)obtained in the Antarctic zone.

南極圏(南続ー72度,西径162度)において 1958年2

月1日捕獲された Tygoscelisadeliae (アデリーベ

ンギン)18羽を解剖した折,その中の 3羽から同種類

と忠われる小形の条虫を36条発見した 即ち第 l号よ

りは黒色に着色した15条,第 2号よりは 3条,第 3号

よりは18条を得た 中には幼若のものもあり検索が困

難なものも多かったが,第 3号より得たものの中で比

較的良好な虫体を固定して検索中である .今日までに

判明したところを報告する.

このベソギンは捕鯨船によって捕獲され船1:1"で10日

間生き ていて死んだもので,胃中には海藻と!M(肉らし

い肉片を蔵していたもので,感染は南極闘で行われた

ことは間違いない

体制lは1筒の頭節と42箇の片節とよりなり,頭節に

は4箇の耳状の吸葉があり,副吸盤は認められない,

頭部の先端の幅は 0.14mm,下端の幅は 0.34,高さ

は0.31の梯形をなしている 鈎は認められない 吸紫

の下縁はまくれ上っている 頭部は短かく,続L、て未

熟片節が21箇ある.先端の片節fiO.26xO.04であり次

第に大きく なって0.38x 0目 16に及んでいる 次に15筒

の成熟片節があり,その大きさは0.38x O. 22のものか

ら0.50x O. 30に及ぶ,中間の最大のものは0.64x O. 36

となっている 次に 7舗の老熱片節があり末端のもの

は三角形を呈 している

内部構造については目下検索中であるが,成熟片節

においては生殖孔は片節の一側に閲孔し似IJ縁の中央よ

りやや前方にある 準丸は 2~洋に分れ 9~10 箇認めら

れる 各々の大き さは 0.06xO.1-0.04 x 0.09であ り

前後の両縁に接して約半数づつがー列に並んでいる

子宮は卵を蔵 して中央より初まり生殖孔と反対似IJに横

たわり準丸の間にある その他の器官については次に

報告したいと思うが, 今日までの所見では Tetrabo

thriidaeに属する ものであろうとおもう

-8一 目黒寄生虫館ニュース

目次 (第 97号) 9月, 1967

匡~I フク ロムシ お cculinasp 1

I ~ *,f f,:lfì' Iの解 2

エ ッセイ ・寄生虫学遍路 (32)[遺稿〕

理学博士 ・医学博士 吉 田貞雄 一一 ...… ・・3

象皮病の古図

理学博士福 井 玉夫 4

文献および標本の常Jt首・短信 ・抄読会 6

一7

(季刊) 目黒寄生虫館ニュ ース (第97号)

発行者 財団法人 目黒寄生虫館

館長 ・医博亀谷 了

編集者 野 々 部 春 登

印刷所 三協美術印刷株式会社

発行所 財団法人 目黒寄生虫館東京都目黒区下 目黒 4-1-1電 話 (712)4 4 3 2

1部 ¥ 50 送料 ¥ 10