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●国際協力活動について、海外派遣前に抱いていた印象や考え Why Japan?なぜ日本が国際協力をするのか? 増税が続いている日本が遠く離れた他国へODAという形でなぜ国際協力をするのだろう? 首相が海外へ行き、そ の都度ODA提供、国際協力を約束する報道を見る度に疑問に思っていました。 国際協力レポーターに選出して頂いた後に知りましたが、外務省やJICAのホームページには、国際協力の必要性につい てわかりやすい解説記事があります。ジャーナリストの池上彰さんがアフリカを訪問した経験を元にした解説記事もありま す。それでも、インターネットの検索欄に「国際協力」と入力することはこれまでありませんでした。一言でいえば「他人 事」でした。「誰かが途上国で頑張ってくれている」。そう思うきっかけとなったのは、仕事帰りの駅で見た1枚のポスター のキャッチコピーでした。 「日本人の知らない、日本人の頑張りを、伝えてください。」 国際協力レポータの募集でした。実際に自分の目で国際協力の現場を見て来れば、自分が持つ疑問を解消出来るのではな いかと瞬間的に思い、応募要件を確認しました。 ●国際協力活動についての帰国後の考え 国際協力は日本のファンを世界に作ること(why)~日本人だけでは、世界で生きていけない~ エネルギー・製造業・金融を筆頭として、日本人だけで生産・消費 する自給自足スタイルでは、今日の世界で生きていけません。イン ターネットを起点とした国境を跨いだグローバルな社会は、価値観の 画一化など良くない面も指摘されておりますが、益々加速しています。 その中で、国際協力費用は17年間で半減 1 、削減の一途を辿っていま す。これは、世界における日本の存在感低下を招きます。「今まで尽 力してくれた日本人が、来年からは来なくなる」。というようなこと が世界の各地で起きているのです。 存在感を高めていく一つの方法、それは海外へ進出する日本人を増 やすことです。そのためにも、国際協力の費用は減らすよりも増やす 方向で考えるべきだと思います。そして、日本人の頑張りをアピール することで、日本の製品・サービス、さらには日本人を愛してくれる ファンを増やすこと。その結果、他国ではなく日本の製品・サービス を購入する消費者となり、日本企業の収益向上につながるでしょう。 Win-Winの関係(How)~現地ニーズを知り尽くしたJICAボランティアがカギ~ 高速道路・鉄道を、自国の労働者を連れてきて作り、その後のインフラ利用収益を受託するというビジネスモデルは数字 で見た場合、秀逸でしょう。ただし、現地ではインフラ建築に伴う雇用は生まれず、ノウハウも身に付かず、インフラが必 要になる度に他国へ依存することになります。植民地に代表されるようにWin-Loseの関係が続いた場合の結末は悲惨であ ることは歴史が証明しています。そのため、国際協力においては、援助する国・援助される国の双方にとってメリットがあ ること、常にWin-Winであることが前提条件と考えています。 1 一般会計ODA当初予算の推移(政府全体)http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/yosan.html Why Japan なぜ 日本 国際協力 をするのか 三谷 剛(東京都 会社員) エチオピアにいる日本のファン:日本の生産管理「カ イゼン」が根付いた工場で働くエチオピアの方たち 26 安倍

Why Japan なぜ日本 国際協力をするのか - JICA · 2019. 6. 17. · 知り、価値観を学び、「何が好きで何が嫌いなのか?」を想像するこ とです。これを解決する一つのカギは青年海外協力隊、シニア海外ボ

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Text of Why Japan なぜ日本 国際協力をするのか - JICA · 2019. 6. 17. ·...

  • ●国際協力活動について、海外派遣前に抱いていた印象や考えWhy Japan?なぜ日本が国際協力をするのか?

    増税が続いている日本が遠く離れた他国へODAという形でなぜ国際協力をするのだろう? 首相が海外へ行き、その都度ODA提供、国際協力を約束する報道を見る度に疑問に思っていました。

    国際協力レポーターに選出して頂いた後に知りましたが、外務省やJICAのホームページには、国際協力の必要性についてわかりやすい解説記事があります。ジャーナリストの池上彰さんがアフリカを訪問した経験を元にした解説記事もあります。それでも、インターネットの検索欄に「国際協力」と入力することはこれまでありませんでした。一言でいえば「他人事」でした。「誰かが途上国で頑張ってくれている」。そう思うきっかけとなったのは、仕事帰りの駅で見た1枚のポスターのキャッチコピーでした。「日本人の知らない、日本人の頑張りを、伝えてください。」国際協力レポータの募集でした。実際に自分の目で国際協力の現場を見て来れば、自分が持つ疑問を解消出来るのではな

    いかと瞬間的に思い、応募要件を確認しました。

    ●国際協力活動についての帰国後の考え国際協力は日本のファンを世界に作ること(why)~日本人だけでは、世界で生きていけない~

    エネルギー・製造業・金融を筆頭として、日本人だけで生産・消費する自給自足スタイルでは、今日の世界で生きていけません。インターネットを起点とした国境を跨いだグローバルな社会は、価値観の画一化など良くない面も指摘されておりますが、益々加速しています。その中で、国際協力費用は17年間で半減1、削減の一途を辿っています。これは、世界における日本の存在感低下を招きます。「今まで尽力してくれた日本人が、来年からは来なくなる」。というようなことが世界の各地で起きているのです。

    存在感を高めていく一つの方法、それは海外へ進出する日本人を増やすことです。そのためにも、国際協力の費用は減らすよりも増やす方向で考えるべきだと思います。そして、日本人の頑張りをアピールすることで、日本の製品・サービス、さらには日本人を愛してくれるファンを増やすこと。その結果、他国ではなく日本の製品・サービスを購入する消費者となり、日本企業の収益向上につながるでしょう。

    Win-Winの関係(How)~現地ニーズを知り尽くしたJICAボランティアがカギ~高速道路・鉄道を、自国の労働者を連れてきて作り、その後のインフラ利用収益を受託するというビジネスモデルは数字

    で見た場合、秀逸でしょう。ただし、現地ではインフラ建築に伴う雇用は生まれず、ノウハウも身に付かず、インフラが必要になる度に他国へ依存することになります。植民地に代表されるようにWin-Loseの関係が続いた場合の結末は悲惨であることは歴史が証明しています。そのため、国際協力においては、援助する国・援助される国の双方にとってメリットがあること、常にWin-Winであることが前提条件と考えています。

    1 一般会計ODA当初予算の推移(政府全体)http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/yosan.html

    Why Japan?なぜ日本が国際協力をするのか?

    三谷 剛(東京都 会社員)

    エチオピアにいる日本のファン:日本の生産管理「カイゼン」が根付いた工場で働くエチオピアの方たち

    エチオピア

    東ティモール

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    安倍

  • Win-Winのためにはまずニーズを知ること。難しいことは、相手国にとって何がメリットなのか?を考えることです。相手国の歴史を知り、価値観を学び、「何が好きで何が嫌いなのか?」を想像することです。これを解決する一つのカギは青年海外協力隊、シニア海外ボランティアです。彼らは現地での生活に溶け込み、現地の価値観を日々身に付けています。現場のニーズを吸い上げ、それを日本企業の海外進出のきっかけへと昇華させていくことが大切だと感じました。

    ●日本の皆さんに伝えたいメッセージエチオピア人の日本への想い~「日本に学べ」(エチオピア、ハイレマリアム首相)~

    エチオピアと日本は遠く離れていますが、似ている点があります。それは天然資源がないために、人的資源を活かすことが成長の道であることです。メレス前首相は「戦争から驚異的な復興をした日本に学べ。」と述べていたようです。日本のカイゼンを「エチオピアの哲学」

    (ハイレマリアム現首相の発言)として取り入れていることは最たる一例です。エチオピアの日本に対する「好奇心」と、カイゼンに代表される「日本の経験」が組み合わされることで、エチオピアは戦後復興した日本と同じような成長を見せるのではないか?と、エチオピア民族ダンスを披露するレストランで感じました。IDカードの漢字を見て興味を示す子供たち、彼らとは英語と少しの現地語で交流しました。名字の考え方、漢字が中国から来たことなどを教えると、子供たちは新しいことを学ぶ喜びで目を輝かせていました。子供は国の将来です。このようなエチオピアの子供たちが日本に興味を持ち、「日本の経験」を学び成長する未来を想像するとワクワクしました。

    エチオピアで活躍している日本人の志日本企業の進出が進んでいない現在、エチオピアで活動している日本人は皆、自らの意思でエチオピアへ来ています。

    JICA職員の皆様、青年海外協力隊、シニア海外ボランティア。みな立場は違えど、話す言葉や顔つき、そして強い眼差しからエチオピアへの深い理解に基づいた上での個々の志が感じられました。日本という国、日本人を知らないエチオピア人

    が大半の中、信頼関係を築いていく上で、自分自身の心から出る言葉、それを生み出す源となる志は、日本にいる以上に必要なものなのでしょう。

    国際協力について興味・関心をもつ人は、まだまだ日本国内では少数派だと考えております。一人でも多くの方が興味を持ち具体的な行動に結び付けば嬉しいです。そして、このレポートが行動を起こすきっかけになれば幸いです。折しも今年のJICAボランティアのコピーは「僕たちにできることは必ずある!」です。世界のどこかで同じ志を持った方とお会い出来ることを楽しみにしています。

    JICAボランティア! 現地ニーズを知り尽くしたJICAボランティアがカギ:マルカサ高校にて北島隊員

    エチオピアの未来! エチオピア民族ダンスを披露するレストランの場で交流

    現地で活躍する日本人の方たち:皆さん充実感に溢れ笑顔が素敵だったことが印象的でした

    エチオピア

    東ティモール

    国際協力レポーター 2014

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