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――――――――――――――――――――――――――――――A.A.S Geo Risk Consulting ――――――――――――――――――――――――――――――ASIA AIR SURVEY Co.,Ltd. URL http://www.ajiko.co.jp - 37 - (5) 平成 25 年に発生したヘリ墜落事故における環境調査結果 平成 25 年 8 月 5 日にキャンプ・ハンセン内において発生した米軍 HH-60 ヘリ墜落事故に おける環境調査結果を入手し、内容確認を行った。本資料より確認できた事項を以下に示 す。なお、入手した環境調査結果資料を参考資料8に示した。 ①墜落事故現場 平成 25 年 8 月 5 日に発生したヘリ墜落事故現場は調査対象地が位置する東シナ海 側斜面と反対斜面であり、宜野座村大川ダム近傍の山林内であることが確認できた (図3.3.4(4)参照)。 図3.3.4(4) ヘリ墜落事故現場位置図 ②土壌調査結果 平成 25 年 8 月 19 日に沖縄県により実施された墜落現場周辺およびバックグラウン ドを対象とした土壌調査結果を表3.3.4(6)に示す。また、平成 26 年 3 月 17 日に沖 縄県および米軍により実施されたヘリ墜落焼け跡およびヘリ墜落焼け跡周辺を対象と した土壌調査結果を表3.3.4(7)に示す。 平成 25 年 8 月 19 日の土壌調査結果によると、バックグラウンドで砒素が「土壌汚染 対策法」に定める土壌溶出量基準に不適合であったが、墜落事故現場周辺の 2 箇所 はすべての調査対象項目が土壌溶出量基準に適合していたことが確認できた。 平成 26 年 3 月 17 日に実施された環境調査結果資料によると、墜落現場では事故後 に米軍による土壌除去が実施されたようであるが、沖縄県による土壌調査結果では土 壌除去実施後であるヘリ墜落焼け跡(5 地点混合,サンプル A)において鉛が土壌溶出 約1000m ヘリ墜落地点 :調査対象地 :計画対象地 約700m

A.A.S Geo Risk Consulting (5)平成25年に発生したヘリ ......(5)平成25年に発生したヘリ墜落事故における環境調査結果 平成25年8月5日にキャンプ・ハンセン内において発生した米軍HH-60ヘリ墜落事故に

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(5) 平成 25 年に発生したヘリ墜落事故における環境調査結果

平成 25 年 8 月 5 日にキャンプ・ハンセン内において発生した米軍 HH-60 ヘリ墜落事故に

おける環境調査結果を入手し、内容確認を行った。本資料より確認できた事項を以下に示

す。なお、入手した環境調査結果資料を参考資料8に示した。

①墜落事故現場

平成 25年 8月 5日に発生したヘリ墜落事故現場は調査対象地が位置する東シナ海

側斜面と反対斜面であり、宜野座村大川ダム近傍の山林内であることが確認できた

(図3.3.4(4)参照)。

図3.3.4(4) ヘリ墜落事故現場位置図

②土壌調査結果

平成 25 年 8 月 19 日に沖縄県により実施された墜落現場周辺およびバックグラウン

ドを対象とした土壌調査結果を表3.3.4(6)に示す。また、平成 26 年 3 月 17 日に沖

縄県および米軍により実施されたヘリ墜落焼け跡およびヘリ墜落焼け跡周辺を対象と

した土壌調査結果を表3.3.4(7)に示す。

平成 25 年 8 月 19 日の土壌調査結果によると、バックグラウンドで砒素が「土壌汚染

対策法」に定める土壌溶出量基準に不適合であったが、墜落事故現場周辺の 2 箇所

はすべての調査対象項目が土壌溶出量基準に適合していたことが確認できた。

平成26年 3月 17日に実施された環境調査結果資料によると、墜落現場では事故後

に米軍による土壌除去が実施されたようであるが、沖縄県による土壌調査結果では土

壌除去実施後であるヘリ墜落焼け跡(5 地点混合,サンプル A)において鉛が土壌溶出

約1000m

ヘリ墜落地点

:調査対象地

:計画対象地

約700m

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量基準に不適合であったことが確認できた。

表3.3.4(6) 沖縄県による土壌調査結果(平成 25 年)

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表3.3.4(7) 沖縄県および米軍による土壌調査結果(平成 26 年)

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3.4 現地踏査およびヒアリング調査に関する調査結果

計画対象地を踏査し、建物等の痕跡や不自然な盛土等について観察するとともに、関係者に

ヒアリング(聴き取り)調査を行い、計画対象地における土壌汚染発生等の可能性を調査した。

3.4.1 現地踏査結果

計画対象地の現地踏査ルートを図3.4.1、現地踏査時の記録写真を写真3.4.1(1)~

(12)に示す。また、現地踏査により確認できた事項を以下に示す。

図3.4.1 現地踏査ルート図

【計画対象地へと続く河川沿い①】

河川水に異臭や油膜など水質汚濁の端緒は見受けられなかった。

土壌の変色や草木の枯れなど土壌汚染の端緒は見受けられなかった。

廃棄物の投棄や廃棄物の埋設を疑う不自然な盛土は見受けられなかった。

地物として取水用の堰(駐車位置の手前)や砂防施設の存在が確認できた。

駐車位置までの未舗装道路は乗用車が通過できる程度であった。なお、駐車位置から

先は車両の進入は不可である。

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取水用の堰(駐車位置手前) 砂防施設

写真3.4.1(1) 計画対象地へと続く河川沿い①

【計画対象地内の河川沿い①】

河川水に異臭や油膜など水質汚濁の端緒は見受けられなかった。

土壌の変色や草木の枯れなど土壌汚染の端緒は見受けられなかった。

廃棄物の投棄や廃棄物の埋設を疑う不自然な盛土は見受けられなかった。

取水用の堰へと続く送水管(塩ビパイプ)が敷設されていた(漏水箇所あり)。

歩道はなく、常時の人の立ち入りがあった痕跡は認められない。

踏査ルート 踏査ルート

取水地へと続く送水管 送水管の漏水箇所

写真3.4.1(2) 計画対象地内の河川沿い①

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【尾根へと続く谷沿い①】

谷を流れる沢水に異臭や油膜など水質汚濁の端緒は見受けられなかった。

土壌の変色や草木の枯れなど土壌汚染の端緒は見受けられなかった。

廃棄物の投棄や廃棄物の埋設を疑う不自然な盛土は見受けられなかった。

地物の存在は確認されなかった。

通り道はなく、人の立ち入りがあった痕跡は認められない。

谷沿いの沢 踏査ルートに露出している岩

写真3.4.1(3) 尾根へと続く谷沿い①

【H26 測量ルート①】

土壌の変色や草木の枯れなど土壌汚染の端緒は見受けられなかった。

廃棄物の投棄や廃棄物の埋設を疑う不自然な盛土は見受けられなかった。

境界杭や測量杭などが確認でき、平成 26 年測量時の通り道が残っていた。

測量ルート上の測量杭 測量ルート上の境界杭と通り道

写真3.4.1(4) H26 測量ルート①

【尾根沿い①】

土壌の変色や草木の枯れなど土壌汚染の端緒は見受けられなかった。

廃棄物の投棄や廃棄物の埋設を疑う不自然な盛土は見受けられなかった。

地物の存在は確認されなかった。

人の通り道があった痕跡があるが、現在は歩行が困難なほど荒れている。

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尾根沿いの通り道 尾根沿いの荒れた通り道

写真3.4.1(5) 尾根沿い①

【尾根へと続く谷沿い②】

谷沿いの沢水に異臭や油膜など水質汚濁の端緒は見受けられなかった。

土壌の変色や草木の枯れなど土壌汚染の端緒は見受けられなかった。

空き缶が 1 つ確認されたが、廃棄物の投棄や廃棄物の埋設を疑う不自然な盛土は見

受けられなかった。

取水用の堰や取水地へと続く送水管(塩ビパイプ)の存在が確認できた。

堰から上流側に通り道はなく、人の立ち入りがあった痕跡は認められない。

尾根へと続く谷沿い 取水用の堰

確認された空き缶 取水用の堰へと続く送水管

写真3.4.1(6) 尾根へと続く谷沿い②

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【計画対象地へと続く河川沿い②】

河川水に異臭や油膜など水質汚濁の端緒は見受けられなかった。

土壌の変色や草木の枯れなど土壌汚染の端緒は見受けられなかった。

廃棄物の投棄や廃棄物の埋設を疑う不自然な盛土は見受けられなかった。

取水用の堰や砂防施設といった地物の存在が確認できた。

駐車位置までの未舗装道路は乗用車が通過できる程度であった。なお、駐車位置から

先は車両の進入は不可である。

取水用の堰 砂防施設

写真3.4.1(7) 計画対象地へと続く河川沿い②

【計画対象地内の河川沿い②】

河川水に異臭や油膜など水質汚濁の端緒は見受けられなかった。

土壌の変色や草木の枯れなど土壌汚染の端緒は見受けられなかった。

廃棄物の投棄や廃棄物の埋設を疑う不自然な盛土は見受けられなかった。

地物の存在は確認されなかった。

通り道はなく、人の立ち入りがあった痕跡は認められない。

踏査ルート状況 踏査ルート状況

写真3.4.1(8) 計画対象地内の河川沿い②

【H26 測量進入ルート①】

土壌の変色や草木の枯れなど土壌汚染の端緒は見受けられなかった。

廃棄物の投棄や廃棄物の埋設を疑う不自然な盛土は見受けられなかった。

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地物の存在は確認されなかった。

平成 26 年測量時の通り道が残っており、樹木に目印の赤テープが確認できる。

H26 測量進入ルート入口 H26 測量進入ルート

写真3.4.1(9) H26 測量進入ルート①

【H26 測量ルート②】

谷を流れる沢水に異臭や油膜など水質汚濁の端緒は見受けられなかった。

土壌の変色や草木の枯れなど土壌汚染の端緒は見受けられなかった。

廃棄物の投棄や廃棄物の埋設を疑う不自然な盛土は見受けられなかった。

境界杭や測量杭などが確認でき、平成 26 年測量時の通り道が残っていた。

踏査ルート上の境界杭 踏査ルートから名護市街方向

谷沿いの沢 踏査ルート状況

写真3.4.1(10) H26 測量ルート②

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【尾根沿い②】

土壌の変色や草木の枯れなど土壌汚染の端緒は見受けられなかった。

廃棄物の投棄や廃棄物の埋設を疑う不自然な盛土は見受けられなかった。

地物の存在は確認されなかった。

人の通り道があった痕跡があるが、現在は歩行が困難なほど荒れている。

踏査ルート状況 踏査ルートから金武町方面

写真3.4.1(11) 尾根沿い②

【過去の地形図で確認できた地物付近】

建物や基礎、搬入路など何らかの地物が存在したことを示す痕跡は確認されなかった。

土壌の変色や草木の枯れなど土壌汚染の端緒は見受けられなかった。

廃棄物の投棄や廃棄物の埋設を疑う不自然な盛土は見受けられなかった。

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地物付近状況 地物付近状況

地物付近状況 地物付近状況

写真3.4.1(12) 過去の地形図で確認できた地物付近

3.4.2 関係者へのヒアリング調査結果

幸喜地区の方々を対象としたヒアリング調査を行った。ヒアリング調査により確認できた事項

を以下に示す。なお、ヒアリング調査時のヒアリングシートを参考資料9に示した。

(1) 計画対象地および周辺における土地の使用等履歴に関する事項

【沖縄戦以前の土地利用状況】

戦前に工場の立地はなかった。工場のことは聞いたことがない。

炭焼き小屋があったかもしれない。個人のものと思う。(位置関係は不明)

【過去の地形図の地物について】

幸喜の山から木をとり名護湾の方へ運んでいたが小屋等は見たことはない。

個人が所有する炭焼き小屋はあったかもしれない。(位置関係は不明)

我謝山(ヒアリング情報位置図の1)に詳しい人がいるが、今日は来ていない。

【沖縄戦終戦直後の土地利用状況】

調査対象地が米軍の占領地として利用されていた情報はない。

高速の料金所のあたりにテントが張られ、米軍の司令部ができた。(ヒアリング情報

位置図の2)

【沖縄戦終戦後~現在までの土地利用状況】

戦前~現在に至るまで釣り竿を作成して売るために「チンブク竹」という竹を植えて

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いた。(位置関係は不明)

戦中は油を絞るために日本軍の委託により楠を植えていた。(位置関係は不明)

対象地のふもとにはたくさん畑があるが、対象地には畑はなかった。

戦前は竹(釣竿用)、楠(木材、ナフタレン材料:日本軍の委託)を対象地の近くまで

植えていた。竹の栽培は 50 年位まで行っていた。(位置関係は不明)

明治時代は現在の貯水池のダムのあたりに家があった。(ヒアリング情報位置図の

3)

【調査対象地周辺の土地利用状況】

工場はなかった。

工場等があったかどうかは分からない。聞いたことがない。

(2) 計画対象地における戦災状況に関する事項

【空爆・艦砲射撃による被災状況】

艦砲射撃はあったが逃げるに必至でどの付近に落ちたのかは分からない。

山の上空を飛んでいる飛行機は確認したが、空爆状況は見ていない。

幸喜集落内に艦砲射撃があったことは知っている。

山の中の様子は分からない。

主に名護湾に碇泊していた艦船が被害にあっていた。

【地上戦による被災状況】

米軍は機関銃や小銃で侵攻してきた。米軍のみで日本兵はいなかった。

避難中にダムの付近で家族単位の集団で射殺された。

米軍の戦車が農道の奥(山の入り口)まで侵入した。(ヒアリング情報位置図の4)

日米の銃撃戦は山中ではなかった。

名喜山、名護岳(ヒアリング情報位置図の5)あたりに避難していた。塹壕の中で機

銃射撃され亡くなった人がいる。

戦時中に喜瀬区と幸喜区の堺のグェングェンマタ(ヒアリング情報位置図の6-1)

から見下ろして、中山(ヒアリング情報位置図の6-2)あたりにガスのようなものが

見えた。

幸喜の人はダムのある川沿いに避難していた。(ヒアリング情報位置図の7)

避難先の幸地袋(ヒアリング情報位置図の8)の山中で幸喜区の青年と日本兵が銃

を掴みながら喧嘩となったことがあった。

(3) キャンプ・ハンセンによる事故等履歴に関する情報

【誤射等による砲弾等の飛来】

情報は聞いたことがない。幸喜区では聞いたことがない。

【航空機等の墜落事故および森林火災】

戦時中に山火事はなかった。

終戦あたり、宜野座との境あたりで山火事があった。自然発火か黄リン弾ではない

かと思う。(位置関係は不明)

終戦後、山火事はあったが、自然火災か米軍の不発弾が原因なのかは不明。(位

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置関係は不明)

ヘリなどが落ちたことはない。

(4) 廃棄物・水質汚濁に関する情報

【キャンプ・ハンセンに起因した環境問題(野焼きや油流出など)】

情報は聞いたことがない。

野焼きは見たことがない。

【廃棄物の投棄・埋設】

米軍は演習中の残飯を各所で捨てていた。

幸喜区のゴミは浜辺近くの飲食店の位置に集積し焼却していた。(ヒアリング情報位

置図の9)

戦後は高速の料金所あたりから名護湾方面に滑走路があり、演習時の残飯、竹を

燃やしたものなどが捨てられていたが、現在は土地改良され残っていない。

幸喜地区のチリ捨て場(共同ゴミ捨て場)は山ではなく、海側にあった。

【水質汚濁の発生状況】

高速道路建設の影響で泥水が出た。

水質汚濁はなかった。問題になったことを聞いたことはない。

ここ 5 年間は簡易水道に問題は生じていない。

以前は別の水源があったが、高速道路の工事で泥水、赤水が発生し、使用をやめ

た。現在その水源は農業用水になっている。(ヒアリング情報位置図の10)

現在の貯水池のダム工事中に作業員がディーゼル油をこぼしたことがあった。

図3.4.2 ヒアリング情報位置図

:調査対象地

:計画対象地

番号 回答番号 回答内容の概要

1 回答2 我謝山に詳しい人がいるが今日は来ていない。

2(高速料金所) 回答3 高速の料金所のあたりにテントが張られ、米軍の司令部ができた。

回答4 明治時代は現在の貯水池のダムのあたりに家があった。

回答12 現在の貯水池のダム工事中に作業員がディーゼル油をこぼしたことがあった。

4 回答7 米軍の戦車が農道の奥(山の入り口)まで侵入した。

5 回答7 名喜山、名護岳あたりに避難していた。

6-1

6-2

7(貯水池) 回答7 幸喜の人はダムのある川沿いに避難していた。

8 回答7 避難先の幸地袋の山中で幸喜区の青年と日本兵が銃を掴みながら喧嘩となったことがあった。

幸喜のチリ捨て場は山ではなく、海側にあった。

幸喜区のゴミは、浜辺近くの飲食店の位置に集積し焼却していた。

10 回答12 以前は別の水源があったが高速道路の工事で泥水、赤水が発生し、使用をやめた。

図中の番号位置に対応する回答の概要

回答7戦時中に喜瀬区と幸喜区の境のグェングェンマタ(番号6-1)から見下ろして、中山(番号6-2)あたりにガスのようなもの(黄色い煙・飛行機からの照明弾か?)がみえた。

9 回答11

注:図中の位置は、航空写真や地形図を用いた回答者や質問者の指差し確認の記録、地名(「山籠非難箇所位置図」(幸喜誌,p198)を参考にした)からの推定に

よって記載したものである。

3(貯水池)

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3.5 関係機関等への照会結果

調査対象地を管理・管轄等する関係機関等へ照会を行い、調査対象地における使用等履歴

に関する情報収集を行った。

3.5.1 米軍への照会結果

2004(H16)年および 2013(H25)年に実施された米軍への照会・回答文書を入手し、内容確認

を行った。照会・回答文書により確認できた事項を以下に示す。なお、米海兵隊への照会・回

答文書を参考資料10.1および10.2に示した。

(1) 調査対象地における土地の使用等に関する事項

【2004(H16)年回答】

返還予定地(=既返還地の約 55ha)において土地改良を行った記録はない。(回答

1)

返還予定地内に所在する若しくは所在した建物はない。(回答 2)

既設のユーティリティーはない。(回答 6)

【2013(H25)年回答】

返還予定地(=既返還地の約55ha)の土地が変更されているということを示す記録は

ない(建物や工事活動はない)。(回答 1)

返還予定地が海兵隊基地の一部であった間、建物や構造物が建設された又は存在

したことを示す記録はない。(回答 2)

返還予定地にユーティリティーはない。また、海兵隊基地の一部であった間、ユーティ

リティーが設置されたことを示す記録はない。(回答 7)

(2) 調査対象地における火器・弾薬に関する事項

【2004(H16)年回答】

返還予定地(=既返還地の約 55ha)において、火器及び弾薬を貯蔵した記録はない。

(回答 3)

【2013(H25)年回答】

返還予定地(=既返還地の約 55ha)が海兵隊基地の一部であった間、火器等(使用

不能及び他の武器弾薬を含む)が保管された又は廃棄されたことを示す記録はない。

(回答 3)

海兵隊太平洋基地が返還予定地で行った訓練はパトロールのみで、火器等の使用

はなかった。(回答 4)

(3) 調査対象地における有害物質または廃棄物の埋設等に関する事項

【2004(H16)年回答】

返還予定地(=既返還地の約 55ha)において、廃油やトランス等の有害物質を含む

おそれのある廃棄物を処理した記録はない。(回答 4)

返還予定地において、廃棄物を処理した記録はない。(回答 5)

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【2013(H25)年回答】

返還予定地(=既返還地の約 55ha)が海兵隊基地の一部であった間、毒性廃棄物

の一時保管又は廃棄があったことを示す記録はない。(回答 5)

返還予定地が海兵隊基地の一部であった間、埋められた廃棄物の記録はない。(回

答 6)

3.5.2 精通者への照会結果

2003(H15)年に実施された精通者(元基地従業員等)への照会・回答文書を入手し、内容確

認を行った。照会・回答文書により確認できた事項を以下に示す。なお、精通者への照会・回

答文書を参考資料10.3に示した。

【久志区行政委員長(元久志区長)】(当時)

米軍があの山に砲弾等を撃ち込んでいるのを見たことがないし、聞いたこともない。

樹木を伐採して工事したということは、見たことも聞いたこともない。あの山は昔から

何も変わっていない。

【具志川市軍用地等地主会長(元海兵隊不動産事務所従業員)】(当時)

あの所(返還区域)は、復帰前から不動産事務所長から返還できる場所はないか検

討するよう言われ、米軍が使用した形跡もなく、現に使用していないところとして返還

可能区域として上げた。

復帰前からインパクトエリアは金武町側にあり、米軍が射撃訓練をしたこともないし、

何らかの形で使用したこともない。

【辺野古区行政委員会顧問(元久志村議会議長)】(当時)

あの山に米軍が弾を撃ち込んだり、射撃訓練をしているのを見たこともないし、聞い

たこともない。

米軍が何かに使用したことはないと思う。あの山は昔と何も変わっていない。

3.5.3 名護市環境対策課への照会結果

土壌汚染の発生および廃棄物の不法投棄に関する情報について、名護市環境対策課へ照

会し、回答を得た。名護市環境対策課からの回答文書により確認できた事項を以下に示す。

なお、名護市環境対策課への照会・回答文書を参考資料10.4に示した。

(1) 土壌汚染があった、または懸念される場所について

幸喜区長から聞き入れを行った結果、該当する場所は今までのところない。

(2) 廃棄物があった、または懸念される場所について

平成 21 年度~平成 25 年度までの不法投棄確認現場は図3.5.3に示すとおりであ

る。

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出典:名護市環境対策課提供資料

図3.5.3 不法投棄確認現場位置図

3.5.4 沖縄防衛局管理部の保有資料確認結果

米軍施設内における山火事の発生履歴について、沖縄防衛局管理部が保有する資料を入

手し、内容確認を行なった。保有していた資料により確認できた事項を以下に示す。なお、沖

縄防衛局管理部の保有資料を参考資料11に示した。

【山火事に関する情報】

本資料で確認できた山火事の発生場所は、その多くが宜野座村や金武町に位置す

る着弾区域付近で発生している。

調査対象地の近傍を想起させる場所として「名護市と宜野座村の境界」の記載が 1

件あり、また、発生場所が特定できない「不明(または記載なし)」が 14件あった。なお、

幸喜地区の方々を対象としたヒアリング調査では、計画対象地において訓練等によ

る山火事の発生に関する情報は得られてない。

:調査対象地

:計画対象地

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3.6 周辺状況調査結果

調査対象地の近傍において、調査対象地に土壌汚染等の影響を及ぼす可能性のある工場等

の立地の有無について、資料等調査により得られた情報を整理した。

調査対象地の周辺状況について、関係する情報を整理すると、表3.6に示すとおりであり、調

査対象地の周辺において工場等の立地は確認されなかった。

表3.6 周辺状況整理結果

調査資料 周辺状況

土地利用現況図および

航空写真、地形図

調査対象地の北東側に近接して県道や沖縄自動車道(1975

年一部開通)が通っているが、周辺のほとんどは山林であり、

工場等の立地は確認されない。

水質汚濁防止法および下水道

法に基づく特定事業場台帳

調査対象地の周辺に水質汚濁防止法および下水道法に基づ

く特定事業場の立地は確認されない。

ヒアリング調査結果(幸喜地区) 計画対象地の周辺に工場等が立地していたという話は聞かな

い。

現地踏査 調査対象地の近傍に砂防ダムや取水用の堰といった地物が

確認されたが、工場等の立地は確認されない。

3.7 戦時中の交戦状況

文献や幸喜地区在住の方々を対象としたヒアリング調査により、調査対象地および周辺にお

ける沖縄戦時の交戦状況に関する情報を整理した。なお、確認した文献一覧を表3.7に示す。

また、文献により確認できた空襲・交戦状況の記載(抜粋)を以下に示す。

表3.7 参考文献一覧

文献名 発行者

5000 年の記憶 名護市長 岸本建男

写真集 名護-ひとびとの 100 年 名護市長 比嘉鉄也

幸喜部落の歩み 幸喜誌 名護市字幸喜

しらが杜の栄え 喜瀬の浦誌 名護市喜瀬区

手水の恵み 許田誌 名護市許田区

語りつぐ戦争 第 1 集 名護市教育委員会

語りつぐ戦争 第 2 集 名護市教育委員会

語りつぐ戦争 第 3 集 名護市教育委員会

『5000 年の記憶』および『写真集 名護-ひとびとの 100 年』

これら文献によると、沖縄戦時の大きな空襲は4回あったことが確認できたが、名護町(当時)

における被害の記載が確認できたのは第 4 回沖縄大空襲時のみであった。また、『5000 年の

記憶』によると、沖縄戦時の沖縄北部における日本軍の配備は図3.7に示すとおり、「八重

岳・真部岳、伊江島」、「多野岳」、「恩納岳」であり、調査対象地の近傍における日本軍の配備

に関する情報は確認されなかった。

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≪空襲に関する事項≫ 1944 年 10 月 10 日 : 第 1 回沖縄大空襲、名護湾に碇泊中の軍艦・漁船 7 隻撃沈。陸上に被害なし。

1945 年 1 月 22 日 : 第 2 回沖縄大空襲、名護町に被害なし。

1945 年 3 月 1 日 : 第 3 回沖縄大空襲。

1945 年 3 月 23,24 日 : 第 4 回沖縄大空襲、名護町内に初めて火災おこる。

≪日本軍の配備に関する事項≫ 八重岳・真部山、伊江島 : 宇土部隊 2 個大隊 2400 名

多野岳 : 第一護郷隊(第三遊撃隊)約 600 名

恩納岳 : 第二護郷隊(第四遊撃隊)約 500 名

≪米軍侵攻に関する事項≫ 1945 年 4 月 1 日 : 沖縄本島西海岸中部に上陸

1945 年 4 月 6 日 : 米軍、名護に侵攻。

1945 年 4 月 7 日 : 米軍、名護湾岸の 3 地点から上陸を始める。

1945 年 4 月 8 日 : 米軍、名護・羽地線を封鎖、占領。

1945 年 6 月 23 日 : 日本軍の組織的戦闘終結。

図3.7 沖縄北部における日本軍の配備

※『5000 年の記憶』P102~107、『写真集 名護-ひとびとの 100 年』P297~298 を参考

『幸喜部落の歩み(幸喜誌)』

本文献によると、『5000 年の記憶』および『写真集 名護-ひとびとの 100 年』で確認できた記

載と矛盾があるものの、第 3 回沖縄大空襲で部落の 3 分 2 が炎上全壊すると記載があった。

また、幸喜地域の公有林では敗走した日本兵の掃討戦が行われたと記載が確認できた。

≪空襲に関する事項≫ 第 3 回沖縄大空襲で部落の 3 分の 2 が炎上全壊する。

第 4 回沖縄大空襲、本格的沖縄作戦始まる。全部落民が山に避難するも戦死者なし。

※『幸喜部落の歩み 幸喜誌』P196 を参考

≪掃討戦に関する事項≫ 日本軍は恩納岳で戦いに敗れ総退却し、北部に逃走したため、米軍は幸喜地域の公有林内も掃討戦が

始まり、その結果 6 月 20 日山籠り避難している住民から多数の犠牲者の悲劇がでた。

※『幸喜部落の歩み 幸喜誌』P197 を参考

八重岳・真部岳、伊江島:宇土部隊 2400 名

調査対象地から約 13 ㎞・25 ㎞

多野岳:第一護郷隊約 600 名

調査対象地から約 12 ㎞

恩納岳:第二護郷隊約 500 名

調査対象地から約 10 ㎞ :調査対象地

:計画対象地

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『語りつぐ戦争 第 2 集』および『語りつぐ戦争 第 3 集』

『語りつぐ戦争 第 2 集』によると、幸喜地区において空爆が行われたことを示す記載が確認

された。また、第 3 回沖縄大空襲では集落の一部と思われる前組・中組で火災が起こったこと

を示す記載が確認された。

≪空襲に関する事項(第 2 集より)≫ 幸喜ではジョウクチヤーが飛ばされて、爆弾で大きく穴あいていた。人の話によると、学校には暁部隊がい

たからそこに落とすつもりが、誤ってこっちに爆弾落ちたみたい。(M 女史 当時 12 歳)

※『語りつぐ戦争 第 2 集』P62 を参考

≪空襲・掃討戦に関する事項(第 3 集より)≫ 二回目の空襲のときは山のふもとの避難小屋に隠れたりした。三回目かの空襲があって、そのときは山の

奥のほうに隠れた。幸喜の前組、中組の方は全部焼けていた。掃討攻撃があったり、山に避難していたと

きにも幸喜の人は十人ぐらい撃たれて死んだ。(M 女史 当時 28 歳 幸喜)

※『語りつぐ戦争 第 3 集』P63 を参考

『しらが杜の栄え 喜瀬の浦誌』

本文献によると、米軍が上陸した際に日本軍は喜瀬から引揚げたとの記載が確認できた。

また、第 4 回沖縄大空襲の際に喜瀬の海で船舶が機銃掃射を受けたとの記載が確認できた。

≪米軍侵攻に関する事項≫ 喜瀬には建木舎という暁部隊の船舶班、20 名位が駐留していて、山から松材を切り出し、輸送船で中南

部へ送り出していた。(中略)アメリカ軍が上陸すると、日本兵は喜瀬から引揚げた。(O史 当時高等2年)

※『しらが杜の栄え 喜瀬の浦誌』P124 を参考

≪空襲に関する事項≫ 昭和 20 年 3 月 23 日、喜瀬の海で船が空襲を受けて、多くの犠牲者が出た。一本松の方から飛行機が飛

んで来て、機銃掃射されているのを山の中から見ていました。(H 女史)

※『しらが杜の栄え 喜瀬の浦誌』P112 を参考

なお、幸喜地区在住の方々を対象としたヒアリング調査においても、幸喜集落において艦砲射

撃あるいは空襲があったことを示す証言が得られたが、山間部に位置する調査対象地における

空爆や艦砲射撃については判明しなかった。また、米軍侵攻時には日本軍は配備されていなか

ったと証言が得られ、文献(『しらが杜の栄え 喜瀬の浦誌』)と整合が取れていることが確認でき

た。

なお、『幸喜部落の歩み(幸喜誌)』では幸喜地域の公有林内で米軍による掃討戦の記載が確

認できたが、幸喜地区在住の方々へのヒアリング調査では山間部において日米の銃撃戦はなか

ったと証言が得られた。このことを踏まえると、米軍の掃討戦については、行われた場合であって

も比較的小規模なものであったと推察される。

3.8 不発弾発見状況調査

沖縄不発弾等事前調査データベースシステムにより確認した調査対象地および周辺の不発弾

等発見状況を図3.8および表3.8に示す。なお、本システムによる不発弾等発見個票を参考資

料12に示した。

本システムによると、東シナ海沿岸部において不発弾等が発見されているが、調査対象地が

位置する山間部においては不発弾等が発見された履歴は確認されなかった。また、東シナ海沿

岸部において発見されている不発弾等は砲弾、銃弾、手榴弾などであり、50 ㎏爆弾や 250 ㎏爆

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弾など空襲に伴う不発弾等は発見されていない。

さらに、喜瀬カントリークラブ(2000(H13)年完成)の施工業者への照会によると、ゴルフ場造成

時に不発弾が発見されたことはないとのことであった。なお、喜瀬カントリークラブの施工業者へ

の照会・回答文書を参考資料13に示した。

図3.8 沖縄不発弾等事前調査データベースシステムによる不発弾発見状況

:不発弾(発見弾)

:不発弾(現場処理)

喜瀬カントリークラブ

:調査対象地

:計画対象地

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表3.8 沖縄不発弾等事前調査データベースシステムによる不発弾発見状況一覧

≪幸喜区 発見弾≫

≪幸喜区 現場処理≫

≪喜瀬区 発見弾≫

≪喜瀬区 現場処理≫

≪許田区 発見弾≫

≪宜野座村 発見弾≫

ID 年度 発見場所 受理年月日 弾種大分類 弾種 弾数 直径(cm) 長さ(cm) 弾重量(Kg) 弾火薬量(Kg)

6485 1993 名護市幸喜46 1994/2/16 手榴弾等 手榴弾 1 5 9 1 0.054

15083 1973 名護市字幸喜在 1974/3/14 砲弾 105mm砲弾 3 10 70 27 2.132

16022 1977 名護市幸喜 1977/10/25 その他 その他 1 0 0 0 0

16023 1977 名護市幸喜 1977/10/25 銃弾等 銃弾 1 0 0 0.04 0

16024 1977 名護市幸喜 1977/10/25 手榴弾等 手榴弾 1 0 0 1 0.054

19369 1981 名護市幸喜 1981/5/6 砲弾 105mm砲弾 1 10.5 50 27 2.132

19530 1981 名護市幸喜 1981/7/6 銃弾等 その他 1 2 8 0 0

20714 1982 名護市幸喜 1982/8/23 砲弾 6インチ艦砲弾 1 15 60 43 6.759

24922 2003 名護市幸喜1777 2004/2/4 銃弾等 銃弾 300 1 8 0.04 0

24923 2003 名護市幸喜1777 2004/2/4 手榴弾等 手榴弾 1 7 13 1 0.054

ID 年度 発見場所 処理期日 弾種 弾数 弾重量(Kg) 処理方法 国別

1298 2006 名護市幸喜沖、幸喜一本松(俗称)付近、岸から200~300m沖合い 2007/3/28 155mm砲弾  14 0 爆破処理 海

ID 年度 発見場所 受理年月日 弾種大分類 弾種 弾数 直径(cm) 長さ(cm) 弾重量(Kg) 弾火薬量(Kg)

87 1984 名護市許田314 1984/11/14 砲弾 6インチ艦砲弾 1 14 55 43 6.759

660 1985 名護市許田164 1985/11/14 銃弾等 銃弾 500 1 5 0.04 0

2719 1988 名護市許田255 1988/8/8 その他 その他 201 1 5 0 0

8884 1990 名護市許田 1990/7/23 その他 その他 121 2 10 0 0

21938 2000 名護市許田漁港 2000/9/23 砲弾 6インチ艦砲弾 2 15 40 43 6.759

24586 2003 名護市字許田405 2003/9/16 銃弾等 銃弾 1 2 14 0.04 0

ID 年度 発見場所 受理年月日 弾種大分類 弾種 弾数 直径(cm) 長さ(cm) 弾重量(Kg) 弾火薬量(Kg)

2430 1985 宜野座村松田2842 1986/2/17 手榴弾等 手榴弾 1 0 0 1 0.054

9506 1992 宜野座村 1992/5/6 手榴弾等 手榴弾 1 5 7 1 0.054

9619 1991 宜野座村惣慶 1992/1/29 手榴弾等 手榴弾 1 5 7 1 0.054

10277 1994 宜野座村 1994/5/19 銃弾等 銃弾 99 1 6 0.04 0

12675 1998 宜野座村松田5735 1998/12/4 銃弾等 銃弾 57 1 8 0.04 0

13823 1986 宜野座村宜野座在 1987/1/8 銃弾等 銃弾 500 0 0 0.04 0

ID 年度 発見場所 受理年月日 弾種大分類 弾種 弾数 直径(cm) 長さ(cm) 弾重量(Kg) 弾火薬量(Kg)

833 1985 名護市喜瀬1732 1985/7/5 迫撃砲弾 107mm迫撃砲弾 1 10 20 18 3.629

2640 1988 名護市喜瀬222 1988/10/31 銃弾等 銃弾 533 0 0 0.04 0

2641 1988 名護市喜瀬1744-1 1988/10/31 砲弾 その他 1 0 0 0 0

4486 1991 名護市喜瀬1732 1991/6/26 砲弾 47mm砲弾 1 5 25 4 0.091

5067 1992 名護市喜瀬1732 1992/6/24 砲弾 75mm砲弾 1 7 25 15 0.862

5188 1992 名護市喜瀬1732 1992/4/18 砲弾 90mm砲弾 1 9 90 28 0.907

7730 1983 名護市喜瀬在 1984/3/23 砲弾 57mm砲弾 1 6 34 5.5 0.227

8751 1990 名護市沖縄海中公園ビーチ 1990/10/2 手榴弾等 手榴弾 1 11 13 1 0.054

11133 1996 名護市喜瀬1879-1 1996/6/28 砲弾 105mm砲弾 60 10 40 27 2.132

11137 1996 名護市喜瀬1879-1 1996/7/3 砲弾 105mm砲弾 90 10 78 27 2.132

12190 1997 名護市喜瀬199 1998/3/20 砲弾 6インチ艦砲弾 1 15 60 43 6.759

16702 1978 名護市喜瀬1976 1978/7/10 砲弾 6インチ艦砲弾 8 15 70 43 6.759

16703 1978 名護市喜瀬 1978/7/10 砲弾 その他 1 0 35 0 0

17110 1978 名護市喜瀬 1978/12/13 手榴弾等 手榴弾 1 0 0 1 0.054

17666 1979 名護市字喜瀬 1979/7/25 迫撃砲弾 60mm迫撃砲弾 1 5 20 2.5 0.136

18479 1980 名護市字喜瀬 1980/5/23 迫撃砲弾 60mm迫撃砲弾 2 5 12 2.5 0.136

21290 1999 名護市武瀬名地先 1999/10/13 砲弾 6インチ艦砲弾 1 15 60 43 6.759

21291 1999 名護市武瀬名地先 1999/10/13 銃弾等 銃弾 98 1 15 0.04 0

21758 2000 名護市ブセナ 2000/6/7 手榴弾等 手榴弾 1 5 10 1 0.054

21796 2000 名護市ブセナ サミット会場裏 2000/6/28 砲弾 57mm砲弾 1 6 40 5.5 0.227

21804 2000 名護市喜瀬ブセナホテル駐車場裏 2000/7/1 砲弾 5インチ艦砲弾 1 12 30 35 3.447

25032 2003 名護市字喜瀬1774番地 2004/3/11 銃弾等 銃弾 100 1 6 0.04 0

25033 2003 名護市字喜瀬1774番地 2004/3/11 砲弾 37mm砲弾 1 4 26 2 0.045

25476 2004 名護市字喜瀬1808番地 2004/11/4 砲弾 75mm砲弾 1 7 26 15 0.862

25480 2004 名護市字喜瀬85番地 2004/11/5 手榴弾等 手榴弾 1 0 9 1 0.054

25917 2005 名護市喜瀬在 喜瀬ビーチ付近海岸 2005/4/4 銃弾等 銃弾 1 2 14 0.04 0

25948 2005 名護市字喜瀬1808番地 2005/4/19 銃弾等 銃弾 1 8 40 0.04 0

27135 2006 名護市字喜瀬1808番地 ザ・テラスホテルズ株式会社東南約100メートル地点 2006/9/22 砲弾 75mm砲弾 1 8 50 15 0.862

27136 2006 名護市字喜瀬1808番地 ザ・テラスホテルズ株式会社東南約100メートル地点 2006/9/22 銃弾等 銃弾 1 6 32 0.04 0

27816 2007 名護市字喜瀬1808番地 2007/7/9 砲弾 6インチ艦砲弾 1 15 50 0 0

27984 2007 名護市民ビーチ海中 2007/10/15 銃弾等 銃弾 1 1.2 8.5 0 0

28051 2007 名護市字喜瀬1808番地 ザ・ブセナテラス東方約70メートルの海岸 2007/11/14 砲弾 5インチ艦砲弾 1 13 64 0 0

28052 2007 名護市字喜瀬1808番地 ザ・ブセナテラス東方約70メートルの海岸 2007/11/14 砲弾 75mm砲弾 1 7 25 0 0

28081 2007 名護市字喜瀬1808番地 ザ・ブセナテラス西方約80メートル地点墓地 2007/11/30 銃弾等 銃弾 1 1.2 8.5 0 0

28082 2007 名護市字喜瀬1808番地 ザ・ブセナテラス西方約80メートル地点墓地 2007/11/30 銃弾等 銃弾 4 0.8 3.5 0 0

28083 2007 名護市字喜瀬1808番地 ザ・ブセナテラス西方約80メートル地点墓地 2007/11/30 その他 その他 2 1.3 3.1 0 0

28454 2008 名護市字喜瀬在 ブセナホテル近く海岸 2008/4/7 砲弾 155mm砲弾 1 15 60 43 6.759

28563 2008 名護市字喜瀬1744番地 ブセナリゾート事務所東方約200メートル地点海岸 2008/6/3 その他 その他 1 15 47 0 0

28564 2008 名護市字喜瀬1744番地 ブセナリゾート事務所東方約200メートル地点 2008/6/3 その他 その他 1 10 20 0 0

28573 2008 名護市字喜瀬1808番地 ザ・ブセナテラス敷地内 2008/6/9 砲弾 155mm砲弾 1 15 60 43 6.759

ID 年度 発見場所 処理期日 弾種 弾数 弾重量(Kg) 処理方法 国別

1382 2008 名護市部瀬名海岸沖 2008/11/20 米国製3インチ艦砲弾 2 0 その他 米国

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3.9 その他調査

資料等調査に関連して入手した調査対象地における各種調査結果を整理した。

3.9.1 文化財に関する調査結果

「名護市の文化財」(2014年 3月,名護市教育委員会)に掲載されている名護市の指定文化

財一覧および文化財位置図(所在地のある文化財)を図3.9.1に示す。

調査対象地においては、所在地のある国指定・登録、県指定、市指定の文化財は存在して

いないことが確認できたが、動物については地域を定めずに指定されているものがあることか

ら、調査対象地においても生息(ただし、海洋動物は除く)している可能性がある。

3.9.2 植生に関する調査結果

「名護市の自然」(2003 年 3 月,名護市教育委員会)の別添図「名護市植生図」を図3.9.2

(1)、沖縄県森林管理課より入手した森林位置図・森林情報一覧を図3.9.2(2)に示す。

これら資料によると、調査対象地の森林は普通林であり、植生は「イタジイ山地林」や「リュウ

キュウマツ二次林」などであることが確認できた。

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出典:「名護市の文化財」

図3.9.1 名護市の指定文化財一覧および位置図

:調査対象地

:計画対象地

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出典:「名護市の自然」

図3.9.2(1) 名護市植生図

:調査対象地

:計画対象地

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図3.9.2(2) 森林位置図および森林情報一覧

:調査対象地

:計画対象地

拡大図

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4.資料等調査結果のまとめ

資料等調査で得られた情報を整理するとともに、調査対象地における土壌汚染、水質汚濁、不

発弾等および廃棄物が存在する蓋然性について評価を行った。

4.1 返還に関する実施計画に定める対象物質

返還に関する実施計画で定める土壌の汚染および水質の汚濁に関する項目を以下に示す。

【土壌の汚染に関する項目】

・「土壌汚染対策法」第 2 条第 1 項に規定する特定有害物質

・「ダイオキシン類対策特別措置法」第 2 条第 1 項に規定するダイオキシン類

・「鉱油類」

【水質の汚濁に関する項目】

・「水質汚濁防止法」第 2 条第 2 項第 1 号に規定する有害物質

・「ダイオキシン類対策特別措置法」第 2 条第 1 項に規定するダイオキシン類

・「鉱油類」

返還に関する実施計画に定める土壌の汚染および水質の汚濁に係る調査対象物質を表4.1

(1)に示す。また、土壌汚染対策法に定める特定有害物質に関する基準を表4.1(2)、ダイオキ

シン類に係る環境基準を表4.1(3)、水質汚濁および地下水の水質汚濁に係る環境基準を表4.

1(4)に示す。なお、鉱油類にあっては土壌の汚染および水質の汚濁に係る法令等による基準

値は定められていない。

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表4.1(1) 返還に関する実施計画で定める土壌の汚染および水質の汚濁

に係る調査対象物質と関係法令

物質名

「土壌汚染対策法」第 2

条第 1 項に規定する特

定有害物質

「水質汚濁防止法」第 2

条第2項第1号に規定す

る物質

「ダイオキシン類対策特別措

置法」第 2 条第 1 項に規

定する物質

四塩化炭素 ○ ○ ―

1,2-ジクロロエタン ○ ○ ―

1,1-ジクロロエチレン ○ ○ ―

シス-1,2-ジクロロエチレン ○ ― ―

1,3-ジクロロプロペン ○ ○ ―

ジクロロメタン ○ ○ ―

テトラクロロエチレン ○ ○ ―

1,1,1-トリクロロエタン ○ ○ ―

1,1,2-トリクロロエタン ○ ○ ―

トリクロロエチレン ○ ○ ―

ベンゼン ○ ○ ―

カドミウム及びその化合物 ○ ○ ―

六価クロム化合物 ○ ○ ―

シアン化合物 ○ ○ ―

水銀及びアルキル水銀、

その他の水銀化合物 ○ ○ ―

セレン及びその化合物 ○ ○ ―

鉛及びその化合物 ○ ○ ―

砒素及びその化合物 ○ ○ ―

ふっ素及びその化合物 ○ ○ ―

ほう素及びその化合物 ○ ○ ―

シマジン ○ ○ ―

チオベンカルブ ○ ○ ―

チウラム ○ ○ ―

ポリ塩化ビフェニル(PCB) ○ ○ ―

有機りん化合物 ○ ○ ―

アンモニア、アンモニウム化合

物、亜硝酸性化合物及び

硝酸化合物

― ○ ―

塩化ビニルモノマー ― ○ ―

1,4-ジオキサン ― ○ ―

1,2-ジクロロエチレン ― ○ ―

ダイオキシン類 ― ― ○

鉱油類 ― ― ―

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表4.1(2) 土壌汚染対策法に定める特定有害物質に関する基準値

物質名 土壌溶出量基準

(mg/L)

土壌含有量基準

(mg/㎏)

地下水基準

(mg/L)

四塩化炭素 0.002 以下 ― 0.002 以下

1,2-ジクロロエタン 0.004 以下 ― 0.004 以下

1,1-ジクロロエチレン 0.1 以下 0.1 以下

シス-1,2-ジクロロエチレン 0.04 以下 ― 0.04 以下

1,3-ジクロロプロペン 0.002 以下 ― 0.002 以下

ジクロロメタン 0.02 以下 ― 0.02 以下

テトラクロロエチレン 0.01 以下 ― 0.01 以下

1,1,1-トリクロロエタン 1 以下 ― 1 以下

1,1,2-トリクロロエタン 0.006 以下 ― 0.006 以下

トリクロロエチレン 0.03 以下 ― 0.03 以下

ベンゼン 0.01 以下 ― 0.01 以下

カドミウム及びその化合物 0.01 以下 150 以下 0.01 以下

六価クロム化合物 0.05 以下 250 以下 0.05 以下

シアン化合物 検出されないこと 50 以下(遊離シアンとして) 検出されないこと

水銀及びアルキル水銀、

その他の水銀化合物

水銀が 0.0005 以下、か

つ、アルキル水銀が検出さ

れないこと

15 以下

水銀が 0.0005 以下、か

つ、アルキル水銀が検出さ

れないこと

セレン及びその化合物 0.01 以下 150 以下 0.01 以下

鉛及びその化合物 0.01 以下 150 以下 0.01 以下

砒素及びその化合物 0.01 以下 150 以下 0.01 以下

ふっ素及びその化合物 0.8 以下 4000 以下 0.8 以下

ほう素及びその化合物 1 以下 4000 以下 1 以下

シマジン 0.003 以下 ― 0.003 以下

チオベンカルブ 0.02 以下 ― 0.02 以下

チウラム 0.006 以下 ― 0.006 以下

ポリ塩化ビフェニル(PCB) 検出されないこと ― 検出されないこと

有機りん化合物 検出されないこと ― 検出されないこと

表4.1(3) ダイオキシン類に係る環境基準

媒体 環境基準

大気 0.6pg-TEQ/m3以下

水質(水底の底質を除く) 1pg-TEQ/L 以下

水底の底質 150pg-TEQ/g 以下

土壌 1000pg-TEQ/g 以下

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表4.1(4) 水質汚濁および地下水の水質汚濁に係る環境基準

物質名 水質汚濁に係る環境基準(健康項目)

(mg/L)

地下水の水質汚濁に係る環境基準

(mg/L)

四塩化炭素 0.002 以下 0.002 以下

1,2-ジクロロエタン 0.004 以下 0.004 以下

1,1-ジクロロエチレン 0.1 以下 0.1 以下

シス-1,2-ジクロロエチレン 0.04 以下 ―

1,3-ジクロロプロペン 0.002 以下 0.002 以下

ジクロロメタン 0.02 以下 0.02 以下

テトラクロロエチレン 0.01 以下 0.01 以下

1,1,1-トリクロロエタン 1 以下 1 以下

1,1,2-トリクロロエタン 0.006 以下 0.006 以下

トリクロロエチレン 0.01 以下 0.01 以下

ベンゼン 0.01 以下 0.01 以下

カドミウム及びその化合物 0.003 以下 0.003 以下

六価クロム化合物 0.05 以下 0.05 以下

シアン化合物 検出されないこと 検出されないこと

水銀及びアルキル水銀、

その他の水銀化合物

水銀が 0.0005 以下、かつ、アルキル水

銀が検出されないこと

水銀が0.0005以下、かつ、アルキル水

銀が検出されないこと

セレン及びその化合物 0.01 以下 0.01 以下

鉛及びその化合物 0.01 以下 0.01 以下

砒素及びその化合物 0.01 以下 0.01 以下

ふっ素及びその化合物 0.8 以下 0.8 以下

ほう素及びその化合物 1 以下 1 以下

シマジン 0.003 以下 0.003 以下

チオベンカルブ 0.02 以下 0.02 以下

チウラム 0.006 以下 0.006 以下

ポリ塩化ビフェニル(PCB) 検出されないこと 検出されないこと

有機りん化合物 ― ―

硝酸性窒素及び亜硝酸

性窒素 10 以下 10 以下

塩化ビニルモノマー ― 0.002 以下

1,4-ジオキサン 0.05 以下 0.05 以下

1,2-ジクロロエチレン ― 0.04 以下

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4.2 蓋然性の評価

資料等調査により得られた情報から、調査対象地における土壌汚染、水質汚濁、不発弾等お

よび廃棄物が存在する蓋然性について評価を行った。

4.2.1 土壌汚染に関する蓋然性の評価

資料等調査により得られた情報を以下に整理した。

① 過去の航空写真や地形図、また、土地登記簿や土地利用区分図によると、調査対象地

は沖縄戦以前から現在に至るまで山林であり、土壌汚染を生じさせる施設の立地履歴

は確認されなかった。

② 幸喜地区在住の方々へのヒアリング調査によると、沖縄戦後に調査対象地が米軍の駐

留地として利用されたことはないとの情報が得られた。

③ 米軍への照会結果によると、接収(昭和 32 年~昭和 34 年)後の調査対象地において

土地の形質変更を行った履歴や建物および構造物、ユーティリティーが存在したことを

示す記録はないとのことであった。

④ 精通者(元基地従業員等)への照会結果によると、調査対象地において工事が行われ

たことや米軍が利用していたとの情報は得られなかった。

⑤ 名護市環境対策課からの回答によると、調査対象地において土壌汚染が懸念される場

所はないとのことであった(幸喜区長からの聞き取り)。

⑥ 1923(T12)年および 1962(S37)年発行の地形図によると、幸喜地区の一画に総描建物

(小)の記載が確認できたが、幸喜地区在住の方々へのヒアリング調査によると、調査対

象地内に小屋などが存在したという確たる情報は得られず、現地踏査ではこの付近に

建物、基礎、搬入路など何らかの地物が存在した痕跡は確認されなかった。

⑦ 既往の水質等調査結果(ダイオキシン類常時監視結果)によると、調査対象地および周

辺においてダイオキシン類による土壌汚染が発生しているという情報は確認されなかっ

た。

⑧ 既往の水質等調査結果(平成25年に発生したヘリ墜落事故における環境調査結果)か

ら、ヘリの墜落事故跡地で鉛の土壌溶出量基準不適合が確認されたが、幸喜地区在

住の方々へのヒアリング調査によると、調査対象地において航空機等の墜落事故はな

いとの情報が得られた。

⑨ 現地踏査の結果、調査対象地において土壌の変色や草木の枯れなど土壌汚染の端緒

は確認されなかった。

⑩ 周辺状況調査の結果、調査対象地の周辺において調査対象地に土壌汚染等の影響を

及ぼす工場等の立地は確認されなかった。

以上より、調査対象地において特定有害物質、ダイオキシン類、鉱油類を使用等・埋設等・

貯蔵等(以下「使用等」と略記)していたという情報は確認されなかったことから、調査対象地に

おいて特定有害物質、ダイオキシン類、鉱油類に関する土壌汚染が存在する蓋然性は低いと

判断される。

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4.2.2 水質汚濁に関する蓋然性の評価

資料等調査により得られた情報を以下に整理した。

① 4.2.1の①~④に示したとおり、調査対象地は沖縄戦以前から現在に至るまで山林

であり、水質汚濁を生じさせる施設の立地履歴は確認されなかった。

② 幸喜地区在住の方々へのヒアリング調査によると、これまでに有害物質に関する水質

(沢水・湧水・地下水)の異常が生じたことはないとのことであった。なお、本ヒアリング調

査では貯水池のダム工事中に作業員がディーゼル油をこぼしたことがあったとの情報

が得られたが、当該ダムは調査対象地から見て下流側に位置していることから、調査

対象地に影響が及んでいることはないと判断される。

③ 既往の水質等調査結果(地下水質測定結果、ダイオキシン類測定結果、在日米軍施

設・区域環境調査結果、簡易水道水質分析結果)によると、調査対象地および周辺お

いて有害物質やダイオキシン類による水質汚濁が発生していることを示す測定結果は

確認されなかった。

④ 現地踏査の結果、調査対象地を流れる河川や沢水および調査対象地の下流側に位置

する取水池の貯留水に異臭や油膜など水質汚濁の端緒は見受けられなかった。

⑤ 周辺状況調査の結果、調査対象地の周辺において調査対象地に水質汚濁の影響を及

ぼす工場等の立地は確認されなかった。

以上より、調査対象地において有害物質、ダイオキシン類、油類を公共用水域等に排出等

していたという情報は確認されなかったことから、調査対象地において有害物質、ダイオキシン

類、鉱油類に関する水質汚濁が存在する蓋然性は低いと判断される。

4.2.3 不発弾等に関する蓋然性の評価

資料等調査により得られた情報を以下に整理した。

① 4.2.1の①に示したとおり、沖縄戦時の調査対象地は山林であり、軍事施設や集落等

が存在していなかったことから、米軍の上陸や侵攻に際して空爆や艦砲射撃等を受け

るような土地ではなかったと考えられる。

② 文献によると、沖縄戦時における日本軍の配備は調査対象地から 10 ㎞以上離れてお

り、幸喜地区在住の方々へのヒアリング調査および文献によると、米軍侵攻時に日本

軍はいなかったとの情報が得られた。

③ 米軍への照会結果によると、接収後の調査対象地において行われた訓練はパトロール

のみ(火器類の使用はない)であり、火器等の保管・廃棄が行われた記録はないとのこ

とであった。

④ 精通者(元基地従業員等)への照会結果によると、調査対象地付近において米軍が射

撃訓練を行ったことはないとの情報が得られた。

⑤ 山火事に関する資料(沖縄防衛局管理部より入手)や幸喜地区在住の方々へのヒアリ

ング調査によると、調査対象地において山火事が発生したことを示す事実は確認されな

かった。

⑥ 沖縄不発弾等事前調査データベースシステムによると、調査対象地および周辺におい

て不発弾等が発見された履歴はなく、喜瀬カントリークラブの施工業者への照会結果に

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よると、ゴルフ場施工時に不発弾が発見されたことはなかったとのことであった。

⑦ 幸喜地区在住の方々へのヒアリング調査によると、山間部において日米の銃撃戦はな

かったとのことであったが、文献によると、幸喜地区の山間部において敗走した日本兵

の掃討戦が行われたとの記載が確認できた。

以上より、沖縄戦時の調査対象地は山林であり、空爆や艦砲射撃が行われるような土地利

用状況ではなかったと考えられ、接収後も火器類を用いた訓練等が行われた事実もないこと

から、調査対象地において投下された爆弾や艦砲弾などが不発弾として存在する蓋然性は低

いと判断される。しかし、沖縄戦時の米軍による掃討戦に伴う銃弾や手榴弾などといった小口

径の不発弾については存在する可能性があると判断される。

4.2.4 廃棄物に関する蓋然性の評価

資料等調査により得られた情報を以下に整理した。

① 4.2.1の①~④に示したとおり、調査対象地は沖縄戦以前から現在に至るまで山林

であり、廃棄物を排出等する施設の立地履歴や廃棄物の埋設等を疑う土地の改変は

確認されなかった。

② 幸喜地区在住の方々へのヒアリング調査によると、戦中・戦後に人の立ち入りがあった

ようであるが、調査対象地において廃棄物を埋設等した事実は確認されなかった。

③ 米軍への照会結果によると、調査対象地において行われた訓練はパトロールのみであ

り、また、毒性廃棄物の一時保管または廃棄、埋められた廃棄物を示す記録はないと

のことであった。

④ 名護市環境対策課への照会結果によると、調査対象地および周辺において不法に廃

棄物が投棄された現場は存在していないとの情報が得られた。

⑤ 現地踏査の結果、調査対象地の地形は人が立ち入るには急峻で植生も密であることか

ら、廃棄物の埋設等を目的とした車両・重機等の進入は困難な状況であり、廃棄物の

埋設等を疑う不自然な盛土などは確認されなかった。

以上より、調査対象地において廃棄物を排出等していたという情報は確認されず、また、廃

棄物が埋設等された事実や廃棄物の埋設等を疑う土地の改変も確認されなかったことから、

調査対象地において埋設された廃棄物が存在する蓋然性は低いと判断される。しかし、戦中・

戦後に人(一般・米軍)の立ち入りがあったことから、非意図的な事象を含め、地表面にあって

は廃棄物が存在する可能性があるものと判断される。