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日本体育測定評価学会 第 16 回大会 プログラム・抄録集 日時:平成 29 年 3 月 5 日(日) 会場:ホルトホール大分 主催 日本体育測定評価学会 後援 大分県立看護科学大学 健康増進プロジェクト

プログラム・抄録集 >3. Power Point 2007以降により作成されたファイルをUSBメモリーに入れてお持ちください.ご発表 の30分前までに大会議室入口横で試写の確認をしてください(すべての発表).

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Page 1: プログラム・抄録集 >3. Power Point 2007以降により作成されたファイルをUSBメモリーに入れてお持ちください.ご発表 の30分前までに大会議室入口横で試写の確認をしてください(すべての発表).

 

日本体育測定評価学会  

第 16 回大会  

プログラム・抄録集    

日時:平成 29 年 3 月 5 日(日)  

会場:ホルトホール大分                                          

 

 

 

 

 

 

 

   

 

主催   日本体育測定評価学会  

後援   大分県立看護科学大学  健康増進プロジェクト  

   

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ホルトホール大分 案内図 ホルトホール大分

〒870-0839 大分県大分市金池南一丁目5番1号

会場 大会議室,302会議室,303会議室

交通アクセス(ホルトホール大分)

JR博多駅 日豊本線(約2時間) JR大分駅 上野の森口(南口)徒歩約2分

JR小倉駅 日豊本線(約1.5時間) 〃

大分空港 空港バス(約1時間) 大分駅停留所 徒歩約5分

天神バスセンター 高速バス(約2時間) トキハ前 徒歩約10分

会場(3 階):

大会議室:受付,クローク,

試写,ポスター発表,休

憩,役員控室

302 会議室:口頭発表

303 会議室:口頭発表,シ

ンポジウム,総会,理事

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日本体育測定評価学会 第16回大会 大会組織

大 会 長 稲垣 敦 (大分県立看護科学大学)

実行委員会

委員長 宮口 和義 (石川県立大学)

副委員長 中谷 敏昭 (天理大学)

委員 山次 俊介 (福井大学)

中田 征克 (防衛大学校)

坂井 智明 (名古屋学院大学)

【日本体育測定評価学会第 16 回大会事務局】

大分県立看護科学大学

稲垣 敦

〒870-1201 大分県大分市廻栖野 2944-9

TEL:097-586-4485 (ダイヤルイン) FAX:097-586-4396

E-mail: [email protected]

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ご 案 内

<参加者の方へ>

1. 学会発表会場はホルトホール大分です. 2. 参加費

会員 :3,000 円(当日申込みの場合 4,000 円) 学生 :1,000 円(事前・当日支払いにかかわらず) 非会員 :5,000 円

学会大会に参加することで,健康運動指導士・健康運動実践指導者の登録更新に必要な単位の取得ができます(2単位).

学会発表者 (筆頭・共同演者)については本人の申請に基づき,さらに2単位が付与されます.

3. 受付は 大会議室入口で 9 時 30 分から行います. 4. 会場ではネームカードを着用してください. 5. クローク,休憩室,役員控え室は大会議室です.

<一般口頭発表の方へ>

1. 一般演題の発表時間は 9 分,質疑 3 分です.座長の指示に従って指定された時間内でのご発表をお願

いいたします.発表開始 8 分後に予鈴 1 回,9 分後に本鈴 2 回,12 分後に終鈴 3 回を鳴らします. 2. 発表はPC 発表(Power Point)のみとなります.(スライドでの発表は受付けませんので,ご注意く

ださい).Power Point で作られる原稿のフォントサイズはなるべく大きめ(24 ポイント以上)をお使い

ください. 3. Power Point 2007 以降により作成されたファイルをUSB メモリーに入れてお持ちください.ご発表

の 30 分前までに大会議室入口横で試写の確認をしてください(すべての発表). 4. 発表時のPC 操作はご自身でお願いいたしますので,試写時にご確認ください.

<ポスター発表の方へ>

1. ポスター発表は自由討論形式で行います.発表者は午後 3 時 30 分~4 時 30 分の時間帯は各自のポス

ターの前で質疑に答えてください. 2. ポスター貼付用の展示ボードは,90(ヨコ)×120(タテ)cm です. 3. 展示ボードへの貼り付けは,画鋲,または両面テープを使用します. 4. ポスターの掲示は9時30分~10時に行ってください.撤去は16時30分~17時に行ってください.

17 時以降に撤去していない場合には事務局にて処分させていただきます. <座長の方へ>

1. 座長の方は各セッション開始 15 分前までに座長受付をお済ませください. 2. 口頭発表座長の方はセッション開始 10 分前までに次座長席にご着席ください. 3. 討論の方法は座長一任とします.時間厳守でお願い致します.

<健康運動指導士・健康運動実践指導者の皆様へ>

本学会のシンポジウムを受講することにより,健康運動指導士・健康運動実践指導者の登録更新単位とし

て2単位を取得することができます(認定番号:166744). 参加される方は,「登録番号」記載の「健康運動指導士証」または「健康運動実践指導者証」とネームカー

ドをお持ちの上,受講終了後に受付にて手続きをお願いいたします.

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日本体育測定評価学会 第16回大会日程

※受付と試写は 9 時 30 分から大会議室入口横で行います.

A会場

(302会議室)

B会場

(303会議室)

C会場

(大会議室)

9:30-

受付・試写

クローク

ポスター掲示

10:00-10:36 一般研究発表

口頭発表 セッション A1

一般研究発表

口頭発表 セッション B1

10:38-11:26 一般研究発表

口頭発表 セッション A2

一般研究発表

口頭発表 セッション B2

11:28-12:16 一般研究発表

口頭発表 セッション A3

一般研究発表

口頭発表 セッション B3

12:20-12:50 総会

12:50-14:00 昼休み

14:00-15:20 シンポジウム

15:30-16:30

一般研究発表

ポスター発表

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日本体育測定評価学会 第16回大会

プログラム

シンポジウム(14:00~15:20)

B 会場(303会議室)

テーマ:セレンディピティ -研究、教育、指導において-

座長:宮口 和義(石川県立大学)

S-1 医学研究と体育学研究の接点 -スポーツ医学におけるセレンディピティ-

村瀬 訓生(呉竹メディカルクリニック、東京医科大学健康増進スポーツ医学分野)

S-2 自分の経験の中から考える「セレンディピティ」

萩 裕美子(東海大学)

S-3 測定と評価の視点に基づく研究課題の決定とセレンディピティ

村瀬 智彦(愛知大学法学部・名古屋体育研究室)

一般研究発表 口頭発表

A会場(302会議室)

10:00~10:36 一般研究発表(口頭発表 セッション A1)

座長:松田 繁樹(滋賀大学)

O-A-1 気分・心拍変動・実行機能の日間変動と信頼性

高橋 信二(東北学院大学)

O-A-2 前方への足圧中心移動課題における前傾位の違いが足圧中心位置に及ぼす影響

尾山 裕介(新潟大学大学院、猫山宮尾病院メディカルフィットネスCUORE)

O-A-3 種々の運動強度による一過性の最大下運動が短期記憶及び実行機能に及ぼす影響

坪田 小菊(福井大学)

10:38~11:26 一般研究発表(口頭発表 セッション A2)

座長:佐藤 敏郎(新潟医療福祉大学)

O-A-4 大学生の骨密度に及ぼす健康、体力、運動習慣について

-高齢期における骨粗鬆症予防に関する研究-

金 興烈(南山大学)

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O-A-5 高等学校体育における主体的問題解決能力育成プロセスの検討

横尾 智治(筑波大学附属駒場中高等学校)

O-A-6 介護労働者のストレス要因の性、年代、および経験年数差

川野 裕姫子(大阪府立大学非常勤)

O-A-7 強度を自己選択した有酸素性運動中の生理学的および心理学的指標の変化

-若齢者と中高齢者との比較-

若田部 舜(法政大学)

11:28~12:16 一般研究発表(口頭発表 セッション A3)

座長:中野 貴博(名古屋学院大学)

O-A-8 下肢の筋持久力は認知機能と関連するか?

阿部 巧(筑波大学,日本学術振興会)

O-A-9 6か月のウォーキング事業に参加した女性高齢者の体力変化

山次 俊介(福井大学)

O-A-10 地域高齢者の1分間開眼片脚立位時における重心動揺量の性差と経時変化

平井 博志(大阪府立大学)

O-A-11 女性高齢者における刺激反応の遅延は認知機能低下と関係があるか?

野口 雄慶(福井工業大学)

B会場(303会議室)

10:00~10:36 一般研究発表(口頭発表 セッション B1)

座長:横谷 智久(福井工業大学)

O-B-1 「運動の楽しさを感じる瞬間」の学年による違い

中野 貴博(名古屋学院大学)

O-B-2 児童期の運動器機能不全が基本的動作に及ぼす影響

浦井 龍法(宮﨑整形外科、福井大学教育学研究科

O-B-3 年少から年長までの3年間にわたる親子体操教室参加親子の体力変化について

灘本 雅一(プール学院大学)

10:38~11:26 一般研究発表(口頭発表 セッション B2)

座長:青木 宏樹(福井工業高等専門学校)

O-B-4 バドミントンのスマッシュ速度及びラケットヘッドスピードと上肢の最大挙上重量及び筋パワーの関係

久保田 匠(福井大学)

O-B-5 現場に即した簡易測定法と女子大学生における膝伸展筋群の筋力・筋厚との関係

安田 智洋(聖隷クリストファー大学)

O-B-6 一般男子ソフトテニス選手におけるユニフォームの着こなしに関する研究

‐一般人が感じるユニフォームの良い着こなしとは‐

高橋 憲司(愛知学泉大学)

O-B-7 水を負荷とするトレーニング器具の筋活動特性

吉田 雄大(筑波大学スポーツR&Dコア)

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11:28~12:16 一般研究発表(口頭発表 セッション B3)

座長:高橋 憲司(愛知学泉大学)

O-B-8 スタティック(SS)およびダイナミックストレッチ(DS)が膝関節位置覚に及ぼす影響

菅原 慎弥(福井大学、福井総合クリニック)

O-B-9 装着型ロボットスーツの着用が重量物挙上時における主観的苦痛度に及ぼす影響

山田 孝禎(福井大学)

O-B-10 選択課題を複合した上肢の調整力テストの試作と選択反応時間との関係

宮本 健史(法政大学)

O-B-11 視空間認知機能評価のためのフライボール捕球テストの提案

—測定値の信頼性および経験種目差の検討—

藥師 葵(福井大学)

ポスター発表 C会場(大会議室)

15:30~16:30 一般研究発表(ポスター発表)

P-1 大学生ボート選手の柔軟性およびローイング時の各関節可動域とローイングパワーとの関係

二林 佳奈子(滋賀大学大学院)

P-2 ブラインドサッカー選手における静的・動的な聴覚空間認知能力

加藤 雄一郎(東亜大学スポーツ健康学科)

P-3 健康運動教室の地域展開

坂井 智明(名古屋学院大学)

P-4 動的なホッピング運動の介入が高齢者の立位姿勢保持能力に及ぼす影響

中谷 敏昭(天理大学)

P-5 最大握力が発揮力量の異なる局面の筋力発揮調整能に及ぼす影響及びその性差

-高齢者を対象として-

長澤 吉則(京都薬科大学)

P-6 高齢者の開眼片脚時の姿勢保持時間と重心動揺の性差

松浦 義昌(大阪府立大学)

P-7 女性高齢者におけるジャンケンのルールおよびステップ動作を用いた選択反応時間の検討

杉浦 宏季(福井工業大学)

P-8 高齢者を対象とする交通事故抑止を目的とした運動機能評価について

坂口 雄介(新潟大学教育学部)

P-9 運動経験が足圧荷重割合に与える影響 ~男子大学生を対象に~

吉田 律輝(滋賀大学大学院)

P-10 短期大学生における健康度と生活習慣の実態

菅家 沙由梨(目白大学)

P-11 女子大学生における身体組成の実態 -とくに正常体重肥満に着目して-

酒井 俊郎(中部大学)

P-12 若年女性における過去の運動経験と体力および骨強度との関連

萩 裕美子(東海大学)

P-13 中高齢女性における草履式鼻緒サンダル着用の効果

宮口 和義(石川県立大学)

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P-14 運動内容の違いによって評価する中高齢者の下肢機能へ与える効果

原 光希(新潟大学大学院)

P-15 BMIおよび体脂肪率で分類された中高齢男女におけるロコモ度・体力的特性

大澤 拓也(順天堂大学)

P-16 等速性体幹筋力測定におけるピークトルク値補正方法の検討

高橋 利典 (小谷田工業(株))

P-17 方向別連続ジャンプ動作テスト時の1回目のジャンプ動作(垂直跳び)の検討

~競技特性に着目して~

北林 保(東京理科大学)

P-18 座位立ち上がり反応時間テストにおける課題レベルの違いが重心動揺に及ぼす影響

四家 千里(新潟大学大学院)

P-19 踏み台昇降動作による動的バランス測定法の提案

佐々木 雅咲子(新潟大学大学院)

P-20 片脚立位時のバランス能力の性差

嶋山 進一(金沢美術工芸大学)

P-21 踵立ちおよび片脚つま先立ちテストの信頼性

内田 雄(仁愛女子短期大学)

P-22 慣性センサによる身体運動キネマティクスの時空間解析

小林 秀紹(札幌国際大学)

P-23 バーチャルリアリティを用いたサッカー審判員の認知パフォーマンステストの開発

— 集中力テストとの関係性の検証 —

山内 宏志(国際基督教大学)

P-24 レジスタンストレーニングおよびプライオメトリクストレーニングが高校サッカー選手の

様々な体力要素に及ぼす影響 ~指導者への筋力トレーニングに関する調査も踏まえて~

内田 裕希(滋賀大学大学院)

P-25 男性勤労者における簡易筋力トレーニング実践の体力変化

佐藤 敏郎(新潟医療福祉大学)

P-26 幼児期の裸足保育が前後足圧荷重割合に及ぼす影響 ~男児を対象に~

松田 繁樹(滋賀大学)

P-27 幼児のジャンケン選択反応時間の年齢差及び指示条件間差

横谷 智久(福井工業大学スポーツ健康科学部)

P-28 幼児におけるボール投速度の信頼性

青木 宏樹(福井工業高等専門学校)

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〈メモ〉

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シンポジウム

テーマ

セレンディピティ-研究、教育、指導において-

座長

石川県立大学 宮口 和義

シンポジスト

S-1 医学研究と体育学研究の接点

-スポーツ医学におけるセレンディピティ-

村瀬 訓生(呉竹メディカルクリニック、

東京医科大学健康増進スポーツ医学分野)

S-2 自分の経験の中から考える「セレンディピティ」

萩 裕美子(東海大学)

S-3 測定と評価の視点に基づく研究課題の決定とセレンディピ

ティ

村瀬 智彦(愛知大学法学部・名古屋体育研究室)

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S-1

医学研究と体育学研究の接点-スポーツ医学におけるセレンディピティ

村瀬 訓生 (呉竹メディカルクリニック、東京医科大学健康増進スポーツ医学分野)

自然科学の世界では、フレミングのペニシリンの発見やスペンサーによる電子レンジの発明など「偶然」が世

紀の大発見や大発明に結びついたものが多く知られている。多くの研究者も「偶然」には遭遇していると思われ

るが、殆どの場合、その重要性に気が付かなかったり、生かせなかったりしている。正に、自然科学者にはセレ

ンディピティは重要な能力であると考えられる。私自身、約 30 年間の研究生活において、多くの「偶然」に遭

遇していると思われるが、セレンディピティが不十分なためか、世紀の大発見に繋がったものはない。しかし、

それにより研究結果や研究テーマに大きく影響を受けたものと思われる。 私自身は大学を卒業するまで自らテーマを設定しての研究を行ったことはなく、大学院に入学してから研究に

携わるようになった。研究分野としては現在に至るまで「スポーツ医学」になるが、そもそもスポーツ医学の研

究に携わるようになったきっかけは、「偶然」に当時の上司である岩根久夫先生と出会ったことであり、その後

の人生を決める最大のセレンディピティであったのかも知れない。私が大学院に入学した当時の研究室のテーマ

は、スポーツ医学の中でもトライアスロンを対象としたものであった。トライアスロン競技によりヒトの身体は

どのような影響を受けるのかを生理学や生化学を中心とした様々な角度から研究を行っていた。私に最初に与え

られたテーマは、トライアスロンの前後での血液生化学検査の変化であり、すでに測定されたものを解析すると

いうものであった。大学院博士課程の研究テーマとなったのは、掌握運動中の筋エネルギー代謝についてリン 31磁気共鳴分光法(31P-MRS)を用いて検討するというものであった。この研究テーマに決まったのは、当時、

31P-MRS が大学に設置されたことがきっかけであった。 大学院修了後は、近赤外線分光法を用いて、運動中の筋酸素動態の検討を行うなど生理学的なものから始まり、

運動習慣と健康指標の関連についての検討、身体活動量の評価方法の検討などをテーマとして研究を行った。さ

らに、東京医科大学病院にて健康スポーツ医学外来を開設したのをきっかけにして、閉塞性動脈硬化症に対する

運動療法の研究や急性心筋梗塞、慢性心不全に対する運動療法の研究へと発展し現在に至っている。このように、

私の研究テーマは、運動生理学的な体育学に属するような研究から始まり、近年は医学と体育学の複合分野であ

る運動療法へと変化してきている。 本シンポジウムでは、以上のような医学と体育学の接点を研究テーマとしてきた自分自身の研究生活を振り返

り、その時々で研究テーマや結果に影響を及ぼした「偶然」について考えてみたい。

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S-2

自分の経験の中から考える「セレンディピティ」

萩 裕美子 (東海大学)

1.はじめに 非常に難しいお題である。セレンディピティとは成功を引き寄せるもの、何かを偶然に発見するもの、あ

るいは偶然ではあるが何かを発見するための洞察力であるという説明がある。自分の経験を「セレンディピ

ティ」という視点で振り返り、皆様の今後の研究や教育活動の参考になれば幸いである。 2.すべてが偶然? それとも必然? これまでの研究や教育活動の中で行われてきたことすべてが、偶然の出会いではなかったかと思う。ただ

その出会いを即座に理解し、関わり方を判断し、自分の中で受け入れてきたことには何らかの必然もあった

ように思う。 また、これまでの人生を振り返って、何か大きな目標のために自らアクションを起こしたものは意外に少

なく、大学を選んで入ることと、学位を取ることくらいである。後は勝手に周りが動いたのであって、自分

が動かしたわけではない。つまり大きな決断が迫られるときは自分が予期せぬことが多い。その時どう判断

するか。そこにセレンディピティがあったように思う。 3.即決判断 何かが偶然起きた時に、即座に理解するためには様々な情報が必要である。常にアンテナを高くして、様々

な情報をキャッチしておく必要がある。私はできるだけ専門以外のセミナーに行くようにしている。 さらに判断し受け入れるためには決断力が必要だ。そのときに最も必要なのは勇気ではないかと思う。何

事もマイナスはないと考えているので、決断はそれほど難しくはない。自分以外の人がやった方がいいこと

は断るが、自分が役に立つのであれば引き受けることにしている。 学生時代は保健学を専攻していた。人の体や健康に興味があったが、具体的に何をしたいというものはな

かった。教員を目指して大学を選んだが、最後のステップで降りた。その結果、目標のない学生になってし

まった。ただ一つ決めていたのは、大学で学んだことが活かせれば・・・。ということだけだった。そこに

波多野先生から就職の話が舞い込んだ。詳細は全く分からなかったが、即決判断。受けることにした。0ベ

ースで考えることができたことが即決判断につながった。これが今の私のスタートである。 4.現場から見つける研究の種 研究では常に現場で何が求められているのかを考え続けている。そう考えることで必要なものが見えてく

る。つまり自分が何をすべきかは現場が教えてくれる。また違う視点から見たり考えたりするために、自分

を違う場所に置くようにしている。そのことで自分の位置づけがわかる。また、研究はオリジナリティが求

められるが、それは異質との融合によって生まれてくるものでもある。このようなところにセレンディピテ

ィがあるように思う。

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S-3

測定と評価の視点に基づく研究課題の決定とセレンディピティ

村瀬 智彦 (愛知大学法学部・名古屋体育研究室)

ノーベル賞受賞者などの優秀な研究者のインタビューで偉大な研究成果の陰には「偶然の発見」があった

「運が良かった」などの話を聞いたことがある.一般の人が聞くと研究とはそのようなものだと勘違いされ

るかもしれない.しかし,明らかにしたい研究課題に常に様々な観点から考察し試行錯誤している過程で糸

口が見つかったのではないだろうか.今回のキーワードである「セレンディピティ」,初めて聞いた言葉であ

る.意味を調べ,改めて自己の研究の分岐点などを振り返ってみると「思いがけない発見」や「運よく発見

したこと」とまでは言い切れないが,その時々に確かにきっかけとなる小さな発見があり意思決定がなされ

てきた.私は測定評価の視点にこだわって研究を続けてきた.約 30 年間の研究活動における研究課題の決定

とセレンディピティについて再考し,私自身も含めてシンポジウム参加者の今後の研究課題の決定に参考と

なる知見が見いだせる機会になればと考えている. 年代順に私の研究課題をみてみると,研究を始めた初期の卒業論文のテーマは柔道選手の体格特性につい

てであった.自らの経験に基づく疑問を解いていくことで研究がスタートした.修士論文や博士論文の研究

課題の決定の際には,時間をかけて先行研究を調べ,幼児の運動能力や力量知覚を研究対象にした測定と評

価の視点による研究に取り組むことになった.修士論文と博士論文では大きくアプローチの手法が異なって

いた.研究職に就いた後,助手をしていた時期には測定と評価の視点を持ちながらバイオメカニクス的手法

による研究課題にも取り組んだ.1年半の海外研修の研究課題では,対象の範囲を幼児のみならず児童まで

拡げ,また運動発達と教科教育の観点から研究を進めた.この研究課題とは別に,海外研修での研究経験は

新たな研究課題をもたらした.つまり,帰国後,母集団を反映する適切な標本を得るための「説明と同意」

の手続きについて検討することになった.その後,幼児の体力・運動能力の測定と評価に関する研究の場に

戻り,評価基準値作成の研究に取り組んだが,評価基準値を作成・完成するどころか作成過程における問題

点がいくつか明らかになり,今後も継続してその問題を1つずつ解決しなければならない.現在は,評価基

準値が本来活用されるべき保育現場において体力・運動能力の測定と評価の実施率が低いため,測定と評価

を普及促進していくための研究課題に取り組んでいる. セレンディピティにより次に進むべき道が開かれていくのであれば,その背景には,研究者自身の経験・

知識・洞察力,研究環境,社会変化などが関係しており,これらの諸条件が揃った時に「発見」があるので

はないだろうか.

   

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一般研究発表(口頭)

セッションA1(O-A-1~O-A-3)

座長: 滋賀大学 松田 繁樹

セッションA2(O-A-4~O-A-7)

座長: 新潟医療福祉大学 佐藤 敏郎

セッションA3(O-A-8~O-A-11)

座長: 名古屋学院大学 中野 貴博

セッションB1(O-B-1~O-B-3)

座長: 福井工業大学 横谷 智久

セッションB2(O-B-4~O-B-7)

座長: 福井工業高等専門学校 青木 宏樹

セッションB3(O-B-8~O-B-11)

座長: 愛知学泉大学 高橋 憲司

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O-A-1  

気分・心拍変動・実行機能の日間変動と信頼性

○高橋信二(東北学院大学)

精神状態や認知機能に対する身体活動の一過性の効果を検証する場合、測定が複数日にわたる被験者内計

画が採用されることが多い。身体活動の効果を検証ためには、精神状態や認知機能の日間変動の程度を把握

しておく必要がある。本研究は、気分(快適度と覚醒度)、心拍変動(RMSSD)と高次認知機能である実行

機能(ストループテスト)の測定指標の日間変動とその信頼性を検討した。被験者は 45 人の健康な大学生で

あった。被験者は 3 週間中の4日間、気分、RMSSD、ストループテストの測定を行った。測定データは、測

定回数と被験者効果を独立変数とする変量効果モデルにより分析された。その結果、全ての指標において、

日間変動は認められず(Wald Z ≤ 0.6、p ≥ 0.57)、被験者効果のみに有意性が認められた(Wald Z ≥ 2.9、p ≤ 0.01)。級内相関係数(ICC)は、快適度、RMSSD とストループテストでは ICC ≥ 0.82 と高い信頼性が確認

された。一方、覚醒度では、ICC = 0.64 と低い信頼性であった。以上の結果より、認知機能と神経機能の測

定指標は、複数日にわたり安定し、高い信頼性を有することが確認された。一方で、心理的覚醒度はやや信

頼性が低下することが示唆された。

O-A-2

前方への足圧中心移動課題における前傾位の違いが足圧中心位置に及ぼす影響

○尾山裕介(新潟大学大学院、猫山宮尾病院メディカルフィットネスCUORE)、村山敏夫(新潟大学教育学部)、

太田玉紀(猫山宮尾病院)

動的姿勢制御能力の測定の一つに前方への安定性限界を測定するファンクショナルリーチテストが挙げら

れ、現場においても頻用されている。一方でヒトは日常生活において転倒しないために行動に先立ち、様々

な感覚入力から得られるフィードバック情報に基づいて運動出力をしている。このように転倒予防のために

は安定性限界の範囲の拡大だけでなく、フィードバック情報に基づく正確な運動出力も重要である。本研究

では正確な運動出力を評価するために前方への足圧中心(COP)移動課題において前傾位の違いがCOP 位置

に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。対象者は中高齢者 40 名とし、COP 移動課題にはバランス

Wii ボードを用いた。COP 移動課題は対象者に始めに 100%である最前傾位をとらせ、次に最前傾位に対す

る 60%および 30%の前傾位をとらせた。静止立位姿勢時のCOP 位置から各前傾位(100%、60%、30%)ま

での COP 移動距離を算出し、どれだけ正確に 60%および 30%の前傾位がとれたか評価した。前方への安定

性限界の範囲に関わらず、正確性の高い者や低い者が存在する可能性が示唆された。

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O-A-3

種々の運動強度による一過性の最大下運動が短期記憶及び実行機能に及ぼす影響

○坪田小菊、山田孝禎(福井大学)、出村慎一(金沢大学)

軽度の認知機能障害であれば、運動によりその進行の抑制や回復が期待できるが、効果が認められる運動

強度に一致した見解は得られていない。本研究の目的は、種々の運動強度による一過性の最大下運動が短期

記憶及び実行機能に及ぼす影響を検討することであった。健康な青年男性 10 名(年齢 19.7±0.8 歳)が、20分間の安静あるいは低(30%V

.O2max)、中(50%V

.O2max)および高(70%V

.O2max)の最大下運動前および後

に、短期記憶および実行機能を測定した。安静あるいは運動中の左右前頭前野の酸素化ヘモグロビン変化濃

度を近赤外分光法により測定した。中および高強度運動後の左右前頭前野の酸素化ヘモグロビン濃度変化は、

低強度運動後のそれよりも有意に高かった(F=7.05 および 5.48、p<0.05)。低強度運動後の聴覚刺激による

短期記憶テストの得点は安静条件のそれよりも有意に高かった(F=3.13、p<0.05)。以上から、脳への血液流

入量は、運動強度の上昇に伴い増加する。一過性の低強度運動は短期記憶の改善・向上に有効であるが、中・

高強度運動は有効でないかもしれない。

O-A-4

大学生の骨密度に及ぼす健康、体力、運動習慣について

-高齢期における骨粗鬆症予防に関する研究-

○金興烈、池上久子(南山大学)、村本名史(常葉大学) 骨粗鬆症の予防には、若年期からの対策が必要である。本研究では、男子学生(男性)321 名、女子学生(女

性)586 名の合計 907 名を対象に骨密度、健康、体力の自己評価、運動習慣について検討し、将来の骨粗鬆

症予防対策のための生活指導の資料を得ることを目的とした。骨密度は骨密度測定装置の一つである超音波

骨密度測定装置を用いて測定した。その結果、質問調査から得られた過去の運動・スポーツ経験がある回答

は、男性では小学校 76.3%、中学校 86.9%、高校 69.2%であった。一方、女性では小学校 68.1、中学校 69.8%、

高校 48.5%であった。現在定期的に運動・スポーツを実施している回答は、男性では 68.6%、女性では 40.5%であった。女性のスポーツ離れは高校時代から始まっていることが示された。男女共に小学校から現在にお

いて運動・スポーツ実施と健康、体力の自己評価、握力、骨密度との関連があることが示された。女子学生

に対し、最大骨量を獲得するための行動を促すことは重要なことであり、特に骨粗鬆症の危険因子を有する

学生に対する生活指導は必要と考えられる。  

 

 

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O-A-5

高等学校体育における主体的問題解決能力育成プロセスの検討

○横尾智治、徐広孝、合田浩二(筑波大学附属駒場中高等学校)、加藤勇之助(大阪体育大学)、

西嶋尚彦(筑波大学)

本研究では、高等学校体育における生きる力の育成の基本的要因である主体的問題解決能力の育成プロセ

スについて、因果構造と縦断的な変化を分析することを目的とした。 2010 年度から 2012 年度の高校生男子 3 学年を対象とし、質問紙調査を用いて、体育における主体的問題

解決能力について横断的および縦断的な測定を実施した。構造方程式モデリング(SEM)を適用して、主体的

問題解決能力育成プロセスの因果構造を分析した。仮説モデルは、内発的意欲→主体的行動→達成満足→自

己認識から構成される循環的因果構造であり、統計的に妥当であることが検証された。4 領域を満足する内容

で構成された体育授業では、主体的問題解決能力を育成する可能性があることが推察された。

O-A-6

介護労働者のストレス要因の性、年代、および経験年数差

○川野裕姫子(大阪府立大学非常勤)、出村慎一(金沢大学)、松浦義昌(大阪府立大学)、

長澤吉則(京都薬科大学)、平井博志(大阪府立大学非常勤)

介護労働者は、労働賃金、条件および内容に対する不満が高く、職業上のストレスを有する者が多いと報

告されている。本研究は、介護労働者のストレス要因(身体、精神、賃金及び待遇、および人間関係)の性

差、年代差、および経験年数差を検討する。34 の事業所で勤務している介護労働者 522 名を対象にストレス

に関する調査を行い507 名から回答が得られた。507 名の内、介護労働にストレスを感じている351 名(女性

269名、男性82名)を分析対象とした。身体、精神、及び賃金・待遇の3要因は、いずれも有意な性差は認め

られなかった。年代間差は、身体と精神の2要因に有意差が認められ、前者は30~50代が60代より、後者は、

20 代~40 代が 60 代より大きかった。経験年数は、いずれのストレス要因にも有意差は認められなかった。

60代の介護労働者は、50代以下の介護労働者に比べ、身体的、精神的負担が少なく、ストレスも少ないと推

察される。

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O-A-7

強度を自己選択した有酸素性運動中の生理学的および心理学的指標の変化

-若齢者と中高齢者との比較-

○若田部舜,宮本健史,林容市(法政大学)

本研究の目的は,強度を自己選択した有酸素性運動による生理学的および心理学的指標の変化について,

若齢者と中高齢者とで比較することであった。対象者は健康な若年男性6名(25.0±1.4歳)および健康な中

高齢者 5 名(67.6±4.8 歳,男性 2 名,女性 3 名)であった。運動中は%V.O₂max や自覚的運動強度(RPE)な

どを継続的に測定し,運動前後においては心理学的指標として状態不安,快感情,リラックス感を測定した。

得られた各測定値について,群および経過時間を要因とする二要因の分散分析を行った結果,%V.O₂maxにおい

て,群および経過時間の有意な主効果が認められた。この結果から,強度を自己選択した有酸素性運動時に

は,若齢者と比較して中高齢者が運動開始から相対的に高い強度を選択する傾向が示唆された。他方,運動

前後の快感情とリラックス感においては中高齢群で運動後に,満足感では両群で運動後に有意に高値を示し,

さらにその運動実施による変化は,若齢者よりも中高齢者において大きいことが示された。

O-A-8

下肢の筋持久力は認知機能と関連するか?

○阿部巧(筑波大学,日本学術振興会),薛載勲,城寳佳也,大藏倫博(筑波大学)

目的は筋力および筋持久力と認知機能との関連を明らかにすることである。対象は高齢者73名(71.6±4.7

歳,うち男性15名)とした。身体機能要素として上肢筋力は握力,下肢筋力は椅子立ち上がり動作時の地面

反力によって,上肢の筋持久力はアームカール,下肢の筋持久力は30秒椅子立ち上がりテストによって評価

した。認知機能は,計測値(秒)が小さいほど良好となるTrail Making Test part A(注意機能)とpart B

(実行機能)に加え,言語流暢性課題を用いて評価した。従属変数に各認知機能評価,独立変数にすべての

身体機能要素を同時に,かつ共変量に年齢,性,教育年数を投入した重回帰分析(強制投入法)をおこなっ

た。なお,各変数間の variance inflation factor は 4 未満であり,身体機能要素間の相関が 0.5 未満であ

ったため,多重共線性はないと見なした。いずれの身体機能要素も注意機能との関連はみられなかったが,

30 秒椅子立ち上がりテストのみ実行機能(β=−3.18, P<.05)および言語流暢性(β=0.265, P<.05)と有意

に関連した。実行機能や言語流暢性は認知機能の中でも早期に低下することが示唆されており,下肢の筋持

久力は他の変数と独立してそれらの認知機能と関連する可能性がある。

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O-A-9

6 か月のウォーキング事業に参加した女性高齢者の体力変化

○山次俊介(福井大学)、石原一成(福井県立大学)、佐藤敏郎(新潟医療福祉大学)

本研究は、6か月のウォーキング事業に参加した女性高齢者の事前・事後体力測定を行い、歩行能力、筋力、

バランス、転倒回避能力の比較を行った。女性高齢者 120 名(年齢 72.0±5.1 歳)が参加した。1 日合計 30

分以上のウォーキングを継続的に実践し、事前・事後体力測定に参加した完遂群 68 名(年齢 71.5±4.9 歳)

を分析対象とした。体力測定項目は、6分間歩行、10m歩行、膝伸展筋力、ファンクショナルリーチ、股関節

前後移動距離、4クロスステップ(CSFT)、10m選択歩行であった。6分間歩行及びCSFTを除く項目において、

事前・事後間に有意差が認められた。歩行、筋力、バランス能力に加え、転倒回避能力の股関節前後移動距

離やデュアルタスクの 10m 選択歩行はウォーキング習慣で改善されることが示唆された。一方で、敏捷的な

クロスステップが要求されるCSFTは特異的なプログラムが必要であると推測された。完遂群の事前測定時の

6分間歩行は、ドロップアウト群より優れていたことから、ウォーキングの継続にベースラインの持続的な歩

行能力の影響が示唆された。

O-A-10

地域高齢者の 1 分間開眼片脚立位時における重心動揺量の性差と経時変化

○平井博志(大阪府立大学)、出村慎一(金沢大学)、松浦義昌(大阪府立大学)、

内田 雄(仁愛女子短期大学)、川野裕姫子(大阪府立大学)

高齢者の転倒および介護予防の観点から、1分間の片脚立位トレーニングが推奨されている。本研究の目的

は、高齢者を対象に1分間の開眼片脚立位時における重心動揺量の性差と経時変化を検討することであった。

60歳以上の高齢者65名(男性27名、年齢67.0±5.4歳、女性38名、年齢67.4±5.4歳)が重心動揺計上で1

分間の開眼片脚立位を実施した。30 秒毎の総軌跡長を算出し、時間(前半:0-30 秒、後半:30-60 秒)およ

び性(男性、女性)を独立変数とした 2 要要因分散分析を実施した。なお年齢に有意な性差は認められなか

った。解析の結果、交互作用は認められなかった。両要因に有意な主効果が認められ、総軌跡長は女性より

男性が、また、前半よりも後半が有意に短かった。以上より、高齢者における開眼片脚立位時の姿勢安定性

には性差があり、男女共時間経過に伴い安定すると判断される。

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O-A-11

女性高齢者における刺激反応の遅延は認知機能低下と関係があるか?

○野口雄慶(福井工大)、横谷智久(福井工大)、杉浦宏季(福井工大)

本研究の目的は、女性高齢者における刺激反応テスト時に発生する反応の遅延が、認知機能低下と関係が

あるか検討することである。75歳以上の後期女性高齢者39名を対象に、刺激反応のテストとして、ジャンケ

ンのルールを利用し、画面に提示された絵に対してあいこの場合は同じ絵のボタンを、勝ち条件、負け条件

ではそれぞれの条件に対応する絵のボタンを押すまでの刺激反応時間の測定を 5 試行実施した。反応時間の

測定値をもとに基準値を設定し、基準を超える試行があった場合、刺激反応が遅延したと判定した。それぞ

れの条件ごとに、5 試行中、1 回も遅延が無かった群を通常群、1 回以上遅延があった群を遅延群とし、MoCA

テストによる認知機能の評価結果(30 点満点)の比較を実施した。その結果、あいこ条件において両群の認

知機能評価の結果に有意な差が認められた。本研究の結果より、課題時に発生する遅延は女性高齢者の認知

機能の低下を反映している可能性が示唆された。

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O-B-1

「運動の楽しさを感じる瞬間」の学年による違い

○中野貴博(名古屋学院大学),春日晃章(岐阜大学),東健司(名古屋学院大学)

[目的]子ども達の体力低下問題解消のための最優先事項は運動の楽しさを伝えることである.そこで,本

研究では,子ども達が運動の楽しさを感じる瞬間について,学年による違いに着目して検討することを目的

とした.[方法]5225 名(男児:2567 名,女児:2658 名)の児童を対象に,運動の得意苦手,運動クラブや

スポーツ少年団への所属,運動の楽しさを感じる場面に関する 17 項目の計 19 項目で構成した質問紙調査を

実施した.クロス集計およびχ2検定により,学年による違いを検討した.また,構造方程式モデリングによ

り,学年間での因子構造の違いを検討した.[結果・考察]全ての項目で学年と運動の楽しさに関する有意な

関係が確認され,低学年に比べ高学年で「とても楽しい」と答える割合が低下していた.中でも「先生など

に運動やスポーツを教えてもらう時(26.4%)」「年上のお兄さんお姉さんと運動やスポーツをしている時

(23.9%)」では顕著な低下が確認された.因子構造に関しても,学年間での違いが確認され,高学年になる

につて勝負へのこだわりが運動の楽しさへの構成因子として明確になることが確認された.

O-B-2

児童期の運動器機能不全が基本的動作に及ぼす影響

○浦井龍法(宮﨑整形外科、福井大学教育学研究科)、山田孝禎(福井大学)、田島大、竹澤将道、

宮﨑憲太郎(宮﨑整形外科)

児童の運動器機能不全は、将来的なロコモティブシンドロームリスクを高めると考えられている。本研究

の目的は、運動器機能不全がFunctional Movement Screen(FMS)により評価される基本的動作に及ぼす影響

を検討することであった。学校医と理学療法士が小学 4~6 年生の男女 83 名を対象に、運動器検診 10 項目と

FMS7 項目を測定した。運動器検診の 10 項目中 1 項目以上該当した場合、運動器機能不全と判定した。各被

験者の FMS7 項目合計得点を基本的動作得点として分析に用いた。運動器機能不全群と非運動器機能不全群

のFMS 合計点の平均値差は、非運動器機能不全群のFMS 得点が運動器機能不全群よりも有意に高く、平均

値差の効果の大きさも大きかった。運動器検診では、「しゃがみ込み動作ができない」の項目において最も頻

度が高く、足関節の背屈制限がある児童が多かった。以上から、運動器機能不全児童は非運動器機能不全児

童よりも基本的動作能力が低く、運動の効率性に劣るため、整形外科的な疾患のリスクが高いと判断された。

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O-B-3

年少から年長までの3年間にわたる親子体操教室参加親子の体力変化について

〇灘本雅一(プール学院大学) 中谷敏昭(天理大学)

本研究は、幼児期の体力運動能力の向上を目的に 3 年間、週 1 回の運動教室と自宅でのセルフトレーニン

グを毎年3ケ月間実施し、年少から三年間参加した親子 7 組の体力及び運動技能の変化について親子それぞ

れ一元配置分散分析を用いて検討した。その結果、子どもは、バランス能力、敏捷性、脚力、瞬発力、捕球

能力及び投力のボール操作能力が年中から年長にかけて有意に向上した。また、保護者は敏捷性、脚力、瞬

発力を子どもとの運動プログラムを通じて向上させることができた。また、運動プログラムの適時性を目的

に年中から参加者した(2 年群 7 名)、年長から参加者した(1 年群 13 名)、運動プログラムに参加していないコ

ントロール群(16 名)との比較を当日発表する。

O-B-4  

バドミントンのスマッシュ速度及びラケットヘッドスピードと

上肢の最大挙上重量及び筋パワーの関係

○久保田匠、山田孝禎(福井大学)

バドミントンにおいてスマッシュが速いことは試合に勝つ絶対条件ではないが、対戦相手にプレッシャー

を与え試合を有利に運ぶ要因の 1 つである。本研究の目的は、バドミントンのスマッシュ速度及びラケット

ヘッドスピードと上肢の最大挙上重量及び筋パワーとの関係を検討することであった。男性バドミントン選

手 21 名(年齢 20±1.6 歳)が、最大挙上重量及びその 30%の重量を用いた筋パワーの測定後、最大努力によ

るスマッシュ時のスマッシュ速度及びラケットヘッドスピードの測定に参加した。スマッシュ速度及びラケ

ットヘッドスピードと上腕三頭筋のパワーにおいて中程度の有意な関係が認められた(r=0.520, 0.634)。ま

た、ラケットヘッドスピードと上腕二頭筋の最大挙上重量においても中程度の有意な関係が認められた

(r=0.489)。以上から、速いスマッシュは、ラケットヘッドスピードを高めることで生み出されるが、そのた

めには、力強いテイクバックを行った後、ストレッチングショートニングサイクル運動を介して高スピード

で高い力発揮にてスイングすることが重要であると示唆された。

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O-B-5

現場に即した簡易測定法と女子大学生における膝伸展筋群の筋力・筋厚との関係

○安田智洋(聖隷大)、一川大輔(東洋大)

【背景】加齢性筋肉減少症は特に膝伸展筋群で大きく、この筋群の簡易測定法は各年代で重要となる。我々

は男子大学生における膝伸展筋群の筋力・筋厚と簡易測定方法との関係を調べたが(Yasuda & Ichikawa 2016)、女子大学生では検討していなかった。 【目的】現場に即した簡易評価法と女子大学生における膝伸展筋群の筋力・筋厚との関係を検討すること。 【方法】女子大学生 65 名(18.4 歳)を対象とし、等尺性膝伸展筋力・大腿前面筋厚を測定した。簡易測定法

には、握力・立幅跳・大腿周囲径・椅子立ち上がりテストの 4 因子を採用し、膝伸展筋力・大腿前面筋厚と

の相関関係及び重回帰分析を調べた。 【結果】筋力・筋厚は、ともに大腿周囲径・握力と正の相関関係を示した(P<0.01)。重回帰分析では、筋力

(R2=0.323)・筋厚(R2=0.254)との関連因子として抽出されたのは、ともに大腿周囲径と立幅跳だった。 【結論】女子大学生の膝伸展筋群の筋力・筋厚の評価法には、特に大腿周囲径が重要だと示唆された。しか

し、本研究の 4 因子の簡易測定法では、高い貢献度には至らなかった。

O-B-6

一般男子ソフトテニス選手におけるユニフォームの着こなしに関する研究

‐一般人が感じるユニフォームの良い着こなしとは‐

〇高橋憲司(愛知学泉大学)、篠原秀典(宮城学院女子大学)、山口大地(日本体育大学修士課程)、

高橋弥生(愛知産業大学短期大学通信課程)

本研究は、ソフトテニス経験者を含む 20~70 代の男女 79 名を対象に、一般男子ソフトテニス選手の 4 タ

イプのユニフォームに対して、3 種類の着こなし(①上着パンツイン・パンツ臍位置、②上着パンツイン・パ

ンツ腰位置、③上着パンツアウト)について、最も印象の良いものを回答させた。結果、どのタイプのユニ

フォームも③上着パンツアウトが 70%以上であった。競技規則には、ユニフォームの着こなしについての規

定はないが、小・中学校、高等学校の教育現場では、体育授業に励行される T シャツやポロシャツをパンツ

の中にいれる服装をするように指導される。また、地方ルールで上着パンツインを義務化している場合もあ

る。現在、ソフトテニス界は上着パンツインの服装を児童、生徒の見本となる一般選手にも求めることがあ

る。一方、今回の結果から、上着をパンツアウトにするユニフォームの着こなしは、多くの一般大衆に受け

入れられていることが示唆された。

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O-B-7

水を負荷とするトレーニング器具の筋活動特性

○吉田雄大、山元勇樹、大垣亮、松葉開(筑波大学スポーツR&D コア)、河合季信(筑波大学体育系) 近年、水を負荷として用いたトレーニング器具が現場で用いられつつあるが、筋活動特性などのトレーニ

ングへの有効性に関するエビデンスは少ない。本研究では、従来のトレーニング器具であるバーベルとの比

較により、水を負荷としたトレーニング器具における筋活動特性を明らかにすることを目的とした。トレー

ニング経験を有する成人男性 14 名を被験者とした。スクワット、ランジ、スクワットジャンプ、ランジジャ

ンプの 4 つのトレーニング課題それぞれを、バーベルのシャフト(SFT)、水を負荷としたトレーニング器具 (WT-B)の 2 つの器具にて行った。両方の負荷は、15 kg に統一した。被験者には、2 つの器具で可能な限

り同じ動作を行うように教示した。トレーニング課題中、体幹の筋である腹直筋、内腹斜筋、外腹斜筋、多

裂筋、脊柱起立筋における表面筋電図(EMG)を 1500 Hz で測定した。SFT とWT-B の筋活動を、2 元配

置分散分析を用いて比較した結果、トレーニング課題で部位の違いはあるものの、体幹の筋活動が WT-B で

高い値を示した。これらの結果から、水を負荷とするトレーニング器具は、体幹の筋トレーニングにも活用

できる可能性が示された。

O-B-8

スタティック(SS)およびダイナミックストレッチ(DS)が膝関節位置覚に及ぼす影響

○菅原慎弥(福井大学、福井総合クリニック)、山田孝禎(福井大学)、佐藤進(金沢工業大学)

膝関節位置覚の低下はACL をはじめとしたスポーツ傷害のリスクファクターである。一般的にストレッチ

はスポーツ傷害の予防に有効とされているが、SS により、位置覚は低下するとの報告もある。本研究の目的

はSS およびDS が膝関節位置覚に及ぼす影響を検討することであった。 膝関節に既往歴のない健常な青年男子 8 名および女子 7 名が、座位にて膝関節伸展 45°および腹臥位にて

屈曲 70°を各 10 秒間維持し、目標関節角度を記憶した。安静(N)、ハムストリングス SS(HSS)および

大腿四頭筋 SS(QSS)、あるいは DS を HSS および QSS はそれぞれ 30 秒間、DS は 1 分間行った。なお、

N、HSS およびQSS、あるいはDS 前あるいは後に、目標関節角度に合わせて膝関節を伸展・屈曲するよう

に指示し、伸展・屈曲角度を記録した。膝関節位置覚は、目標関節角度と再現角度の絶対値により評価した。

伸展および屈曲方向の角度誤差の絶対値に、ストレッチおよび性の主効果は認められなかった。以上から、

ストレッチが膝関節位置覚へ及ぼす影響は小さいのかもしれない。

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O-B-9

装着型ロボットスーツの着用が重量物挙上時における主観的苦痛度に及ぼす影響

◯山田孝禎(福井大学)

本研究の目的は、装着型ロボットスーツの着用が重量物挙上時における主観的苦痛度に及ぼす影響を検討

することであった。健康な青年男性 20 名(年齢:22.5±4.1 歳)が、せすじを伸ばしたまま膝関節を屈曲し

てしゃがみ込み、各被験者の体重の 0、10、20、30 あるいは 40%の重量物を保持した姿勢から、検者の合図

の後、可能な限り素早く重量物を挙上した(スクワット挙上動作)。各重量物条件における挙上動作は、それ

ぞれ 5 試行実施し、装着型ロボットスーツによるパワーアシストの有無および重量物条件における挙上動作

の試行順はランダムに設定した。被験者には、重量物挙上直後に、挙上に伴う苦痛度をVisual Analogue Scale

に回答するよう指示した。なお、重量物を挙上する際、上肢を屈曲させ重量物を持ち上げないよう指示した。

装着型ロボットスーツを着用したいずれの重量物条件における重量物挙上に伴う苦痛度も有意に低かった(F

= 11.5, p < 0.001)。以上から、装着型ロボットスーツの着用は、重量物挙上時の作業者の身体的負担の軽

減に貢献すると示唆される。

O-B-10

選択課題を複合した上肢の調整力テストの試作と選択反応時間との関係

○宮本健史,若田部舜,林容市(法政大学)

本研究の目的は状況判断能力と調整力とを複合して評価することのできるテストを開発し,選択反応時間

との関係を調査することであった。健康な大学生 34 名(21.4±0.9 歳,男子:21.5±0.8 歳,女子:21.4±

0.9歳)を対象にペグボードテスト,選択反応課題および両者を複合させた「選択課題を含むペグボードテス

ト(選択ペグテスト)」を行わせ,各課題の成績の関係を検討した。選択ペグテストの成績を従属変数,ペグ

ボードテストの成績および選択反応時間を独立変数とする強制投入法による重回帰分析を用いて分析した結

果,両試技側において決定係数の高い回帰式は得られなかった。また,選択ペグテストとペグボードテスト

との成績差と選択反応時間との相関係数を算出した結果,利き手でのみ有意な負の相関が認められた(r = −

0.47,P = 0.01)。このことから,選択ペグテストに含まれる選択時間と選択反応課題で評価される能力が同

質でない可能性が示唆され,今後,選択反応課題を複合した調整力を評価する際には,刺激への反応に続く

身体動作の様式を考慮した上で選択反応課題を選定する必要があることが示唆された。

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O-B-11

視空間認知機能評価のためのフライボール捕球テストの提案

—測定値の信頼性および経験種目差の検討—

○藥師葵、山田孝禎(福井大学)

スポーツ場面を想定したダイナミックな動きの中で要求される視空間認知機能を評価するテストはこれま

でに確立されていない。本研究の目的は、スポーツ場面で要求される視空間認知機能を評価するためのフラ

イボール捕球テストを提案し、その測定値の信頼性および経験種目差を検討することであった。経験種目別

に10名ずつ4群(野球・ソフトボール(BS)群、オープンスキル系種目(OS)群、クローズドスキル系種目

(CS)群および経験なし(N)群)に分類された青年男性 40 名(年齢 20.6±0.4 歳)が、ボール投射機から

ランダムに投射された投射距離の異なる5種のボールを投射機から40m離れた位置から25球捕球した。捕球

率の信頼係数は0.72であった。BS群の捕球率が最も高く、次いでOSおよびCS群、N群が最も低かった。こ

れらの傾向は、捕球開始地点から前後 10m の地点で顕著であった。以上から、本研究にて提案するフライボ

ール捕球テストの信頼性は良好であり、経験種目の違いに伴う視空間認知機能の差も捉え得る有効なテスト

であると示唆された。

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〈メモ〉    

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一般研究発表(ポスター)

 

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P-1  大学生ボート選手の柔軟性およびローイング時の各関節可動域と

ローイングパワーとの関係

○二林佳奈子(滋賀大大学院)、松田繁樹(滋賀大)、内田裕希(滋賀大大学院)

ボート選手は速く艇を進めるために全身の関節可動域を大きく動かしてオールを漕ぐ。このことから、漕手

の柔軟性やローイング時の関節可動域がローイングパワーなどのパフォーマンスに影響すると考えた。本研究

の目的は、柔軟性およびローイング時の関節可動域とローイングパワーとの関係を明らかにすることであった。

男子大学生ボート選手 30 人(年齢:20.1±0.9 歳、身長:173.6±4.3cm、体重:68.0±4.5kg)を対象に、柔軟性(足関節底屈、足関節背屈、膝関節屈曲、股関節屈曲、肩関節伸展、肩関節水平外転)、ローイングエルゴメーター

を用いた 300m タイムトライアル中のローイング時の関節可動域(足関節底屈、足関節背屈、膝関節屈曲、股関

節屈曲、肩関節伸展)、および同タイムトライアルにおけるローイングパワーを測定した。大学生ボート選手に

は、肩関節水平外転の柔軟性とローイングパワー間に関係があることが明らかになった。肩関節水平外転で主

に使われる三角筋の柔軟性を高めるとローイングパワーが向上する可能性がある。一方、ローイング時の関節

可動域とローイングパワー間に関係はなかった。

P-2

ブラインドサッカー選手における静的・動的な聴覚空間認知能力

○加藤雄一郎,小島海輝(東亜大学スポーツ健康学科)

本研究では,ブラインドサッカー選手と晴眼者(サッカー競技経験者・未経験者)を比較し,ブラインドサ

ッカー選手の静的・動的な聴覚空間認知能力を明らかにすることを目的とした。被験者は,ブラインドサッカ

ー群 6 名,サッカー群 10 名,コントロール群 15 名であった。静的認知課題にはコイン落下テストを用い,

落下したコインの位置を同定させた。動的認知課題には方向転換歩行テストとボールトラップテストを用いた。

全ての課題は,アイマスクを装着した状態で実施された。その結果,コイン落下テスト(誤差距離,誤差角度)

と方向転換歩行テスト(誤差距離)では,ブラインドサッカー選手と晴眼者との間に有意な差異は認めらなか

った。ボールトラップテストでは,ブラインドサッカー選手の得点が,全エリアでコントロール群よりも有意

に高く,遠くのエリアではサッカー群よりも有意に高いことが認められた。つまり,ブラインドサッカー選手

の聴覚空間認知能力は,静的認知能力と歩行中の動的認知能力において晴眼者と同レベルであるが,自身に向

かってくるボールの音源定位能力は優れていることが示唆された。

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P-3

健康運動教室の地域展開

〇坂井智明(名古屋学院大学)

本研究は健康づくりを地域に展開するために、1)地域公共施設(以下、地域)で開催する健康運動教室の

運動効果を検証すること、2)他の地域にも本成果を展開するための方法を検討すること、を目的とした。対

象者は、N 大学の健康運動教室(大学)23 名と地域での健康運動教室 23 名であった。いずれの健康運動教室

も週 1 回、1 回 90 分、計 11 回開催し、初回と最終回に体力を評価した。提供した運動プログラムは、ウォー

ミングアップ、有酸素運動、筋力トレーニング、クールダウンで構成した。またオムロン社製身体活動量計

HJA-350IT を用いて身体活動を評価した。教室への参加率は、大学が 80.1±15.7%、地域が 90.9±11.0%で

あった。身体活動量は、大学が 7076.3±2451.7 歩、地域が 6993.9±2482.3 歩であり、統計的に有意な違いは

なかった。体力の変化を検証したところ、上体起こし、10 m 歩行、10 m 障害物歩行、椅子立ち上がり、Timed up & go、6 分間歩行に主効果は認められた。以上の結果から、地域であっても運動効果が期待できると考えら

れた。また、健康運動教室を地域で開催するにあたり、「人」、「施設」、「時間」、「運営」等に課題が考えられ

た。

P-4

動的なホッピング運動の介入が高齢者の立位姿勢保持能力に及ぼす影響

○中谷敏昭(天理大学),西田 円(天理大学),灘本雅一(プール学院大学)

本研究では活動筋の自覚的疲労感を指標とした動的なホッピング運動の介入が高齢者の立位姿勢保持能力

に及ぼす影響を検討した.対象者は地域に在住する健康な高齢男女 31 名(65~83 歳)で,週 2 回の頻度でホ

ッピング運動を行う群(HE 群:16 名)と床やパッド用いたバランス運動を行う群(BE 群:15 名)に分けた.

HE 群は月 2 回の運動教室と自宅運動を組み合わせ,BE 群は月 2 回の運動教室のみの内容であった.介入期

間は 10 週間とした.ホッピング運動は 1.5 Hz の頻度で活動筋が「かなり効いてきた」と感じる回数まで 1 セット行わせた.ジャンプ数は 3 週毎に漸増させた.介入期間の前後で開眼および閉眼条件によるロンベルグ姿

勢での足圧中心動揺を重心動揺計で評価した.反復測定分散分析の結果,開眼条件での外周面積,単位軌跡長,

総軌跡長,重心平均中心変位(Y 方向)に有意な主効果,閉眼条件での単位面積軌跡長に有意な交互作用,重

心平均中心変位(Y 方向)に有意な主効果が認められた.以上のことから,動的なホッピング運動は静的なバ

ランス運動よりも,高齢者の立位姿勢保持能力を改善する可能性が示された.

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P-5

最大握力が発揮力量の異なる局面の筋力発揮調整能に及ぼす影響及びその性差

高齢者を対象として

○長澤吉則(京都薬科大学)、出村慎一(金沢大学)、松浦義昌(大阪府立大学)、

青木宏樹(福井工業高等専門学校)、川野裕姫子(大阪府立大学非常勤)

本研究では最大握力が発揮力量の異なる局面の筋力発揮調整能(Controlled Force Exertion: CFE)に及ぼす

影響及びその性差を検討する。高齢男性 51 名(69.3±6.4 歳)及び女性 60 名(68.2±6.5 歳)を同年齢の握力標準

値(35.4±6.8kg、22.7±4.0kg)に基づき握力最大値(MVC)小群、及び中間と大群を合わせた 2 群に分類した。

CFE テストはパソコン画面上に正弦波形で規則的に変動する相対的要求値(5―25%MVC)を提示し、被験者が

利手の把握動作で 40 秒間追従する形式であった。CFE 評価変量は、開始 10 秒以降から終了までの低要求値

(5―15%MVC)及び高要求値(15―25%MVC)局面における発揮値の誤差の総和とした。両要求値局面別二要因分

散分析(性×MVC 大小)の結果、CFE 評価変量に有意な交互作用は認められず、MVC 大小要因にのみ有意

な主効果が認められた。高齢者では、両要求値局面のCFE に性差はないが、最大握力の優劣はCFE に影響を

及ぼし、握力に劣る者はCFE に劣ると推測される。

P-6

高齢者の開眼片脚時の姿勢保持時間と重心動揺の性差

○松浦義昌(大阪府立大学)、出村慎一(金沢大学)、内田雄(仁愛女子短期大学)、長澤吉則(京都薬科大学)、

川野裕姫子(大阪府立大学非常勤)

高齢者の開眼片脚時の重心動揺や姿勢保持時間の性差に関する報告は数少なく、且つ結果は必ずしも同じ

ではない。本研究は、高齢者の開眼片脚時の姿勢保持時間と重心動揺の性差を検討する。30 秒以上の片脚立

位成就者 85 名(男 37 名、女 48 名)を対象者とした。片脚立位 60 秒成就者と非成就者(30 秒以上 60 秒未満)の 0-30 秒間の総軌跡長を算出し、性および成就時間(60 秒成就、非成就)を独立変数とした対応のない二要因

分散分析を実施した。また姿勢保持時間の性差は対応のない t 検定により検討した。男女の年齢に有意差はな

かった。解析の結果、姿勢保持時間に有意な性差は認められなかった。非成就と 60 秒成就者の 30 秒間総軌

跡長に交互作用が認められ、両者の 30 秒間総軌跡長は男女で異なった。高齢者の 0-30 秒間の開眼片脚立ち

における姿勢保持時間に性差はないが、重心動揺の成就時間は男女で異なると判断される。

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P-7

女性高齢者におけるジャンケンのルールおよびステップ動作を用いた

選択反応時間の検討

○杉浦宏季(福井工業大学)、横谷智久(福井工業大学)、野口雄慶(福井工業大学)

本研究の目的は、女性高齢者における各種選択反応時間の関係、及び条件間差を検討することであった。被

験者は、文化教室に通う高齢者 54 名(78.0±6.3 歳)であった。被験者には、画面上にランダムに表示される

グー、チョキ、あるいはパーの絵に対し、事前に指定した 3 つの条件(あいこ、勝ち、及び負け)の答えを選

択し、正しい答えのシートに片脚ステップするように指示した。評価変数は表示から片脚着床までの時間(反

応時間)とした。いずれの条件も 5 試行実施し、最高及び最低値を除いた 3 試行の平均値を代表値とした。解

析の結果、あいこ及び勝ち条件間、ならびに勝ち及び負け条件間に有意な相関が認められた(r = 0.32, 0.64)。なお、年齢の影響を考慮してもそれぞれの関係は殆ど変らなかった(rage = 0.31, 0.60)。また、条件間差を検討

した結果、反応時間はあいこ、勝ち、及び負けの順で有意に速かった。以上のことから、勝ち及び負け条件に

は、あいこ条件とは異なる「認知・判断・反応能力」が関与していることが示唆された。また、難度は負け条

件が勝ち条件よりも高い。

P-8

高齢者を対象とする交通事故抑止を目的とした運動機能評価について

○坂口雄介(新潟大学教育学部)、小山清夏(新潟大学教育学部)、原光希(新潟大学大学院)、

四家千里(新潟大学大学院)、佐々木雅咲子(新潟大学大学院)、村山敏夫(新潟大学)

近年、全国で起きた交通事故発生件数、死者数は共に減少傾向にあるものの、高齢者の死者数は増加の一

途を辿っている。特に道路横断中の奥車線内で事故に合う割合が高いことが報告されている。その原因とし

て認知・判断の低下や体力・筋力の不足が考えられる。これまで交通事故防止のためにさまざまな活動が行

われているが、運動機能に着目して交通事故防止に取り組む活動の事例はない。そこで本研究では、健康教

室に参加した高齢者を対象に運動機能測定を行い、自身の運動機能を再認識させ過信をなくすことで交通安

全意識を高めさせることを目的とした。また、この活動は新潟県警と連携して実施している「新潟プロジェ

クト」の一環であり、このモデルが有効であることを示すことで、全国の交通事故防止につながる一助とな

ることを期待する。

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P-9

運動経験が足圧荷重割合に与える影響

~男子大学生を対象に~

〇吉田律輝(滋賀大学大学院)、松田繁樹(滋賀大学)、田中絃太郎(滋賀大学)

本研究の目的は、男子大学生を対象に、運動経験が前後足圧荷重割合に与える影響を明らかにすることであ

った。被験者は、剣道部員(経験年数 6 年以上)12 名(以下、剣道部群)、運動部に所属する男性 12 名(以下、運

動部群)、専門的な運動を 3 年以上行っていない男性 12 名(以下、非運動群)であった。前後および左右足圧荷

重割合の測定にはフットビュークリニック(NITTA 株式会社製)を用いた。被験者は、測定器上に裸足で両足間

の幅は 5cm 離し、両手を体側に自然に垂らした直立姿勢を 10 秒間保持した。各足の後部足圧荷重割合を分析

に用いた。後部足圧荷重割合の群間差および左右差を検討するため、一要因にのみ対応のある二要因分散分析

を行った。後部足圧割合は左足で剣道部群 55.1±14.6、運動部群 48.0±10.1、非運動群 55.6±9.5、右足で剣

道部群 53.7±11.6、運動部群 47.4±16.1、非運動群 55.8±9.0 であった。後部足圧割合に群間差、左右差とも

有意差がなかったことから、運動経験が前後足圧荷重に影響を与えない可能性が示唆された。

P-10

短期大学生における健康度と生活習慣の実態

○菅家沙由梨(目白大学)、浅井泰詞(目白大学)、古瀬由佳(日本女子体育大学)、雪吹誠(目白大学)、

本間玖美子(目白大学)

本研究は、短期大学の女子学生(195 名)を対象に、健康度と生活習慣の実態を明らかにすることを目的と

した。調査は、健康度・生活習慣診断検査DIHAL を用い、健康度および生活習慣(運動、食事、休養)につ

いて他大学生と比較検討した。その結果、「健康度」、「食事」、「休養」では、対象短期大学生が有意に高く、「運

動」では短期大学生が有意に低い結果であった。また、健康度と生活習慣の総合得点から因子別尺度判定表に

より 4 パターンに分類したところ、充実型 29.2%、生活習慣要注意型 21.0%、健康度要注意型 7.7%、要注意

型 42.1%であった。合計総合得点では、対象短期大学生が高い結果であったが、因子別尺度判定では、望まし

いとされる充実型の出現率が 30%程度となっており、要注意型の出現率が 40%を超えていることから、今後

の改善が必要と考えられる。また、特に運動因子について低い結果となっており、運動への実施意志や運動に

対しての意識が低い現状が明らかとなった。

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P-11

女子大学生における身体組成の実態

-とくに正常体重肥満に着目して-

○酒井俊郎

平成 27 年国民健康・栄養調査によれば 20 代女性の肥満者は 10.2%、やせ 22.3%であるが、これは BMIを判定基準としたものである。本研究は女子大学生 375 名を対象として、全身の体脂肪率測定のみならず、

各四肢および内臓脂肪量、筋肉量が測定可能なマルチ周波数 8 電極法体組成計を用いて、身体組成の実態を

明らかにすることを目的とした。とくに、標準体重(18.5≦BMI<25)であるにも関わらず体脂肪率 30%以

上の正常体重肥満群に着目し、その特徴について検討した。その結果、正常体重肥満群は、標準群(18.5≦BMI<25 かつ体脂肪率<30%)との間に、体重・体脂肪率・BMI・脂肪量・筋肉量・筋肉率・骨量で有意な

差が認められた。正常体重肥満群は、標準群と比較して筋肉率が低く、それ以外の項目は高いという特徴が

明らかになった。さらに、やせ(BMI<18.5)と判定された対象者中に体脂肪率 30%以上の肥満者が存在し、

肥満の判定には、低体重であっても身体組成評価の必要性が示唆された。

P-12

若年女性における過去の運動経験と体力および骨強度との関連

〇萩裕美子(東海大学)、石田良恵(健康ウエルネス大学)、小川佳代子、鈴木由美(女子美術大学)、

渡邊夏海(東京YMCA)、山本直史(愛媛大学)

本研究は、女性における発育発達時の運動の影響を確認すべく、若年女性(女子大学生 1309 名)に対して

体力(反復横跳び、上体おこし、長座体前屈、握力、立ち幅跳び、20mシャトルラン)及び骨強度の測定、運

動経験(運動クラブ所属等)について質問紙調査を行った。運動経験を幼稚園・小学校、中学校、高校と 3 区

分し、その組み合わせで 8 群に分け、体力、骨強度の群間比較を行った。その結果、運動経験のなかったもの

は体力のすべての項目および骨強度が他群に比べて最も低かった。体力はこれまでの運動経験と密接に関連し、

骨強度にも何らかの影響を与えていることが示唆された。高齢期女性の骨粗しょう症が健康寿命延伸のための

健康課題の一つであると考えると、発育発達期にいかに体を動かして体力をつけ、骨に刺激を与えておく必要

が確認できた。

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P-13

中高齢女性における草履式鼻緒サンダル着用の効果

○宮口和義(石川県立大学)

高齢者では足部機能低下が転倒の原因の一つと報告されている。本研究は、日常生活における草履式鼻緒サ

ンダル(草履)の着用が、中高齢女性の足趾機能および足圧分布にどのような影響を及ぼすのか明らかにする

ことを目的とした。対象は、地域在住の 40 歳から 81 歳までの健常な中高齢女性 24 名(平均年齢 66.1±9.8

歳)であった。6 ヶ月間、日常生活において草履を着用してもらった。草履導入前後に足趾把持力(足趾の屈

曲力)、足趾挟力(母趾と第二趾間の随意的把持力)、片足ステッピングおよび静止立位時の足圧分布を測定し

た。結果、足趾把持力および片足ステッピングに有意な変化は認められなかったが、足趾挟力(2.6±0.8kg →

3.6±1.2kg)は有意に高まった。立位時の足裏荷重点が踵からつま先方向に移行し、足圧中心位置において有

意な前方への変移(約 0.8cm)が認められた。足部形態(土踏まず形成等)に変化が認められる者も多く、草

履着用による足部機能改善の可能性が示唆された。

P-14

運動内容の違いによって評価する中高齢者の下肢機能へ与える効果

○原光希(新潟大学大学院)四家千里(新潟大学大学院)佐々木雅咲子(新潟大学大学院)

坂口雄介(新潟大学教育学部)村山敏夫(新潟大学)

介護予防のための中高齢者の運動機能の維持・増進が必要であるため、多くの中高齢者を対象とした運動教

室が実施されている。運動内容の違いが運動機能へ与える効果を示すことは適切な運動プログラムを提供する

上で重要になってくる。そこで本研究では日常動作に関連の深い下肢機能に着目し、運動内容の違いが中高齢

者の下肢機能へ与える効果を検討することを目的とする。ここでは異なる 3 つの運動を実施している教室の中

高齢者を対象とし、運動介入前後に測定を行った。運動内容は中高齢者が無理なく実施できるものとし、それ

ぞれ水中運動、自重運動、コンディショニングとした。下肢機能の測定は座位姿勢からの立ち上がりとし、数

値の変動について確認を行い、それぞれの項目との比較を試みた。運動内容の違いによる効果を示すことで、

高齢者 1 人 1 人のニーズに合った運動プログラムを提供することができ、高齢者の健康増進への一助になるこ

とが期待できる。

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P-15

BMI および体脂肪率で分類された中高齢男女におけるロコモ度・体力的特性

○大澤拓也、尾崎隼朗、中潟崇、吉原利典、棗寿喜、石原美彦、北田友治、邓鹏宇、町田修一、

内藤久士 (順天堂大学)

本研究の目的は体格・身体組成がロコモティブシンドロームの臨床判断値(ロコモ度)と関連するかを明らか

にすることとした。健常な 60~79 歳の対象者 359 名(女性 221 名、男性 138 名)はBMI と体脂肪率(生体イン

ピーダンス法)より、痩身、標準、隠れ肥満、肥満に群分けされた。ロコモ度は高い順に 2、1、0 で評価され

た。また、筋厚、体力指標が測定された。男性の痩身は少なく、解析から除外した。ロコモ度 2 該当者の割合

は男女とも統計学的な差は認められなかったが、標準が最低であった。一方、ロコモ度 1 および 2 該当者の割

合は女性では肥満、隠れ肥満、痩身、標準の順に、男性では肥満、隠れ肥満、標準の順に有意に高値を示した。

男女とも四肢骨格筋量や大腿前面筋厚に有意差が認められ、肥満、標準および隠れ肥満、痩身の順に高かった。

女性では絶対値の等尺性膝伸展力に群間差が認められたが、相対値(体重あたり)には有意差がなかった。一方、

女性と異なり、男性では等尺性膝伸展力の相対値に有意差が認められた。以上より、男女とも標準体型のロコ

モ該当者の割合が最も低く、痩身・肥満ともロコモのリスクを高めることが示唆された。

P-16

等速性体幹筋力測定におけるピークトルク値補正方法の検討

○高橋利典 (小谷田工業(株))

等速性体幹筋力測定は体幹筋や股関節の伸展・屈曲の筋力評価も可能であり、競技や医療分野に有益な情報

を提供している。しかしこの測定においてトルク波形上に一過性のスパイク状に表れる「オーバーシュート」

が発生し、ピークトルク値が過大に評価されるケースが散見する。本研究はピークトルク値からオーバーシュ

ートの影響を排除し測定精度を向上させる方法を検討することを目的とした。BIODEX System 3 を用い、

高校男子競技選手(n=121)を対象に伸展・屈曲(60deg/s)最大努力による測定を行った。得られた時系列デ

ータに測定機器がデフォルト設定しているフィルターと同じ移動平均法によりフィルタリングして得られた

ピークトルク値(以下デフォルト)と測定時の「等速性」を確保できていない局面を角加速度データにより特

定し,そのデータポイントのトルクデータを遮断してオーバーシュートを除去して得られたピークトルク値

(以下補正)をそれぞれ集計し正規性の検定を行った。デフォルトにおいては屈曲データ分布の正規性に大き

な逸脱がみられたが、補正は伸展・屈曲共に正規性が確保された。このことから角加速度遮断法によるデータ

補正は測定精度を向上させる可能性のあることが示唆された。

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P-17

方向別連続ジャンプ動作テスト時の 1 回目のジャンプ動作(垂直跳び)の検討

~競技特性に着目して~

○北林保(東京理科大学)

本研究の目的は、競技特性に着目し単発垂直跳びとの比較から、方向別連続ジャンプ動作テスト時の 1 回目

のジャンプ動作(垂直跳び)を検討することであった。被験者は、健康な男子大学生 10 名とバスケットボー

ル部(競技歴 5 年以上)の男子大学生 10 名であった。単発垂直跳び測定及び方向別連続ジャンプ測定(連続

垂直跳びの上上跳、垂直跳びの着地後すぐに前に跳ぶ上前跳、同様に着地後すぐに後ろに跳ぶ上後跳)は 3Dデータ(Kinect(Microsoft 社))を用い各2試行行った。単発垂直跳びと方向別連続ジャンプ時の垂直跳びの距

離間及び群間差を比較するため、2 要因分散分析を行った結果、2 群間では有意な差は認められなかったが、

各群ともに単発垂直跳びに比べ、方向別連続ジャンプ時の垂直跳びは有意に低い値であった。また、各群の方

向別連続ジャンプ時の垂直跳びを単発垂直跳びに対する相対値で比較した結果、いずれの方向においてもバス

ケットボール群の方が 100%に近いジャンプを行っていることが確認された。

P-18

座位立ち上がり反応時間テストにおける課題レベルの違いが重心動揺に及ぼす影響

○四家千里(新潟大学大学院)、原光希(新潟大学大学院)、佐々木雅咲子(新潟大学大学院)、

坂口雄介(新潟大学教育学部)、村山敏夫(新潟大学)

我々は複数課題を遂行させながら計測する「座位立ち上がり複数課題反応時間テスト」の結果から、高齢者

の転倒リスク軽減における運動機能評価の測定法の検討を行ってきた。これまで現場で測定を行った際は、反

応時間のみに着目して評価を行ってきたが、光刺激は認知していても椅子から立ち上がりきる事ができない高

齢者が多数見られた。その要因として、立ち上がり時の課題レベルによる重心動揺の変化が考えられる。そこ

で本研究では、課題無し、単純反応時間テスト実施時、複数課題反応時間テスト実施時の3つのレベルにおけ

る座位立ち上がり測定法を実施し、それぞれの重心の軌跡を整理し、その特徴を観察した。高齢者の転倒リス

ク推定を目的とした運動機能測定として確立していくためには反応時間のみに着目するのではなく、他の項目

(ここでは重心動揺)と同期して測定を行っていく必要性があると考える。

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P-19

踏み台昇降動作による動的バランス測定法の提案

○佐々木雅咲子(新潟大学大学院)、四家千里(新潟大学大学院)、原光希(新潟大学大学院)、

坂口雄介(新潟大学教育学部)、村山敏夫(新潟大学)

身体を矢状面で分けた際に、多くの人は左右差を生じる。それは、姿勢の崩れや歪み等の影響が考えられ、

左右差をそのままにしていると進行すると言われている。高齢者の転倒予防のためには、身体の左右差は小

さいほうが望ましいといわれており、高齢者の転倒原因として、下肢筋力とバランス能力、歩行能力の低下

などが挙げられている。転倒しやすい歩行の原因としては、足の挙上が低い、つま先が下を向いている、ふ

らつきなどが挙げられる。歩行での測定では、場所の確保が必要となるため、実際の運動指導現場でも評価

できるよう簡便な方法を検討する。本研究では、歩行動作と関連があり、踏み込みの筋力も測定でき、スペ

ースの確保も容易な踏み台昇降動作での測定方法を提案する。 我々はこれまで、踏み台昇降動作での下肢筋力の左右差測定を床反力計を用いて実施し、左右の差異を観

察できた。加えて床反力波形の特徴やステップ時間なども踏まえて身体の左右バランスについて考える。本

研究では、左右分離型の床反力計を用い、左右それぞれの床反力波形を取得し、比較・検討を行っていく。

P-20

片脚立位時のバランス能力の性差

○嶋山進一(金沢美術工芸大学)、出村慎一(金沢大学)、青木宏樹(福井工業高等専門学校)、

平井博志(大阪府立大学)

本研究の目的は、片脚立位時のバランス能力の性差を検討することであった。被験者は、健康な青年男女

各 15 名(男性:年齢 21.4 歳、身長 170.3cm、体重 60.0kg 女性:年齢 21.7 歳、身長 159.0cm、体重 46.2kg)であった。支持基底面固定テストとして、開眼片脚立ちとファンクショナルリーチ(FR)を選択し、それぞれ

総軌跡長と前方伸展距離を評価変数とした。支持基底面変動テストとして、バランスボードテストと片脚TUGを選択し、それぞれ総角度変動指数と成就時間を評価変数とした。いずれの評価変数も、級内相関係数は 0.74以上と高く、有意な性差が認められた。身長で補正後も、総軌跡長と片脚TUG には、有意な性差が認められ

たが、効果量は、前者は小さく(1.05⇒0.73)、後者は大きく(1.15⇒1.84)なった。結論として、開眼片脚

立ち及びバランスボードテストによって評価されるバランス能力は、女性が男性より優れ、またFR 及び片脚

TUG テストによって評価されるバランス能力は男性が女性より優れるが、前述の性差には身長の影響が関係

していると判断される。

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P-21

踵立ちおよび片脚つま先立ちテストの信頼性

〇内田雄(仁愛女子短期大学)、出村慎一(金沢大学)、長澤吉則(京都薬科大学)、平井博志(大阪府立大学)、

嶋山進一(金沢美術工芸大学)

従来の片脚立位テストは、若年者では多くの者が上限時間まで到達する。難度が高い踵立ち(HS)および

片脚つま先立ち(OTS)テストの検討が必要であろう。本研究は前述の両テストの信頼性を検討することを

目的とする。若年女性 78 名(18.4±1.3 歳, 158.2±5.5m, 49.4±7.9kg)がHS およびOTS テストを 5 試行

ずつ実施した。姿勢保持テストの測定値の分布は対数正規分布に近いと報告されている。両テストの測定値

の分布は正規性が保証されなかったが、対数変換前後の値を用いて級内相関係数(ICC)を算出した。HS お

よびOTS の ICC は 5 試行で対数変換前:0.28, 0.36、後:0.31, 0.45、最大最小を除いた 3 試行で対数変換前:

0.42, 0.68, 後:0.54, 0.73, 最大 3 試行で対数変換前:0.48, 0.48, 後:0.53, 0.63, 最大 2 試行で対数変換前:

0.68, 0.58, 後:0.69, 0.73 となった。結論として、正規分布を仮定できないHS およびOTS テストでは、対

数変換後の値を用いた最大 2 試行の値で評価することで十分な信頼性が確認される。

P-22

慣性センサによる身体運動キネマティクスの時空間解析

○小林秀紹(札幌国際大学)

身体運動のキネマティクスは一般に光学式の測定が行われてきた。一方,慣性センサを用いた方法は簡便

かつ測定範囲の制限を受けない計測が可能である。慣性センサから得られる身体運動計測情報は,加速度や

角速度であり,角速度の積分演算や重力加速度の変換からデータを得ることができる。また時間軸に沿って

変化する現象は動的時系列解析によって分析される。急激な変化が生じたり,非線形性を示すデータ等身体

運動における神経系サイバネティックス系の体力を評価する場合は,時間の要素を含む時空間解析の適用が

望ましい。本研究は,非周期的な運動について時間情報を含めた分析を慣性センサから得られる情報の解析

を試みた。本研究の結果,並進加速度,ドリフトによる誤差を補正した結果を推定することができた。慣性

センサによる時空間解析によって,測定誤差が少なく且つ環境を選ばない身体運動計測が可能であり,新た

なスポーツ現場における測定精度の高い測定方法が提案できると考えられた。

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P-23

バーチャルリアリティを用いたサッカー審判員の認知パフォーマンステストの開発

— 集中力テストとの関係性の検証 —

◯山内宏志(国際基督教大学),清水安夫(国際基督教大学),太田啓路(国際基督教大学)

近年、サッカー審判員の判定の正誤について議論になることも少なくない。一方、試合中における一瞬の

プレーの判定、またその判定に対する評価は極めて困難であり、実践的な判定能力の評価法の開発が急務で

ある。そこで本研究では、競技中のプレーを再現できるバーチャルリアリティ映像テスト(VRT)による判

定能力評価の開発を目的とした。さらにVRT による判定能力と集中力(グリッドエクササイズテスト:GET)との関係性について検討した。対象者は、サッカー審判員 18 名(年齢; M= 20.5 歳, SD=1.15,審判歴; M=5.2年,SD=2.1)であり、VRT と 3 回のGET を実施した。重回帰分析の結果、VRT 得点と 1 回目のGET 得点

の間に有意な重決定係数(R2=0.220, p<0.05)および負の偏回帰係数(β=-0.470, p<0.05)が認められた。

この結果から、GET 得点が高くなると VRT 得点が低下することが推察された。つまり、一点に高い集中力

を発揮する審判員の場合、ボールと複数の競技者とを総体的に認知し判断することが阻害され、プレーの判

定に負の影響を与える可能性が示唆された。

P-24

レジスタンストレーニングおよびプライオメトリクストレーニングが

高校サッカー選手の様々な体力要素に及ぼす影響

~指導者への筋力トレーニングに関する調査も踏まえて~

○内田裕希(滋賀大学大学院)、松田繁樹(滋賀大学)

本研究では、まず高校サッカー指導者を対象に筋力トレーニング(筋トレ)に関するアンケート調査を行

った。全てのチームが筋トレを行っていたが、回答者の 92.5%がその内容は腹筋などの補強程度と回答し、

マシーンを用いた本格的な筋トレやプライオメトリクストレーニングを行っていると回答した者は少なかっ

た(20~30%)。この結果を踏まえ、8 週間のレジスタンストレーニング(RT)およびプライオメトリクストレ

ーニング(PT)が高校サッカー選手の様々な体力要素に及ぼす影響を検討した。被験者は介入群と対照群に分

けられ、介入群は通常のトレーニングに加えてRT を週 2 回、PT を週 1 回行い、対照群は通常のトレーニン

グのみ行った。体組成、柔軟性、敏捷性、全身反応、パワー、筋力、スプリント、持久力がプレとポストで

測定された。向上率については、敏捷性、筋力、持久力において介入群が対照群より有意に高値を示した。

また、介入群は筋肉量、敏捷性、筋力、持久力において、ポスト時に向上した者の割合が対照群より有意に

高かった。

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P-25

男性勤労者における簡易筋力トレーニング実践の体力変化

○佐藤敏郎(新潟医療福祉大学)

本研究は、N県S市の働き盛りからの筋力トレーニング推進事業に参加した男性勤労者 20 名を対象に、簡

易筋力トレーニングの介入効果および、実施率と介入前後の体力の変化量との関係について検証した。対象

者に9項目の簡易筋力トレーニングとストレッチングの実施方法を説明し、約 50 日間職場および自宅等で行

うように指示した。対象者には介入前後で 11 項目の体力測定を行い、対応のあるt検定の結果、握力、脚伸

展筋力、上体起こし、長座体前屈に有意差が認められた。また、簡易筋力トレーニング実施率と介入前後の

体力の変化量との相関分析の結果は、かかと上げの実施率と閉眼片足立ちの変化量、腕立て後ろ向きの実施

率と背筋力の変化量、壁タッチの実施率と上体起こしの変化量に有意な相関が認められた。これらのことか

ら、簡易筋力トレーニング介入によって体力の向上効果が認められ、実施率と介入前後の体力の変化量の関

係からみても、男性勤労者の体力の維持・向上に有用であることが示唆された。

P-26

幼児期の裸足保育が前後足圧荷重割合に及ぼす影響

~男児を対象に~

○松田繁樹(滋賀大学)、春日晃章(岐阜大学)、花井忠征(中部大学)、出村友寛(仁愛大学)

本研究の目的は幼児期の裸足保育が男児の前後足圧荷重割合(踵荷重)に及ぼす影響を明らかにすること

であった。被験者は、裸足保育を実施する園に通う男児 125 名(以下、裸足群)および裸足保育を実施して

いない園に通う男児 157 名(以下、非裸足群)であった。いずれの群の園児も年齢は5~6 歳であった。裸足

群の園児は登園後の室内の活動は年間を通して、裸足で活動していた。前後足圧荷重割合の測定にはフット

ビュークリニックを利用した。被験者は測定器上にて裸足で両手を体側に自然に垂らした直立姿勢を 10 秒間

保持した。踵荷重の評価には左右足それぞれの後部足圧荷重割合を利用した。後部足圧荷重割合の群間差お

よび年齢差を検討するため、二要因ともに対応のない二要因分散分析を行った。後部足圧荷重割合は左足で

は裸足群 64.5、非裸足群 67.5、右足では裸足群 62.0、非裸足群 66.3 であった。後部足圧荷重割合は両足と

も裸足群が非裸足群より有意に低値を示した。幼児期の裸足保育は男児の前後足圧荷重割合に影響を及ぼし、

後部の足圧荷重割合を少なくする可能性がある。

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P-27

幼児のジャンケン選択反応時間の年齢差及び指示条件間差

〇横谷智久、野口雄慶、杉浦宏季(福井工業大学スポーツ健康科学部)

本研究の目的は、幼児の両脚ステップ動作を利用したジャンケン選択反応時間の年齢差及び指示条件間差を

検討することであった。被験者は、健常な4歳の男児12名及び女児9名、5歳の男児17名及び女児18名、6

歳の男児7名及び女児14名であった。被験者には画面上に表示されるグー、チョキ、パーの絵に対し、事前

に指定された3つの条件(あいこ、勝ち、負け)の答えを選択し正しい答えのシートへ移動(両脚ステップ)

するよう指示した。評価変数は反応時間とし、いずれの条件も 5 試行実施し、最高及び最低値を除いた 3 試

行の平均値とした。一要因にのみ対応のある二要因分散分析(年齢×指示条件)の結果、負け条件では 4、5

歳より6歳の方が有意に速かった。また、4、5歳では、あいこ条件、勝ち条件、負け条件の順に、6歳では、

あいこ条件が勝ち条件及び負け条件よりも有意に速かった。以上、幼児の両脚ステップ動作を利用したジャ

ンケン選択反応時間は、条件により加齢変化の傾向が異なり、年齢により条件間の差異の傾向も異なること

が明らかにされた。

P-28

幼児におけるボール投速度の信頼性

○青木宏樹(福井工業高等専門学校)、出村慎一(金沢大学)、内田雄(仁愛女子短期大学)、

嶋山進一(金沢美術工芸大学)

幼児の投速度の信頼性はボールの大小及び男女で異なる可能性がある。本研究の目的は、6 歳の男児 31 名

及び女児 24 名を対象に、ボールの投速度の信頼性をテニスボールとソフトボ-ル間及び男女間で比較・検討

することであった。幼児が、前方 5m に設置された野球用のティーネットの中心に向かって、硬式テニス(直径 6.8cm、重量 58.5g)及びソフト(直径 8.5cm、重量 141g)ボ-ルをオーバーハンドスローにより全力で投球

した時、ネット後方から投速度をスピードガンにより測定した(各条件で 2 試行)。測定値の級内相関係数(ICC)はテニスボールでは男児 0.78、女児 0.73 で、ソフトボールでは男児 0.78、女児 0.60 と比較的高かった。ボ

ール及び男女の ICC(ピアソン相関係数と仮定)間に有意差は認められなかった。以上、6 歳児のボール投速度

の信頼性は比較的高く、ボールの大きさの違いにより差がなく、また性差もないと判断された。