4
IFU-CDC-001-AA-10 1 / 4 2020 年 3 月改訂(第 10 版) 承認番号:21900BZX01323000 2019 年 10 月改訂(第 9 版) 機械器具(30) 結紮器及び縫合器 高度管理医療機器 非吸収性血管用吻合連結器 JMDN コード:18137003 PAS・Port システム 再使用禁止 【警告】 使用方法 (1) 適用条件を満たす静脈グラフトであっても伸展性の小さい血 管の場合には使用できない可能性がある。特に血管径の細 い静脈グラフトの場合は伸展性に注意すること。[本品のステ ープルの径は 4.65mm であるため、4.65mm 未満の血管径の 静脈グラフトの場合、本品の吻合により血管径が拡張される ため。] (2) 吻合時、デリバリーツールの操作は一人で行うこと。[デリバリ ーツールは一人で中央部を把持し操作を行うよう意図されて おり、二人以上で把持・操作するとデリバリーツールのロック 部や先端部の開放部に手が掛かり、デリバリーツールの稼 動が阻害され、展開不全等につながるおそれがあるため。] 【禁忌・禁止】 1. 適用対象 以下の場合には使用しないこと。 (1) 傍大動脈超音波検査(Epi Aortic Echo)等の検査により上行 大動脈の状態を確認し、大動脈壁の石灰化、解離、大動脈内 膜のプラーク、滲出液、その他損傷等がある場合[吻合時にス テープルの展開が阻害され、吻合不全等につながるおそれ があるため。] (2) 従来の外科的吻合術が施行できないと判断される場合[吻合 時にステープルの展開が阻害され、吻合不全等につながるお それがあるため。] (3) 本品による吻合開始時に、平均大動脈圧が 50mmHg 未満の 場合[平均大動脈圧が 50mmHg 以下の場合、大動脈にたわ みが生じ、デリバリーツール先端部のカッターが稼動する際、 大動脈後壁を損傷するおそれがあるため。] (4) 金属(特にニッケルやクローム)に対するアレルギーの既往歴 のある患者。[本品のステープルは SUS316L ステンレス鋼製の ため。] (5) 本品の下行大動脈への適用 [本品を下行大動脈へ適用する 場合、視野や吻合面積が制限される。そのため、デリバリーツ ールを大動脈壁に対し垂直に把持し、デリバリーツール先端 を大動脈壁に密着させた状態を吻合終了まで保持することに 支障を及ぼし、ステープルの展開不全等につながるおそれが あるため。またその結果、ステープルがデリバリーツールから 切り離されなかったり、切り離されたステープルが吻合部から 抜けるなど、大動脈壁と静脈グラフトの適正な吻合を確保でき ないため。] (6) 次の適用条件に合致しない患者に対しては使用しないこと。 1) 静脈グラフトの適用条件 外径:4.0-6.0mm[静脈グラフトの裂け若しくは展開不全につ ながるおそれがあるため。] 両壁の厚み:1.4mm 以内(2 枚の厚みの合計)[タインに正し く反転できないおそれがあるため。] 大動脈との吻合部端より約 15mm 以内に静脈弁及び側枝が ないこと。[吻合後に血流を妨げるおそれがあるため。] 2) 大動脈の適用条件 外径:18mm 以上。[デリバリーツール先端部のカッターが前 進し大動脈壁を切開する際、約 14mm 突出することから、外 径 18mm 未満の大動脈に適用すると、大動脈後壁を損傷す るおそれがあるため。] 壁の厚み:1-4mm 以内。[4mm 超の場合、デリバリーツール のカッターで切開できないおそれがあるため。] 吻合部周囲の直径 25mm の範囲に通常の冠動脈バイパス 術の吻合に適さない疾患(解離・石灰化等)や損傷がないこ と。[吻合時にステープルの展開が阻害され、吻合不全等に つながるおそれがあるため。] 吻合部周囲の直径 40mm の表面に肥厚した脂肪組織等が ないこと。[吻合時にステープルの展開が阻害され、吻合不 全等につながるおそれがあるため。] 2. 使用方法 再使用、再滅菌禁止。 【形状・構造及び原理等】 1. 構成品及び原材料 番号 構成品名 原材料 デリバリーツール ポリカーボネート、ステンレス鋼、 ナイロン、ポリオレフィン ポークスルーツール (2 個) ポリカーボネート、 ポリエステルフィルム プルスルーツール ポリカーボネート、 ステンレス鋼 カートリッジ(吻合用ス テープル付き) ポリカーボネート、 ステンレス鋼(SUS316L)、 ナイロン、ポリエステル 2. 原理等 本品のデリバリーツールのノブを回転させると、内蔵のカッターが高 速回転しながら瞬時に大動脈壁に約 3.3mm の切開口を開け、その 切開口を即座にイントロデューサで保持する。さらに一定の速度で ノブを回転し続けることで、静脈グラフトの断端に接続された吻合用 ステープル(SUS316 ステンレス鋼製)がイントロデューサで保持され た切開口に進入する。進入した吻合用ステープルは大動脈切開口 を約 4.65mm まで拡張させながら、静脈グラフトを吻合用ステープル の内部フランジと外部フランジで大動脈壁に固定し、吻合を完成さ せる。 【使用目的または効果】 本品は、冠動脈バイパス術において、大動脈壁に静脈グラフトを吻 合するためのシステムである。 【使用方法等】 1. 静脈グラフトの採取 (1) 通常の冠動脈バイパス術に使用する静脈グラフトの採取方法によ り採取を行うが、側枝の結紮には金属クリップ等を使用せず、4-0 以下の縫合糸にて行うこと。 先端 後部 プルスルーツール鉤 ロック(背面) ストップクリップ トレー ガイドクリップ * **

PAS・Portシステム - info.pmda.go.jp · ifu-cdc-001-aa-10 1 / 4 2020年3月改訂(第10版) 承認番号:21900bzx01323000 2019年10月改訂(第9版) 機械器具(30)

  • Upload
    others

  • View
    10

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: PAS・Portシステム - info.pmda.go.jp · ifu-cdc-001-aa-10 1 / 4 2020年3月改訂(第10版) 承認番号:21900bzx01323000 2019年10月改訂(第9版) 機械器具(30)

IFU-CDC-001-AA-10

1 / 4

2020 年 3 月改訂(第 10 版) 承認番号:21900BZX01323000

2019 年 10 月改訂(第 9 版)

機械器具(30) 結紮器及び縫合器

高度管理医療機器 非吸収性血管用吻合連結器 JMDN コード:18137003

PAS・Port システム 再使用禁止

【警告】

使用方法

(1) 適用条件を満たす静脈グラフトであっても伸展性の小さい血

管の場合には使用できない可能性がある。特に血管径の細

い静脈グラフトの場合は伸展性に注意すること。[本品のステ

ープルの径は 4.65mm であるため、4.65mm 未満の血管径の

静脈グラフトの場合、本品の吻合により血管径が拡張される

ため。]

(2) 吻合時、デリバリーツールの操作は一人で行うこと。[デリバリ

ーツールは一人で中央部を把持し操作を行うよう意図されて

おり、二人以上で把持・操作するとデリバリーツールのロック

部や先端部の開放部に手が掛かり、デリバリーツールの稼

動が阻害され、展開不全等につながるおそれがあるため。]

【禁忌・禁止】

1. 適用対象

以下の場合には使用しないこと。

(1) 傍大動脈超音波検査(Epi Aortic Echo)等の検査により上行

大動脈の状態を確認し、大動脈壁の石灰化、解離、大動脈内

膜のプラーク、滲出液、その他損傷等がある場合[吻合時にス

テープルの展開が阻害され、吻合不全等につながるおそれ

があるため。]

(2) 従来の外科的吻合術が施行できないと判断される場合[吻合

時にステープルの展開が阻害され、吻合不全等につながるお

それがあるため。]

(3) 本品による吻合開始時に、平均大動脈圧が 50mmHg 未満の

場合[平均大動脈圧が 50mmHg 以下の場合、大動脈にたわ

みが生じ、デリバリーツール先端部のカッターが稼動する際、

大動脈後壁を損傷するおそれがあるため。]

(4) 金属(特にニッケルやクローム)に対するアレルギーの既往歴

のある患者。[本品のステープルは SUS316L ステンレス鋼製の

ため。]

(5) 本品の下行大動脈への適用 [本品を下行大動脈へ適用する

場合、視野や吻合面積が制限される。そのため、デリバリーツ

ールを大動脈壁に対し垂直に把持し、デリバリーツール先端

を大動脈壁に密着させた状態を吻合終了まで保持することに

支障を及ぼし、ステープルの展開不全等につながるおそれが

あるため。またその結果、ステープルがデリバリーツールから

切り離されなかったり、切り離されたステープルが吻合部から

抜けるなど、大動脈壁と静脈グラフトの適正な吻合を確保でき

ないため。]

(6) 次の適用条件に合致しない患者に対しては使用しないこと。

1) 静脈グラフトの適用条件

① 外径:4.0-6.0mm[静脈グラフトの裂け若しくは展開不全につ

ながるおそれがあるため。]

② 両壁の厚み:1.4mm 以内(2 枚の厚みの合計)[タインに正し

く反転できないおそれがあるため。]

③ 大動脈との吻合部端より約 15mm 以内に静脈弁及び側枝が

ないこと。[吻合後に血流を妨げるおそれがあるため。]

2) 大動脈の適用条件

① 外径:18mm 以上。[デリバリーツール先端部のカッターが前

進し大動脈壁を切開する際、約 14mm 突出することから、外

径 18mm 未満の大動脈に適用すると、大動脈後壁を損傷す

るおそれがあるため。]

② 壁の厚み:1-4mm 以内。[4mm 超の場合、デリバリーツール

のカッターで切開できないおそれがあるため。]

③ 吻合部周囲の直径 25mm の範囲に通常の冠動脈バイパス

術の吻合に適さない疾患(解離・石灰化等)や損傷がないこ

と。[吻合時にステープルの展開が阻害され、吻合不全等に

つながるおそれがあるため。]

④ 吻合部周囲の直径 40mm の表面に肥厚した脂肪組織等が

ないこと。[吻合時にステープルの展開が阻害され、吻合不

全等につながるおそれがあるため。]

2. 使用方法

再使用、再滅菌禁止。

【形状・構造及び原理等】

1. 構成品及び原材料

番号 構成品名 原材料

① デリバリーツール ポリカーボネート、ステンレス鋼、

ナイロン、ポリオレフィン

② ポークスルーツール

(2 個)

ポリカーボネート、

ポリエステルフィルム

③ プルスルーツール ポリカーボネート、

ステンレス鋼

④ カートリッジ(吻合用ス

テープル付き)

ポリカーボネート、

ステンレス鋼(SUS316L)、

ナイロン、ポリエステル

2. 原理等

本品のデリバリーツールのノブを回転させると、内蔵のカッターが高

速回転しながら瞬時に大動脈壁に約 3.3mm の切開口を開け、その

切開口を即座にイントロデューサで保持する。さらに一定の速度で

ノブを回転し続けることで、静脈グラフトの断端に接続された吻合用

ステープル(SUS316 ステンレス鋼製)がイントロデューサで保持され

た切開口に進入する。進入した吻合用ステープルは大動脈切開口

を約 4.65mm まで拡張させながら、静脈グラフトを吻合用ステープル

の内部フランジと外部フランジで大動脈壁に固定し、吻合を完成さ

せる。

【使用目的または効果】

本品は、冠動脈バイパス術において、大動脈壁に静脈グラフトを吻

合するためのシステムである。

【使用方法等】

1. 静脈グラフトの採取

(1) 通常の冠動脈バイパス術に使用する静脈グラフトの採取方法によ

り採取を行うが、側枝の結紮には金属クリップ等を使用せず、4-0

以下の縫合糸にて行うこと。

先端 後部

プルスルーツール鉤

ロック(背面)

ストップクリップ

トレー

ガイドクリップ

*

**

Page 2: PAS・Portシステム - info.pmda.go.jp · ifu-cdc-001-aa-10 1 / 4 2020年3月改訂(第10版) 承認番号:21900bzx01323000 2019年10月改訂(第9版) 機械器具(30)

IFU-CDC-001-AA-10

2 / 4

(2) 静脈グラフトは一方の断端をクリップ等で把持し、もう一方より生理

食塩液を注入し、グラフト全体を確認する。また膨らませた状態で

VAG ゲージにて静脈グラフトの外径を測定し、生理食塩液を抜い

た状態にて静脈グラフト壁の厚みを測定する。

(3) 静脈グラフトの大動脈との吻合部断端より約 15mm 以内に静脈弁

や側枝がないことを確認する。

(4) 静脈グラフトを目的の長さに整える。静脈グラフト断端の切断面が

綺麗に切断されていることを確認すること。

(5) 準備した静脈グラフトを使用するまで生理食塩液の中に浸してお

く。

2. 大動脈の吻合部の準備

(1) VAG ゲージを用いて大動脈の直径が 18mm 以上であることを確

認する。18mm 未満の場合、本品を使用することはできない。

(2) 大動脈側吻合部周囲の直径 25mm 以内に疾患(解離・石灰化等)

や損傷等がないことを確認する。また吻合部位周囲の直径 40mm

の表面に肥厚した脂肪組織等が存在する場合には取り除くこと。

3. PAS・Port システムの開封

(1) 本品はトレーに収納され、ポリエチレンナイロンフィルムで包装さ

れている。開封前に、包装材料及びトレーに損傷などの異常がな

いか、また有効期限が期限内であるか確認すること。包装材料より

トレーを清潔操作にて取り出す。カートリッジ先端の 9 本のタイン

に曲がりや歪みがなく、まっすぐで平行になっているかを確認する。

9 本の内 1 本でも曲がったり斜めになっている場合は使用しない

こと。

(2) トレーを清潔野に移し蓋を取り外す。本品の構成品はトレーに入

れたままにしておくこと。

4. 静脈グラフトのローディング

(1) 静脈グラフトのカートリッジへのローディングはトレーにセットされた

ままの状態で行うこと。

(2) カートリッジ後部より生理食塩液をフラッシュする。

(3) 生理食塩液に浸された静脈グラフトをカートリッジのハンドル後部

から出ているプルスルーツールの鉤で挟み込み、プルスルーツー

ルのハンドル部をロックする。その状態で静脈グラフトを軽く引き、

ロック状態の鉤から外れないことを確認する。この間、ストップクリッ

プは外さないこと。

(4) プルスルーツールのハンドル部を持ち、カートリッジに静脈グラフ

トを引き込む形でプルスルーツールを引き、カートリッジ先端より静

脈グラフト断端が約 8mm 出るまで引き出す。

(5) カートリッジ先端より約 8mm 引き出した静脈グラフト断端の、プル

スルーツールの鉤で挟み込んでいる部分を切除する。切除後、カ

ートリッジ先端より出ている静脈グラフト断端が 5mm 程度になるよ

うにする。

(6) ストップクリップをトレーより取り外す。

5. ポークスルー

(1) 先端の細い摂子を 2 本用意する。

(2) 摂子を用いてカートリッジ先端より 5mm 程出ている静脈グラフト断

端をつまみ、カートリッジ先端の金属部上に反転させる。カートリッ

ジ先端に反転させる静脈グラフトの部分が 2mm 以上 5mm 以下に

なるようにすること。

(3) カートリッジ先端に対し静脈グラフトが正しく反転されているかを確

認するため、カートリッジをトレーより慎重に取り出し目視にて先端

を確認する。

(4) 正しく反転できていることを確認の上、カートリッジをトレーの元の

位置にはめ込むように戻す。

(5) トレーに 2 個梱包されているポークスルーツールのうち 1 個を取り

出す(1 個は予備)。カートリッジ先端側のトレーにある溝にポーク

スルーツールの台座部分を合わせ、筒状の突起をカートリッジ先

端に向けて置く。

(6) ポークスルーツールを溝に沿ってカートリッジ先端方向に進め、ポ

ークスルーツールの筒状の部分がカートリッジ先端に反転させた

静脈グラフトを覆うように押し込む。この際、カートリッジのシャフト

部がトレーの溝にはめ込まれた状態のまま動かないように片手で

シャフト部を固定しながら、もう一方の手で慎重にポークスルーツ

ールを操作すること。

(7) ポークスルーツールの筒状の部分がカートリッジ先端を覆うように

後まで押し進める。

(8) その後、ポークスルーツールを溝に沿って抜く。

(9) 再びカートリッジをトレーより慎重に取り出し、カートリッジ先端に反

転させた静脈グラフトに 9 本のタインがまっすぐに貫通していること

を確認する。貫通していない場合は未使用のポークスルーツール

を用いて(5)からの手順を繰り返す。また、貫通した 9 本のタインの

内 1 本でも折れ曲がっている場合には本品は使用しないこと。

(10) 吻合の実施まで時間がある場合には、静脈グラフトの乾燥を防止

するためカートリッジをトレーの元の位置に戻し、カートリッジの先

端及び後部にあるトレーの溝一杯に生理食塩液を満たす。その

際、デリバリーツールが生理食塩液に浸らないように気をつけるこ

と。

6. カートリッジのデリバリーツールへのセット

(1) 大動脈側の準備が整ったら、カートリッジをトレーから慎重に取り

出す。デリバリーツールはトレーから取り出さず以下の操作を行う

こと。

(2) カートリッジの先端をデリバリーツールのガイドクリップ上の溝に沿

わせ、デリバリーツール内にスライドさせながら挿入する。カートリ

ッジ先端を損傷しないように気をつけること。

(3) カートリッジをデリバリーツールに完全にセットする前に、ガイドクリ

ップを取り外す。

(4) デリバリーツールにカートリッジを押し込むように完全にセットする。

その際、「カチッ」という音と共にデリバリーツールの先端からカッタ

ーの一部が突出し、後部にあるノブが少し回転する。一旦セットし

たカートリッジは取り外せない。

7. 吻合の実施

(1) 吻合の実施に移る前に、大動脈圧が平均 50mmHg 以上を保って

いることを確認すること。

(2) カートリッジをセットしたデリバリーツールをトレーより取り出す。デリ

バリーツール先端よりカッターの針部が突出しているので損傷しな

いように注意すること。

(3) 術野にてデリバリーツール背面にある灰色のロックをノブより遠ざ

ける方向へスライドし解除すること。カートリッジが正しくデリバリー

ツールにセットされていないとロックが解除できない。ロックを解除

後、吻合を実施するまでノブを回転させないこと。

(4) 大動脈側の吻合部位に対してデリバリーツールを 90 度になるよう

に位置させ、突出しているカッターの針部を大動脈壁に刺す。

(5) デリバリーツール先端の開窓部を術者側に向け把持する。

(6) ノブを一定速度で時計回りに 後まで(約 412 度)回転させ吻合

を完了させる。ノブを 後まで回すとノブ上の矢印が静脈グラフト

をローディングしたカートリッジ後端の入口部の方向を指す。ノブ

を回転させることで大動脈の切開及び吻合が行われるのでノブを

完全に回し終わるまではデリバリーツール先端を大動脈に対し 90

度に密着させ保つこと。[不必要に押しつけたり浮かせたりすると

吻合に支障を来たすおそれがあるため。]

(7) 吻合が完了したら吻合部にテンションをかけない目的、及び静脈

グラフト内の血流を一時的に遮断する目的で静脈グラフトの袂を

摂子で把持し、慎重にデリバリーツールを引き上げ、静脈グラフト

をデリバリーツールから出す。

(8) デリバリーツールを完全に取り除き、静脈グラフトの断端を一時的

にクリップ等で把持し、血流を遮断する。

8. 吻合部位の確認と処置

(1) 吻合部位及び静脈グラフトからの出血がないことを確認すること。

(2) 吻合部位からの出血が認められる場合、術者の判断で、巾着縫

合を加え止血を試みることが可能である。

(3) 巾着縫合で漏れが改善されない場合はサイドクランプをかけ、吻

合部位の露出している金属部を丁寧に摂子等で潰し、取り除くこ

と。

(4) 新たな「PAS・Port システム」を用いて吻合を行う場合には位置を

ずらして行うこと。同じ部位での吻合は実施せず、切開口はステー

プルを取り除いた後修復すること。

【使用上の注意】

1. 重要な基本的注意

(1) 全般的な注意

1) 包装材料に傷を付けたり、ピンホールを生じさせないように注意

すること。

Page 3: PAS・Portシステム - info.pmda.go.jp · ifu-cdc-001-aa-10 1 / 4 2020年3月改訂(第10版) 承認番号:21900bzx01323000 2019年10月改訂(第9版) 機械器具(30)

IFU-CDC-001-AA-10

3 / 4

2) カートリッジ先端部の 9 本のタインに曲がりや歪みがなく、まっす

ぐで平行になっているか確認すること。9 本の内 1 本でも曲がっ

たり斜めになっている場合は使用しないこと。[静脈グラフトの装

填やポークスルーが適切に行えず、結果として静脈グラフトの大

動脈壁への吻合が不能または不完全となるおそれがあるため。]

3) 静脈グラフトをカートリッジ及びステープルに取り付け、デリバー

ツールへの装填が準備されるまで、全ての構成品は包装トレー

から取り出さないこと。

4) カートリッジをデリバリーツールにセットすると、取り外すことはで

きない。

5) 本品における吻合は一回しか行えないため、事前の稼動テスト

等は実施できない。

6) デリバリーツール先端部のカッターに接触しないこと。

7) デリバリーツールの操作時にデリバリーツール先端部の開放部

を把持したり触れたりしないこと。[デリバリーツールの稼動が阻

害され、ステープルの展開に影響を与える可能性があるため。]

8) デリバリーツールの操作時にロック部を把持したり触れたりしない

こと。[ロックが作動するなどし、デリバリーツールの稼動が阻害さ

れ、ステープルの展開に影響を与える可能性があるため。]

9) デリバリーツールは大動脈壁に対し垂直に保持し、デリバリーツ

ール先端を大動脈壁に密着させた状態を吻合終了まで保つこと。

垂直に保持できない状況、部位においては本品を使用しないこ

と。[内部フランジが大動脈内腔まで到達しなかったり、大動脈に

たわみが生じたりし、大動脈切開及びステープルの展開が阻害

されるおそれがあるため。]

10) 静脈グラフトのキンクを 小限にするため、静脈グラフトの長さ

や大動脈壁の吻合部の位置には、十分注意すること。静脈グラ

フトの長さ:近位側吻合から末梢吻合までの必要十分な長さを

設定すること。大動脈壁の吻合部の位置:静脈グラフトにキンク

やねじれ等無理なテンションが掛からないようにすること。

11) 本品にて吻合するに当たり、事前に大動脈壁に切開口を開け

ないこと。[本品は、吻合時の一連の動作にて、大動脈壁に自動

的に切開口を形成するため。]

(2) 静脈グラフトの採取に関する注意

1) 側枝の結紮には金属クリップ等を使用せず、4-0 以下の縫合糸

にて行うこと。

2) 側枝結紮の際には側枝の根本で結紮し、側枝処理断片が玉の

ように大きくなり過ぎないようにすること。

3) 反転しにくい場合にはその静脈は使用しないこと。

4) 静脈グラフト上に瘤や側枝より大きな分岐部分がある場合には

カートリッジ内で詰まるおそれがある。

5) 静脈グラフト外膜に付着する過剰組織は全長に渡ってきれいに

トリミングすること。

(3) 静脈グラフトのローディングに関する注意

1) 静脈グラフトのカートリッジへのローディングはトレーにセットされ

たままの状態で行うこと。

2) 静脈グラフトが適用基準を満たすサイズでも反転が困難な場合

や、大きな抵抗が生じたりする場合、本品の使用を中止し、通常

の手縫いによる方法に切り替えること。

3) 静脈グラフトの保湿やカートリッジのフラッシュなどに血液を使用

しないこと。[静脈グラフト内での血栓発生や静脈グラフトと本品

の癒着の原因となるため。]

4) 静脈グラフトをカートリッジから適度な力でスムーズに引き出せな

い場合(強い力を要したり、引っかかりがある場合)、使用しない

こと。[静脈グラフトが損傷している可能性があるため。]

(4) ポークスルーに関する注意

1) 9 本のタインは曲げたり損傷させたりしないよう注意すること。また

9 本の内 1 本でも折れ曲がっている等、損傷が見られる場合に

は使用しないこと。

2) ポークスルーツールは溝に、カートリッジ(ステープル含む)は定

位置にはめ込まれた状態でポークスルーを行うこと。この際、カ

ートリッジのシャフト部がトレーの溝にはめ込まれた状態のまま動

かないように片手でシャフト部を固定しながら、もう一方の手で慎

重にポークスルーツールを操作すること。[ポークスルーツールと

カートリッジ(ステープル含む)が正しい位置にないとタインを損

傷させるおそれがあるため。]

3) ポークスルー後、静脈グラフトが正しく反転されていなかったり、

タインや静脈グラフトが損傷していたり、または 9 本のタインに貫

通していない場合(2 個目のポークスルーツールを使用しても、

まだなお不完全な場合)は、その静脈グラフトは使用しないこと。

[そのまま使用すると、吻合部からの出血等を伴う不完全な吻合

の原因となるため。]

(5) カートリッジのデリバリーツールへのセットに関する注意

1) ステープル及び静脈グラフトを損傷しないよう注意すること。

2) 一旦デリバリーツールにセットしたカートリッジは取り外すことは

できない。

3) 事前に生理食塩液でカートリッジ内を十分フラッシュすること。

(6) 吻合の実施に関する注意

1) 使用直前にデリバリーツールのロックをノブより遠ざける方向へス

ライドし、解除すること。ロックを解除後、吻合を実施するまでノブ

を回転させないこと。デリバリーツールのロックは、カートリッジが

正しくデリバリーツールにセットされていなければ解除できない。

2) デリバリーツール先端部のカッターの針部を、確実に大動脈壁

に刺入したことを開放部より確認すること。[針部が完全に刺入し

ていない場合、大動脈切開が不完全となり、吻合ができない可

能性があるため。]

3) 大動脈切開を行ったカッターが切開口にイントロデューサーチッ

プを残しデリバリーツールに収納された瞬間、切開口からイント

ロデューサーチップを介し、デリバリーツール先端の開放部に見

える透明のケース内に血流が勢い良く逆流してくる。このとき血

液の逆流がなかったり逆流速度が遅い場合、大動脈切開が不

完全なおそれがある。ノブの回転を止め、切開を実施した部位

にサイドクランプをかけること。切開口からの出血を止め、デリバ

リーツールを取り除くこと。また逆流がなかった場合、以下の(7)

7)の方法によりステープルを取り外す必要がないか検討すること。

4) 吻合時、外部フランジに横からの強い力が掛からないよう注意す

ること。[外部フランジに横からの強い力が掛かると、外部フラン

ジが曲がって展開されるなど吻合の失敗につながるおそれがあ

るため。さらに変形した外部フランジにより、吻合部周辺組織が

損傷したり、静脈グラフトが損傷、キンクあるいは閉塞したりする

おそれがあるため。]

5) デリバリーツールを引き上げる際、吻合部位にテンションがかか

らないように、吻合部位に近い静脈グラフトを摂子等で把持しな

がら行うこと。またデリバリーツールを引き上げる際は、ねじらず

にまっすぐ引き上げること。

6) 吻合後、デリバリーツールを取り除くときに吻合したステープル

に触れないようにすること。[ステープルが外れたり損傷したりす

るおそれがあるため。]

(7) 吻合部位の確認と処置に関する注意

1) 吻合後、外部フランジ(9 本)が正しく展開され、大動脈壁にしっ

かりと密着していることを確認すること。[外部フランジが曲がって

いたり、大動脈壁にしっかりと密着していない場合、適切に吻合

されていない可能性があるため。]

2) 吻合後、吻合部や静脈グラフトから出血がないことを確認するこ

と。[出血がある場合、適切に吻合されていないため。]

3) 吻合後、静脈グラフト断端より十分な血流が得られているか確認

すること。血液が流れなかった場合、以下の 7)の方法により、ス

テープルの取り外しを検討すること。

4) ステープルが正しく展開されていなかった場合、以下の 7)の方

法により、ステープルを取り外すこと。

5) 吻合後、吻合部の止血が確保されない場合、以下の 7)の方法

により、ステープルの取り外しを検討すること。

6) 吻合後、ステープルに接触や、静脈グラフトを引っ張るなど、ス

テープルに負荷がかかるような操作は行わないこと。また、外部

フランジが正しく展開されていても大動脈壁に密着していない場

合、外部フランジの修正を行わずに、以下の 7)の方法によりステ

ープルの取り外しを検討すること。

7) 吻合が不完全でステープルを取り除く際は、サイドクランプにより

血流を遮断の上、ニードルホルダーや摂子等を用いて、ステー

プルを中心に向かって潰して取り除くこと。またその切開口は修

復し、同じ切開口に新たな「PAS・Port システム」を用いての吻合

は行わないこと。

2. 不具合・有害事象

(1) 重大な不具合

1) 吻合時、ステープルの損傷(外部フランジの曲がりなど)

*

Page 4: PAS・Portシステム - info.pmda.go.jp · ifu-cdc-001-aa-10 1 / 4 2020年3月改訂(第10版) 承認番号:21900bzx01323000 2019年10月改訂(第9版) 機械器具(30)

IFU-CDC-001-AA-10

4 / 4

2) 吻合後、吻合したステープルの損傷

3) 吻合時、内部フランジ及び/又は外部フランジの展開不全。並

びにそれに伴うステープルのデリバリーツールからの離脱不全、

及び離脱したステープルの吻合部からの脱着など。これらの場

合、大動脈と静脈グラフトの適正な吻合を確保できない。

4) ノブの回転不良

5) 機器の破損

(2) 重大な有害事象

1) 血管の吻合不全

2) 血管の痙縮

3) 吻合部からの出血や血液の漏れ

4) 大動脈及び静脈グラフトの損傷、静脈グラフトのキンクや閉塞

5) 冠動脈バイパス術に関連した固有のリスクとして、狭窄や閉塞な

どがある。これらのリスクは患者の健康状態により異なる。

6) ステープルの展開不全の結果として、カッターによる大動脈壁の

穿孔部の残存及び穿孔部からの出血

7) 解離

8) 血栓

9) 心筋虚血及び心筋梗塞

10) 神経系障害(一過性脳血管発作、脳卒中など)

11) 感染症

【保管方法及び有効期間等】

1. 保管の条件

高温、多湿、直射日光及び水濡れを避けて保管すること。

2. 有効期間

本品の外箱の表示ラベルに記載。

【製造販売業者及び製造業者の氏名又は名称等】

製造販売業者:センチュリーメディカル株式会社

電話番号:03-3491-1095

ファックス番号:03-3491-1157

外国製造業者:エースクラップ エージー社

(Aesculap AG)

国名:ドイツ連邦共和国

**