Title 京大広報 No. 492

Author(s)

Citation 京大広報 (1995), 492: 1042-1049

Issue Date 1995-10-15

URL http://hdl.handle.net/2433/209141

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Type Others

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Kyoto University

1995. 10. 15

No. 492 京都大学広報委 企』:zA

京都三年坂の陶器店（明治後期） 一関連記事本文1047ページー

目

＜紹介＞

オンラインユニパーシティ実験

ーマルチメディア通信の共同実験一……・・・・・・1043

京都大学の百年（第12回）

京都大学キャンパスの創設……－－・……・… ・・1043

日誌………… H ・H ・...・…－・・・……－……－ • • • ・1046

平成 7年度附属図書館展示会

「幕末・明治期肯写真等資料展ー忘れ

られた日本の風景，風俗ー」の開催・……………1047

、ルヲ〆i、

言卜報・…・…・…......・ H ・－… ・……・・・・・ ・…υ ……・・…・・1047

＜コラム＞

一石二鳥をねらって

坂 東 尚 周 …1048

＜随想＞

学部新設に携わって

名誉教授寺田 学...1049

-1042-

No. 492 京 大広報

＜紹介＞

オンラインユ二パーシテ ィ実験

マルチメディア通信の共同実験一

NTTのマルチメディア通信実験で提供されて

いる ATM回線を利用して京大，阪大，および早

大の教室 を結び，データベースやプレゼンテー

ション資料など計算機に答積された資源を活用す

る遠隔講義の公開実験を行った。講義の進行を支

援するシステムの操作性や映像 ・音声の品質につ

いては改良が必要であるが，大学の講義の交換，

大学からの情報発信なと今後の社会との｜刻わり

における大学のあり方に問題提起を行ったもので

ある。

全国の大学教授有志、らで構成している「21世紀

の情報通信を考える会」では，日本の将来の情報

通信のあり方に関して提言し，研究 ・教育を通し

て寄与していこうとしているが’何年秋からは

NTTのマルチメディア通信実験に参加して共同

で研究することにした。この研究には18大学， 二

つの企業の研究所が加わっており，超高速ネット

ワーク，超並列処理，先端的研究 ・教育支援シス

テム，情報ベース，ネットワークソフトウェアの

五つの課題で研究している。京都大学において

は， J.学部情報工学，同附属高度情報開発実験施

設，電気工学系，数理工学，大型計算機セン

ター，情報処理教育センターに所属する教官有志

が参加している。

去る 7月17日には，本学工学部情報工学教室講

義室，大阪大学基礎工学部情報工学科演習室，早

稲田大学理工学部 OLUプロジェクト室の 3か所

を， m-boneと称しているネ ッ トワーク構成に

よって，パブリックドメインの映像 ・音響放送シ

ステムを利用して媛続し 各サイトからのプレゼ

ンテーション，マルチメディアオンデマンドシス

テムや電子図書館，ニュースオンデマンドシステ

一京都大学の百年 （第12回）一

ム，ビデオオンデマンドシステムなど，それぞれ

のサイトから提供されたシステムの遠隔地からの

利用実験を公開で行った。 3か所とも 100名ある

いはそれ以上の参加者があり，熱心に実験を見学

されていた。また，テレビや新聞によっても報道

された。

これらの実験は，通信網によって時間と空間の

制約を取り除き，遠隔地にいても大学の講義や研

究指導を受けたり，図書館などの資料の閲覧や情

報の収集ができるなど，高度化する情報通信と情

報処理の応用の新しい可能性を示したものであ

る。また，本学において今年度の補正予算によっ

て進められている京都大学統合情報網（KUINS)

の超高速データ通信網の建設に関しでも，貴重な

経験を与えてくれた。

本研究のような新しい技術やシステムを実際に

応用するためには，技術の面だけではなく ，大学

の単位互換などの制度面，あるいは情報公開に伴

う著作権や版権などの知的所有権をはじめとする

各種の問題を，社会的合意の下に，解決すること

が必要である。多様化する今後の社会における大

学のあり方とも関連して，関係の方々のご意見ご

教示を賜りながら共に考えていくことができれば

幸いである。

（工学部）

京都大学キャンパスの創設

キャンパス創設のはじまりは，第三高等中学校が明治19(1886）年11月に大阪から京都に移転が決定

-1043一

京大広報 1995. 10. 15

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No. 492 京 大広報

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第三高等中学校吉田学舎建物配置図

吉田山から望んだ当時の建物の全貌

完成される明治22(1889）年ま

でには， 2万本近い植樹が行わ

れ，キャンパス南正面の，吉田

神社にいたる石垣等の外構，現

在復元されて大学の正門になっ

ている表門などが整えられた。

このキャンパスが，明治 30

(1897）年 9月に まず理工科大

学をもって開校された京都大学

のキャンパスとして，建物施設

ともどもそっくりヲ｜き継がれた

のである。そもそも第三高等中

学校創設時にすでにその将来を

大学にするべく予見されていた

とも伝えられている。旧本校正

面には，明治35年頃すで、に現在

の本部棟前を飾る，徳富蘇峰が

寄贈したと伝えられる“クスノキ”が構えられてあった。

この空間構成は，酋洋近世の記念的建造物に典型的であった透視的側lに基づくシンメトリーの備成に

ほかならないが，構成の重要な要素であるオープンスペースは，あたかも「空間恐怖」に取り付かれた

1045-

京大広報 1995. 10. 15

かのように，和風庭園の手法にならって植樹で埋め尽くされていく 。それは，空間的な擬洋式もしくは

和洋混合と言うことができ，理性的と言うよりはむしろ浪漫的な感覚的構成であり，これがキャンパス

全体の雰囲気として，その後ながく受け継がれるのである。

このように，第三高等中学校創設から，キャンパスを引き継いだ京都帝国大学の中心部は，現京大本

部構内の空間構造の骨格を決定し，さらにその他の地区の空間構成における一般的類型をほぼ確立して

いた。その後，第三高等学校，法科，医科，文科大学が，空間的にはほぼ現在のキャンパス全体にEっ

て類型的に展開されて行く 。それはしかも，明治40 (1907）年に大学建築部として営繕組織が設置され

る時期までに，日本各地に高等学校や大学を設計してきた文部省の直轄事業としてであった。大学の本

部棟になった旧第三高等中学校の本校は大正元 (1912）年10月に焼失，その跡地に同 4 (1915）年，現

在の本館本部棟が当時の最先端技術による鉄筋コンクリート構造で建築されるが，その基本的な空間構

成は前例を踏襲したものである。

（百年史編集委員会加藤邦男）

日 誌

(1995年9月1日一 9月30日）

9月5日 総合人間学部公開講出「人間 ・宗教・文化一 13日 同和・人権問題委員会

人間の生き方を考える一」（8日まで） 。 国際交流委員会

9日 超高層電波研究センタ一公開講座「電波で探 。 国際交流会館委員会

る字’由’と地球」 25日 学位綬与式

11日 平成7年度京都大学職員研修主任研修（14日 26日評議会

まで） イシ 大学院審議会

4ν スイス連邦 LucEdouard Weberジュネーヴ 内〉 平成 7年度京都大学職員研修語学研修（英

大学長他 I名来学，総長及び｜苅係教官と懇談 語 ・中級コース） (12月8日まで毎週火・金

12日 オランダ王国 J.M.M.Ritzen文部大臣他 7名 曜日総40時間）

来学，総長及び関係教官と懇談

1046一

No. 492 京大 広報

平成7年度附属図書館展示会 ； ~ 「幕末 明治期古写真等資料展一忘れられた日本の風景，風俗ー」の開催 ~

~ 本館では，標記展示会を開催いたします。 ~ ~ この資料展は，国立大学図書館協議会の主催により，長崎大学附属図書館の所蔵する幕末 明 ~ ~ 治期の日本各地の貴重な古写真をパネルにより展示するもので、す。

！ この中には初代帝国ホテル，神戸元町り，祇園四条通り，献のみやげ物時々幕末 明治 ~ ~ の日本各地の珍しい写真約I州のほか，本館の所蔵する関連資料も展示いたします。 ！ ？ なお，この写真展に併せて下記講演会も開催いたしますので，多数ご来l隠下さいo ~

0 展示 会 ：「幕末 ・明治期肯写兵等資料展一忘れられた日本の風景，風俗」 0

0 会期：平成 7年11116日（月）～11月12日（日）

月一金吋9時30分一午後 5時 ~ g ~ 土日 午 前10時一午後4時30分 0

（入場は開室30分前まで）

！ 会場 ：附属図書館展示ホール （3階）

~ 講演 会：「写された幕末維新」

g 講 師 ：国際日本文化研究センター

白1幡洋三郎 助教授 ； ！ 日時：平成7年間 8日（水） 。

午後 3時一 4時30分 8

~ 会場：附属図書館 AVホール（ 3階）

； （備考） 展示会，講演会とも一般公開で入場は無料です。 ；

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小林恒明教授

総合人間学部教授 小林恒明先生は， 9月21

日逝去された。享年620

先生は，昭和32年北海道大学農学部農業生物学

科を卒業，同大学助手を経て同48年本学教養部助

教授に着任，同63年同教授に就任された。平成4

年10月本学教養部の総合人間学部への改組後は，

生物 ・地球圏環境論講座を担任された。

先生は動物学，なかでも野ネズミ類を中心とし

（附属図書館） ！

た小崎乳類の系統分類学 ・生態学に関する研究に

おいて， 北海道にカラフトアカネズミの存在する

ことを発見されるなどの優れた研究業績を残さ

れ，その発展に寄与されるとともに，細胞遺伝

学 ・核学の分野においても多大の貢献をされた。

また，先生の野外調査研究活動の舞台は，日本

全国から，広く中国，東南アジア諸国におよび，

日本晴乳類学会においては国際交流委員等の要職

にあって活躍された。

ここに諮んで哀悼の意を表します。

（総合人間学部）

-1047ー