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各社のHCIの違い 今資料は、レノボのソリューション・サーバー製品に関する技術情報や お役立ち情報をお届けするLTN Blog Lenovo Technology Network 〜の 記事を再編集したものです。 HCIが各社から出ているかと思いますが、今回は(Lenovoで取り扱っている)HCIの違いについてお話します。 HCIの比較について HCIを比較する際、通常は右図のような比較表を よく見かけるかと思います。 こちらの比較表から見るとNutanixの対応ハイパー バイザーが多いなどの面でメリットがある反面、 NutanixでESXを利用したい場合はNutanixおよび ESXを両面で買わなければならないなどデメリッ トもあります。 どのような悩みを解決しているのか? どのソリューション(HCI)が最適なのか? HCIがそれぞれどのように違うのか? 果たして、HCIをそれぞれのベンダーのコストだ けで選ぶべきでしょうか。本質的にはどのような 観点で選択されるのかを考えて提案することが望 ましいと思われます。(たとえば以下のような観 点で) 今回は機能面(1-クリックアップグレードなど)での説明ではなく、それぞれのベンダーのアーキテクチャの観点 らお話します。特定ベンダーを推奨することはなく、一つの参考資料として読んで頂ければ幸いです。 基本的な技術を理解しましょう .ハイパーコンバージドはSDS上で動作します 以下の図はホストとストレージ部分に分けて示し ていますが、通常、ホストからiSCSI/NFSなどを 通じてストレージにアクセスすることになります。 左図は単にハイパーバイザーのホストとSDSの構図で すが、ハイパーコンバージドはストレージプールを形 成しているサーバの中にハイパーバイザーも含むよう にしてハードウェアを集約しています。 .データ保護と高可用性 ハイパーコンバージドのデータ保護と可用性は、右図の ようになります。 Nutanixの場合、RF2は1台のノード障害、RF3は2台の ノード障害を想定しています。 RF2の場合、1台のノード障害を想定すると倍の容量が 必要となります。RF3の場合は3倍になります。ハイ パーコンバージドを構成する場合は、共有ディスクで構 成するときに比べて容量が必要となります。

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Page 1: 各社のHCIの違い - Lenovo ThinkSolution...各社のHCIの違い 今資料は、レノボのソリューション・サーバー製品に関する技術情報や お役立ち情報をお届けするLTN

各社のHCIの違い今資料は、レノボのソリューション・サーバー製品に関する技術情報やお役立ち情報をお届けするLTN Blog 〜 Lenovo Technology Network 〜の記事を再編集したものです。

HCIが各社から出ているかと思いますが、今回は(Lenovoで取り扱っている)HCIの違いについてお話します。

HCIの比較について

HCIを比較する際、通常は右図のような比較表をよく見かけるかと思います。こちらの比較表から見るとNutanixの対応ハイパーバイザーが多いなどの面でメリットがある反面、NutanixでESXを利用したい場合はNutanixおよびESXを両面で買わなければならないなどデメリットもあります。

✅どのような悩みを解決しているのか?✅どのソリューション(HCI)が最適なのか?✅ HCIがそれぞれどのように違うのか?

果たして、HCIをそれぞれのベンダーのコストだけで選ぶべきでしょうか。本質的にはどのような観点で選択されるのかを考えて提案することが望ましいと思われます。(たとえば以下のような観点で)

今回は機能面(1-クリックアップグレードなど)での説明ではなく、それぞれのベンダーのアーキテクチャの観点からお話します。特定ベンダーを推奨することはなく、一つの参考資料として読んで頂ければ幸いです。

基本的な技術を理解しましょう

1.ハイパーコンバージドはSDS上で動作します

以下の図はホストとストレージ部分に分けて示していますが、通常、ホストからiSCSI/NFSなどを通じてストレージにアクセスすることになります。

左図は単にハイパーバイザーのホストとSDSの構図ですが、ハイパーコンバージドはストレージプールを形成しているサーバの中にハイパーバイザーも含むようにしてハードウェアを集約しています。

2.データ保護と高可用性

ハイパーコンバージドのデータ保護と可用性は、右図のようになります。Nutanixの場合、RF2は1台のノード障害、RF3は2台のノード障害を想定しています。RF2の場合、1台のノード障害を想定すると倍の容量が必要となります。RF3の場合は3倍になります。ハイパーコンバージドを構成する場合は、共有ディスクで構成するときに比べて容量が必要となります。

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3.パリティ処理について

2.で、データ保護の説明をしましたが、ハードディスクのRAIDのような構成も取ることができます。RAID5の構成をとる場合を以下のように示します。

この場合、1.33倍の容量が必要になりますが、実際にReplicationをとるようなデータ保護に比べてデータ容量の効率が上がります。

4.イレージャーコーディング

3.で記述した内容ですが、正確にはエレ―ジャーコーディングと呼ばれています。通常はディスク上にパリティを書き込んで障害時に残りのデータとパリティを元に欠損したデータ算出して完全なデータに生成できます。

右図はそのレプリケーション(Replication Factor)とイレージャーコーディングで必要な容量と信頼性について記載しております。

5.イレージャーコーディングの修復問題

データ容量の観点においては、Replicationで複製するよりもイレージャーコーディング(以下EC)の方が容量が少なくて済むと述べましたが、実際のノード障害時にどれだけの影響があるのかをまとめたのが右図の資料です。障害が発生し、修復までに転送されるチャンクがどれくらいになるのかを調べてみると、たとえばチャンクサイズが256MBの場合、一番下のケースで転送されるデータ容量は12x256MB=3GBになります。容量が増えればその分ECにしたときは復旧に時間を要することもあります。どちらを選択するかはサービスレベルによって決定した方がよいと考えます。

6.データの重複排除

データを複数回書き込みした時に、重複したデータを書き込まず、追加のポイントのみを格納して容量を削減します。通常はバックアップアプライアンスで利用されていますが、最近ではHCIで利用されています。(重複排除が売りのHCIもあります)

データ容量と可用性、また障害時のデータの復旧でそれぞれアーキテクチャが存在します。次は、各社においてこの違いがどのようになっているのかを説明していきたいと思います。

実装の違いを理解しましょう

1. 各社のイレージャーコーディングの違い

ここで各社のHCIにおけるEC実装について記載します。それぞれHCIのアーキテクチャに違いがありますが、内容について説明します。VMwareとNutanixについては先に説明した通りのECですが、Microsoftについては、若干異なるのでその内容を次ページに記載します。

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2. Microsoftのイレージャーコーディング

Microsoftについては、ミラーとパリティ付きのボリュームとなっています。ECに必要なノード数については各社ともに使用が異なります。またMicrosoftのS2Dにおいては必ずReFS(Resilient File System)が必要となります。

つまり、各社HCIを実現するために専用のファイルシステムで必要として、その整合性を保つために、各社チェックサムを用いています。

3. データローカリティとデータの分散

Nutanixのようにデータローカリティで仮想マシンからの書き込みを早く処理させる方式に比べ、Microsoftのアーキテクチャでは分散化することで、同時に2つのノードで障害があってもデータを復旧できるようになっています。もちろんどちらにもメリットはあるので、SLAなどを考えながらどちらを選ぶのか考えても良いかと思います。

4. ディスクのハンドリング

各社のストレージプールを構成する際にDiskをどのようにハンドリングしているのかは右図の通りです。それぞれの会社で異なるアーキテクチャになっており、特にSSDの利用は大きく違ってきます。IOPSなどにこだわる場合には一つ考えても良いところです。

5. ポリシーの違い

Nutanix/Microsoftについてはストレージコンテナ管理で共通ですが、VMwareについては仮想マシンにそれぞれポリシーを適用します。これを実装することにより影響を受けるのは、バックアップソフトウェアです。データをレストアする際に、ポリシーも含めてレストアを行う必要があります。最近はその対応もできているバックアップソフトウェアも増えてきており、Veeamもそのベンダーの一つになります。

6. ディスクのレイアウトNutanixとMicrosoftの実装は左側で、VMwareが右側になります。ストレージに詳しい方が見た場合、左側の方が管理しやすいと思われますが、仮想マシンをオブジェクトとして管理したりバックアップを行う際は右側も管理方法としては便利に思えるところはあります。それぞれのアーキテクチャがどのようなものに合っているのかを考慮しながら、HCIを検討してみてはいかがでしょうか。

今資料は、レノボのソリューション・サーバー製品に関する技術情報やお役立ち情報をお届けするLTN Blog 〜 Lenovo Technology Network 〜の記事を再編集したものです。