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HCIが向いている! 向いていない!?本資料は、レノボのソリューション・サーバー製品に関する技術情報やお役立ち情報をお届けするLTN Blog〜 Lenovo Technology Network〜の記事を再編集したものです。
お客様からさまざまな要件をいただく中で、“本当にHCIが向いているのか?”という点についてまとめてみました。
1.塩漬けするようなシステムにHCIは向かない?
RFPなどを見てみるとよくあるのが「システム導入後、5年間そのまま利用できること」などの文言が書いてあります。つまり一度導入してしまったら、リプレースが来るまで安定稼動の状態を保ちたい(アップグレードを失敗するリスクが怖い)ということからだと思われますが、本当にそれでよいのでしょうか。実際にVMwareを例にとって考えてみましょう。
右図は、ESXのライフサイクルから見たリプレース計画です。
2013年に導入したお客様が2018年にリプレースを迎えるわけですが、その間にバージョンは3つも変わっています。バージョンアップによって得られるメリットはバグFIXのほかに、ハイパーバイザーの高速化が見込まれることもありますので、実はそのメリットを利用しておらず損している可能性もあります。安定するシステムは確かによいですが、仮想環境であれば集約率やパフォーマンスは少なからず考慮する事項であると思います。定期的なアップグレードは行うべきであると考えます。
また、これはHCIではなく3Tier構成(サーバ・ストレージ・ネットワーク)の構成においても同じことが言えます。リプレース時にデータ移行作業が面倒にならないためにも、塩漬けシステムにしないほうがよいでしょう。
HCIにしておけばバージョンアップも容易になりますので、是非ご検討頂ければと思います。(右図はNutanixですが、vSANも同様です)
2.ファイルサーバーにHCIは不向き?
NutanixはAFS(Acropolis File Service)を提供していることから、ファイルサーバーも対応しています。一方vSANにおいてはCIFS、NFSは対応しておらずブロックのみです。そのため、ファイルサーバーを構築する場合は仮想マシンにするかストレージの機能(3Tierの場合)で実現するしかありません。
ただし、通常のファイルサーバーで構築した場合とHCIでファイルサーバーを構築した場合にどのような違いがあるのか?を見てみましょう。
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上表を見るとNASは機能的にも価格的にも優位になります。ファイルサーバーはパフォーマンスを必要とせず、容量単価が安いものを選びがちですが、VDIなどのソリューションにおいては、移動プロファイルの置き場や小規模ユーザーの場合に、コストに余裕があれば容量的にもHCIのファイルサービスを検討してもよいでしょう。
また、vSANであればLenovoで検証したvSAN NexentaStor on vSANがあります。このソリューションの場合、ReadパフォーマンスはすべてファイルサーバーVMのメモリで吸収してしまうことから、vSANのパフォーマンスに影響を与えにくいアーキテクチャーになっています。
3. HCIは、パフォーマンスが良くないの?
システム全体で数値化するべきか、仮想マシン1台あたりでどれだけ必要なのか、を考えるべきです。
たとえば、数十台の仮想マシンが入っている環境で1仮想だけ、70,000 IOPSが必要なシステムがあった場合について、解説します。
NutanixやvSANの場合、仮想マシンは1台のホストに載っているので、そのホスト上のリソースで処理しようとします。そのため、ローカルのSSDの領域を利用することになりますが、通常のラインナップの場合はSSDは2本のモデルが多いため、70,000 IOPSなどという高パフォーマンスの仮想マシンがある場合、そのノードだけSSDの本数のノードが必要になります。システム全体での要件であれば、HCIも1台あたりのSSDの本数から何ノードあるかでIOPSが算出できますので、もう少し構成が柔軟になります。
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一方、3Tier構成の場合は、必要本数だけアレイ内にSSDを搭載することでパフォーマンス要件を満たすことが出来ます。
HCIでもパフォーマンス要件に対応することが出来ますが、実際にはコストに大きく跳ね返ることもあります。また、同一のスペックに揃えたほうが容量効率も良くなることを考えると一台だけスペックが違うというのは厳しいかもしれません。その場合は、実際に仮想マシンとしてスペックを満たす必要があるのかどうかも確認すべきですし、運用効率を上げたい場合はHCIをお勧めします。
4.データベースを仮想化する場合、HCIは向かない?
HCIがデータベースの仮想化に向かないということはありません。仮想マシンとして動作的にはまったく問題ありません。これはHCIという話ではなく仮想化全般のお話です。
では何が問題なのか?それはライセンスが関係します。MicrosoftのSQL Serverなどは特に問題ありませんが、ここではOracleのライセンスポリシーについて少し調べてみます。
Oracleのライセンスポリシーを見ると、物理サーバーの全プロセッサーがライセンスカウントになります。つまり仮想化した場合は仮想マシンが載っているところのプロセッサーが対象になります。仮想化ホストが複数ある場合、1台のホストでのみOracleが動作している場合は1台分しかとられないと思う人もいるかと思いますが、そこがポイントです。
下図にあるとおり、稼動させる全物理サーバーがライセンス課金対象となるため、HAを設定している以上、クラスタを組んでいるノードはすべてが対象になります。もちろんHAのAffinity Ruleを組んでいたとしてもダメです。これでは仮想化をすると損してしまう話になります。
Nutanixの場合は仮想化しなくてもブロックストレージ(ABS)として利用することも可能です。そのため、物理サーバーでOracleを動作させる環境を構築し、共有ストレージでNutanixを利用することが、1つの解決策です。(vSANにもiSCSIのサービスがあります!)
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今資料は、レノボのソリューション・サーバー製品に関する技術情報やお役立ち情報をお届けするLTN Blog 〜 Lenovo Technology Network 〜 の記事を再編集したものです。
5.小規模(SMB)ユーザーに、HCIは向かない?
ABS(Acropolis Block Service)を利用することで、物理ホストからiSCSIを利用して接続することで従来どおりの利用方法でOracleを利用できます。
ただし、ストレージのマトリックスが要求されるものもありますので、何でも使ってよいものではなく、OracleRACやクラスタソフトウェアなどは各メーカーのCertificationが必要になりますので十分注意してください。
二つの局面で比較してみることにしましょう。
5-1.コスト面について
3Tier構成とHCI構成をコスト面で比較すると、どうしてもHCIが不利になります。
小規模ユーザー向けSMB向けのライセンスをVMwareが提供しており、廉価で購入可能です。
NutanixでもXpress Editionで安く購入できるパッケージはあるものの、コストの面ではかないません。しかし、いわゆる「一人情シス」をやっていらっしゃる方もいます。OSやファームウェアのアップグレードで時間をかけたくない、と感じている場合はどうでしょうか?次に運用面で比較してみます。
5-2.運用面について
HCIの特長である1クリックアップグレードは3Tier構成ではありません。そのためのオペレーションが発生します。一方、NutanixのAHVを例にするとDRS機能もあるため、仮想マシンの移動をわざわざ行う必要がありません。(注:VMwareもDRS機能があれば1クリックアップグレードが可能)
障害の切り分けについては、サーバー以外にもストレージ(構成によってはスイッチも)があり、切り分けが面倒な3Tierに比べて、サーバーのみで完結するHCIは非常にシンプルで、切り分けも管理画面上ですべて行うことが出来ます。運用面においてインフラをシンプル化したい場合、HCIはお勧めです。