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Istanbul Weekly vol.9-no.5 ※掲載内容は、トルコの報道をまとめたものです。 1 Istanbul Weeklyvol.9-no.5 発行:在イスタンブール日本国総領事館 発行日:2020 3 13 日(金) ― 今週のポイント ― 政治:ヤロヴァ市長(CHP)が解任、AKP からの市長代理が選出。 アリ・ババジャン元副首相による新党設立。 経済:2019 年トルコの GDP 成長率、0.9%。 2019 年 12 月の失業率、13.7%。 治安:非正規移民 10 万人以上が欧州に向けトルコを出発。 軍事:シリアのイドリブ県で軍事作戦「春の盾」が開始。 社会:博物館入場料が値上げ。 トルコにて初の新型コロナウイルス感染者政治 【内政】 ●ヤロヴァ市長(CHP)が解任AKP からの市長代理が選出 (1)2 月 27 日、内務省は、ヴェファ・サルマン・ヤロヴァ市長及び ハリット・ギュレチ副市長を不透明な会計及び入札における汚 職で解任すると発表したが、イドリブでの攻撃のため、手続きは 延期された。市長側は、決定の取り消しを行政裁判所に申し 立てる予定。市の歳入から契約関係が明らかでない者に 1,142 万 8,433 トルコリラが送金されたと発表されている。ヤロ ヴァ県庁は、新市長選出のため近日中に市議会での選挙を 行うと発表している。市議会は AKP15 名、MHP2 名、CHP13 名、 優良党 1 名の市議会議員の構成となっており、共和同盟 (AKP、MHP)が多数派であることから、MHP が AKP 候補を支 持した場合、新市長は AKP から選出されると予想されている。 (2 月 28 日付け M 紙 16 面及び 3 月 2 日付け M 紙インターネット 版) (2)ヤロヴァ市会計職員のレシャット・エルギンが多額の負債を 帳簿に残したまま失踪し、デニズリで拘束された事件で、ヤロ ヴァ市ではハリット・ギュレチ副市長をはじめとする 15 名が逮 捕された。3 月 5 日、ヤロヴァ市臨時議会で 3 回目の投票の 結果、30 票中 17 票を獲得したムスタファ・トゥトゥク氏(AKP)が 市長代理に選出され、ヤロヴァ市長職は 6 年ぶりに CHP から AKP へと移行した。(3 月 6 日付け SZ 紙インターネット版) (写真は、3 月 6 日付け SZ 紙インターネット版から) ●アリ・ババジャン元副首相による新党設立 (1)3 月 9 日朝、アリ・ババジャン元副首相が民主主義進歩党 (Demokrasi ve Atılım Partisi, 略称 DEVA)という名の新党設 立手続き書類を内務省に提出する予定と報道された。約 90 名 の設立メンバーが記載されているという。DEVA はトルコ語で は治療の意味となり、「製薬会社のようだ」とネット上でコメント がつけられた。設立パーティーは 11 日にアンカラ・ビルケント ホテルで開催。(3 月 9 日付け medyascope.tv) (2)90 名の設立メンバーには、セルマ・アリフェ・カヴァフ元家族 相、ニハット・エルギン元産業相、サドゥッラー・エルギン元法 相とババジャン氏を含めると 4 名の元閣僚が含まれるほか、 元官僚ではイブラヒム・ハリル・チャナクチュ元財務庁長官、ビ ロル・アイデミル統計局局長、ジャヴィット・ダーダシュ元財務 庁副長官などが含まれる。また、イドリス・シャーヒン元議員な ど元 AKP 議員も 7 名含まれる。(3 月 10 日付け C 紙インターネッ ト版) (写真は、https://devapartisi.org/から) ●議会でけんか勃発 3 月 4 日、議会で演説中にエンギン・オズコチ CHP 議員が行 ったとされるエルドアン大統領への侮蔑発言をきっかけに、 AKP と CHP 議員の間でけんかが勃発。トルコ議会では 2017 年 1 月 17 日以降 3 年 2 か月間けんかが発生しておらず、ま た闘争に女性議員も加わったことで話題となった。(3 月 6 日 付け及び 8 日 M 紙 16 面、19 面) 新聞記者が『暴露報道』で逮捕 2 月 29 日にエディルネのトルコ・ギリシャ国境で難民について

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Istanbul Weekly vol.9-no.5

※掲載内容は、トルコの報道をまとめたものです。 1

Istanbul Weeklyvol.9-no.5

イ ス タ ン ブ ー ル ウ ィ ー ク リ ー 発行:在イスタンブール日本国総領事館 発行日:2020 年 3 月 13 日(金)

― 今週のポイント ―

政治:ヤロヴァ市長(CHP)が解任、AKPからの市長代理が選出。

アリ・ババジャン元副首相による新党設立。

経済:2019 年トルコの GDP 成長率、0.9%。

2019年 12月の失業率、13.7%。

治安:非正規移民 10 万人以上が欧州に向けトルコを出発。

軍事:シリアのイドリブ県で軍事作戦「春の盾」が開始。

社会:博物館入場料が値上げ。

トルコにて初の新型コロナウイルス感染者。

政治 【内政】

●ヤロヴァ市長(CHP)が解任、AKP からの市長代理が選出

(1)2 月 27 日、内務省は、ヴェファ・サルマン・ヤロヴァ市長及び

ハリット・ギュレチ副市長を不透明な会計及び入札における汚

職で解任すると発表したが、イドリブでの攻撃のため、手続きは

延期された。市長側は、決定の取り消しを行政裁判所に申し

立てる予定。市の歳入から契約関係が明らかでない者に

1,142 万 8,433 トルコリラが送金されたと発表されている。ヤロ

ヴァ県庁は、新市長選出のため近日中に市議会での選挙を

行うと発表している。市議会は AKP15 名、MHP2 名、CHP13 名、

優良党 1 名の市議会議員の構成となっており、共和同盟

(AKP、MHP)が多数派であることから、MHP が AKP 候補を支

持した場合、新市長は AKP から選出されると予想されている。

(2 月 28 日付け M 紙 16 面及び 3 月 2 日付け M 紙インターネット

版)

(2)ヤロヴァ市会計職員のレシャット・エルギンが多額の負債を

帳簿に残したまま失踪し、デニズリで拘束された事件で、ヤロ

ヴァ市ではハリット・ギュレチ副市長をはじめとする 15 名が逮

捕された。3 月 5 日、ヤロヴァ市臨時議会で 3 回目の投票の

結果、30 票中 17 票を獲得したムスタファ・トゥトゥク氏(AKP)が

市長代理に選出され、ヤロヴァ市長職は 6 年ぶりに CHP から

AKP へと移行した。(3 月 6 日付け SZ 紙インターネット版)

(写真は、3 月 6 日付け SZ 紙インターネット版から)

●アリ・ババジャン元副首相による新党設立

(1)3 月 9 日朝、アリ・ババジャン元副首相が民主主義進歩党

(Demokrasi ve Atılım Partisi, 略称 DEVA)という名の新党設

立手続き書類を内務省に提出する予定と報道された。約 90 名

の設立メンバーが記載されているという。DEVA はトルコ語で

は治療の意味となり、「製薬会社のようだ」とネット上でコメント

がつけられた。設立パーティーは 11 日にアンカラ・ビルケント

ホテルで開催。(3 月 9 日付け medyascope.tv)

(2)90 名の設立メンバーには、セルマ・アリフェ・カヴァフ元家族

相、ニハット・エルギン元産業相、サドゥッラー・エルギン元法

相とババジャン氏を含めると 4 名の元閣僚が含まれるほか、

元官僚ではイブラヒム・ハリル・チャナクチュ元財務庁長官、ビ

ロル・アイデミル統計局局長、ジャヴィット・ダーダシュ元財務

庁副長官などが含まれる。また、イドリス・シャーヒン元議員な

ど元 AKP 議員も 7 名含まれる。(3 月 10 日付け C 紙インターネッ

ト版)

(写真は、https://devapartisi.org/から)

●議会でけんか勃発

3 月 4 日、議会で演説中にエンギン・オズコチ CHP 議員が行

ったとされるエルドアン大統領への侮蔑発言をきっかけに、

AKP と CHP 議員の間でけんかが勃発。トルコ議会では 2017

年 1 月 17 日以降 3 年 2 か月間けんかが発生しておらず、ま

た闘争に女性議員も加わったことで話題となった。(3 月 6 日

付け及び 8 日 M 紙 16 面、19 面)

●新聞記者が『暴露報道』で逮捕

2 月 29 日にエディルネのトルコ・ギリシャ国境で難民について

Page 2: Istanbul Weekly vol.9-no.5 Istanbul Weeklyvol.9-noIstanbul Weekly vol.9-no.5 ※掲載内容は、トルコの報道をまとめたものです。 1 Istanbul Weekly vol.9-no.5 イ

Istanbul Weekly vol.9-no.5

※掲載内容は、トルコの報道をまとめたものです。 2

取材中だった Redaw の Rawin Sterk 記者の拘束をはじめ、3

月に入りネットメディア ODATV のバルシュ・テレクオール局

長、バルシュ・ペフリヴァン編集長、ヒュルヤ・クルチュ記者、イ

ェニヤシャム紙フェルハット・チェリク編集長、アイドゥン・ケセ

ル記者、イェニチャー紙ムラト・アウルエル記者が、リビアで作

戦中に死亡した MIT 職員について報道したことが「機密漏洩」

であるとして拘束されるなど、15 日間で合計 28 人の記者が拘

束され、8 人が逮捕された。(3 月 10 日付け BOA トルコ語版、

3 月 9 日付け C 紙 5 面)

(写真は、3 月 11 日付け SZ 紙インターネット版から)

【外交】

●イドリブ情勢についての会議

3 月 3 日、与党関係者は、議会にて完全にメディアを排除した

環境下でイドリブ関係の方針会議を実施した。ロシア側は、ト

ルコ軍の位置を知りながら攻撃を許したとの報道もあり、対露

外交がどうなるかが注目されていた。また、3 月 2 日にケリー・

クラフト国連常任代表とジェームズ・ジェフリー米国シリア特別

代表が緊急にアンカラを訪問した。トルコ高官との協議後、トル

コ南東部のハタイを訪問し、国連及び NGO 関係者との協議を

行った。(3 月 3 日付け M 紙インターネット版ほか)

●3月6日の3か国会談を取り消し

(1)3月2日、エルドアン大統領は、ギリシャ軍がギリシャ・トルコ

国境の緩衝地帯で難民に対して行った攻撃で2名の難民が死

亡した事件により、3月6日に予定されていた3か国会談を中止

にすると発表した。(3月3日付けM紙インターネット版)

(2)3月2日、ボリソフ・ブルガリア首相が急遽トルコを訪問し、エ

ルドアン大統領との会談及び共同記者会見を実施した。エル

ドアン大統領は、「EUは『さらに10億ユーロ送る』といってだま

そうとしている。二重基準を適用し、難民支援に400億米ドル

支出しているトルコを批判している。」と述べ、EUとの合意によ

る60億ユーロの支援について「1年以内に60億ユーロをトルコ

に渡すはずだった。トルコの歳入にではなく、NGOに渡る資金

であったが、それも渡っていない。(中略)EUはトルコの安全上

の懸念を無視し、ギリシャの1951年難民条約及び欧州人権条

約に反し、死を招く方策を支持している。」と批判した。(3月2

日付けH紙インターネット版)

●メルケル独首相と電話会談

3月2日、エルドアン大統領は、メルケル独首相と電話会談を行

い、イドリブ情勢と難民問題について協議し、エルドアン大統領

は公平な負担と責任の共有に関する国際的な敬意が必要で

あると指摘した。(3月3日付けM紙インターネット版)

●トルコ・ロシア会談によりイドリブ停戦合意

3 月 5 日、エルドアン大統領とプーチン露大統領は、モスクワ

にて 6 時間にわたる会談を行い、「3 月 6 日 00 時 01 分以降

停戦を宣言する」と発表。さらに、両国の外相は、「イドリブの

緊張緩和地帯における状況安定化のための覚書についての

追加プロトコル」を締結したとし、①イドリブ緊張緩和地帯にお

ける両勢力の接触するラインにおいての軍事行動を 3 月 6 日

00 時 01 分に停止、②M4 道路北部及び南部の 6km に安全地

帯を設置し、それにかかるルールは 7 日以内に両国国防省に

より決定する、③トルコ・ロシアによる共同パトロールを 3 月 15

日に M4 道路のトルンバ〜アイン・アル・ハヴル間で開始する

とした。エルドアン大統領は、新たな停戦合意でも、トルコはシ

リア政権側から攻撃があれば、いかなるものでも「すべての力

で報復」する権利を留保すると表明した。(3 月 6 日付け M 紙イ

ンターネット版)

●トルコが難民に対し国境開放

トルコ軍に対するイドリブでの攻撃後、2 月 27 日にトルコは難

民に対し国境を開放する決定をとり、ギリシャ治安部隊のガ

ス、音響爆弾、プラスチック弾による非人道的な攻撃にも関わ

らず、14 万 2,000 人の難民が欧州へとわたった。ジョセフ・ボレ

ル EU 外交・安全保障担当高等代表は、クロアチアのザグレブ

で行われた EU 外務大臣会議で「財政支援について協議する

必要がある。トルコに多大な負担がかかっており、これを理解

する必要がある。一方で難民を圧力要素として使用することは

容認できない。」と発言した。(3 月 6 日付け S 紙インターネット版)

●トルコ・EU 関係

(1)エルドアン大統領はトルコ EU 会議のため、9 日からブリュッ

セルを訪問し、EU との難民合意の実行、難民のために支出す

る 60 億ユーロの資金援助の全額送金、査証免除の実行、迅

速な関税同盟の改定、安全地帯における難民用住居建設へ

の支援を要求する。これらの要求を EU 高官側は積極的に見

ており、関税同盟の改定のために委員会を設置する決定を取

ることがわかった。フランス及びオーストリアは査証免除に抵

抗していたが、6 日の協議ではこの 2 か国も査証免除を積極

的に評価する方向であるとされた。エルドアン大統領は同日、

メルケル独首相及びプレンコビッチ EU 議長兼クロアチア首相

と電話協議した。またバフチェリ MHP 党首とも電話会談を行い

内外政治について情報共有を行った。(3 月 7 日付け M 紙 14

面)

(2)2016 年 3 月 18 日の合意が実施されないなか、トルコが国

境を開放した後まもなく、エルドアン大統領と EU 首脳級との電

話協議が続いた。EU 各国首脳は、エルドアン大統領との関係

が良好とされるボリソフ・ブルガリア首相に仲介を依頼し、2 日

の同首相のトルコ訪問に続き、ミッシェルEU委員長がトルコを

訪問した。ブリュッセルでの議題は査証免除、関税同盟改定、

税収共有、シリア北部に建設する住居についての 4 点となると

見られ、査証免除については、EU 側が要求している 72 項目

の条件のうち、トルコは 66 項目を達成しており、2020 年 9 月 1

日に開始と報道されている。(当館注:査証免除までの残り 6

項目は、①テロ対策法整備、②個人情報保護、③司法協力

(キプロス承認問題を含む)、④欧州刑事警察機構(ユーロポ

ール)との合意、⑤汚職対策、⑥強制送還合意。)

関税同盟改定のための委員会は活動のための猶予期間がお

かれること、これまでの 60 億ユーロの資金援助に追加して 10

億ユーロもしくはさらなる追加支援が行われること、これまで

資金移転に生じていた問題を解決するために手続きを変更す

ることについて協議される。(3 月 8 日付け M 紙 19 面)

経済 【マクロ経済】

●2019 年のトルコの GDP 成長率、0.9%

2 月 28 日、トルコ統計庁(TUIK)は、2019 年第 4 四半期の GDP

成長率が 6.0%、2019 年の GDP 成長率が 0.9%となったと発表。

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Istanbul Weekly vol.9-no.5

※掲載内容は、トルコの報道をまとめたものです。 3

また一人当たり GDP は 51,834 トルコリラ(9,127 米ドル)だっ

た。産業別に対前年比で見ると、サービス業は 1.5%、工業は

0.2%成長し、建設業は 8.6%縮小した。(2 月 28 日付け HDN 紙イ

ンターネット版)

●2 月の消費者物価指数上昇率、12.37%

3 月 3 日、トルコ統計庁(TUIK)は、2 月の対前年同月比の消費

者物価指数(CPI)上昇率が 12.37%だったと発表。対前月比で

は 0.35%上昇した。対前月比での内訳を見ると、食品・非アル

コール飲料(2.33%)、次いで医療費(2.03%)の上昇率が高かっ

た。(3 月 3 日付け TUIK)

【消費者物価指数上昇率の推移(2019 年 1 月~2020 年 2

月)】

(グラフは TUIK データに基づき当館作成)

●2 月の製造業購買担当者指数(PMI)、52.4

3 月 2 日、イスタンブール工業会議所(ISO)及び IHS Markit は、

2 月の製造業購買担当者指数(PMI)が直近 2 年を通じて最高

値である 52.4 に達したと発表。本指数は 50 以上で景気の改

善を示す。生産及び新規受注における底堅い回復により、迅

速な景気の回復が見られるとした。生産現場の需要の増加に

より堅調に雇用者数が増加している一方、対米ドル為替相場

におけるトルコリラの減価により、投入物価格もインフレ率の

上昇に伴い上昇が継続しているとした。(3 月 3 日付け HDN 紙

9 面)

●2019 年 12 月の失業率、13.7%

3 月 10 日、トルコ統計庁(TUIK)は、2019 年 12 月の失業率が

対前年同月比 0.2%上昇の 13.7%だったと発表。15 歳から 24 歳

までの若年層失業率は対前年同月比 0.5%上昇の 25%となっ

た。社会保障制度外の雇用率は対前年同月比 1.1%低下し

32.3%だった。なお、政府の経済計画では 2019 年の失業率目

標は 12.9%とされていた。(3 月 11 日付け HDN 紙他)

【失業率の推移(2018 年~2019 年、15 歳以上)】

(グラフは TUIK データに基づき当館作成)

●1 月の工業生産指数、対前年同月比 7.9%増

(1) 3 月 13 日、トルコ統計庁(TUIK)は、工業生産指数が対前

年同月比 7.9%増と発表。対前月比では 0.2%減。鉱石業が同

8.5%、製造業が同 8.2%、電気ガス空調供給が同 3.8%それぞれ

増加した。(3 月 13 日付け TUIK)

(2) 工業生産の変化の理由は新型コロナウイルスの影響とさ

れる。テキスタイル、服飾、卑金属等の分野で生産が増加した

一方、特に欧州向けの輸出を行う自動車、電気機器、化学製

品、プラスチック製品は減速した。(3 月 13 日付け D 紙インターネ

ット版)

(写真は 3 月 13 日付け D 紙インターネット版から)

【経済政策】

●テキスタイル産業に融資パッケージの支援

3 月 9 日、アルバイラク財務相は、デニズリ県及びウシャク県

の企業家と面談を行った際に、テキスタイル産業の生産者に

は満期 60 か月の、輸出業者には満期 36 か月の融資パッケ

ージをそれぞれ提供すると発言。同パッケージの総額は 1 億ト

ルコリラを予定。(3 月 10 日付け H 紙 7 面)

【銀行】

●ING、トルコ事業の売却を検討

オランダ系最大の金融機関 ING グループが、トルコ事業の売

却を検討していることが明らかになった。関係者筋によると、

昨年から事業売却に関する予備的協議をトルコにおける競合

他社と行っているが、最終的な売却決定は下されておらず、

事業継続の可能性も残されている模様。 (3 月 3 日付け

Bloombewrg 紙インターネット版)

【エネルギー】

●原油価格の下落、経常収支の改善とインフレ率の低下に期

3 月 9 日に原油価格が約 30%下落したことを受け、3 月 10 日

からトルコのガソリン価格は 1 リットル当たり 0.6 トルコリラ、デ

ィーゼル燃料価格は同 0.55 トルコリラ値下げされた。エコノミス

トらは、2019 年に 1 バレル当たり 65 米ドルだった原油価格が

2020 年に同 45 米ドル水準を推移するならば、トルコのエネル

ギー輸入額は 120 億米ドル減少し経常収支の改善が見込ま

れるほか、インフレ率も 0.5%から 1%低下することが予想される

とした。(3 月 13 日付け HDN 紙 3 面)

【物価上昇】

●ガソリン及び軽油で特別消費税引き上げ

2 月 29 日付けの大統領令で、ガソリン及び軽油に課せられる

特別消費税が 1 リットル当たり 15 クルシュ引き上げられた。こ

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Istanbul Weekly vol.9-no.5

※掲載内容は、トルコの報道をまとめたものです。 4

れにより、それぞれ 6.31%の値上げとなる。1 リットル当たりの

ガソリンへの特別消費税は 2.3765 トルコリラから 2.5265 トルコ

リラに、1 リットル当たりの軽油への特別消費税は 1.9059 トル

コリラから 2.0559 トルコリラに上昇する。(2 月 29 日付け SZ 紙

インターネット版)

【交通】

●1 月の新規登録車両数、94、540 台

2 月 28 日、トルコ統計庁(TUIK)は、1 月の新規登録車両数が

前年同月比 42.2%の 94,540 台となったと発表。1 月末時点の

全登録車両数は 2,320 万台に達した。全新規登録車両のうち

69.8%が乗用車を占め、その内訳はフィアットが 18.4%、ルノー

が 16.8%、ダキアが 9.2%とトップ 3 を占めた。(2 月 28 日付け

HDN 紙インターネット版)

【企業等の動き】

●タキイ種苗、ブルサのカラジャベイに種苗工場設立

日本最大の種苗企業であるタキイ種苗は、ブルサ県のカラジ

ャベイ市で 30 ドヌム(1 ドヌム=919 平方メートル)の敷地に種

苗工場を建設することを決定した。2 月 18 日にオズカン・カラ

ジャベイ市長と面会した斉藤同社欧州生産部長等は、本年 5

月から試験的な栽培を開始し、工場の完全稼働は 2022 年初

頭を予定していることを明らかにした。(2 月 24 日付け IHA)

(写真は、2 月 24 日付け IHA から)

●ミグロス、2019 年は 4.92 億トルコリラの赤字計上

大手スーパーマーケットのミグロスは、2019 年に 4.92 億トルコ

リラの赤字を計上したと発表。同社の負債総額は 141 億トルコ

リラで、うち 75 億トルコリラが短期債務。これらの負債の大部

分が外貨建てであるため、為替相場におけるトルコリラの減価

が同社の損益決算に直接影響すると見られる。他方、同社は

2020 年に 120 の新店舗をオープン予定で、同年の売り上げ伸

び率の予想を 15~16%から 16~18%に上方修正した。(3 月 3

日付け DUVAR 紙インターネット版)

(写真は、3 月 3 日付け DUVAR 紙インターネット版から)

【コロナウイルス関連】

●ペキジャン貿易相、マスクの価格高騰に罰金

3 月 3 日、ペキジャン貿易相は、世界的な新型コロナウイルス

の流行を受けて、マスクや一部の医療用品における価格の高

騰に異議申し立てがあったとし、政府が調査を行った 13 社の

うち 9 社に対し、1 社当たり 10.4 万トルコリラの罰金を科したと

発表した。消費者保護法及び関連する規制に反する不当な価

格つり上げがあったとのこと。この価格高騰に係る操作が継

続する場合、罰金は最大 10 倍まで増加する可能性があると

いう。(3 月 4 日付け YS 紙インターネット版)

【トルコの富裕層】

●トルコの長者番付、1 位はウルケル社長

3 月 7 日、フォーブス・トルコ誌は、トルコの長者番付を発表。

ゴディバを子会社に持つ食品企業、ウルケル社を率いるユル

ドゥズ財閥のムラット・ウルケル会長が 1 位に返り咲いた(推定

純資産 47 億米ドル)。2 位は前回 1 位だったルネサンス・ホー

ルディングのエルマン・ウルジャク会長(同 32 億米ドル)。3 位

及び 4 位はドウシュ財閥のフェリト・シャヘンク会長(同 24 億米

ドル)及びその姉のフィリツ・シャヘンク氏(同 22 億米ドル)だっ

た。(3 月 7 日付け SZ 紙インターネット版)

(写真は、3 月 8 日付け DS 紙インターネット版から)

治安 ●サカルヤ県で ISIL 関係者 4 人を拘束

3 月 2 日、警察は、サカルヤ県における対テロオペレーション

の一環として ISIL 関係者とみられるイラク人 4 人を拘束したと

発表した。(3 月 2 日付け AA)

●テロ集団のロケット弾攻撃により税関職員 1 人死亡

3 月 2 日、アール県でテロ集団が発射したロケット弾が税関職

員を乗せた車両に命中し、職員 1 人が死亡した。(3 月 2 日付

け AA)

●ロシア領事館前で抗議活動

2 月 28 日午前、イスタンブールのロシア総領事館前でシリア・

イドリブ攻撃に対する抗議活動が発生し、警察は領事館周辺

の警備を強化した。(2 月 28 日付け AA)

●7,900 人の外国人戦闘員を送還

2 月 27 日、ソイル内相は、トルコが 2019 年 11 月以降に外国

人戦闘員 7,918 人を送還し、9 万人以上の外国人をテロに関

与している疑いがあるとして入国拒否していると発表した。トル

コは、ドイツ、英国、スペイン等と外国人戦闘員の送還問題に

ついて協議を続けている。(2 月 28 日付け HDN 紙 3 面)

●非正規移民 10 万人以上が欧州に向けトルコを出発

(1)2 月 28 日に政府が不法移民の欧州への渡航を阻止しな

いと発言したことを受け、同日中に不法移民数百人が沿岸地

域や国境沿いの都市に向かった。(2 月 28 日付け AA)

(2)アナトリア通信によると、3 月 1 日夕方の時点でトルコから

欧州に向けて出発した非正規移民の数は 10 万 577 人に達し

た。これらの移民はギリシャ及びブルガリアと国境を接する北

西部のエディルネ県を通ってトルコを出国しようとしている。(3

月 1 日付け AA)

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Istanbul Weekly vol.9-no.5

※掲載内容は、トルコの報道をまとめたものです。 5

(3)3 月 5 日、ソイル内相は、ギリシャ及びブルガリアと国境を

接するエディルネ県で演説し、ギリシャ国境に警察特殊部隊

の隊員 1,000 人を配置したと発表した。(3 月 6 日付け HDN 紙

3 面)

(写真は 3 月 6 日付け HDN 紙インターネット版から)

(4)3 月 8 日、エルドアン大統領は、不法移民がエーゲ海を渡

航することは危険なためこれまで同様に許可しないと発表し

た。(3 月 8 日付け HDN 紙)

●トルコ南東部で新たな対テロオペレーションを開始

3 月1日、内務省は南東部シールト県及びシュルナク県に潜伏

していると考えられるテロリストを無力化するため、新たに「カ

パン 7 黒山(Karadag)」作戦を開始したと発表した。(3 月1日

付け AA)

●ドイツ人 ISIL 戦闘員 2 名を本国に送還

3 月 7 日、トルコ内務省は、ISIL の外国人戦闘員であるドイツ

国籍者 2 名をドイツ本国へ強制送還したと発表し、今後も外国

人テロリストの送還を継続すると明らかにした。(3 月 7 日付け

S 紙)

●トルコ警察、新型コロナウイルスに関する偽情報を抑制

3 月 7 日、トルコ警察は、SNS 上で広がる新型コロナウイルス

に関する偽情報やデマ等に対して、サイバー部門が調査を開

始すると発表した。これにより、誤った情報に対しては管理者

へ削除を要請し、悪質な投稿をした者については起訴も行うと

している。(3 月 8 日付け S 紙)

軍事 ●シリアのイドリブ県で軍事作戦「春の盾」が開始

3 月 1 日、アカル国防相は、2 月 27 日のイドリブ県におけるシ

リア軍の攻撃に対して、軍事作戦「春の盾」を開始したと発表

した。(3 月 2 日付け HDN 紙 3 面)

(写真は 3 月 2 日付け HDN 紙インターネット版から)

社会

●ボスポラス海峡間フェリーの夜間運航が開始

2 月 28 日から、ボスポラス海峡間フェリーの夜間運航が開始

された。カドゥキョイ・カラキョイ・ベシクタシュ間では計 4 回の

運航が行われ、ベシクタシュ・ウスキュダル間は,深夜から午

前 1 時までは 15 分間隔、午前 1 時から 3 時 30 分までは 30

分間隔、午前 6 時 30 分までは 1 時間間隔で合計 13 回の運

航が行われる。(2 月 29 日付け DailySabah 紙インターネット版)

●博物館入場料が値上げ

3 月 1 日以降、イスタンブールの博物館の入場料について、3

割から 5 割の値上げが行われた。入場料は、地下宮殿は 10 ト

ルコリラから 15 トルコリラへ、ミニアテュルクは 7.5 トルコリラか

ら 10 リラ、アヤソフィアは 72 リラから 100 リラとなった。一方、

文化・観光省は、この料金改定が、海外からの旅行者を対象

としたもので、博物館の経営健全化を目的としたものであるこ

とを説明し、トルコ国内の約 300 の博物館で使用可能なミュゼ

カルトの料金は、3 月 1 日以降 70 リラから 60 リラへと値下げ

されることも明らかにした。(3 月 3 日付け HABER TURK 紙イン

ターネット版)

●ムーラ県ストラトニケイア古代遺跡のモザイクに屋根設営作

ムーラ県西部にあるストラトニケイア古代都市では、約1600年

前のビザンツ時代のモザイクを保護するために、屋根を取り

付ける工事が行われている。

ストラトニケイアは、ムーラ県ヤターン地区の最も重要な歴史

的地域であり、グラディエーターの都市として知られている。ス

トラトニケイアは、2015 年にユネスコ世界遺産の候補リストに

追加された。同古代都市における修復作業は、南エーゲ地方

発展事務局(GEKA)と地元自治体による 250 万トルコリラのプ

ロジェクトの一環として 2018 年に開始した。ヤターン地区のチ

チェック市長は、「ストラトニケイアには再生、修復されるべき

遺跡が多数ある。モザイクを保護するために屋根が取り付け

られ、さらにガラスも取り付けられる予定である。モザイクはプ

ロジェクトが終了し一般公開されるまで覆っておく予定である」

と述べた。(3 月 6 日付け HDN 紙インターネット版)

(写真は、3 月 6 日付け HDN 紙インターネット版から)

●トルコにて初の新型コロナウイルス感染者

3 月 10 日、コジャ保健相は、欧州から帰国したトルコ人男性が

新型コロナウイルスに感染していることを発表した。患者の状

態は良好で病院にて隔離されており、患者の家族及び接触し

たとみられる人々も現在隔離されている。コジャ保健相は、国

民に対し、不要不急の国外出国は控えるように呼びかけ、一

人二人の患者が出たことで大流行すると考えることは誤って

いるという見解を示した。また、「重要なのは、感染者の早期

発見と、14 日間の隔離を行うことである」と述べた。イスタンブ

ール、アンカラ、イズミルなどの大都市では、3 月 4 月に予定さ

れている 82 のスポーツイベントなどが延期され、また学校や

バス停、公共の場の消毒作業が実施されている。(3 月 11 日

付け HDN 紙インターネット版)

Page 6: Istanbul Weekly vol.9-no.5 Istanbul Weeklyvol.9-noIstanbul Weekly vol.9-no.5 ※掲載内容は、トルコの報道をまとめたものです。 1 Istanbul Weekly vol.9-no.5 イ

Istanbul Weekly vol.9-no.5

※掲載内容は、トルコの報道をまとめたものです。 6

注:本文中の略語の正式名称は以下の通りです。

機関・団体等

引用メディアの略称

在イスタンブール日本国総領事館

電話:0212-317-4600、FAX:0212-317-4604、E-Mail: [email protected]

WEB:https://www.istanbul.tr.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html

Facebook:http://www.facebook.com/Japonya.Istanbul.Baskonsoloslugu

●トルコに90日以上滞在される方は総領事館に在留届を提出願います。

●新たに配信希望される方、あるいは今後の配信を希望されない方は、以下のメールアドレスにご連絡ください。

[email protected]

【被害】

★当館 HP 更新のお知らせ★

【新型コロナ関連情報】

●新型コロナウイルス関連最新情報ページ● 開設しました。

新型コロナウイルス関連情報:陽性ケースの発表(第 6 報:3 月 11 日 11 時現在) (3/11)

日本における新型コロナウイルス感染症に関する水際対策の抜本的強化について (3/7)

新型コロナウイルス関連情報:イタリア,韓国等への渡航歴による影響(第 5 報:3 月 3 日 15 時現在) (3/3)

新型コロナウイルス関連情報:イタリア,韓国,イラクとの直行便の停止など(第 4 報:3 月 1 日現在) (3/1)

【その他 領事部】

【イスタンブール補習授業校】《急募》2020 年度 1 学期講師募集のお知らせ (3/11)

【注意喚起】ギリシャ国境における移民・難民の多数流入に伴う混乱 (3/7)

略語 正式名称 略語 正式名称

AFAD   緊急災害事態対応庁 PKK   クルディスタン労働者党

AKP   公正発展党 PYD   シリア民主主義連合党

BDDK   銀行規制監督庁 RTUK   ラジオ・テレビ高等機構

BOT   建設・運営・譲渡方式 SNC   シリア国民評議会

CHP   共和人民党 SPK   証券取引監査院

DHKP/C   革命人民解放党/戦線 THY   ターキッシュ・エアラインズ

HDP   人民民主党 TIKA   トルコ協力発展機構

IDO   イスタンブール海上フェリー会社 TOKI   トルコ集合住宅開発局

ISO   イスタンブール工業会議所 TPAO   トルコ石油公団

ISID/ISIL   イラク・レバントのイスラム国 TUBITAK   トルコ科学技術研究機構

ITO   イスタンブール商業会議所 TUIK   トルコ統計庁

KRG   クルディスタン地域政府 TUPRAS   トルコ石油精製会社

MHP   民族主義者行動党 TUSIAD   トルコ産業・実業家協会

MIT   国家情報庁 YOK   高等教育委員会

MUSIAD   トルコ独立産業家・実業家協会 YSK   高等選挙委員会

略語 正式名称 略語 正式名称

AA Anadolu News Agency HDN Hürriyet Daily News

C Cumhuriyet HT Haberturk

D Dünya IA Ihlas News Agency

DS Daily Sabah M Milliyet

H Hürriyet S Sabah

SZ Sözcü

今週 通算 今週 通算 今週 通算 今週 通算

2019年 0件 18件 0件 1件 0件 9件 0件 5件

2020年 1件 2件 0件 2件 1件 3件 1件 2件

イスタンブール邦人被害統計2020.1.1~2020.3.13 ※総領事館に訴出があったものを集計

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