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PFU Tech. Rev., 23, 2,pp.45-49 (11,2012) 45 どこでも簡単スキャニングを実現する 「ScanSnap Manager for ARROWS」 "ScanSnap Manager for ARROWS", the realization of easy scanning anywhere 池上浩介 * Kosuke Ikegami 河中隆幸 ** Takayuki Kawanaka 久保 諭 *** Satoshi Kubo * イメージビジネスグループ イメージプロダクト事業部 ソフトウェア開発部 ** イメージビジネスグループ イメージプロダクト事業部 ファームウェア開発部 *** イメージビジネスグループ イメージプロダクト事業部 商品企画部 1 まえがき 「ScanSnap シリーズ」は,簡単,スピーディーに紙 文書を電子化できるツールとして,全世界で数多くのお 客様にご利用いただいている 参1) 「ScanSnap シリーズ」の登場により,オフィスはも とより家庭においても簡単に書類を電子化できるように なった.書類の電子化作業は,オフィスまたは家庭にて, 椅子に座り,机上に置かれたパソコンとスキャナを操作 して行われている.近年どこにいても,立ったままでも 操作できるスマートフォンやタブレット端末が急速に普 及してきたことにより,それらとモバイルスキャナを組 み合わせれば,作業する場所を選ばず,様々な場所,様々 なシーンで書類を電子化することができるようになる. 近年,スマートフォンやタブレット端末をはじめとする携帯情報端末や,クラウドサービスの急速な普及に伴い, モバイルシーンでの電子書類データの活用ニーズが更に高まっている. その拡大するニーズに応え,PFU は富士通製タブレット端末「ARROWS Tab」専用アプリケーショ ン「ScanSnap Manager for ARROWS」を開発した.簡単に持ち運びできる世界最小クラスのスキャナ 「ScanSnap S1100」で読み取った電子化データを USB 接続で直接「ARROWS Tab」に保存できるようにし, パソコンがない場合でも,いつでもどこでもクラウド連携で活用できる. With the rapid increase of cloud services and mobile information terminals such as smartphones and tablets, the need to access digital data anytime anywhere has become even more urgent. In response to this, PFU has developed "ScanSnap Manager for ARROWS", a dedicated application for the Fujitsu "ARROWS Tab" tablet. This application can be used to directly save digitalized data that is scanned by using the ScanSnap S1100, the world's smallest document scanner for mobile productivity, in the "ARROWS Tab" via a USB connection. Even without a computer, digital data can be used for various purposes anytime anywhere by linking with cloud services. 今回,「ScanSnap シリーズ」のモバイルスキャ ナ「ScanSnap S1100」と富士通製タブレット端末 「ARROWS Tab」を USB で直接接続し,ScanSnap S1100で読み取った書類の電子化データを直接 ARROWS Tab に保存することができる専用アプリ ケーション「ScanSnap Manager for ARROWS」 (以 降,本製品)を開発した.本稿では,本製品の開発背景 や狙い,課題および課題を解決するための技術的な取組 みについて述べる 参2),参3) 本製品の利用方法を図-1に示す.

どこでも簡単スキャニングを実現する「ScanSnap Manager for … · ux(ユーザ・エクスペリエンス)注2)を高めるためにも 非常に重要なポイントであり,如何にいつでもどこでも

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Page 1: どこでも簡単スキャニングを実現する「ScanSnap Manager for … · ux(ユーザ・エクスペリエンス)注2)を高めるためにも 非常に重要なポイントであり,如何にいつでもどこでも

PFU Tech. Rev., 23, 2,pp.45-49 (11,2012) 45

どこでも簡単スキャニングを実現する 「ScanSnap Manager for ARROWS」

"ScanSnap Manager for ARROWS", the realization of easy scanning anywhere

池上浩介 *Kosuke Ikegami

河中隆幸 **Takayuki Kawanaka

久保 諭 ***Satoshi Kubo

* イメージビジネスグループ イメージプロダクト事業部 ソフトウェア開発部** イメージビジネスグループ イメージプロダクト事業部 ファームウェア開発部*** イメージビジネスグループ イメージプロダクト事業部 商品企画部

1 まえがき

「ScanSnap シリーズ」は,簡単,スピーディーに紙

文書を電子化できるツールとして,全世界で数多くのお

客様にご利用いただいている参1).

「ScanSnap シリーズ」の登場により,オフィスはも

とより家庭においても簡単に書類を電子化できるように

なった.書類の電子化作業は,オフィスまたは家庭にて,

椅子に座り,机上に置かれたパソコンとスキャナを操作

して行われている.近年どこにいても,立ったままでも

操作できるスマートフォンやタブレット端末が急速に普

及してきたことにより,それらとモバイルスキャナを組

み合わせれば,作業する場所を選ばず,様々な場所,様々

なシーンで書類を電子化することができるようになる.

近年,スマートフォンやタブレット端末をはじめとする携帯情報端末や,クラウドサービスの急速な普及に伴い,

モバイルシーンでの電子書類データの活用ニーズが更に高まっている.

その拡大するニーズに応え,PFU は富士通製タブレット端末「ARROWS Tab」専用アプリケーショ

ン「ScanSnap Manager for ARROWS」を開発した.簡単に持ち運びできる世界最小クラスのスキャナ

「ScanSnap S1100」で読み取った電子化データを USB 接続で直接「ARROWS Tab」に保存できるようにし,

パソコンがない場合でも,いつでもどこでもクラウド連携で活用できる.

With the rapid increase of cloud services and mobile information terminals such as

smartphones and tablets, the need to access digital data anytime anywhere has become even

more urgent.

In response to this, PFU has developed "ScanSnap Manager for ARROWS", a dedicated

application for the Fujitsu "ARROWS Tab" tablet. This application can be used to directly save

digitalized data that is scanned by using the ScanSnap S1100, the world's smallest document

scanner for mobile productivity, in the "ARROWS Tab" via a USB connection. Even without

a computer, digital data can be used for various purposes anytime anywhere by linking with

cloud services.

今回,「ScanSnap シリーズ」のモバイルスキャ

ナ「ScanSnap S1100」と富士通製タブレット端末

「ARROWS Tab」を USB で直接接続し,ScanSnap

S1100 で読み取った書類の電子化データを直接

ARROWS Tab に保存することができる専用アプリ

ケーション「ScanSnap Manager for ARROWS」(以

降,本製品)を開発した.本稿では,本製品の開発背景

や狙い,課題および課題を解決するための技術的な取組

みについて述べる参2),参3).

本製品の利用方法を図 - 1に示す.

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どこでも簡単スキャニングを実現する「ScanSnapManagerforARROWS」

PFU Tech. Rev., 23, 2, (11,2012)

2 開発の背景および狙い

ScanSnap S1100 は,簡単に紙文書を電子化でき

るツールとして,ビジネスユースはもちろんのことパー

ソナルユーザーにも広く利用していただくために,モバ

イルでの利便性を向上し,お客様の利用シーン拡大を目

的として開発したスキャナである注1).

ScanSnap S1100 は発売以来,社内や家庭内での

利用はもとより,ノートパソコンと共に持ち歩くことで,

どこでも簡単に書類を電子化できるツールとして市場に

受け入れられ,活用されている.

2010 年の iPad 発売以降,タブレット端末が急速に

普及している.タブレット端末はノートパソコンより軽

量,コンパクト,操作が簡単で,どこでもすぐに使え,

クラウドサービスと連携できるアプリケーションも多

く,今後さらに普及が進むと思われる.

今回,ScanSnap S1100 のモバイルでの利便性

を拡大するために,タブレット端末と ScanSnap

S1100 を直接 USB 接続することで,パソコンがなく

ても,いつでも,どこでも,その場でスキャンして活用

できるアプリケーションを開発した.

注1)著作権の対象となっている新聞,雑誌,書籍等の著作物は,個人的または家庭内,その他これらに準ずる限られた範囲内で使用することを目的とする場合を除き,権利者に無断でスキャンすることは法律で禁止されている.スキャンして取り込んだデータはユーザーの責任において,著作権法上認められる範囲内でご使用ください.

3 製品開発の主なポイントと課題

本製品の開発においては,ScanSnap シリーズのコ

ンセプトである「簡単・スピーディー・コンパクト」を

タブレット端末「ARROWS Tab」上においても実現

することを目指した.

快適にストレスなく,簡単に読み取りを行えることが,

UX(ユーザ・エクスペリエンス)注2)を高めるためにも

非常に重要なポイントであり,如何にいつでもどこでも

さっと読み取ることが出来るかが,モバイル利用での課

題である.

以降に本製品の開発ポイントと課題について述べる.

(1) タブレット端末上でもスピーディーな読み取り

ScanSnap S1100 をパソコンに接続した時と同等

の性能を実現することで,いつでも,どこでも素早く読

める,ストレスないスキャンを実現することがポイント

である.

パソコンとくらべて,ハードウェア(CPU,メモリ

容量等)の異なるタブレット端末においてもパソコンに

接続した時と同じ読み取り性能である 7.5 秒 / 枚の実

現が課題となる.

(2) どこでも,誰でも簡単に使える操作性

本製品でも ScanSnap のコンセプトである簡単な操

作性を実現することがポイントである.

パソコンでの ScanSnap S1100 の利用と同じよう

に,タブレット端末でも USB ケーブルを接続すれば,

あとは ScanSnap S1100 の Scan ボタンを押すだけ

で書類を最適な形で読み取れるようにする.少量のメモ

リで動作するタブレット端末では,メモリを消費する不

要なプロセスを常駐させたくないと考えるユーザーの心

情もあり,どのように実装するかが課題となる.

(3) アプリケーション連携

モバイルでスキャンする際に,スキャンしたデータの

活用,閲覧の即時性が重要である.スキャンしたデータ

をユーザーが日頃利用しているアプリケーションやクラ

ウドサービスと連携して利用できることがポイントであ

る.

スキャンしたデータの活用において,他のアプリケー

ションとの連携をタブレット端末のユーザーが迷うこと

なく簡単に操作できるような機能の提供が課題となる.

注2)UX とは,User EXperience の略で,製品やサービスをエンドユーザーが使った際に経験する「楽しさ・面白さ・心地良さといったプラスの感情(情感)」を,価値として重視するコンセプトである.

ScanSnap S1100

ARROWS Tab

USBケーブルで,ScanSnap S1100をARROWS Tab に接続して利用する

◆図 -1 USBケーブルを接続して利用◆

(Fig.1-UsingtheScanSnapS1100byUSBcable

connection)

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PFU Tech. Rev., 23, 2, (11,2012) 47

どこでも簡単スキャニングを実現する「ScanSnapManagerforARROWS」

4 課題を解決する開発の主なポイント

これまでパソコン版の ScanSnap Manager は様々

なユーザーの用途に対応し,多彩な自動化処理と画像の

補正処理,アプリケーション連携機能を実装し,進化し

てきた.

本製品の仕様検討においては,ユーザーがタブ

レット端末を使う上で必要十分な機能に絞り込み,

ScanSnap らしく簡単に,そしてストレスなく書類の

読み取りを行える仕様とした.

本製品の仕様を表 - 1に示す.

4.1 読み取り性能各種の自動化処理,画像の補正処理は読み取りの性能

に影響する.パソコン版と同じ性能を実現するために,

これまでパソコン版の開発で蓄積してきた機能のうち,

必要な機能を絞り込み,実現する技術を見極めた上で開

発した.技術の見極めにおいて,タブレット端末上でど

のようにしてパソコン版と同じ精度と性能を実現するか

が課題であり,以下にその解決のために行った取り組み

を記す.

4.1.1 スキャンと画像処理を並列で処理スムーズに連続して書類を読み取れるよう,パソコン

版と同じ様に画像処理を読み取り処理とは別のスレッド

にて実行(画像処理を読み取り処理と分割して,読み取

り処理と並行して実行)するようにした.

本製品のプロセス概念図を図 - 2に示す.

4.1.2 画像処理の最適化標準的な Android™注3)アプリケーション開発で使

われる Java注4)言語は電子化データの画像処理を苦手

とするため,Java 言語より高速に画像処理を実行でき

るネイティブコード注5)(JNI:C++)を使用した.

また,電子化データをメモリ容量の少ないタブレッ

ト端末で画像処理する際に,ディスクのファイルをメモ

リの一部のように扱い読み書きできる技術であるメモリ

◆表 -1 仕様一覧◆

項目 内容

製品名 ScanSnapManagerforARROWS

読み取り方式 手挿入片面読みとり(連送可:CDF※1)スーパーファイン(300dpi)

解像度 スーパーファイン(300dpi)

読み取り速度 片面7.5 秒 / 枚

読み取りモード カラー

読み取り範囲 サイズ自動検出(A4サイズまで)

出力ファイル形式 JPEG(JFIF)

出力先フォルダ指定 任意指定(デフォルトは,/mnt/sdcard/Pictures/)

出力ファイル名指定 yyyy 年MM月 dd日HH時mm分 ss秒(デフォルト)/ yyyyMMddHHmmss/任意指定

アプリケーション連携 ギャラリー連携

※1 CDF:ContinuousDocumentFeeding.連送給紙の略.

起動

起動

アイコンタップ(アプリケーション起動)

スキャナ接続(アプリケーション起動)

UIプロセス ドライバープロセス

スキャナ切断(アプリケーション終了)

Scan Switch Push (スキャン)

読み取り処理(スレッド)

画像処理(スレッド)

HelpActivity

MenuActivity

MainActivity

DriverService

DriverThread

ImagingThread

◆図 -2 プロセス概念図◆

(Fig.2-Processoverview)

注3)Android は,Google Inc. の登録商標または商標である.

注4)Java は,Oracle Corporation 及びその子会社,関連会社の米国及びその他の国における登録商標である.

注5)ネイティブコードとは,コンピュータがそのまま実行可能な形式(言語)で記述されたプログラムのこと.数値の羅列で表現される.プログラミング言語は,コンパイルなどの処理をしてネイティブコードに変換しないと,そのままではコンピュータが実行できない.

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どこでも簡単スキャニングを実現する「ScanSnapManagerforARROWS」

PFU Tech. Rev., 23, 2, (11,2012)

マップドファイル技術を併用することで,大容量の電子

化データの画像処理でもメモリ不足とならないように

した.

4.1.3 起動処理の最適化ScanSnap S1100 を接続してから読み取り開始ま

での時間が遅くならないようにした.本製品の起動処

理において,直ぐにスキャナの読み取りができるよう

に読み取りに必要なファームウェアのダウンロード処

理,キャリブレーション処理注6)の最適化を行い,スピー

ディーに読み取りを開始できるようにした.

これらの取り組みによりタブレット端末において

も,パソコンと同じ読み取り速度である 7.5 秒 / 枚を

実現し,ユーザーが快適にストレスなく ScanSnap

S1100 で書類を読み取れるようにした.

4.2 どこでも,誰でも簡単に使える操作性本製品においては,ScanSnap の特長である簡単な

操作性を実現するにあたり,以下の機能をタブレット端

末上において実現した.

4.2.1 スキャナ接続におけるアプリケーション自動起動

本製品は,パソコン版の ScanSnap Manager と同

じように,スキャナが接続されていればいつでも Scan

ボタンが押されたら直ぐに書類をスキャンできるように

した.

通常,本製品のプロセスはタブレット端末上に常駐せ

ず,スキャナが接続されたときに起動する.スキャナが

接続されている間のみプロセスは常駐し,Scan ボタン

が押されたら直ぐに書類をスキャンする.本アプリケー

ションのプロセスがスキャナの切断を検知した場合,本

アプリケーションのプロセスを全て終了する.

このようにスキャナが接続されていないときは本製品

が不当にメモリを消費しないように半常駐タイプの仕様

とした.

4.2.2 パソコン版と同様の CDF 機能を実現パソコン版の ScanSnap Manager の操作性と同じ

く,CDF(Continuous Document Feeding の略.

連送給紙)機能を搭載した.ScanSnap S1100 は書

類を 1 枚ずつ手挿入して読み取りを行うが,2 枚目以

降は Scan ボタンを押す必要がなく,書類をセットす

るだけで自動的に読み取りを開始し,スムーズに連続し

て書類を読み取ることを可能にした.

4.2.3 サイズ自動検出機能ScanSnap のユーザーからご好評いただいている,

原稿サイズ自動検出機能を実装した.読み取る原稿のサ

イズ,セット位置を気にすることなく,A4 サイズまで

のどんなサイズの書類でも,最適な画質で原稿サイズに

合わせたサイズで読み取りができる.

4.2.4 分かりやすいユーザーインターフェース操作方法(ガイダンス)を画面に図示することで,誰

が見ても次に何をすればいいかがひと目で分かるよう

にした.図 - 3は最初に表示される読み取り画面を,

図 - 4は連続給紙時の画面を示す.

また,タブレット端末を回転した際の動作にも追従し,

ユーザーが使い易いようにタブレット端末を横にしても

縦にしても利用できるようにした.図 - 5はタブレット

端末を縦にして操作した時の連続給紙時の画面を示す.

注6)キャリブレーションとは,読み取る原稿の色を正確にかつ安定して再現させるために調整する処理である.

◆図 -3 最初に表示される読み取り画面◆

(Fig.3-Initialscanscreenthatisdisplayed)

◆図 -4 連続給紙時の画面◆

(Fig.4-Continuousdocumentfeedscreen)

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どこでも簡単スキャニングを実現する「ScanSnapManagerforARROWS」

4.3 アプリケーション連携など4.3.1 画面デザインとアプリケーションのサイズ

タブレット端末の場合,インターネット上のストアか

ら直接アプリケーションをダウンロードしてインストー

ルする.このため,ダウンロードにかかる時間やインス

トールした際のストレージの使用容量を考慮し,アプリ

ケーションのサイズが肥大化しないように工夫した.

ユーザーにとって分かりやすく,また心地良く使って

いただくために,本製品はグラデーションのかかった背

景画やイラストを使用しているが,デザインパーツの細

分化や色数を調整することで,アプリケーション全体で

2MB 以下のサイズとなるようにした.

4.3.2 イメージデータの閲覧と活用「ギャラリー」は Android を搭載したタブレット端

末の標準画像管理アプリケーションである.スキャンし

た画像の確認には「ギャラリー」を利用することとし,

スキャン完了後に「ギャラリー」を自動起動する仕組

みとした.「ギャラリー」と連携することで,ユーザー

は直ぐにイメージデータを目視で確認できる.「ギャラ

リー」は過去に読み取ったイメージデータやカメラで撮

影したデータも一元管理でき,電子化されたイメージ

データを様々なクラウドサービス,SNS に送信するこ

ともできる.電子化されたイメージデータの確認と利用

には,ユーザーが使い慣れ親しんだ Android 標準の機

能を利用することで,ビジネスユース,パーソナルユー

スの両方において幅広く電子化されたイメージデータを

活用できるようにした.

5 活用シーン

本製品によって,「いつでも・どこでも・簡単に」書

類を電子化して利用できるようになった.外出先で書類

をスキャンし,その電子化データをメールに添付して送

信したり,様々な Android アプリケーションと連携し

て共有したりすることが可能となる.例えば,展示会や

イベント会場のパンフレットなど,持ち帰ると荷物に

なるし,その場でノートパソコンを開いて読み取るのは

煩わしいというような場合に,軽くて邪魔にならない

ARROWS Tab と ScanSnap S1100 があれば,そ

の場でぱっと起動しさっと読み取ることができる.また,

その場で即時にクラウドサービスや,SNS に送信でき

る.ARROWS Tab と ScanSnap S1100 のモバイ

ル利用は,フットワークを軽くし,ビジネスユース,パー

ソナルユースにおいて今まで以上に,リアルタイムに書

類を読み取り,電子化されたデータを活用することがで

きる.

6 むすび

以上のように,本製品は,これまでの製品にはないモ

バイルでの利用を提案し,お客様のスキャナの利用シー

ンの拡大に役立つことを目指した製品である.

今後も,ScanSnap はとても使い易いと感じていた

だけるように,お客様の使い勝手を意識した製品開発を

行っていく.

参考文献参1)ScanSnap 紹介ホームページ

http://scansnap.fujitsu.com/jp/

参2)室崎ほか:パーソナルドキュメントスキャナ ScanSnap S1100,PFU Tech.Rev.,22,1,pp.1-7(2011).

参3)ARROWS Tab Wi-Fi 紹介ホームページ

http://www.fmworld.net/arrows/wifi/

◆図 -5 連続給紙時の画面(縦)◆

(Fig.5-Continuousdocumentfeedscreen(portrait))