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モジュール3:エンド・オブ・ライフ・ケアにおける
症状マネジメント
補助教材
補助教材1
呼吸困難 NRS、VAS
補助教材2
倦怠感 NRS
補助教材3
主な抗痙攣薬
補助教材4
不安のレベル
補助教材5
RASS
補助教材6
日本語版NEECHAM混乱・錯乱状態スケール
補助教材7
ICUのためのせん妄評価表
(Confusion Assessment Method for the ICU;CAM-ICU)
補助教材8
Intensive Care Delirium Screening Checklist(ICDSC)
補助教材1
呼吸困難:NRS(Numeric Rating Scale)、VAS(Visual Analog Scale)
· 「スライド15:呼吸困難のアセスメントの視点」で紹介した呼吸困難の程度を客観的に把握し、アセスメントする際に活用できる
· NRS(Numeric Rating Scale)
· 直線上にある0から10までの数字のうち、自分の呼吸困難の程度を示すと思われる数字を1つ選んでもらう
· 「まったくない時を0、これ以上耐えられないほど息苦しい時を10とすると、今の息苦しさはどの程度ですか?」
(これ以上耐えられないほど息苦しい) (全く息苦しくない)
(0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10)
· VAS(Visual Analog Scale)
· 10㎝の線上に自分の呼吸困難の程度を示すと思われる位置に患者にチェックしてもらい、0からの長さを測定する
· 「息苦しさの程度は下の直線上で言うと、どのあたりですか?」
(患者にチェックしてもらう)
(これ以上耐えられないほど息苦しい)
(全く息苦しくない)
(10cm)
補助教材2
倦怠感:NRS(Numeric Rating Scale)
· 「スライド20:倦怠感のアセスメントの視点」で紹介した全身倦怠感の程度を客観的に把握し、アセスメントする際に活用できる。
· 直線上にある0から10までの数字のうち、自分の倦怠感の程度を示すと思われる数字を1つ選んでもらう。
· 「まったくない時を0、これ以上耐えられないほどだるい時を10とすると、今のだるさはどの程度ですか?」
· 下記の表を使用して、生活への影響を評価する。
(だるさは全くない) (これ以上耐えられないほどだるい)
(0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10)
補助教材3
主な抗痙攣薬
カルバマゼピン carbamazepine: CBZ (テグレトール®、レキシン®)
· 抗痙攣薬(抗てんかん薬)、鎮痛補助薬、Naチャネルブロッカー
· 三環系抗うつ薬に近似のイミノスチルベン誘導体---電位依存性Na+チャネルを阻害して発作時の反復的な脱分極を抑制する。
· 精神運動発作及び強直間代発作(全般痙攣発作、大発作)を抑制するとともに、てんかんに伴う精神障害やてんかん性格に優れた効果を示す。
· 気分安定剤としても使われ、躁病、躁うつ病の躁状態、統合失調症の興奮状態にも処方される。
· 三叉神経痛が焦点性てんかんと同様なメカニズムによって起こるという考えがあり、三叉神経痛にも処方される。
· 副作用:めまい、ふらつき、悪心・嘔吐骨髄抑制-白血球減少、血小板減少などがあるので、放射線,化学療法の患者には慎重に投与。開始時、数週間後、3-4ヶ月後の定期的に血液検査。
フェニトイン phenytoin:PHT(アレビアチン®、ヒダントール®)=ジフェニルヒダントイン diphenylhydantoin
· 非バルビツレート系、ヒダントイン誘導体の抗痙攣薬(抗てんかん薬)、鎮痛補助薬
· 抑制性ニューロンであるGABAニューロンの機能を亢進させて痙攣を抑制する。
· 鎮静作用を示すことなく小発作以外の発作を抑える。
· 経口投与後の最高血中濃度は12時間後。 吸収後は血漿タンパクと結合して全身に分布。
· 副作用:運動失調・めまい・振戦などの中枢神経症状と、歯肉肥厚・発疹・胃炎などが見られる。
· てんかんの治療薬のため長期間服用することによって、フェニトイン歯肉増殖 gingival hyperplasiaが発生することがある。
バルプロ酸ナトリウム sodium valproate, valproic acid: VPA(デパケン®、バレリン®)
· 窒素を含まない単純な化学構造をもつ、低級脂肪酸
· 抗痙攣薬:全般発作タイプのてんかんに対する第一選択薬、鎮痛補助薬
· GABA分解酵素であるGABAトランスアミナーゼを阻害し、抑制性シナプスでの GABA濃度を上昇させる。
· 半減期は8〜15時間、定常状態には2〜4日要する。効果が頂点に達するまで1〜4時間かかり、傷みが緩和されるまで1〜3週間かかる。
· てんかん大発作、精神運動神経発作にも有効だが、主として小発作に使用される。
· 気分安定剤としても使われ、急性の mania や重度の抑鬱における還元性の精神病症状に非常に効果的である。
· 副作用:眠気、ふらつき、悪心・嘔吐、振戦、食欲増強、肝機能障害。抗痙攣薬の中では、副作用が軽度であり、安全性は高いと考えられている。肝機能障害がなくても、抗アンモニア血症が生じることがある。重篤な肝障害がある場合は禁忌。
ゾニサミド Zonisamide:ZNS(エクセグラン®)
· 抗てんかん薬、
· 部分発作タイプのてんかんに対する第一選択薬の一つ。
· 欠伸発作やミオクローヌス発作を除く全般発作および部分発作に有効である、副作用も重篤
· 神経保護作用:フリーラディカル消去作用を有する。
· カルバマゼピン、フェニトインが持っているウレイド構造を持たないことから、カルバマゼピンで発疹が出て、使えない時に、三叉神経痛の鎮痛のために処方されることがある。
ガバペンチン Gabapentin(ガバペン®、Neurontin®)
· 部分発作を呈する難治てんかんに有効な抗痙攣薬、鎮痛補助薬
· ガバペンチンは抗てんかん薬として開発された薬物である。抗てんかん薬がしばしば神経因性疼痛に対して有効であるため、鎮痛作用を期待して使用したところ、有効性が確認された。
ジアゼパム diazepam
· ベンゾジアゼピン系の抗痙攣薬(抗てんかん薬)、鎮痛補助薬 ⇒ベンゾジアゼピン誘導体のジアゼパム
クロナゼパム(リボトリール、ランドセン®)
ベンゾジアゼピン系の抗痙攣薬(抗てんかん薬)、鎮痛補助薬 ⇒ベンゾジアゼピン誘導体のクロナゼパム
レべチラセタム(イーケプラ®)
・部分発作が適応。欧米では全般発作に対する有効性が報告されている
・多剤との相互作用とアレルギー反応は少なく、使いやすい。発作抑制効果も高い
・中枢神経抑制に関する副作用も少ない
補助教材4
不安のレベル
不安のレベルを見極め、そのレベルに合わせて患者に働きかけることが必要である。また、
危機的状況の家族へのケアも必要
不安の
レベル
特徴
軽度の不安
人は用心し、知覚領域では見ること、聞くこと、理解することが以前より鋭くなる。憂うつ、落ち着きのなさなど情緒的な反応を自覚し、その感情を言葉で訴えることができる。注意力、集中力、判断力は保たれている。 学習の動機を与え、個人の成長と想像力を生み出す
中程度の不安
知覚領域では見ること、聞くこと、理解することが低下し、目の前のことしか考えられなくなる。意識的にすれば注意を払うことができる。口数の変化、話題が変わりやすく、表情の変化などの行動が目立つ
強度の不安
知覚領域は極端に低下する。特定の些細な事に注意が払われ、学習能力や問題解決能力は低下する。他の領域に目を向けるには様々な指示が必要。身体症状として脈・呼吸数の悪化、発汗、不眠、緊張といった生理的反応が目立つ
パニック
混乱してコントロールする力を失い自分自身で安全を保つことができなくなる。活動性の亢進、低下、他人との交流が不可能となる。知覚のゆがみ、思考の論理性も低下。人格の崩壊や死を招くこともある
【引用文献】
黒田裕子編,クリティカルケア看護完全ガイド,2013 181-184 一部改編
補助教材5
Richmond Agitation-Sedation Scale(RASS)
ステップ1:30秒間、患者を観察する。これ(視診のみ)によりスコア0~+4を判定する。
ステップ2:
1)大声で名前を呼ぶか、開眼するように言う。
2)10秒以上アイ・コンタクトができなければ繰り返す。以上2項目(呼びかけ刺激)によりスコア-1~-3を判定する。
3)動きが見られなければ、肩を揺するか、胸骨を摩擦する。これ(身体刺激)によりスコア-4、-5を判定する。
【引用文献】日本呼吸療法医学会,人工呼吸中の鎮静ガイドライン作成委員会,妙中信之,他.人工呼吸中の鎮静のためのガイドライン.人工呼吸 2007;24:146-67.
補助教材6
日本語版NEECHAM混乱・錯乱状態スケール
NEECHAMスケールは9項目で構成されている。それらの項目は「情報処理能力」「行動」「生理学的状態」の3つのカテゴリーに分けられる。患者は混乱の程度に従ってせん妄なし、危険性が高い、軽度または発生初期の混乱・錯乱状態、中等度から重症の混乱・錯乱状態に分類される。看護師の通常のケアの中で行われる言語的・非言語的コミュニ ケーションと酸素飽和度を含むバイタルサインによって せん妄の重症度を測定できる。測定時における 患者への負担は殆ど無い。 現時点では挿管患者には使用しにくい。
【引用文献】綿貫成明他,日本語版 NEECHAM混乱・錯乱スケールの開発およびせん 妄のアセスメント.臨床看護研究の進歩12, 46-63 (2001)
補助教材7
ICUのためのせん妄評価表(Confusion Assessment Method for the ICU;CAM-ICU)
CAM-ICUはICUなどの急性期・重症ケア領域において、気管切開や気管挿管がされていて、言語的コミュニケーションや手先の細かい作業が困難な対象者を想定し、認知機能や注意力・意識レベルを判断することを意図して開発された。発症が急激であるか経過が変動すること、注意力の欠如、思考の無秩序さ意識レベルの変化が存在することで「せん妄」と判断される。
術後や集中治療の現場を想定して、対象者が頷いたり手を握ったりなどの非言語的な回答によって判定できるようになっており、従来の認知テストで要求されるような、複雑な作業課題(書く、描くなど)を行う必要はない。「注意力欠如」を確かめる注意カスクリーニングテストは、視聴覚を使った注意力または短期記憶検査である。視覚による検査では、絵を見て覚えるよう説明し、日常用品類5点の簡単な線のみで描いた絵を3秒ずつ順次見せ、その後順次見せる10枚の絵のなかから、直前に見た5枚の絵を「はい」(頷き)か「いいえ」(首を横に振る)で解答する方式である。また聴覚による検査では、ランダムに並んだ10の文字列(英語版はアルファベット、日本語版は数字)を1字1秒の速さで読み上げ、その中の特定の文字(Aまたは1)を開いたときに検査者の手を握ってもらう方式である。いずれも正解が8割に満たない場合は「注意の障害」と判断する
【引用文献】日本集中治療医学会,日本版・集中治療室における成人重症患者に対する痛み・不穏・せん妄管理のための臨床ガイドライン.日本集中治療医学会誌 2014;21:539-579
補助教材8
Intensive Care Delirium Screening Checklist(ICDSC)
「意識レベルの変化」「注意力の欠如」「失見当識」「幻覚、妄想」「精神運動興奮あるいは遅滞」「不適切な会話あるいは情緒」「睡眠・覚醒サイクルの障害」「症状の変動」の8つの項目で構成される。一定期間の診療録からこれらの項目をできる限り多く抽出し評価する。患者が鎮静されている場合、「意識レベル」の項目は評価しない。CAM-ICUでは幻覚があってもせん妄陰性と判断されることがあるが、ICDSCでは軽微なせん妄を発見できることが示されている。
【引用文献】日本集中治療医学会,日本版・集中治療室における成人重症患者に対する痛み・不穏・せん妄管理のための臨床ガイドライン.日本集中治療医学会誌 2014;21:539-579
ELNEC-Jクリティカルケアカリキュラム モジュール3:エンド・オブ・ライフ・ケアにおける 補助教材
指導者用ガイド2016 症状マネジメント Page 1