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Copyright © 2018 Sales Hacker インサイドセールスの検討~導入~効果的な運用 本 E-book は、既にインサイドセールスについて熟知している方向けのコンテンツになっております。 インサイドセールスとは何かご存知無い方は、こちらの記事E-book をお読み頂き、インサイドセー ルスについてご理解深めて戴いた上で本 E-book をお読み戴ければ幸いです。 本 E-book はインサイドセールスについて深堀りしていますが、その目的は、「インサイドセールスの 重要性は分かったけど、具体的にどうしたら自社に取り入れて、かつ成果を上げることが出来るの?」 という悩み・疑問の解消の一助になることです。本 E-book をお読みになった後、ご質問、ご要望、ご 意見などあればコチラからお気軽にお問合せ戴けますと幸甚です。 インサイドセールスの 検討~導入~効果的な運用 Sales Hacker

Sales Hacker€EB2...どのタイプを導入すべきなのか? 企業を区別する切り口は業界、従業員数、売上など幾つもありますが、自社に適切なインサイドセール

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インサイドセールスの検討~導入~効果的な運用

⚫ 本 E-book は、既にインサイドセールスについて熟知している方向けのコンテンツになっております。

インサイドセールスとは何かご存知無い方は、こちらの記事や E-book をお読み頂き、インサイドセー

ルスについてご理解深めて戴いた上で本 E-bookをお読み戴ければ幸いです。

⚫ 本 E-book はインサイドセールスについて深堀りしていますが、その目的は、「インサイドセールスの

重要性は分かったけど、具体的にどうしたら自社に取り入れて、かつ成果を上げることが出来るの?」

という悩み・疑問の解消の一助になることです。本 E-book をお読みになった後、ご質問、ご要望、ご

意見などあればコチラからお気軽にお問合せ戴けますと幸甚です。

インサイドセールスの

検討~導入~効果的な運用

Sales Hacker

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インサイドセールスの検討~導入~効果的な運用

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目次

1. インサイドセールスは日本に馴染むのか?

2. インサイドセールス導入時の検討事項と留意点

3. “インサイド“セールスを“インサイト“セールス

に昇華させる 5つのヒント

4. インサイドセールスが抱える悩み・課題

5. まとめ

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インサイドセールスの検討~導入~効果的な運用

1. インサイドセールスは日本に馴染むのか?

日本でインサイドセールスは浸透するのか?

(1) インサイドセールスの価値≠移動コストの削減

まず、米国でインサイドセールスが急伸しているのは、地理的/社会的要因(国土:日本の約 25

倍、人口:約 2倍)が主な理由なのでは?ということについて考察したいと思います。

人口密度を見ると、米国は日本の 1/10で(日:336人/㎢, 米:33人/㎢)、公共交通網も日本に比

べ整備されていないため(公共交通機関の通勤利用率1:日 29.6%, 米 5.2%)、確かに米国は移動

コストが相対的に高く、インサイドセールスのニーズも相対的に高いのは事実です。

一方で、インサイドセールスの目的は、「移動コストの低減」ではなく、「商談数と、成約率の増

加による利益の最大化」です(ご参照:「利益を増大させるインサイドセールスのメカニズ

ム」)。

その証拠に IBM、Microsoft、LinkedIn、オラクルといったグローバル企業がインサイドセールス

に積極的に投資しており(参照記事:「インサイド・セールス」に投資集中)、なかでも日本マイ

クロソフトやデルは日本でも大きな成果を上げています(マイクロソフト:成約率 20%向上、デ

ル:インサイドセールスはデル独自のビジネスモデルの中核を担う存在)。

高成長企業が一斉にインサイドセールスに投資している理由は、商談数と成約率が圧倒的に増え、

利益を最大化できるからであり、単に移動コストを削減できるからではありません。

商談数と成約率が増えれば、どこの地域で営業したとしても利益は増えます。従って、日本の移動

コストが相対的に低いことは、インサイドセールスが浸透しない理由にはなりません。

(2) 日本における、事業環境(マクロ/ミクロ)

また、日本のマクロ/ミクロ環境に鑑みても、インサイドセールスは今後日本でも着実に拡大して

いく流れにあります(次項に続く)。

1 11-5 利用交通手段 平成 22年国勢調査、通勤手段は?時間は?日本と世界の通勤事情

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◼ マクロ環境

A) 政治・社会

働き方改革が叫ばれ、官民あげてリモートワークや残業削減を推進しており、働き方の

大きな変革が“社会のうねり”となっている。

B) 経済

生産性向上が重要課題となっており、労働集約的な営業モデルから効率的な営業モデル

にシフトする機運が高まっている。

◼ ミクロ環境

A) テクノロジー・ツール

CRMや SFAなど、営業管理ツールが整備され、整理されたデータも溜まってきている。

B) 顧客ニーズの細分化

テクノロジーの普及や顧客自身の工夫の積み重ねにより、多くの課題が既に解決され細

分化・多様化している。商品/サービスそのものの差別化で競争優位性を保つのは難しく

なっている。顧客の課題を効率的に把握し、商品/サービス開発に素早く繋げる組織体制

の構築が急務となっている。

これまで営業の世界では、気合論や根性論が強く根付いており一部のトップパフォーマーに頼る属

人的な体制が主流でしたが、営業生産性の向上を図る機運が日本でも高まっています。

再び米国に目を向けると、次項図 1の通りリーマンショック以降、インサイドセールスが急速に発

展し、2017年には営業時間配分の約 90%をインサイドセールスに割いているという調査データも

あります。これまでに多くの組織論が米国で浸透後、数年遅れで日本でも広まったことを鑑みる

に、今後日本でインサイドセールスが一気に拡大する可能性が高いと言えます。実際、足元でも国

内のインサイドセールス市場は伸びてきており、2020年までに現在の 4倍の 2,070億円まで成長

するという予測も出ています(次項図 2)。

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図 1 米国における営業時間配分の推移

出典:Bureau of Labor Statistics, TOPO 2015年 3月

図2 インサイドセールス市場の成長予測

イノーバ社 ブログから抜粋

ベルフェイス社 HPから抜粋

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2. インサイドセールス導入時の検討事項と留意点

インサイドセールス導入の目的や、日本に於けるマクロ/ミクロの事業環境に鑑みても今後インサイド

セールスは日本で急速に拡大していく可能性が高いことはお分かり頂けたかと思います。

ここからは、実際にインサイドセールスを導入する際の、検討事項などについてご説明いたします。

インサイドセールスは 3つのタイプに大別される

まず、一言で「インサイドセールス」といっても、その役割に応じて大きく 3つのタイプに分けるこ

とが出来ます。

① Team (分業モデル)

② Hybrid (協業モデル)

③ Independent (独立モデル)

それぞれの特徴は、以下の通りです。

① Team (分業モデル)

下記の通り明確に分業する。

⚫ インサイドセールス:リードナーチャリング、ヒアリング・アポイント

⚫ フィールドセールス:セリング・クロージング

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② Hybrid(協業モデル)

インサイドセールス担当者は主にリードナーチャリング、ヒアリング・アポイントを行うが、

必要に応じセリング・クロージング(対面の訪問販売も含む)まで行う。

③ Independent (独立モデル)

インサイドセールス担当者がリードナーチャリング ~ セリング・クロージングまで一貫して

リモートで行う。

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インサイドセールスのタイプ別役割とメリット・デメリット

それぞれの特徴は上記の通りですが、各タイプがどんな組織に向いているのか?それは何故か?これま

でインサイドセールスを持ったことのない組織がゼロからインサイドセールス部隊を起ち上げる為には

どうしたら良いか?などについて以下で考察します。

どのタイプを導入すべきなのか?

企業を区別する切り口は業界、従業員数、売上など幾つもありますが、自社に適切なインサイドセール

スのタイプを決める上では、特に(1)自社商品・サービスのタイプ、(2)ターゲット顧客の 2点が

重要になります(次項図ご参照)。

(1)商品・サービスで言うと、低単価商品は「③独立モデル」が適しています。低単価≒薄利多売な

ので経営的に顧客獲得コストを掛けられず、最も効率良い独立モデルを採用せざるを得ない点と、低価

格で購入ハードルが低い為、リモートでも販売できるという点が背景にあります。一方で、大企業向け

に販売する場合は低単価商品でも「企業の信用力」や「対面営業の商習慣」が重視されることが多いた

め、フィールドセールスじゃないとなかなかクロージングできません。従って、低単価商品でも大企業

向け販売は「①分業モデル」にせざるを得ないというのが実情です(実際、いくつかのベンチャーは当

初独立モデルで中小企業向けに販売していたものの、事業拡大と共に大企業向け販売が増えて分業モデ

ルに移行せざるを得なかった例もあります)。

(2)ターゲット顧客で言うと、新興企業や中小企業(SMB)はリソースが限られているため、「効率

性」が重視されるケースが多く、より合理的なリモート販売でも受け入れられる傾向にあります。BtoC

では、若年層は普段から ECサイトを利用したり、ネット上でコミュニケーションしたりすることも多

く、バーチャルやリモートへの抵抗がない為、たとえ高単価だったとしても「③独立モデル」は受け入

れられます。

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このように、自社が「(1)どんな商品/サービス」を「(2)誰に」売っているかによって、導入す

べきインサイドセールスのタイプを決めることをお勧めします。

ゼロからインサイドセールス部隊を起ち上げる為には

上記表を見て「あれ協業モデルは?一部括弧書きで記載されているだけじゃん。」と思われた方も多い

かと思います。協業モデルは、一部対面での訪問販売も含まれてしまうため、結局従来の労働集約的な

営業と変わらず、「インサイドセールスチーム」という組織が一つ増えただけで実態としては何も変わ

らないという事態に陥りがちなので、あまりお勧めできません。一方で、いきなりインサイドセールス

を導入して明確に分業したり、訪問販売を完全に廃止したりすると社内外でハレーション(副作用)が

起きます。

そこで、ゼロからインサイドセールス部隊を起ち上げる際は、まずはインサイドセールス担当として何

名か任命して②協業モデルを取り入れてから、①分業モデル、③独立モデルに移行してくというステッ

プが望ましい導入プロセスです。②協業モデルは、あくまで「時限的な初期段階のステップ」であるこ

とに留意して、いつまでに①分業モデルまたは②独立モデルに移行させるか明確に期日を切るようにし

ましょう。

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導入当初、留意すべき点が 2つあります。

1点目は、誰をインサイドセールス責任者として任命するかということです。

答えは、トップ営業や経営層ともしっかり話のできる部長クラスの方です。なぜかというと、インサイ

ドセールスは司令塔的な役割を果たす為、フィールドセールスやマーケティングにプレッシャーを掛け

る必要があるからです。弱い立場の方をインサイドセールスにアサインしてしまうと、フィールドセー

ルスもマーケティングもなかなか話を聞いてくれず、効果が出なくなってしまいます。

2点目は、最初は質にこだわり過ぎずに、とにかく量を追う(アポイント取得に注力する)ことです。

「ん?それじゃあ、インサイドセールスを導入する意味が薄れてしまうのでは?単なるテレアポになっ

ちゃうじゃん。」と思われた方もいらっしゃると思います。確かにご指摘の通りなのですが、インサイ

ドセールスを導入しても、最初はなかなか成果が上がり難い(成約数、成約率が上がらない)のも事実

です。潤沢なアポイントをフィールドセールスに供給できないと、インサイドセールスの立場は弱くな

ってしまいますので、最初はあまり質にこだわり過ぎずに(ヒアリングの質にこだわり過ぎずに)とに

かくアポイント取得に注力することをお勧めします。インサイドセールスが組織化されて、担当者もヒ

アリング~アポ取得に慣れて他部門と連携できるようになってきたら、6カ月~1年かけて徐々にヒア

リングの質を上げていくというプロセスで問題ありません。焦らずに、地道にこつこつとインサイドセ

ールスを創り上げていきましょう。

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3. “インサイド“セールスを“インサイト“セールスに昇華させる 5つのヒント

さて、ここからは、どうしたらインサイドセールスを効果的に運用できるかという点にフォーカスし

てお話します。

「営業の本質とは?個人/組織の営業力を上げるためには?」でもご説明した通り、Field Sales(外

勤営業)に対して Inside Sales(内勤営業)というネーミングになっていますが、その役割にフォー

カスすると本当は Insight Sales(インサイトセールス)が正しい呼び名だと思います。どういう

ことかと言うと、顧客の潜在ニーズ(外的インサイト)を発見する役割と、司令塔となって部門間の

連携を促すことにより組織の潜在能力・ニーズ(内的インサイト)を発見する役割を担っているの

で、役割にフォーカスすると Insight Salesになるのではないかということです。

Insight Salesを創り上げる為には、先ずはインサイドセールス(内勤営業)を導入し、部門間連携

を図って試行錯誤しながら、Insight Salesに昇華させていく必要があります。

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今回は、インサイドセールスを少しでも早くインサイトセールスに昇華させるべく、より有効に運営す

るための 5つのヒントを、Inside Sales.comが実施した大規模調査をもとにご紹介します。

Inside Sales.com が 52万回の電話営業を AIに分析させてパターンを解析したところ、トップパフォ

ーマーは 5つの特徴を持っていることが浮き彫りになりました。

(1) 話すよりも聞く

(2) 3~4個の課題を発掘する

(3) より多くの Key Topicに関する質問をする

(4) 一貫した質問フローを持つ

(5) 午後に電話を掛ける

次のページ以降で、具体的なデータを元に一つずつご説明します。

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(1) 話すよりも聞く

➢ トップパフォーマーは、電話営業中 54%の時間を“聞く”時間に割いている。

➢ トップパフォーマーは、1分以内に話者が切り替わる(会話のラリー率が高い)。

「営業の本質とは?個人/組織の営業力を上げるためには?」でもご説明した通り、顧客の利益を最大

化/費用を最小化する為には、先ず顧客がどの様な課題を抱えているかヒアリングする必要がありま

す。そのためには、自社のサービスについて話すよりも、相手の話を良く聞く必要があります。トップ

パフォーマーは話すのが上手いというよりも、相手の話しを聞くのが上手いのです。また、ただ話を聞

くだけでなく、SPIN2などの手法を用いてアクティブリスニング3 することで会話のラリー率を高める

ことが重要です。

2 営業が顧客の話しを聞く際に質問すべき 4 つの質問の頭文字をとったもの(以下ご参照)イギリス人行動心理学者のニール・

ラッカム氏により開発・体系化されたセールスの技法で、主に大口商談に適した質問法。

• 状況質問(Situation) →顧客の現状を理解する

• 問題質問(Problem) →顧客が抱える問題を明確にし、顧客自身に問題の存在を気付かせる

• 示唆質問(Implication) →問題の重要性を顧客自身に認識させる

• 解決質問(Need payoff) →問題が解決した理想の状態を、顧客にイメージさせる

3アクティブリスニング

相手の言葉を積極的に傾聴する姿勢や態度、聴き方の技術・手法のこと。積極的傾聴とも言う。営業に於いては、アクティ

ブリスニングにより、聴き手(担当)は話し手(顧客)と共に感じ、考え、問題の本質を明確にしていくプロセスを共有す

ることで、話し手(顧客)が自ら問題・課題を認識できるようにする事が重要。

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(2) 3~4個の課題を発掘する

➢ トップパフォーマーは、3~4つの課題を発見する。

会話時間の約半分は課題発掘に充てるべきで、その時間内で 3~4つの課題を見つけるがベストです。

多すぎても少なすぎてもダメです。理想的な会話の展開は以下の様なステップとなります。

1. 導入 25% ラポール形成4(信頼醸成、関係構築)

2. 展開 50% 3~4つの課題発掘

3. 結論 25% ラップアップ5、次のステップについての合意

4 ラポール形成(Rapport)

信頼関係を築くこと。一般的に、以下 4 つのテクニックで成り立つとされる。

ミラーリング:相手のしぐさや姿勢を鏡に映しているように真似ること。

ペーシング:「相手の話し方」を真似ること。

バックトラッキング:いわゆるオウム返しのこと。相手の言ったことを自分も改めて言うことで、相手の話を聞いていて、

受け止めていることを伝えることができるので。営業のシーンでは、抜け漏れを防ぎ、丁寧な印象を

与えるので特に効果的。相手が言ったことを咀嚼して、必ず最後にラップアップして確認すると最適。

キャリブレーション:相手の心理状態を言葉以外のサインで認識すること。言葉以外のサインとしては姿勢、呼吸、表情、

声のトーンなど。

5 ラップアップ(Wrap up)

会議や打ち合わせ、商談で話したことを最後にまとめること。上司から、「結果をラップアップしといて」と言われたら、要

点を箇条書きでまとめて送れば良い。その際は、日時/場所/参加者/結論/要点を記載すること。

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(3) より多くの Key Topicに関する質問をする

➢ トップパフォーマーは、11~14個程度の質問をし、そのうち約 10個は Key Topicに関

する質問をする。

質問は少なすぎると、課題とその背景を聞き出せず、多すぎると無駄話が多くなり本質的な質問が埋も

れてしまいます。具体的にどのように質問すれば良いかは、「営業の本質とは?個人/組織の営業力を

上げるためには?」で述べていますが、顧客の立場に立って課題をあらかじめ想定した上で、顧客自身

に課題(顧客のニーズ)を自覚して貰うことを心がけましょう。

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(4) 一貫した質問フローを持つ

➢ トップパフォーマーは、通話時間中ずっと質問のペースが一定で、しっかり相手のことを理解

しようとする。

さきほど理想的な会話のステップ(1導入、2展開、3結論)を記載しましたが、それぞれのステップ

ごとに適切なタイミングで適切な質問をして、相手に喋る時間を与える必要があります。

パフォーマンスが標準的な営業担当者(左のグラフ)は、冒頭に矢継ぎ早に質問してしまっています。

これは、聞きたいことだけ聞いてしっかり相手の課題を理解しようとしていないためです。トークスク

リプトは必ずしも作成する必要はありませんが、質問のタイミングや頻度を定型化することが重要で

す。すべての質問をまとめてせずに、しっかりと相手に答える時間・間を与えることを心がけましょ

う。

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(5) 午後に電話を掛ける

➢ 狙った担当者に一番つながる時間帯は、15~17時。

朝はメール・書類処理やチーム会議、その他雑務などで忙しいので、電話を掛ける時間帯としては望ま

しくありません。

「営業の本質とは?個人/組織の営業力を上げるためには?」でもご説明しましたが、視座を変えて相

手の立場に立つことで細かな気遣いができるようになり、結果として営業生産性の向上、延いては成約

率の向上につながります。細かな気遣いが大きな結果の違いを生みます(細部に神は宿る)。視座を変

えることを強く意識しましょう。

いかがでしたでしょうか?インサイドセールス組織を既にお持ちの皆さんや、これから導入する皆さん

は以下 5つを実践してインサイトセールスへの歩みを 1歩近づけて戴ければと思います。

(1) 話すよりも聞く

(2) 3~4個の課題を発掘する

(3) より多くの Key Topicに関する質問をする

(4) 一貫した質問フローを持つ

(5) 午後に電話を掛ける

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4. インサイドセールスが抱える悩み・課題

さて、ここからは、実際に日本でインサイドセールスを導入して運用している企業が実際にどのよう

な悩みを抱えているかについてお話します。

50社へのヒアリングからあぶり出された悩み・課題

すでにインサイドセールスを導入している企業 50社にヒアリングを実施したところ、細かな悩み・

課題は個社ごとに有象無象にありましたが、なかでも全社共通して抱えている悩み・課題は、①人材

育成/人材不足と、②ミスコミュニケーションでした。

原因は、「営業のブラックボックス問題」

実際に現場で電話営業を観察・実地調査した結果、①人材育成・教育も、②ミスコミュニケーション

も、原因は「顧客と担当者が“何を“”どのように“話しているか分からない = ブラックボックス問題」

にあることが分かりました。

すなわち、「なぜ成約/失注したのか、なぜ担当者のパフォーマンスが高いのか/低いのか」や「どんな

ニュアンスで、顧客が言ったのか」が見えない為、原因分析や正確な情報伝達ができず、結果的に数打

てば当たる労働集約的な営業スタイルになっていたのです。

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いくつかの先進的な企業では、ブラックボックス問題を解消するために、モニタリング(上司が担当者

の電話を聞き、その場または事後に指導)やトップパフォーマーによる研修(電話内容を文字に起こし

て、定期的に担当者全体に向けて行う研修)などを実施していましたが、膨大な工数が割かれて生産性

が落ちていました。

また、SFAや CRMなどのツールを導入しても、これらのツールは「How=どのように」に主眼を置い

ており、「Why=なぜ」という観点が欠落している為、ブラックボックス問題は解消されませんでした

(CRM=“どのように”顧客情報管理するか、SFA=“どのように”営業進捗管理するか)。

そこで、弊社では、営業の“Why=なぜ”を解消する CAT(Closing Analysis Tool)のご提案をさせ

て戴き、多くの方が悩みを抱えている「営業のブラックボックス問題」を解決するサービスを開発する

ことにいたしました。(次項図ご参照)

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転載・引用禁止

より具体的には、音声解析 AIを搭載した CRM/SFA連携のソフトフォン(インターネット電話)をご提

供することで、営業の「なぜ」を明らかにし、生産性の高い営業モデルに大きく転換するツールをご提供

しています。

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ソフトフォン(インターネット電話)の機能

ソフトフォンの CRM/SFA連携イメージ

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AIソフトウェアの機能

ソフトウェア(ウェブアプリケーション)のイメージ

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インサイドセールスの検討~導入~効果的な運用

このツール(MiiTel)を使うと、P/Lの Pが増加し、Lが減少します。

具体的には、営業トークの質が向上することにより成約率が向上し Pが増加し、教育コストや架電工数

が下がることにより Lが減少するということです。

5. まとめ

日本でもインサイドセールスが浸透していくことや、インサイドセールス導入時の検討事項・留意

点、有効な運用方法についてお分かり頂けたかと思います。また多くの企業をヒアリングするなかで

インサイドセールスが抱える課題や悩みも明確に見えてきました。

今後、Sales Hackerでは営業の現場で本当に役立つ実践的・実務的な情報を発信して参ります。

本 E-Bookがインサイドセールスを導入予定の企業の方や、すでにインサイドセールスを導入してい

る企業の方のお力になれれば幸いです。

MiiTelに関する更なる資料請求は以下までご連絡お願い申し上げます。

https://miitel.jp

℡ 03-4405-4621

[email protected]

その他ご質問やご要望、ご意見等は以下までお願いいたします。

[email protected]

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筆者

株式会社 RevComm

代表取締役

會田 武史(あいだ たけし)

大学在学中、社団法人 ThinkAct Foundation、学生団体 Applimの設立に従事。また、Global NPO SIFE

Japan(現 Enactus Japan)のプログラム・マネージャーも務める。

2011年に三菱商事株式会社に入社し、自動車のトレーディング、海外市場での販売/マーケティング施策の

企画・立案・実行、クロスボーダーの投資案件・新会社設立、政府向け大口入札案件、M&A案件等に従

事。2014年サウジアラビアに赴任し、現地にて新型 SUVのローンチプロジェクトに従事し、中東地域にお

ける販売/マーケティング施策の企画・立案・実行を行う。2016年にはウクライナにて現地パートナーと

JV出資で自動車販売会社を設立し、同年ウクライナ国家向け大口入札案件を獲得。この他にも、トルコで

の M&A案件、コーカサス地域に於ける販売/マーケティングのアドバイザリー業務にも携わる。

2017年 7月に株式会社 RevCommを設立、同年 9月に創業。