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資源エネルギー庁 資源・燃料部 石油精製備蓄課 委託事業 平成 28 年度 石油産業体制等調査研究 (石油業界における災害時対応訓練の実効性確保等に関する調査) 報告書 平成 29 年 3 月 株式会社富士通総研

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資源エネルギー庁

資源・燃料部 石油精製備蓄課

委託事業

平成 28年度

石油産業体制等調査研究

(石油業界における災害時対応訓練の実効性確保等に関する調査)

報告書

平成 29年 3月

株式会社富士通総研

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目次

1. 事業の目的と概要 ................................................................................................................ 1

2. 系列 BCPの格付け評価の実施 .............................................................................................. 3

2.1. 石油精製・元売各社の達成状況と課題の整理 ............................................................... 4

2.2. 系列 BCP格付け評価の実施概要の決定 .......................................................................... 7

2.2.1. 系列 BCP格付け評価の実施プロセス ...................................................................... 7

2.2.2. 系列 BCP格付け評価における各社からの提出資料 ................................................. 9

2.2.3. 系列 BCP格付け評価の評価基準............................................................................ 10

2.2.4. 訓練の評価基準 .................................................................................................... 11

2.2.5. 訓練の評価方法 .................................................................................................... 12

2.3. 訓練視察の実施概要 .................................................................................................... 13

2.4. 系列 BCP格付け評価の実施 ......................................................................................... 14

2.4.1. 対面審査の実施 .................................................................................................... 14

2.4.2. 系列 BCP格付け評価結果 ...................................................................................... 15

3. 石油業界全体としての取組の方向性に関する提言 ............................................................ 20

別紙 1 統一フォーム(平成 28年度版)

別紙 2 巨大地震等に対する石油会社の訓練評価ガイドライン(ドラフト版)

別紙 3 供給回復を担う企業の事業継続能力評価ガイドライン(ドラフト版)

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1. 事業の目的と概要

■事業の目的

首都直下地震や南海トラフ巨大地震等の激甚災害に備え、発災後可能な限り迅速に石油供給機能

を回復させ、被災者等へガソリン等の石油製品を供給しうる体制を平時から構築し、減災や早期復

旧に必要な事前の投資や、災害時の緊急石油供給に必要な訓練を官民一体で定期的に実施すること

が重要である。

このため、石油の備蓄の確保等に関する法律に基づく災害時石油供給連携計画を政府とともに実

行する責務や平成 27年 4月 1 日から災害対策基本法上の指定公共機関の責務を担う石油精製・元

売会社※1(以下「石油会社」という。)は、平成 25 年度に、製油所から系列サービスステーショ

ン等の末端供給までを包含する、巨大地震を念頭においた自社系列全体の事業継続計画(以下「系

列 BCP」という。)を策定した。その後、平成 26年度に、①石油業界共通(災害時石油供給連携計

画を策定する石油会社共通)のタイムラインの設定や②供給回復目標の設定を内容とする系列 BCP

への見直しを図り、平成 27年度には、更なる系列 BCPの見直しを行うとともに、策定した系列 BCP

に基づく訓練内容の審査も通じて、各社として危機対応能力の向上に向けて取り組むべき課題を把

握したところである。

災害時の緊急石油供給の対応能力を強化し、その実効性を担保するためには、平成 26年 4月に

策定したエネルギー基本計画 2014にもあるように、系列 BCP の毎年の格付け評価により、内容の

不断の見直しを継続することが必要である。

また、今後、系列 BCPに定められた石油会社の機能を強化し、供給回復目標に向けた能力強化を

行う取組を進めるためには、系列 BCPの格付け審査において訓練を中心に評価を行い、各社に危機

対応能力の向上を促すとともに、系列 BCPの実効性を担保することが必要である。

そのため、国として、系列 BCPの格付け審査を通じた石油業界全体でのレベルアップを図るため、

平成 27年度に石油会社が策定した系列 BCPについて、系列 BCP格付け審査における 18の評価項目

に対応した、石油業界共通の訓練評価基準・訓練評価手法の調査を行い、石油業界にとって汎用性

があり、実効性のある訓練の設計・運営方法のあり方を確立し、もって、石油製品の安定供給の確

保を図ることを目的とする。

※1 現在は、JXエネルギー株式会社、出光興産株式会社、コスモ石油株式会社、東燃ゼネラル株

式会社、昭和シェル石油株式会社、富士石油株式会社、太陽石油株式会社の計 7社

■事業の概要

(1)系列 BCPの訓練内容に基づく訓練評価基準(チェック項目)及び訓練評価方法の調査

・石油精製・元売会社が、発災後にも迅速に回復すべき機能(本社機能、需給調整機能、生産機

能、受発注機能、配船・配車機能等)への対応として、平成 27 年度に石油会社が策定した系

列 BCPに記載されている、訓練内容の精査

・上記の調査結果を踏まえた、石油業界共通の訓練評価基準(チェック項目)や訓練評価方法の

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整理

(2)訓練評価方法の課題・方策等の実態調査及び好事例の展開に向けた提言

・今年度実施予定の石油会社における訓練視察を行い、上記 1で整理した訓練評価基準(チェッ

ク項目)や訓練評価方法を用いて、石油会社の社内各部門グループが相互に連携して災害対応

に取り組んでいるか、訓練内容として実現可能性があるかなどの実態の調査

・訓練の実施方法、評価の方法、前提条件の設定方法などの調査内容も踏まえた、好事例を業界

で共有できるような仕組みの提言

(3)系列 BCPの格付け審査

・上記 1 及び 2 の調査に当たり、BCP の有識者で構成される委員会(回数:20 回程度、委員 4

名程度)の設置

・上記有識者委員の助言を踏まえた、系列 BCPの格付け審査を通じて、各社の系列 BCPの実効性

が確保されたものになっているかの格付け審査の実施

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2. 系列 BCPの格付け評価の実施

本事業では、過去 3回(平成 25年度~27年度)の審査結果を踏まえ、石油精製・元売会社が発災

後にも迅速に回復すべき機能(本社機能、需給調整機能、生産機能、受発注機能、配船・配車機能等)

の実効性の確認と改善につながりうる、系列 BCP格付け評価について、以下の手順に沿って実施した。

1. 石油精製・元売各社の達成状況と課題の整理

過去 3 回(平成 25 年度~27 年度)の系列 BCP 格付け評価結果を踏まえ、石油精製・元売各

社の訓練の実施状況を含む達成状況と課題を整理した。

2. 系列 BCP格付け評価の実施概要の決定

上記を踏まえ、平成 28年度の系列 BCP格付け評価における評価項目、評価基準、評価手法を

決定し、各社に対して実施概要の通知を行った。

3. 訓練視察の実施

各社で実施されている訓練の実効性を確認することを目的として訓練視察と訓練設計者への

ヒアリングを実施した。なお、対象とする訓練は各社から提出いただいた訓練計画から指定

した。

4. 系列 BCP格付け評価の実施

各社から提出された系列 BCPの確認結果、対面でのヒアリング審査結果および訓練視察結果

を踏まえ、系列 BCP格付け審査委員の合議により各社の系列 BCP格付け評価結果を決定した。

なお、格付け評価結果は各社に対してフィードバック済みであり、本報告書には実施結果の

概要のみを記載する。

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2.1. 石油精製・元売各社の達成状況と課題の整理

系列 BCP 格付け評価では、首都直下地震や南海トラフ大地震等の激甚災害時においても、「早期に

平常時の 1/2 程度の入出荷機能を確保」するために発災後にも迅速に回復すべき機能(18 の個別項

目)について、各社の取組の充足状況を継続的に評価している。当事業における評価の前提となる過

去 3 回(平成 25 年度~27 年度)の評価での達成状況結果は以下の通りであった。(個別の評価項目

の説明は別紙参照)

【過去 27年度までの達成状況】

・平成 27年度までの 3年間で、供給回復目標を 1日と設定し、石油精製・元売各社の系列 BCP(文

書)の充足度合いの確認と各社で実施されている訓練の実効性の確認を実施。

・その結果として、各社では系列 BCPの文書の策定は概ね完了し、訓練と課題の抽出を継続的に実

施する体制が整備され、供給回復目標(1日)に達成に向けた取組のベースが出来上がってきて

いると考えられる。

図 2-1 災害時の緊急石油供給の枠組みにおける石油精製・元売各社の達成状況

各社連携の取り組み(共同OR)

個社の取り組み(系列BCP)

災害時石油供給連携計画

⇒共同ORの枠組み策定

石油会社のBCPガイドライン

⇒有事の目指す姿の明確化

平成24年度 平成25年度 平成26年度 平成27年度

⇒連携計画における基本手順の関係者への周知・確認・改善

⇒連携計画を有事のシビアな状況下でも実行できる能力獲得

災害時石油供給連携計画訓練

1回目 2回目 3回目:シミュレーション訓練

系列BCP格付け審査

1回目 2回目 3回目

⇒取り組みのベースラインとなる計画策定 ⇒各社で実施されている訓練の実効性の確認

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【平成 27年度の系列 BCP格付け評価結果の概要】

○全体の状況

・ほぼ全ての会社で被災製油所の陸上入出荷機能を平常時の 1/2程度まで回復させるまでの「目標

の日数」を高いレベル(被災後 1日以内)に設定。

・大多数の会社においてほぼ全ての個別評価項目が「良」以上の評価を達成しているが、「優」は

全体的にまだ少ない。「文書や仕組みが整えられている」までのものを「良」、「迅速な回復を確

実にするための実効性の高い訓練等の仕組みが整えられている」状況を「優」と評価しており、

優が少ない現在の状態は必要な文章や仕組みの整備は進んでいるものの、演習等を通じた実効性

(復旧回復目標の達成能力)の確認に課題がある状況を示している。

○各機能の評価結果の全体傾向

(1)供給回復目標

・大多数の会社で目標日数を高いレベル(1日以内)と設定しており、「優」と評価されていた。

これは、震災時の石油需要に対する社会的要請の高さを念頭においた目標設定であり、業界全

体への信頼向上に寄与する設定である。

・ただし、この供給回復目標は他の業種に先駆けた非常に高いレベルであり、達成には多くの課

題を解決する必要があることが見込まれ、組織全体での取組へのモチベーション維持が重要と

なる。石油供給機能を担う事業者としての社会的責任や社会からの期待を鑑みて、供給回復目

標を高いレベルに設定したことを認識し、自社の競争力の源泉として組織文化に取り込まれる

ことが必要となる。

(2)本社機能

・被災時の供給の確保のためには、被災製油所において「早期に平常時の 1/2程度の入出荷機能

を確保」するのと同時に、全社的な対応方針の決定等のコントロール機能を担う本社の業務機

能を維持する必要がある。

・大部分の会社で公共インフラの長期停止や通信ネットワークの寸断等により本社社屋での業務

継続が困難となった場合の代替本社機能(第二本社での業務継続等)を確立し、訓練による課

題の抽出が継続的に実施していることが確認出来ている。

(3)受注・配車機能

・大部分の会社において、タンクローリーの配車業務に必要な情報システムの二重化対策(バッ

クアップの確保)や業務オペレーションの二重化対策(代替拠点でのマニュアル作業に移行す

ることの準備等)を実施し、訓練による課題の抽出が継続的に実施していることが確認出来て

いる。

・また、被災時におけるタンクローリー(車両、ドライバー等)の確保に向けて、協力会社の

BCPの取組状況の確認や合同訓練等が実施されていることが確認出来ている。

・なお、一部の「優」と評価された会社においては、石油連盟の BCPガイドラインが前提とする

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被害想定のみならず、想定外(想定を上回る甚大な被害)事象の発生も視野に入れたシミュレ

ーション訓練を実施し、タンクローリーの確保に関する具体的な準備を検討・実施しているこ

とも確認出来ている。

(4)SS管理・支援機能

・各社とも、系列 SS の営業状況の情報収集や要員の派遣を含む必要な支援について、具体的な

計画策定及び系列 SS や協力会社を含めた訓練による課題の抽出を実施していることが確認出

来ている。

(5)被災製油所の支援機能

・各社とも、製油所の被害情報、在庫情報、および周辺インフラの情報等の情報収集、および被

災製油所の復旧支援を効率的かつ効果的に実施するための計画の検討、および訓練による課題

の抽出を実施していることが確認出来ている。

(6)被災製油所の対策本部機能

・各社とも、製油所の被害情報、在庫情報、および周辺インフラの情報等の情報収集と本社への

報告を効率的かつ効果的に実施するための計画の検討、および訓練による課題の抽出を実施し

ていることが確認出来ている。

・また、製油所の早期復旧に必要な資機材の備蓄等の対策や訓練を実施していることが確認出来

ている。

(7)需給調整機能

・大部分の会社において、製油所が被災した場合の、他地域の製油所での増産や、他社・海外か

らの外部調達の増強について基本的な対応方針を決定し、シミュレーション訓練による課題の

抽出を実施していることが確認出来ている。

・なお、一部の「優」と評価された会社においては、石油連盟の BCPガイドラインが前提とする

被害想定のみならず、想定外(想定を上回る甚大な被害)事象の発生も視野に入れたシミュレ

ーション訓練を実施し、需給調整に関する具体的な準備を検討・実施していることが確認出来

ている。

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2.2. 系列 BCP格付け評価の実施概要の決定

2.2.1. 系列 BCP格付け評価の実施プロセス

系列 BCP格付け評価は、有識者により構成される系列 BCP格付け審査委員会によって、石油精製・

元売各社の取組状況を確認し、評価することで実施する。平成 28 年度系列 BCP 格付け審査委員会の

構成員は下記の通り。

表 2-1 平成 28年度系列 BCP格付け審査委員会 構成員

氏名 所属

青山 友美 国立大学法人 名古屋工業大学 大学院工学研究科 社会工学専攻 助教

伊藤 毅 一般財団法人 危機管理教育&演習センター 理事

勝沢 勝栄 一般財団法人 産業施設防災技術調査会 主席技術者

亀村 勝美 公益財団法人 深田地質研究所 副理事長

渡辺 研司 国立大学法人 名古屋工業大学 大学院工学研究科 社会工学専攻 教授

「平成 27年度の系列 BCP格付け評価結果の概要」に記載の通り、平成 27年度までの評価において、

各社とも石油連盟作成のBCPガイドラインに提示された要件を網羅した系列BCPの作成や見直しにつ

いては概ね完了し、系列 BCPに基づく訓練やテストが継続的に実施されていることが確認出来た。

供給回復目標(1日)の達成に向けた今後の課題は、各社で実施されている訓練の実効性の向上と

石油サプライチェーン上の各社(SS、物流会社等)への効率的な対象の拡大となる。

そのため、今年度の評価では、平成 27 年度から引き続き、訓練の視察により各社で実施されてい

る訓練の実効性を確認するとともに、各社への実効性の高い訓練の普及を目的とした訓練評価ガイド

ラインの検討、およびサプライチェーン上の各社への効率的な対象拡大を目的とした調査項目の検討

についても実施する

図 2-2 供給回復目標達成に向けた課題と必要な取組

訓練評価ガイドライン

課題

①訓練の前提条件の整合性が取れていない。

③自社の取り組みが目的達成に近づいてきた中で、石油供給のサプライチェーン上の各社への効率的な対象拡大が必要。

必要な取組

• サプライチェーン上の被評価会社の負荷を上げすぎないで実効性を確保する対策の検討。

- 対応能力を評価する共通の調査票等

• 訓練における前提条件(被害想定等)のレベル感の統一、標準化。

• 被害想定の裏付けとしての大規模災害時の需給シミュレーション。

②今後の訓練負荷が高くなることが想定されるため、実効性を高めたうえで効率化が必要。

• ベストプラクティスの共有による対応能力の底上げ。

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図 2-3 系列 BCP 格付け評価の実施概要(平成 27 年度と平成 28 年度の比較)

図 2-4 系列 BCP格付け評価の実施プロセス

平成27年度 平成28年度

審査形式

• 書面審査/対面審査

• 訓練視察、設計者へのヒアリング

平成27年度と同様

主な確認ポイント

• 昨年度からの改善点(昨年度審査での指摘事項への対応状況)

• 実施している訓練の実効性

- 訓練の目的、スコープ

- 訓練の評価方法、評価指標

- 訓練の評価結果

• 継続性の観点から昨年度の確認ポイントと同様するが、特に下記について重点的に確認

- 特に各社共通の指摘事項である、訓練の前提条件、訓練の評価方法(指標)、および評価結果

- サプライチェーン上の各社(販社、物流、SS等)の取り組み状況、支援内容

• 各社で実施されている訓練の実効性の向上を目的として、訓練評価ガイドラインのフレームワークを作成

• サプライチェーン上の各社への効率的な対象拡大を目的として、系列企業の基本調査項目を設計

系列BCP格付け評価

対面審査

評価会議

有識者会議

意識合わせ

対面審査

評価会議

1月~3月~9月 10~12月

格付け審査委員会

石油精製・

元売各社

平成29年度

• 各機能の供給回復目標の定義

• 訓練評価ガイドラインのフレームワーク、系列企業の基本調査項目の設計

訓練視察の実施(1社1訓練)

統一フォームの設計

訓練の実施

提出資料の準備(BCP改訂/統一フォームの記入)

統一フォーム

取り組み方針検討(訓練計画、系列企業の調査を含む)

フィードバック

• 対面にて実施

• 訓練評価ガイドラインを配付

フィード

バック

各社や有識者の意見を踏まえた修正

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2.2.2. 系列 BCP格付け評価における各社からの提出資料

各社からの提出資料については、平成 28年度版の系列 BCP と統一フォームとした。なお、各社の

系列 BCP 文書の策定・見直しは平成 27 年度までに概ね完了していること、系列 BCP 格付け評価対応

への各社の負荷を軽減することを目的として、平成 28年度については、系列 BCP の提出は事務局で

の確認用の 1セットとした。

また、統一フォームについては、系列 BCP格付け審査委員会と各社のコミュニケーションの効率性

を更に向上させることを目的として、平成 27年度版から一部改善を実施した。平成 28年度版の統一

フォームの構成については、以下に記載する。

図 2-5 統一フォーム(平成 28年度版)の構成

【主な改善点】

・フォーム 2(達成状況の確認と前回審査からの改善点)において、各機能(18の評価項目)につ

いての評価基準(「可」及び「良」の評価基準)を開示し、その評価基準に対して達成状況を各

社で記入して提出する形とした。また、前回審査からの改善点、特に優れた取組、達成出来てい

ない要因等については、評価項目単位で備考欄に記載することとした。

・フォーム 4(平成 28年度の訓練の実施内容を実施結果)において、各社で実施されている訓練

の各機能への充足状況を確認することを目的として、各機能単位での訓練実施状況を記入する形

とした。

確認の流れ 使用するフォーム

フォーム4

平成28年度の訓練の実施内容を実施結果

• 系列BCPで想定している被害(前提としているインフラ、設備等の被害想定)を確認

※ 前提とする被害想定の適切性を確認

• 取組みの全体状況と課題を確認

• 各機能(18の評価項目)に対する達成状況を確認

※ 特にアピールしたい取組みや達成出来ていない理由を含む

• 被災製油所の入出荷機能の1/2を復旧・再開するための対応の実効性、および要する日数(現状、目標の両方)を確認

• 各機能(本社機能、受注・配車機能、SS管理・支援機能、被災製油所の支援機能、被災製油所の対策本部機能、需給調整機能)の実効性を確認する訓練の実施状況、目的、被害想定、参加範囲、および実施結果を確認

フォーム2

達成状況の確認と前回審査からの改善点

フォーム3被災製油所の入出荷機能の1/2を復旧・再開するための

具体的な対応方法

フォーム1

首都直下地震、南海トラフ巨大地震の際に発生する影響

各評価項目への達成状況を自社で記入

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2.2.3. 系列 BCP格付け評価の評価基準

系列 BCPの評価項目(全 18 項目)に対する各社の取組の充足状況を「優」、「良」、「可」、「不可」

の 4 段階で評価を実施した。また、各個別項目の評価結果に基づき、「S」、「A+」、「A」、「B+」、「B」、

「C」の 6 段階で総合評価を実施した。各個別項目の評価基準、および総合評価の評価基準は以下の

通り定義した。

なお、供給回復目標は系列全体の事業継続能力を決定付ける重要なポイントであり、供給回復目標

が震災時の石油需要に対する社会的要請を念頭においた設定よりも低く設定されている場合、社会の

要請に応えるレベルでの事業継続能力の向上が見込めないことから、総合評価の「A+」の条件として

供給回復目標が「優」、「A」の条件として供給回復目標が「優」か「良」であることとした。

個別項目の評価基準

優 特に優れた取組(特に周到な準備や創意工夫が備わったもの)

良 優れた取組

可 最低限のレベルは満たしている取組

不可 最低限のレベルを満たしていない取組

総合評価の評価基準

S 個別項目の評価が「優」のみ。

A+ 個別項目の評価のうち、「優」が全体の 5割以上を占め(供給回復目標は「優」)、

かつ「可」も「不可」もない。

A 個別項目の評価のうち、「優」と「良」の合計が全体の 5割以上を占め(「優」

のみで 5割以上のケースを除く。供給回復目標は「優」か「良」)、かつ「不

可」がない。

B+ 個別項目の評価のうち、「優」と「良」の合計が 5割未満だが一つ以上あり、

かつ「不可」がない。

B 個別項目の評価が「可」のみ。

C 個別項目の評価のうち、一つでも「不可」がある。

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2.2.4. 訓練の評価基準

各社で実施されている訓練の実効性(対応能力の向上に寄与するものになっているか)の評価基準

は以下の通り。訓練設計と訓練当日の運用の両方の観点から実効性を評価した。

なお、訓練視察・設計者へのヒアリングにあたっては、以下の評価基準を踏まえ訓練視察中に重点

的に確認するポイントやヒアリング項目に細分化したチェックシートを作成。有識者による評価を実

施した。

【訓練評価基準(チェック項目)】

○訓練設計の合理性

①訓練の目的が明確になっているか。

・系列 BCPの達成目標に論理的に接続されているか

・訓練の目的を経営層が理解しているか

②対象範囲(拠点、機能)、前提及び方法が目的の達成に対して合理的に設定されているか

③訓練における評価指標が整理されているか

○訓練運用の合理性

④訓練参加者が訓練目的を意識しているか

⑤訓練運営が目的達成に向けて十分なものになっているか

⑥改善のための仕組みが構築されているか

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2.2.5. 訓練の評価方法

各社で実施されている訓練の実効性の評価方法は以下の通り。各社から視察対象の訓練に関する概

要(訓練目的、評価方法等)資料を事前に入手し、訓練評価基準(チェック項目)を踏まえて当日の

確認ポイントを抽出。訓練視察による訓練参加者の動きと訓練設計者へのヒアリングを通じて、各社

で実施されている訓練の実効性を確認した。

図 2-6 訓練の実効性評価の実施手順

訓練視察については、各社から提出された訓練計画(実施スケジュール、目的、対象機能等)を踏

まえ、視察対象の訓練 1社につき 1訓練を選定して実施した。視察対象の訓練において実効性の高い

訓練が設計・運営出来ていれば、その会社が実効性の高い訓練を設計・運用出来る能力があると判断

し、視察対象以外の訓練においても同様であると推定した。

訓練実施前

訓練当日

訓練実施後

• 各社から視察対象の訓練概要(目的、評価方法等)に関する資料を入手

• 書面にて訓練設計の合理性を確認、当日の確認ポイントの抽出

• 確認ポイントに基づき、訓練参加者の動きをチェック

• 訓練設計者に対してヒアリングを実施。訓練設計の合理性を確認

• 有識者会議において訓練視察の結果を確認

• 必要に応じて対面審査で追加確認を実施

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2.3. 訓練視察の実施概要

本事業で整理した訓練の実効性(対応能力の向上に寄与するものになっているか)の評価基準、評

価方法を用いて、石油精製・元売会社(7社)で実施されている訓練の実効性の評価を実施した。実

施概要は以下の通り。

表 2-2 訓練視察の実施概要

社名 訓練名 日時 場所

東燃ゼネラル石油株式会社 2016年度地震対応

ESG/BCP訓練

平成 28年

7月 6日(水) 堺工場

出光興産株式会社 2016年度総合防災訓練 平成 28年

8月 31日(水) 本社(JPタワー)

昭和シェル石油株式会社 昭和シェル石油グループ

近畿代替本部訓練

平成 28年

9月 12日(月) 近畿支店

JXエネルギー株式会社 総合訓練 平成 28年

9月 28日(水) 本社

コスモエネルギー

ホールディングス 臨時対策本部訓練

平成 28年

10月 17日(月) 堺製油所

太陽石油株式会社 BCP本部訓練 平成 28年

11月 14日(月) 本社

富士石油株式会社 総合 BCP訓練 平成 28年

12月 2日(金) 袖ヶ浦製油所

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2.4. 系列 BCP格付け評価の実施

2.4.1. 対面審査の実施

各社からの提出資料(系列 BCP、統一フォーム)の内容を踏まえ、各社の系列 BCPの取組の関係者

を対象とした対面審査を実施した。対面審査は平成 29年 1月 31日から平成 29年 2月 9日の間に各

社 1回、約 2時間程度で実施した。対面審査では、今年度の取組概要について各社から説明いただい

た後に、有識者による質疑応答という流れで実施した。対面審査の実施概要及び対面審査での主な確

認ポイントは以下の通り。

表 2-3 対面審査の実施概要

社名 日時

JXエネルギー株式会社 平成 29年 1月 31日(火)14:00~16:00

コスモエネルギーホールディングス 平成 29年 2月 1日(水)13:00~15:00

富士石油株式会社 平成 29年 2月 1日(水)15:30~17:30

太陽石油株式会社 平成 29年 2月 3日(金)13:00~15:00

昭和シェル石油株式会社 平成 29年 2月 3日(金)15:30~17:30

東燃ゼネラル石油株式会社 平成 29年 2月 9日(木)13:00~15:00

出光興産株式会社 平成 29年 2月 9日(木)15:30~17:30

【対面審査での主な確認ポイント】

1.各社の自己評価結果(統一フォーム 2の達成状況)の検証

‐前回「×」から今年度自己評価「○」となっている部分について正しい自己評価となっているか

‐前回「○」から今年度自己評価「×」となっている部分について、設問意図の認識違いでないか

(厳しすぎるのではないかと考えられる部分があるため、具体的に確認)

‐フォーム 2の備考欄に記載された内容が「優」と評価できるものか

2.訓練の実施状況の評価

‐各機能に期待される役割と、各社が実施している訓練の目的および訓練参加者にズレがないか

‐前提とする被害想定が軽微になっていないか

※上記を中心に確認するとともに、来年度の訓練計画の策定に向けてアドバイスを実施

3.系列 BCPの取組の対象範囲

‐SSの営業状況の情報収集、応援支援、復旧支援(評価項目 13~15)に記載の取組について、ど

の範囲まで対象としているか

‐油槽所の被害状況の情報収集、早期復旧に関する取組の考え方や実施状況

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15

2.4.2. 系列 BCP格付け評価結果

訓練視察の実施結果、対面審査の実施結果を踏まえ、有識者で構成される系列 BCP格付け審査委員

会において評価会議を実施し、委員の合議にて系列 BCP格付け評価結果を決定した。石油精製・元売

会社(7社)の系列 BCP格付け評価の平均点の推移は以下の通り。

図 2-7 系列 BCP格付け評価の実施結果(各社の平均点*1 の推移)

*1)優:3、良:2、可:1、不可:0とした場合の各社の平均点。対象外は非カウント。

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16

○各社の審査結果を踏まえた全体状況

【達成状況】

・平成 25年度に系列 BCP格付け評価を開始して以降、強靭化補助金等の活用による事前対策の強

化を始め、被災時における供給回復目標である「24時間以内に 50%の復旧回復目標」の社内浸

透、これらの目標達成可否を確認するための様々な実効的な訓練の実施、訓練結果を踏まえた改

善活動の展開等、災害対応の組織的能力向上を実現するための取組が、石油精製・元売各社の積

極的な協力により概ね軌道に乗り始めたことが確認できた。図 2-7 に各社の評価結果の平均値

を示しているが、平成 25年度に系列 BCP格付け評価を開始して以降、各社の取組は確実に進ん

でいることが確認できる。詳細に見ると、取り組み当初は文書の整備が一通り終わっているとい

うレベルの 1点台の前半であったが、平成 26年度には訓練への取り組みが各社に広がり良評価

が増え、その後平成 27年度、28年度も取り組みが衰えることなく優評価の項目数が確実に増加

している。今後は、軌道に乗り始めたこれらの改善の取組を、更に効率的かつ実効的な取組とし

て、各社の工夫を取り入れながら継続していくことが重要となる。

【供給回復目標達成に向けた今後の課題】

・総合評価「S」の獲得社は現在に至るまで 1社もない。総合評価「S」獲得のためには、要求され

るすべての項目において、充実した計画の策定のみならず、実効性のある訓練の実施、すなわち、

様々な被害想定の下で、各社のリソースにおいてどの程度まで計画を実行できるのかを検証し、

その結果を踏まえて対応を継続していくことが重要となる。各社に対しては、訓練を目的化せず、

現状の能力を可視化し、課題を明確にするための訓練手法及び評価方法を、更に工夫して取組を

進めて頂くことを期待する。また、石油供給の連携訓練、コンビナート単位での連携訓練など、

業界全体や地域横断での取組が増えている現状を踏まえ、石油業界全体での訓練手法の高度化・

標準化に向けた各社の情報共有も、今後積極的に進めていくことが重要となる。

・また、各社の責任範囲に限定した取組のみにとどまっていては、最終の目標である需要家への安

定供給確保の実効性は担保されない。SSや油槽所といった委託先等に対する指導・支援の強化

などのサプライチェーン全体を意識した取組範囲の拡大も、重要なテーマであると同時に総合評

価「S」獲得のための条件となる。物理的な支援のみならず、教育やノウハウ提供などのソフト

的な支援につきましても、積極的な推進が必要となる。

・石油業界のレジリエンスへの対応は、産業界においてもトップレベルであると評価できる。今後

も、業界としての危機対応能力向上に努めるともに、産業界のトップランナーとして、他の産業

や地方公共団体等とも連携しながら、我が国全体のレジリエンス向上に寄与して頂くことを期待

する。

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17

○主な個別項目の評価結果の全体傾向

※各項目に記載のある数字の推移は、項目毎の各社の平均点の推移を示す。

平成 25年度 → 平成 26年度 → 平成 27年度 → 平成 28年度 の順で記載。

平均点の算出方法は、図 2-7 と同様。

(1)供給回復目標(項目1 1.14 → 2.14 → 3.00 → 3.00)

・全ての会社で目標日数を 24時間以内に設定しており、「優」と評価している。また、多くの会

社において、この高いレベルの供給回復目標が経営層まで認識されており、組織文化に取り込

まれていることが確認出来た。

・今後はこの高いレベルの供給回復目標の達成に向けて継続的に取組を進める必要がある。

(2)本社機能(項目 2 1.43 → 1.86 → 2.00 → 2.29)

・被災時に本社機能を維持することを目的として、継続的に取組を進めていることが確認できた。

・また、一部の取組が進んでいる会社においては、本社社屋が当面の間利用できないようなシビ

アな状況下であっても、供給回復目標を達成するためにこの機能が備えるべき状況(いつまで

に、どのような状態を目指すのか)をタイムラインと照らし合わせたうえで明確化し、その実

現のための具体的な体制と手順の整備及び実効性の高い訓練*1 を実施していることが確認で

きた。

(3)受注・配車機能(項目 7 1.29 → 1.71 → 1.86 → 2.00)

・被災時に受注・配車を維持することを目的として、継続的に取組を進めていることが確認でき

た。

・今後は、供給回復目標を達成するために受注・配車機能が備えるべき状況(いつまでに、どの

ような状態を目指すのか)を自社のタイムラインと照らし合わせて明確化し、関係者で共有し

たうえで、それを実現するための体制と手順を整備すること及び能力を獲得することを目的と

した実効性の高い訓練を設計・運用することが必要となる。

(4)SS管理・支援機能(項目 13~15 1.28 → 1.61 → 1.83 → 2.17)

・被災時に SS からの情報収集や応援支援を迅速に実施することを目的として、継続的に取組を

進めていることが確認できた。

・また、一部の取組が進んでいる会社においては、資本関係にかかわらず系列 SS と供給回復目

標を踏まえたタイムラインを共有(SS 管理・支援機能についていつまでに、どの様な状況を

目指すのか、そのために系列 SS に何を求めるかを共有)したうえで、供給回復能力向上を目

的とした訓練を実施していることが確認できた。

(5)被災製油所の支援機能(項目 4~6 1.19 → 1.81 → 2.00 → 2.00)

・被災時における製油所からの被害情報や在庫情報、周辺インフラに関する情報の収集や被災製

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18

油所の復旧支援の実効性向上を目的として、継続的に取組を進めていることが確認できた。

・今後は、24 時間以内の出荷再開から遡り、製油所の入出荷機能を確保するためには、いつま

でに、どの様な情報を収集し、どの様な判断をするべきか明確化し、共有すること。また、被

災下の限られた通信手段でも上記が可能となるように実効性の高い訓練を実施することが重

要となる。

(6)被災製油所の対策本部機能(項目 16~18 1.10 → 1.76 → 1.86 → 2.00)

・被災時における被害情報や在庫情報、周辺インフラに関する情報の収集や本社への報告及び被

災製油所の早期復旧に向けた対策の実効性向上を目的として、継続的に取組を進めていること

が確認できた。

・今後は、24 時間以内の出荷再開から遡り、出荷機能を確保するためには、いつまでに、どの

様なリソースを確保し、投入すべきか及びそれに伴う情報収集と判断を明確化し、共有するこ

と。また、被災下のシビアな条件においても上記が可能となるように実効性の高い訓練を実施

することが重要となる。

(7)需給調整機能(項目 8~12 1.06 → 1.80 → 2.31 → 2.46)

・被災時における需給調整機能の実効性向上を目的として、多くの会社において、系列 BCPに記

載された前提条件に留まらず、想定外事象(想定を上回る甚大な被害)の発生を前提としたシ

ミュレーション訓練を行い、具体的な課題を抽出し、対策を進めていることが確認できた。

*1実効性の高い訓練の主な要件:

・石油連盟のガイドライン以上のシビアな状況を想定している

・客観的に評価出来る具体的な判断基準で評価している

・目標を達成していない場合、何に問題があったかを具体的に抽出し、対策を検討している

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○個別項目の評価結果の分布(単位:社数)

優 良 可 不可 対象外

1.供給回復目標7 0 0 0 0

2.本社機能確保2 5 0 0 0

3.安否情報の収集1 6 0 0 0

4.製油所の被害情報、在庫情報の情報収集0 7 0 0 0

5.製油所の周辺インフラ(道路、港湾)の情報収集0 7 0 0 0

6.被災した製油所の支援0 7 0 0 0

7.受注・配車業務の維持0 7 0 0 0

8.増産計画の策定4 1 1 0 1

9.タンクローリーの確保3 3 0 0 1

10.ドラム缶輸送の確保1 5 0 0 1

11.石油製品の配船の手配4 3 0 0 0

12.他社又は海外からの石油製品の調達4 3 0 0 0

13.SSの営業状況の情報収集1 5 0 0 1

14.SSの営業の応援支援1 5 0 0 1

15.SSの復旧支援1 5 0 0 1

16.装置や設備の安全確認を行い、被害情報、在庫情報を収集し、本社等へ報告 0 7 0 0 0

17.製油所の周辺インフラ(道路、港湾)の情報収集0 7 0 0 0

18.製油所の早期復旧0 7 0 0 0

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3. 石油業界全体としての取組の方向性に関する提言

今回で系列 BCP格付け評価は 4回目を迎え、各社とも高いレベルの供給回復目標が経営層を含めた

組織内に浸透し、供給回復目標(1日)の達成に向けた取組が概ね軌道に乗り始めていることが確認

できた。

供給回復目標(1 日)の達成に向けては、実効性の高い訓練を設計・運用することが有効である。

本事業では、各社への実効性の高い訓練の普及を目的として「巨大地震等に対する石油会社の訓練評

価ガイドライン(ドラフト版)」を作成した。本ガイドラインは、各社において実効性の高い訓練が

設計・運用されているか評価する際のポイントを示したものであり、石油業界への普及方法について

は平成 29年度以降に検討が必要である。

また、石油製品を需要家に確実に供給するためには、石油精製から需要家に到達するまでのサプラ

イチェーンの目標達成に向けた能力強化が必要であり、そのためにはサプライチェーン構成企業が全

体としての災害時の供給回復目標を理解し、個々の企業の能力および取引企業との連携能力を高める

サイクルを構築することが必要不可欠である。このサイクルの構築のためには、サプライチェーン構

成各社における取組レベルの標準的な評価基準の導入と、共通化された評価基準にもとづくサプライ

チェーン各社間での目標の共有および対話による能力強化支援が必要となる。本事業では、この取組

のために必要な評価視点を「供給回復を担う企業の事業継続能力評価ガイドライン(ドラフト版)」

として作成した。「巨大地震等に対する石油会社の訓練評価ガイドライン(ドラフト版)」と同様に、

石油業界への効率的かつ効果的な普及方法については平成 29 年度以降に継続的に検討が必要である。

○巨大地震等に対する石油会社の訓練評価ガイドライン(ドラフト版)の目次

1. はじめに(本ガイドラインの位置づけ)

2. 系列 BCP格付け評価において各社に求める能力とは

3. 機能目標達成についての評価項目

(前提条件の厳しさ、訓練設計の成熟度、訓練運用の成熟度)

4. 系列 BCP格付け評価における機能目標達成度合いの反映方法

5. 訓練評価の運用フロー

○供給回復を担う企業の事業継続能力評価ガイドライン

1. はじめに(本ガイドラインの位置づけ)

2. 評価の観点

3. 評価の運用のポイント

なお、将来的には、系列 BCP の取組を資源エネルギー庁が詳細かつ網羅的に審査するのではなく、

各社が自立的に運用・改善および内部評価を行い、合わせて外部の視点として評価するという形も考

えられる。そのためにも、本事業で作成した「供給回復を担う企業の事業継続能力評価ガイドライン

(ドラフト版)」、「巨大地震等に対する石油会社の訓練評価ガイドライン(ドラフト版)」の普及方法

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21

の検討を早急に実施する必要があると考える。

上記ガイドラインを石油業界に普及したうえで、石油製品を需要家に確実に供給するために重要な

機能であるが、現在までに系列 BCP格付け評価で十分にカバー出来ていなかった部分(油槽所、特約

店、設備保守会社、設備メーカー、IT ベンダー等)について、取組の範囲を拡大していくことが必

要であると考える。

図 3-1 災害時石油供給の全体像と重点的に取組を強化する必要がある範囲

以 上

•非系列玉流通業者

•元売/油槽所会社

•石油精製・元売会社 •運送会社

•船会社

• ITベンダー

•設備保守会社

•設備メーカー

•販売子会社

元売社有SS(中核)

元売社有SS(中核以外)

製油所

•鉄道会社

油槽所タンクローリー

内航船

タンク車

•特約店

販売店(中核)

販売店(中核以外)

• ITベンダー

•石油連盟 •石油商業共同組合

PBSS(中核)

•設備保守会社

•設備メーカー

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22

別紙一覧

別紙 1 統一フォーム(平成 28年度版)

別紙 2 巨大地震等に対する石油会社の訓練評価ガイドライン(ドラフト版)

別紙 3 供給回復を担う企業の事業継続能力評価ガイドライン(ドラフト版)

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【フォーム1】首都直下地震、南海トラフ巨大地震の際に発生する影響

○首都直下地震の際に本社及び本社機能の代替拠点に発生する影響

時間 時間 時間 時間

本社機能の代替拠点

本社機能の代替拠点

本社機能の代替拠点

○首都直下地震の際に製油所に発生する影響

時間 時間 時間 時間 時間 時間 時間 時間

時間 時間 時間 時間 時間 時間 時間 時間

時間 時間 時間 時間 時間 時間 時間 時間

時間 時間 時間 時間 時間 時間 時間 時間

時間 時間 時間 時間 時間 時間 時間 時間

時間 時間 時間 時間 時間 時間 時間 時間

時間 時間 時間 時間 時間 時間 時間 時間

貯蔵タンク受入設備

(桟橋、配管等)

情報システム(受注、配車システム等)

住所 震度津波

(浸水深)

外部要因

電気通信

(オーダーに関するデータ通信は除く)

建屋

内部要因

情報システム(受注、配車システム等)

拠点名(本社/支店)

拠点名(製油所)

前提とする被害想定(復旧までに要する時間と被害内容)

内部要因

電気 工業用水通信

(オーダーに関するデータ通信は除く)

周辺道路

外部要因

前提とする被害想定(復旧までに要する時間と被害内容)

住所 震度津波

(浸水深)陸上出荷設備

(ポンプ、ローリー出荷設備等)

本社

系列BCP格付け審査用資料

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○南海トラフ巨大地震の際に製油所に発生する影響

時間 時間 時間 時間 時間 時間 時間 時間

時間 時間 時間 時間 時間 時間 時間 時間

時間 時間 時間 時間 時間 時間 時間 時間

時間 時間 時間 時間 時間 時間 時間 時間

時間 時間 時間 時間 時間 時間 時間 時間

時間 時間 時間 時間 時間 時間 時間 時間

時間 時間 時間 時間 時間 時間 時間 時間

住所 震度津波

(浸水深)

前提とする被害想定(復旧までに要する時間と被害内容)

外部要因 内部要因

電気 工業用水通信

(オーダーに関するデータ通信は除く)

周辺道路陸上出荷設備

(ポンプ、ローリー出荷設備等)貯蔵タンク

受入設備(桟橋、配管等)

情報システム(受注、配車システム等)

拠点名(製油所)

系列BCP格付け審査用資料

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【フォーム2】達成状況の確認と前回審査からの改善点

○各評価項目の達成状況の確認と前回審査からの改善点

文書名、項目等 ページ番号

01

本社 供給回復目標

被災製油所における平常時の1/2程度の入出荷機能の確保に要する日数について、「目標の日数」が明確になっている

「目標の日数」の達成に向けたボトルネックとボトルネックに対する具体的な対策、および対策実施計画が策定されている

経営層が計画を承認し、全社的な取り組みとなる土壌が整えられている

被災製油所における平常時の1/2程度の入出荷機能の確保に要する日数について、「現状の日数」を把握出来ている

「目標の日数」をある程度高い水準(3日以内)で設定しており、その「目標の日数」の達成に向けたロードマップを具体的に策定している

02

本社機能維持 本社機能確保

本社において重要業務を継続するための環境(災害時の指揮命令体制、人員(非常呼集スキーム、代替要員の指名)、食料、水、本社社屋で業務を継続できるだけの耐震性、非常用発電機の確保)を整備している

本社社屋が使用不可能となることを想定し、同時被災しない場所に代替拠点を設定している

代替拠点での業務継続の実効性の向上に向けた、具体的な対応方針の策定、課題の抽出と必要な対策の検討を行っている

代替拠点の立ち上げを想定した訓練を行い、実効性の確認と課題の抽出を行っている

03

初動対応機能 安否情報の収集

可 ア

従業員の安否確認に関するルールが整備されている。

従業員の安否確認を効率的に実施するための手段(安否確認システム等)が整備されており、実効性の確認、および登録情報の最新化を行っている

安否確認システムが利用出来ない場合を想定し、安否確認の方法を複数手段検討している

上記対応について訓練を行い、実効性の確認と課題の抽出を行っている

備考欄(前回審査からの改善点、特に優れた取組み、達成出来ていない要因等)

系列BCPの記載箇所

項目

総括

取り組みの全体状況

現状の課題

達成状況

項番 対象 評価項目 評価基準達成状況

系列BCP格付け審査用資料

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文書名、項目等 ページ番号

備考欄(前回審査からの改善点、特に優れた取組み、達成出来ていない要因等)

系列BCPの記載箇所

項目 達成状況

項番 対象 評価項目 評価基準達成状況

04

製油所の入出荷機能確保

製油所の被害情報、在庫情報の情報収集

可 ア

製油所から被災時に収集すべき情報の種類を明確にし、製油所から被害情報、在庫情報を収集するために必要な被災時でも利用可能な通信手段を必要な部署・人員に配備している

衛星電話やMCA無線、携帯電話の「災害時優先電話化」など、被災時に利用可能な通信手段を複数準備している。

被災時に利用可能な通信手段を用いた製油所の被害情報、在庫情報の収集訓練を継続的に実施し、課題の抽出、および実効性の強化を行っている

05

製油所の周辺インフラ(道路、港湾)の情報収集

可 ア

製油所から被災時に収集すべき情報の種類を明確にし、周辺インフラの情報を収集するために必要な被災時でも利用可能な通信手段を必要な部署・人員に配備している

衛星電話やMCA無線、携帯電話の「災害時優先電話化」など、被災時に利用可能な通信手段を複数準備している

被災時に利用可能な通信手段を用いた製油所の周辺インフラの情報収集訓練を継続的に実施し、課題の抽出、および実効性の強化を行っている

06

被災した製油所の支援

可 ア

被災した製油所における入出荷業務、復旧業務、二次被害防止業務の応援部隊を、本社または被災していない製油所等から派遣できる体制が整っている

首都直下地震や南海トラフ巨大地震発生時のような甚大な被害が発生した場合においても、被災した製油所を支援するためのリソースを確保するための具体的なプランを策定している

上記対応の訓練を継続的に実施し、課題の抽出、および実効性の強化を行っている

07

石油製品の受注・配送機能

受注・配車業務の維持

可 ア

受注システムや配車システム(ICT)を確保して受注や配車を管理し、運送会社に対して指示を出すための方針(人員の確保、データセンターの耐震性の確保、食料、水、電力の確保、通信手段の確保等)を策定している

情報システムが停止することを想定し、情報システムの二重化対策(バックアップセンターの設置等)を実施している

平常時の受注・配車業務の実施拠点の機能が停止することを想定し、業務オペレーションの二重化対策(代替拠点の確保、代替要員の確保、必要なデータの準備等)を実施している

上記対応に関する訓練を継続的に実施し、課題の抽出、および実効性の強化を行っている

08

バックアップ機能 増産計画の策定

被災時において、被災していない製油所における増産計画を策定し、被災していない製油所に対して指示を行うプロセスを被災時の需要、供給量を想定しつつ具体的な計画として明確化している

上記対応を実施する環境(マクロ需給試算のシステム、要員の確保、通信手段等)を整備している

良 ウ

上記対応を実施するための具体的な準備・シミュレーションや訓練等を実施し、課題の抽出、および実効性の強化を行っている

系列BCP格付け審査用資料

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文書名、項目等 ページ番号

備考欄(前回審査からの改善点、特に優れた取組み、達成出来ていない要因等)

系列BCPの記載箇所

項目 達成状況

項番 対象 評価項目 評価基準達成状況

09

タンクローリーの確保

可 ア

想定被災圏外からのタンクローリーの確保に関する方針(タンクローリーの応援要請先の決定等)を策定している

タンクローリー(車両、およびドライバー)の確保に向けた、運送会社も含めた具体的な対応手順、体制の整備、および被災運送会社への業務再開サポートの具体的な内容を策定している

業者との災害時の応援に関する備え(BCPの取り組み状況の確認や合同訓練)を行っている

10

ドラム缶輸送の確保

可 ア

被災時におけるドラム缶の調達方針(ドラム缶の調達先や輸送事業者候補の事前検討)を策定している

ドラム缶輸送の確保(ドラム缶の確保、輸送手段の確保)に向けた協力会社も含めた具体的な対応手順、体制の整備、および被災運送会社への業務再開サポートの具体的な内容を策定している

業者との災害時の応援に関する備え(BCPの取り組み状況の確認や合同訓練)を行っている

11

石油製品の配船の手配

可 ア

外航船の緊急手配に関する方針(船会社候補の決定等)を策定している

首都直下地震や南海トラフ巨大地震などの幾つかの脅威において、外航船の手配に関する具体的な準備・シミュレーション等を行っている

上記シミュレーション結果に基づく課題の抽出や対策の検討を行っている

12

他社又は海外からの石油製品の調達

可 ア

他社又は海外企業からの石油製品の調達についての方針(どこの企業と調整するのか)を策定している

首都直下地震や南海トラフ巨大地震などの幾つかの脅威において、他社または海外からの石油製品の調達に関する具体的な準備・シミュレーション等を行っている

上記シミュレーション結果に基づく課題の抽出や対策の検討を行っている

13

系列SSの販売機能の確保

SSの営業状況の情報収集

可 ア

SSの被害状況、石油製品の在庫情報の収集に関する方針(必要な営業情報を迅速に収集するための優先順位等)が策定されている

SSの被害状況、石油製品の在庫情報の収集に必要な被災時でも利用可能な通信手段(衛星電話、MCA無線等)の整備を行っている

SSや協力会社を含めた訓練を継続的に実施し、課題の抽出、および実効性の強化を行っている

系列BCP格付け審査用資料

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文書名、項目等 ページ番号

備考欄(前回審査からの改善点、特に優れた取組み、達成出来ていない要因等)

系列BCPの記載箇所

項目 達成状況

項番 対象 評価項目 評価基準達成状況

14

SSの営業の応援支援

可 ア

被災地域で営業を継続するSSに対する、本社または被災していないSS等からの応援部隊の派遣に関する方針が策定されている

東日本大震災等の過去の経験に基づいた、応援部隊の派遣に関する具体的な計画(要員の相当数の確保等)が策定されている。もしくは、ただちに社内から応援部隊を召集する仕組み(応援要員の事前指名等)が整っている

SSや協力会社を含めた訓練を継続的に実施し、課題の抽出、および実効性の強化を行っている

15

SSの復旧支援

可 ア

損壊した設備の復旧のための応援部隊を本社または被災していないSS等から派遣することに関する方針が策定されている

SSの設備の早期復旧に向けた協力会社も含めた具体的な対応手順、体制の整備、および被災運送会社への業務再開サポートの具体的な内容を策定している

SSや協力会社を含めた訓練を継続的に実施し、課題の抽出、および実効性の強化を行っている

16

装置や設備の安全確認を行い、被害情報、在庫情報を収集し、本社等へ報告 可 ア

被災時に収集すべき情報の種類を明確にし、本社に製油所の被害情報、在庫情報を報告するために必要な被災時でも利用可能な通信手段を必要な部署・人員に配備している

衛星電話やMCA無線、携帯電話の「災害時優先電話化」など、被災時に利用可能な通信手段を複数準備している

被災時に利用可能な通信手段を用いた、被害情報、在庫情報の収集、本社への報告訓練を継続的に実施し、課題の抽出、および実効性の強化を行っている

17

製油所の周辺インフラ(道路、港湾)の情報収集

可 ア

被災時に収集すべき情報の種類を明確にし、本社に周辺インフラの情報を報告するために必要な被災時でも利用可能な通信手段を必要な部署・人員に配備している

衛星電話やMCA無線、携帯電話の「災害時優先電話化」など、被災時に利用可能な通信手段を複数準備している

被災時に利用可能な通信手段を用いた、周辺インフラの情報収集、本社への報告訓練を継続的に実施し、課題の抽出、および実効性の強化を行っている

18

製油所の早期復旧

復旧計画を立案し、本社に対して必要な人員、資機材、その他の支援物資を要請するための方針を策定している

首都直下地震や南海トラフ巨大地震発生時においても、製油所の建物の倒壊や設備・人員が甚大の被害を受けないようにするための減災対策の方針、および計画を策定している

早期の復旧に必要な資機材(調達に長期間要する資機材等)を用意するための計画を策定している

被災製油所の早期復旧に向けた訓練を継続的に実施し、課題の抽出、および実効性の強化を行っている

製油所 製油所の入出荷機能確保

系列BCP格付け審査用資料

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【フォーム3】被災製油所の入出荷機能の1/2を復旧・再開するための具体的な対応方法

対象脅威

対象拠点

○被災拠点の陸上入出荷機能の復旧曲線

○対象脅威が発生した場合の影響(復旧までに要する時間)

工業用水

周辺道路

内部要因

陸上出荷設備(ポンプ、ローリー設備等)

貯蔵タンク

受入設備(桟橋、配管等)

情報システム(受注、配車システム等)

通信(オーダーに関するデータ通信は除く)

リソースリソースが利用可能となる時間(現状:上段(青)、対策実施後:下段(赤))

説明事項(対策の内容等)

外部要因

電気

陸上出荷量

100%

(平常時)

地震発生からの経過時間 0 1日 1ヶ月 1年 6ヶ月 3日

50%

(目標)

3ヶ月 2週間 1週間 【凡例】

:現状

:(現在仕掛中の)

対策実施後

1日 1ヶ月 1年 6ヶ月 3日 3ヶ月 2週間 1週間

○○年○月 現状 平常時の1/2の入出荷機能

を復旧・再開する時間 ○○年○月

系列BCP格付け審査用資料

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【フォーム4】平成28年度の訓練の実施内容と実施結果

機能機能に期待される役割

(例)実施日 訓練名称

訓練目的※期待される役割の達成に要する時間の短縮や改善点の抽出、要員の習熟度

の向上、関係機関との連携の確認等

訓練での想定(原因事象/発生日時(平日昼間等)/

発生する被害)

参加範囲(自社:部署名/自社以外:名称)

実施結果、および訓練で抽出した課題(訓練において記載される役割を果たせたか/

役割を遂行するうえでの課題)訓練で抽出した課題への対応

・被災後1時間以内の人命の安全確保・被害拡大の防止、および被災製油所における24時間以内の供給再開に 向けた情報収集・整理、本社との各種調整、指示機能の開始・被災後24時間以内の陸上入出荷量の1/2以上の供給再開できる設備の復旧作業完了

・被災後6時間以内の需要(受注状況、緊急要請の状況等)と供給状況の把握体制の設置・被災後24時間以内の製油所からの供給を継続するための具体的な供給計画作成

被災製油所の対策本部機能

需給調整機能

本社機能

受注・配車機能

SS管理・支援機能

被災製油所の支援機能

・被災後1時間以内の人命の安全確保・被害拡大の防止、および被災製油所における24時間以内の供給再開に 向けた情報収集・整理、各種調整、意思決定機能の開始・社内外に対する自社状況及び復旧見込み等の関係者 に向けた情報発信(危機広報)開始

・被災後6時間以内の被災製油所の受注状況、運送会社の被害状況の把握・被災後24時間以内の被災製油所からの供給を再開するために必要なローリーの確保と配車が完了

・被災後24時間以内の主要SSの被害状況の把握及び主要SSへの製品供給を再開するための体制整備及び支援活動開始

・被災後6時間以内の被災製油所に必要な支援内容の把握・被災後12時間以内の被災製油所からの供給を再開するために必要な支援資源の確保

系列BCP格付け審査用資料

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巨大地震等に対する石油会社の

訓練評価ガイドライン

平成 29年 xx月

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目次

1. はじめに ................................................................................................................................................. 1

2. 系列 BCP格付け評価において各社に求める能力とは ............................................................................ 3

3. 機能目標達成についての評価項目 ......................................................................................................... 5

3-1. 前提条件の適正さ ............................................................................................................................ 5

3-2. 訓練設計の成熟度 ............................................................................................................................ 6

3-3. 訓練運用の成熟度 ............................................................................................................................ 7

4. 系列 BCP格付け評価における機能目標達成度合いの反映方法 .............................................................. 8

5. 訓練評価の運用フロー ............................................................................................................................ 9

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1

1. はじめに

大規模地震などの甚大被害発生時においても、国民の安全の確保のために一定レベルの石油製品の供

給継続は重要な責務である。そのために石油業界では、甚大被害発生時における国民の生命の安全確保

や財産保全のために、優先度の高い石油製品の供給を迅速な復旧により果たすことを目的とした、石油

会社及び系列各社における入出荷拠点の被害最小化と迅速な復旧のための系列 BCP 格付けと、石油供給

拠点が迅速な普及が困難な場合においても相互補完により供給するための災害時石油供給連携計画策定

の二段構えの枠組みを持ち、石油製品の災害時における確実な供給の継続実現を目指している。

・系列 BCP格付け評価:石油入出荷拠点単位で被災時に早期再開(被災後 24時間以内に陸上出荷量の 1/2

を復旧・再開)するための各社及び系列会社の取り組みに関する評価格付け

⇒全ての入出荷拠点(製油所及び油槽所)において被災後 24時間以内に平時の陸上入出荷量の 1/2の

復旧・再開を可能とする能力獲得を目指す

・災害時石油供給連携計画:石油供給拠点が甚大な被害を受けた場合に、被災地以外の供給拠点が相互

補完することにより重要な供給を業界全体として継続する全体最適化の実現のための計画

⇒24 時間以内に平時の陸上入出荷量の 1/2 の復旧が難しい基地が存在することも想定として含める。

また、製油所以外の基地についても対象とする。

図1 災害時石油供給連携計画と系列BCPの関係性

系列 BCP 格付け評価は、被災時における各社の迅速な再開を実現できる能力評価を目指したものであ

る。そのためには、災害からの被害を最小化するための事前の設備対策(ハード)及び災害発生時の組

織的な活動の役割分担やルールの策定(ソフト)のみの評価では無く、実効的な訓練により迅速かつ状

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2

況に合わせた柔軟な組織的な対応能力(スキル)の可視化と具体的な課題抽出による改善が実現出来て

いるかの評価が必須となる。本ガイドラインは、各社の継続能力を質の高い訓練実施をしているかの視

点で評価する場合のポイントを示したものであり、今後各社における訓練の実効性を向上させ、業界全

体として質の高い訓練を実現するための指針として活用いただくことを目的としている。

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3

2. 系列 BCP格付け評価において各社に求める能力とは

系列 BCP格付け評価では、各社に対して石油供給拠点において被災後 24時間以内に平時の陸上入出荷

量の 1/2 の復旧・再開を目標として求めている。そのためには、以下の 6 つの機能が機能毎の達成目標

を一定の時間内に達成する必要があるとしている。したがって、格付け評価においては、以下の 6 つの

機能の目標達成の可能性をハード対策・ソフト対策に加え、以下の 6 機能において現状の能力(目標達

成度合い)を可視化し、改善につながる具体的な課題の抽出ができる実効的な訓練を実施しているかの

視点で評価する。

図 2 系列 BCP格付け評価において各社に求める能力

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4

各社に求める機能毎の達成目標を時間軸で整理すると下記のとおりとなる。

図 3 各社にもとめる能力(時間軸での整理)

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5

3. 機能目標達成についての評価項目

各機能目標を達成できるかの評価は、下記 3つの観点で訓練評価を行うことで判断する。

1. 前提条件の適正さ→訓練の前提となる被害の程度は適切か

2. 訓練設計の成熟度→訓練は能力を正しく評価し、課題抽出できる設計となっているか

3. 訓練運用の成熟度→訓練により能力が可視化され、課題は明確になったか

3-1. 前提条件の適正さ

前提条件とは、被災時における外部状況と自らの被災程度の設定である。軽微な被害を前提とした訓

練(できる訓練)では無く、課題を具体化できる大きな被害(石油連盟ガイドラインで設定している以

上の被害)を前提とした訓練を実施しているかを評価する。さらに、甚大被害(石油連盟ガイドライン

で設定している被害を超える)を前提条件としている場合は、それだけ能力強化を目指した積極的な取

組として評価する。

各機能における被害想定は各社固有の環境により変わるが、対策実施の如何に関わらず、一定レベル

の被害は各機能の資源に発生している前提である事(被災地においては必ず被害が発生)が重要である。

図 4 機能目標達成についての評価項目(前提条件の厳しさ)

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3-2. 訓練設計の成熟度

訓練の実施においては、達成目標を明確化し、目標達成可否と課題を明らかにできる訓練の設計にな

っていなければ、実施を目的化した訓練となる。適切な設計がなされているかは以下の項目にもとづき

評価する。なお、訓練の目的達成に妥当性があれば、訓練の実施形態(実動・机上等)は問わない。

訓練設計の成熟度評価

項目 内容

1 対象機能 訓練の対象とすべき機能及び達成目標は明確になっているか

供給機能を対象範囲に含んでいるか

2年単位で全機能を対象とした訓練が予定されているか

2 参加範囲 対象機能と整合性の取れた参加範囲になっているか

経営トップ(取締役以上)は参加するか

3 前提被害 前提となる被害レベルは共通化されているか

軽微な被害を対象とせず、連盟ガイドライン以上(自治体・国の被害

想定以上)の被害を前提としているか

4 達成目標 訓練の達成目標と各機能の達成目標は整合が取れているか

5 評価方法 目標達成及び課題を明確にするための評価方法は具体的に定められ

ているか

結果を客観的に評価する仕組みがあるか

6 実施要領 訓練開始から評価にいたるまでの実施スケジュールは現実的か

訓練後の課題から対策抽出の振り返りに十分な時間が取られている

運営側の専門性(経験年数・資格・専門知識など)は担保されている

7 経営承認 訓練計画について経営トップは承認しているか

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7

3-3. 訓練運用の成熟度

訓練実施において、当初の訓練目的が達成できたか(能力は可視化されたか、具体的な課題は抽出さ

れたか等)を下記項目にもとづき評価する。

訓練運用の成熟度評価

項目 内容

1 実施内容 訓練計画に沿った訓練実施内容だったか

課題と対策の抽出に十分な時間が取られていたか

経営トップは参加していたか

2 評価結果 達成目標はクリアできたか

達成目標がクリアできた、あるいはクリア出来なかった理由は明確に

され、参加者に共有されたか

評価は客観的に実施されたか

3 改善課題 目標達成のために改善すべき課題は明らかになったか

課題を解決するための対策は明らかになったか

課題と対策は組織全体で優先順位付けをされたか

必要な対策は組織の行動にまで落とし込まれ、実施責任者まで明らか

にされたか

4 改善計画 課題に対する対策実施の具体的な計画が策定されているか

解決の優先順位の高い課題(供給機能の回復を大きく遅らせる要因と

なりうるもの)に対する 1年以内の改善計画はあるか

5 経営承認 訓練実施結果及び改善計画は経営者が承認をしているか

今後の取組みに関する経営者からの見直し指示がされているか

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4. 系列 BCP格付け評価における機能目標達成度合いの反映方法

系列 BCP 格付け評価においては、前項の機能目標の達成度合いを個別項目の評価に下記のとおり取り

込む。主には、訓練を通じて機能目標が達成できることを確認できているかが、「優」の判断項目となる。

個別項目評価の考え方

個別項目

評価 評価の考え方

優 特に優れた取組み 機能目標達成に向けて

文書及び改善の仕組みが整えられている

迅速な回復を確実にするための実効性の高い訓練等の仕

組みが整えられ、かつ 2 年以上にわたり訓練を継続実施

している

良 優れた取組み 機能目標達成に向けて

文書及び改善の仕組みが整えられている

可 最低限のレベルは

満たしている取組

機能目標達成に向けて

文書は整備されているが改善の仕組みが不明確である

不可 最低限のレベルを

満たしていない取

組み

機能目標達成に向けて

文書が整備されていない

改善の仕組みに疑問がある

<参考>総合評価の考え方

総合評価 要件

S 個別項目の評価が「優」のみ

A+ 個別項目の評価のうち、「優」が5割以上を占め(供

給回復目標は「優」)、かつ「可」も「不可」もない

A 個別項目の評価のうち、「優」と「良」の合計が5

割以上を占め(「優」のみで5割以上のケースを除

く。供給回復目標は「優」か「良」)、かつ「不可」

がない

B+ 個別項目の評価のうち、「優」と「良」の合計が5

割未満だが一つ以上あり、かつ「不可」がない

B 個別項目の評価が「可」のみ

C 個別項目の評価のうち、一つでも「不可」がある

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5. 訓練評価の運用フロー

格付け評価においては、チェックリスト評価と訓練評価の 2 つを軸に評価を行なう。文書および改善

の仕組みの有無については、各社が自己評価を行った結果を提出し、審査委員による確認・評価を行う。

訓練については後述のフローのとおり、訓練計画書の確認による前提条件および設計の評価、訓練視察

と実施報告書の確認による運用の評価により、評価を行う。

図 5 格付け評価における評価方法の整理

訓練評価の運用フローは下記のとおり。

図 6 訓練評価の運用フロー

以上

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供給回復を担う企業の

事業継続能力評価

ガイドライン

平成 29年 xx月

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目次

1. はじめに ................................................................................................................................................. 1

2. 評価の観点 .............................................................................................................................................. 2

3. 評価の運用のポイント ............................................................................................................................ 3

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1. はじめに

石油元売各社においては、系列全体を通じた供給回復目標達成のための取組みが進められている。こ

の取組みには、サプライチェーンを担う企業が系列全体としての災害時の供給回復目標を理解し、個々

の企業の能力および取引企業との連携能力を高めるサイクルを構築することが必要不可欠である。

このサイクルの構築に向けて、石油元売各社は、サプライチェーンを担う会社との目標の共有および

対話による能力強化支援が必要となる。この取組みに必要となる評価の観点を示す。

図 1 災害時石油供給の全体像

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2

2. 評価の観点

評価の観点を下記に示す。

No 観点 留意事項

1 事業継続方針が策定されている 経営層が承認した方針があるか

2 事業継続のための分析・検討がさ

れ、重要業務が選定されている

陸上出荷の復旧・再開に必要な業務が漏れなく選定されてい

るか

3 重要業務の目標復旧時間が設定さ

れている

系列全体の目標復旧時間(被災後 24 時間以内に陸上出荷量

の 1/2を復旧・再開など)を認識して目標復旧時間が設定さ

れているか

4 事業継続戦略・対策が決定されて

いる

首都直下地震や南海トラフ等の激甚災害発生時おいて受け

る被害想定を明確にできているか、系列各企業が想定してい

る内容と大きなズレがないか

5 対応の体制と対応手順が策定され

ている

重要業務の実施に必要な資源を明確化しているか

目標復旧時間の達成に必要な体制を整備できているか

わかりやすい対応手順が策定されているか

有事の際の石油元売会社や関係する組織との連絡窓口を明

確にし、連絡手段を確保しているか

6 事業継続に関して見直し・改善を

行う仕組みがある

経営層が見直し、改善を承認する仕組みがあるか

7 見直し・改善の実施記録がある -

8 事前対策が具体的に実施されてい

事前対策について優先順位がつけられて確実に実施されて

いるか

9 教育・訓練の計画を有している 現状の能力の確認や課題の洗い出しができるような教育・訓

練の計画がされているか

10 教育・訓練の実施状況がわかる記

録がある

-

11 訓練の結果による見直し・改善が

行われている

訓練結果による見直し・改善が、必要な担当者に割り振られ、

進捗が管理される仕組みがあるか

12 事業継続に関する一定の経験と知

識を有する者が担当している

事業継続に関する実務を 2年以上積んだ者、または民間資格

を保有する者など

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3. 評価の運用のポイント

評価は、サプライチェーンを担う会社との目標の共有および対話による能力強化支援のために実施す

るものであるため、被評価会社が自己チェックを行い、その評価結果を前提に対話を進める方法が効果

的である。

石油元売各社が関係する企業・組織に実施する調査は、さらにその取引先へと展開されていく。つま

り、サプライチェーンを担う会社は、複数の企業からの調査への対応が必要となる可能性がある。いく

つかの調査項目のパターンがあると被評価会社の負荷を高めてしまうことになるため、出来る限り標準

の項目を用いることを推奨する。

以上