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1 国立教育政策研究所広報 第 191 号 第 191 号 平成 29 年(2017 年)4月発行 ISSN 1346-7735 国立教育政策研究所 広報 NIER NEW S Contents No. 1 9 1 National Institute for Educational Policy Research NEWS 講演会報告 1 国立教育政策研究所 平成 28 年度文教 施設研究講演会 「教室空間から教育を考える−日本とデ ンマークの学校建築−」 プロジェクト研究報告 4 「資質・能力を育成する教育課程の在り 方に関する研究」研究報告書4 「ICT リテラシーと資質・能力」について 「資質・能力を育成する教育課程の在り 方に関する研究」研究報告書5 「資質・能力の包括的育成に向けた評価 の在り方の研究」について 「小学校英語教育に関する調査研究」に ついて 学級規模及び学校規模による教員間相互 交渉の状況の違い 調査研究報告 8 PDCA×3 =不登校・いじめの未然防 止(第Ⅲ期「魅力ある学校づくり調査研 究事業」(平成 26 〜 27 年度)報告書) の公表について 「東日本大震災からの学校施設の復興プロ セスに関する調査研究」報告書について 事業報告 10 OECD 国際幼児教育・保育従事者調査に ついて 業務日誌、人事異動、平成 29 年度実施 予定の行事等一覧 平成28年度文教施設研究講演会を、平成29年1月24日(火)に文部科 学省第二講堂で開催した。本講演会は、平成22年度から毎年テーマを 定めて実施してきているものであり、今年度は「教室空間から教育を 考える―日本とデンマークの学校建築―」をテーマとして開催され、 全国から教育関係者や学校建築の関係者など170名の参加があった。 冒頭、杉野剛所長から、講演会の開催趣旨説明を交えた主催者挨拶 が行われた。引き続き、東京電機大学情報環境学部教授の伊藤俊介 氏、デンマークHalsnaes Lilleskole校長のピア・グレル・ソーレンセン 氏、学習空間デザインスタジオAutens CEOのレーネ・イェンスビュ・ ランゲ氏、東洋大学名誉教授の長澤悟氏による講演がそれぞれ行われ た。 主催者挨拶をする杉野所長 会場の様子 【講演の概要】 ○講演1「デンマークの学校建築における計画の系譜と授業展開・空 間の使い方」 東京電機大学情報環境学部教授 伊藤 俊介 氏 デンマークでは、1970年代から1980年代にかけてオープンプランス クールが導入されたが、余り定着せず、教室を設けた上でコモンルー 講演会報告 国立教育政策研究所 平成28年度文教施設研究講演会 「教室空間から教育を考える ―日本とデンマークの学校建築―」

ISSN 1346-7735 NIER National Institute for Educational Policy … · 4 プロジェクト ... 定めて実施してきているものであり、今年度は「教室空間から教育を

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1国立教育政策研究所広報 第 191 号

第 191 号 平成 29 年(2017 年)4月発行

ISSN 1346-7735

国立教育政策研究所 広報

NIERNEWS

Contents

No. 1 9 1

N a t i o n a l I n s t i t u t e f o r E d u c a t i o n a l P o l i c y R e s e a r c h N E W S

講演会報告1

国立教育政策研究所 平成28年度文教施設研究講演会「教室空間から教育を考える−日本とデンマークの学校建築−」

プロジェクト研究報告4

「資質・能力を育成する教育課程の在り方に関する研究」研究報告書4「ICTリテラシーと資質・能力」について

「資質・能力を育成する教育課程の在り方に関する研究」研究報告書5「資質・能力の包括的育成に向けた評価の在り方の研究」について

「小学校英語教育に関する調査研究」について

学級規模及び学校規模による教員間相互交渉の状況の違い

調査研究報告8

PDCA×3 =不登校・いじめの未然防止(第Ⅲ期「魅力ある学校づくり調査研究事業」(平成26〜 27年度)報告書)の公表について

「東日本大震災からの学校施設の復興プロセスに関する調査研究」報告書について

事業報告10

OECD国際幼児教育・保育従事者調査について

業務日誌、人事異動、平成29年度実施予定の行事等一覧

 平成28年度文教施設研究講演会を、平成29年1月24日(火)に文部科学省第二講堂で開催した。本講演会は、平成22年度から毎年テーマを定めて実施してきているものであり、今年度は「教室空間から教育を考える―日本とデンマークの学校建築―」をテーマとして開催され、全国から教育関係者や学校建築の関係者など170名の参加があった。 冒頭、杉野剛所長から、講演会の開催趣旨説明を交えた主催者挨拶が行われた。引き続き、東京電機大学情報環境学部教授の伊藤俊介氏、デンマークHalsnaes Lilleskole校長のピア・グレル・ソーレンセン氏、学習空間デザインスタジオAutens CEOのレーネ・イェンスビュ・ランゲ氏、東洋大学名誉教授の長澤悟氏による講演がそれぞれ行われた。

主催者挨拶をする杉野所長 会場の様子

【講演の概要】

○講演1「デンマークの学校建築における計画の系譜と授業展開・空間の使い方」 東京電機大学情報環境学部教授 伊藤 俊介 氏

 デンマークでは、1970年代から1980年代にかけてオープンプランスクールが導入されたが、余り定着せず、教室を設けた上でコモンルー

講演会報告

国立教育政策研究所平成28年度文教施設研究講演会「教室空間から教育を考える ―日本とデンマークの学校建築―」

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N a t i o n a l I n s t i t u t e f o r E d u c a t i o n a l P o l i c y R e s e a r c h N E W S

図1:中学校国語 B1 三の問題

ムを併設するタイプが主流となる。 2000年前後は、教室で一斉授業、コモンスペースでグループワーク、と区切られていたが、近年、教室の中に用途を固定した小さなコーナーを複数作り、一つの授業中に頻繁に活動が切り替わる形態が見られるようになった。 また、近年はカリキュラムが個別化されている。子供ごと、日ごとに学習内容が変わる。生徒の学習した内容は個別に管理され、教員も生徒自身も個人の履歴が参照可能である。 日本では、特別支援教育の境界線があり、その対象となれば個別のニーズの違いを反映した指導がなされるが、その対象でない場合は、平均的な子供の枠に適応させるための支援が入る傾向を感じる。一方、デンマークの学校では、全ての子供に一人一人異なるサポートが必要という前提がある。日本における一般と特別の強い線引きは、今後少し崩してもいいのではないかと感じる。また、総じてデンマークの学校では、指導内容に沿って空間をどんどん改変する意志が明確である。個々の子供への個別のアプローチが効率を向上させるというしっかりとした論拠をもって対応している。

○講演2「Classroom design for 21st Century Learners - a Scandinavian perspective」 Halsnaes Lilleskole校長 ピア・グレル・ソーレンセン 氏 学習空間デザインスタジオ Autens CEO レーネ・イェンスビュ・ランゲ 氏

 我々は学習スペースをナラティブ(物語)とみなす。その学習スペースが伝えようとしていることは何か、人が活動するためにどのように役立とうとしているのか。 伝統的な教室デザインには、2つの問題点があると言われている。1つは、人は皆似ていて、同じ方法で学ぶという前提。もう1

つは、人は怠け者で学習を嫌がるという前提。本来は、生徒が学習に意義を感じ、自分と世界との間につながりを見いだすチャンスを与える姿勢が極めて重要である。  子 供 た ち は 今 後 、 グ ロ ー バル 化 し 、 急 速 に 変 化 す る 世 界に 対 応 し な け れ ば な ら な い 。21世紀を生きる子供たちが身に着けるべきスキルは、4つのC、創造力(creativity)、協力(collaboration)、批判的思考(critical-thinking)、コミュニケーション(communication)である。 ここ数年、デンマークの学校では、科目別のカリキュラムを組むのではなく、プロジェクトベースの分野横断的なテーマを重視する傾向にある。学習空間は、教室の枠にとらわれることなく、はるかに多様で創造的なデザインにとって代わられるようになってきている。資源のないデンマークでは、レゴを考え出すような、アイデア

デンマークにおける学校の様子

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3国立教育政策研究所広報 第 191 号

を世界に販売できる人材が求められている。 教室空間づくりにおいて最も重要なことは、学校現場の教育のビジョンを見つけ出すことである。その信念が、学校建築、学習デザインを方向づけるといえる。また、学校現場の関係者が、その空間において、誰が、いつ、なぜ時間を過ごすのか、ということを考えることもまた大切である。学習空間は教育のツールであるため、現場の教職員の間で自発的に意識されるものでなければならない。

○講演3「アクティブな学習空間を目指して ―教室風景の昨日・今日・明日」東洋大学名誉教授 長澤 悟 氏

 戦後の教室は、鉄筋コンクリート造校舎の標準設計を基本とした。これが戦後の膨大な学校建設を可能にした一方、学校建築の画一化を進めることになった。学校が変化を始めたのは1970年代。一斉授業を見直し、教育・施設両面において従来の固定的・閉鎖的な在り方を開いて、新しい教育を目指す考え方が生まれた。その後取り組まれた教室空間づくりの目標は「能動的・主体的な行動を生み出す環境」「多様なメディアが身近に用意できる空間」「協

同学習、人と人との関係を生み出せる空間」「教師の協働体制を促し支援できる空間」の4つに整理できる。 日本の学校現場では、教室が基本的な空間として確保されるべきという意見が強いが、その空間は確保しつつ、多様な活動を支えるには、四角い教室からの脱却が必要となる。大小のコーナー、テラス、自由度の高いオープンスペースなど、多様な教育方法に対して自由度のある教室、教室周りをつくるということである。 ただし、中学校の場合は、教科担任制であるため、各教科の掲示や教材を普通教室に置くことができず、小学校と同様に教室周りを作っても、学習の場として成熟していかなかった。そこで私が行き着いたのが教科センター方式である。教科ごとに必要な数の教科教室、教科のメディアスペースとなるオープンスペース、小教室、教師・教材スペースなどを組み合わせ、一つのユニット、つまり教科センターを構成する。これは教育と一体となった施設づくりにより多様な教育を可能にし、学校の変革を意図するものである。教科センター方式は、各教科の先生、各子供たちが取り組んでいる学習内容、教育活動を見える化するという効果がある。それによって先生方同士、子供たち同士が高め合う学校風土がつくられる。 学校施設の「明日」を考えるとき、「アクティブ・ラーニング」という言葉がよく用いられるが、実際の学校を見てみると、人がいなくてもそこで行われている活動

がわかったり、ある活動を誘い掛けるような学習環境があったりする。つまり、「アクティブ・ラーニング」のための環境づくりは、既に各学校において、目指す教育の下に取り組まれていることなのである。学習空間づくりの大きな課題解決の1つの姿は、既に目の前にあるともいえる。 その上に何を重ねていくか、ということが今求められている。それは、そこで活動する喜びや、学ぶ場所として快適かどうかという「気持ちに応える」ところではないかと考えている。「機能を高める」を更に「使い心地が良い」というレベルに上げていく。「教える」を「教えやすい」、「教え心地が良い」。「学ぶ」、「学びやすい」、「学び心地が良い」。「居る」、「居やすい」、「居心地が良い」。「心地が良い」という言葉を付け加えることでその空間の様子がイメージできるようになる。 心地が良い空間は、この学校が好きだ、この場所が好きだ、この場所で学ぶことが楽しい、という気持ちを生む。それが教育方法の違いを乗り越えて、新しい学びにチャレンジしていく力を持つ。あるときには息が下がっても、我々はこういう空間を持っている、とまた新たな教育に取り組んでいく元気をつくる。そういうレジリエントな教育空間づくりが、もう1つの課題である長寿命な学校づくりにもつながっていくと感じている。     (文教施設研究センター)

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N a t i o n a l I n s t i t u t e f o r E d u c a t i o n a l P o l i c y R e s e a r c h N E W S

プロジェクト研究報告

「資質・能力を育成する教育課程の在り方に関する研究」研究報告書4「ICTリテラシーと資質・能力」について

1.調査研究の目的

 本プロジェクトは、資質・能力を育成する教育課程を総合的に研究し、教育目標や内容、学習・指導方法、評価を一体的に構想するための基本原理を整理し、実践のための基礎資料を提供することを目的としている。特に次期学習指導要領によれば、情報活用能力は「教科等を越えた全ての学習の基盤として育まれ活用される資質・能力」と表現されており、本報告書は、21世紀に求められる資質・能力のうち、「ICTリテラシー」や「情報スキル」等と総称される情報や情報機器の活用に関わる資質・能力について検討することを目的とした。

2.研究成果の概要

○ICTリテラシーに関わる社会の変化と資質・能力目標の遷移 情報技術の開発思想と社会情勢の変化を照合したところ、現在の技術は、20世紀後半に構想された開発コンセプトを次々と実現し始めており、日本でもハードが普及し、それがネットワークに接続され、SNS等のアプリケーションが隆盛する流れで開発が進んできたことがうかがえた。それに伴い、国内外の情報教育等で掲げられる資質・能力目標も、2000年頃を境に、情報リテラシーやITスキルから、ICTリテラシーやマルチリテラシーなど、「コミュニケーション」を明示的に含んだ用語へと変わりつつあることがわかっ

た。○諸外国のICTリテラシー教育 イングランド・韓国・シンガポール・オーストラリアの4か国を概観した。各国とも①ICTリテラシーを資質・能力目標に掲げ、単独教科だけでなく、教科等横断的に活用しながら学ぶ、②単独教科ではプログラミングも含めたデジタルリテラシーの教育に注力する一方で、それを高次認知能力や情報化社会・知識基盤社会に向かう態度育成につなげる、という点が共通していた。○国内外のプログラミング教育 各国でプログラミングが正式な教科や教科内容として採用される傾向があるが、それはプログラマ育成のためよりも、学習者の資質・能力の育成手段として有効だと考えられているためとの示唆が得られた。プログラミング教育実践例について目的を整理し、①プログラマ育成、②教科等の学習促進、③高次認知能力の育成、④新しい学習メディアの獲得、⑤デジタル社会の創作活動への参加、の5つに大別できた。○ICTを用いた教育実践と学びの視点 学びのゴールの変革とそれに向けたICTの役割、ICTを用いた学びを支えるための「学びの視点」を実践事例から検討した。活用される機能は多様である一方で、狙いとの緊密な整合性がいずれのシステムにおいても見て取れた。それゆえ、ICTの普遍的な利点から一般的な教育のガイドラインが引き出せるものではなく、その場で教えたいことに応じてICTの機能

を選択・創造・活用していく必要があり、だからこそ、デザイン研究と呼ばれるような不断の授業改善とシステム改善とが両輪として必要になるとの示唆を得た。

3.まとめ

 情報をいかなる目的で活用するのか、活用能力をいかなる目的で育成し、社会の創造や個人の幸福につなげていくのかという観点が重要であること、また、ICTは進歩が速く次々と新しい機能を備えるがために、児童生徒はもとより、教員一人一人の現場判断を支えるようなICT活用能力の育成も重要であり終わりがないこと、資質・能力目標をいかなるものにするかに関わらず、それを十全に教育したいのであれば、その目標と教科等の内容、学習・指導方法、評価を一体的に構想し実践に移すことで、児童生徒に一貫・一体化した学習経験を提供することが必要であり、そのための教員養成・研修やインフラストラクチャー整備も含めた制度・環境面の支援も一体的に行っていくことが必要である、という示唆を得た。

(生涯学習政策研究部総括研究官/福本徹)

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5国立教育政策研究所広報 第 191 号

プロジェクト研究報告

「資質・能力を育成する教育課程の在り方に関する研究」研究報告書5「資質・能力の包括的育成に向けた評価の在り方の研究」について

1.研究の目的・概要

 本報告書は、「資質・能力を育成する教育課程の在り方に関する研究」(平成26〜28年度、研究代表者:梅澤敦教育課程研究センター長)の研究成果をまとめたものである。 本研究では、前身となる研究「教育課程の編成に関する基礎的研究」(平成21年度〜平成25年度)で実施した、資質・能力を育成する教育課程編成の基本的な原理の分析を踏まえ、教育目標や内容、学習・指導方法、評価等の一体的な検討を実証的に進めてきた。本報告書では、特に学習評価に焦点を当てて、国内外の実践事例を収集し、資質・能力を育成する教育課程の充実に向けた課題を抽出することを目指した。

2.研究成果の概要

 第1章では、新学習指導要領に向けた中央教育審議会答申(平成28年12月21日)で提起された学習評価の方向性を確認した。 第2章では、我が国における学習評価の変遷について、指導要録の参考形式等を手掛かりに整理した。その歩みを概観してみると、資質・能力の評価にとって重要となる「指導と評価の一体化」や「形成的評価」につながる評価観が、昭和22(1947)年に示された学習指導要領(試案)から盛り込まれている。また、「目標に準拠した評価」は昭和36(1961)年から部分的に取り入れられ、昭和55(1980)年以降、各教科に共通の観点が横断的に設定されるように

なって現在に至っている。資質・能力の育成に向けては、これらの評価の考え方を一層充実して実質化を図ることが求められる。 第3章では、国内における学習評価の取組として、国立大学附属学校や国際バカロレア学校、さらに、教育センター・教育委員会等による研修など学校支援の取組を取りあげた。 国立大学附属学校(小・中・高等学校)に対する質問紙調査から、各学校では、資質・能力の育成に向けた学校独自の実践研究が展開されていること、学習評価についても、パフォーマンス評価やポートフォリオ評価、子供の自己評価活動を生かした評価など、ペーパーテスト以外の様々な評価方法が工夫され、多面的・多角的な評価手法で資質・能力を評価しようとしていることがわかった。その一方で、目標(育成すべき資質・能力の明確化)や学習・指導方法(それらを育成する単元・授業の在り方)に関する研究成果に比べ、評価の在り方に関して課題意識を持つ学校も目立った。 また、全国の教育センター、都道府県・政令指定都市・中核市の教育委員会並びに全国の教育事務所に対する質問紙調査から、学習評価に関する研修や啓発の現状と課題を抽出した。指導と評価の一体化や各教科における学習評価を主題とした研修は幅広い年代で実施されているものの、教員や学校の評価に対する関心が指導方法や授業改善に比べて低いなど、評価の考え方への理解や定着に課題があることが示唆された。

 なお、報告書では、国立大学附属学校12校と教育センター・教育委員会5機関における特徴的な取組を具体的に紹介している。 第4章では、諸外国(10か国)の学習評価に関する取組を概観した。さらに、資質・能力を育成する教育課程を開発してきた歴史をもつイギリス、オーストラリア、ニュージーランドにおける学習評価の動向を比較し、いずれも形成的評価を重視し、子供の学習改善に資する学習評価の体制を構築しようとしていることを確認した。

3.今後の課題

 以上の研究に基づき、資質・能力の評価を実質化していく上で、次の三点を今後の研究課題として確認した。すなわち、①指導と評価の一体化への支援(指導と評価を一連のプロセスとして計画・実践するカリキュラム・マネジメントの提案)、②多面的・多角的な評価の効果的な活用(多様な評価手法の相補的な活用方法の開発とそれに伴うコストや負担感の低減に向けた協働体制の構築)、③子供の自己評価活動の学習評価への活用(自己評価と自己評価力を育成する学習活動を授業づくりと学習評価に生かす実践研究)である。 学校や教育センター等における実践と連携しながら、これらの課題解決に向けた研究を進めていくこととしたい。(�教育課程研究センター基礎研究部総括研究官/西野真由美)

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N a t i o n a l I n s t i t u t e f o r E d u c a t i o n a l P o l i c y R e s e a r c h N E W S

1.調査研究の目的 本研究では、教育課程特例校・研究開発学校の先進的な取組の状況を把握分析することを試みた。把握分析に当たっては、特に英語教育を行う際に、現場で有用な情報とされる目標、指導方法、指導者(人材の育成と指導力の向上、外部人材の活用を含む)、評価の四つの観点を中心に行った。 また、国内の先進的な教育委員会の取組や、学校の取組を実際に調査し、同時に諸外国の取組事例について調査を行った。これらを基に、目標、指導法、指導者、評価の在り方の事例を、小中連携の視点及び目標・指導・評価の一貫性といった視点から客観的な立場で課題の整理分析を行うことで、小学校における外国語教育について有用な情報(エビデンス)や政策への示唆を提供することを目的として、調査研究を行った。

2.調査研究の手法 小学校外国語教育に関する実態調査(教育課程特例校・研究開発学校)として、インターネット調査・質問紙調査を行った。インターネット調査は、全国の小学校外国語教育に関する教育課程特例校・研究開発学校(計2,031校)の管理職・教員を対象として、調査用のWebサイトを通じて行われた。また質問紙調査は、管理職対象のインターネット調査において参加協力を承諾した学校(511校)から、サンプルサイズが1万人から2万人程度となるよう、調査対象校を100校とし、割当法による標本調査とした。その結果対

象児童数は15,629人、回収率は約98%であった。 調査は平成27年6月から11月にかけて行われた。調査に御協力いただいた関係者に改めて感謝を申し上げる。 小学校外国語教育に係る先進的な取組を行っている、岐阜県・高知県・広島県・京都市・鳴門市の事例についてまとめた。事例をまとめるに当たっては、可能な限り具体的な例(教材・評価事例等)を取り上げるよう努めた。 小学校外国語教育に関する実態調査(教育課程特例校・研究開発学校)に協力していただいた学校の中で、低学年から外国語教育を実施している三校を選び訪問調査を実施し、授業参観と担当教諭に対するインタビュー調査を行い、その結果をまとめた。 諸外国(地域)における小学校英語教育の実施状況をまとめるに当たっては、英語を第2言語として習得することを目的とする国ではなく、日本と同じく外国語として教育している国を選んだ。選択した国(地域)は、中国・韓国・台湾・タイ・ベトナム・フィンランドの6か国(地域)である。

3.成果の概要(実態調査及び国内先進事例より) 授業の好き嫌いと児童の学年との関係を示したのが、次の図である。 「好き」と答えた児童の割合は、学年が上がるにつれて低くなっていることがわかる。ただし、「好き」、「どちらかといえば好き」という肯定的な回答の割合を見ると3年生までは下がっておらず、6年生であっても肯定的な回答が7割程度存在している。逆に「きらい」、「どちらかといえばきらい」の割合は、一番高い6年生でも1割程度である。なお、5・6年生については、平成27年2月文部科学省調査で全国の小学校にも同様の項目が聞かれているが、教育課程特例校・研究開発学校と全国の小学校で割合分布に大きな違いはない。 「外国人に話しかけられたら、英語で受け答えする」と答えた児童が55%おり、児童の英語を使ったコミュニケーションへの意欲が育っている。 研究や実践の趣旨として、小学校単独ではなく、中学校や高等学校への接続を視野に入れたものになっている。

(国際研究・協力部総括研究官/沼野太郎)

プロジェクト研究報告

「小学校英語教育に関する調査研究」について

図 2-3-9 学年ごとの授業の好き嫌い

74.4%

65.6%

60.7%

50.1%

47.3%

36.2%

13.3%

18.2%

24.7%

29.7%

30.5%

33.2%

7.1%

10.2%

9.6%

12.2%

15.6%

20.5%

1.9%

3.0%

2.8%

4.5%

4.0%

6.3%

3.2%

3.0%

2.3%

3.3%

2.5%

3.8%

0.1%

0.0%

0.2%

0.0%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

1年生

2年生

3年生

4年生

5年生

6年生

好き どちらかと

いえば好き

どちらとも

いえない

どちらかと

いえばきらい

きらい 無回答

図 学年ごとの授業の好き嫌い

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7国立教育政策研究所広報 第 191 号

 平成27−28年度プロジェクト研究「児童生徒の資質・能力を育成する教員等の養成、 配置、 研修に関する総合的研究」の一部として、中学校を対象に、学校規模及び学級規模による形成的評価の準備のための同教科教員間の協同の状況の違いを検討する調査研究を実施した。

対面コミュニケーションの状況を把握する計測技術

 本研究では図1のようなウエアラブルセンサを用いて教員の対面コミュニケーションの状況を計測した。対面コミュニケーション場面では相互作用者どうしの身体的共振が起こることが知られている。このセンサの赤外線受発光器が検知するセンサどうしの接近状況と、加速度計が検知する身体運動の記録を組み合わせると、双方向的なコミュニケーションの状況が把握できる。 このセンサを中学校6校において各3日間、全教員に出勤時から退勤時まで着用を求め、一日の間で、誰と、何秒間コミュニケーションをとったのかを2.5秒単位で計測した。さらに一日の終わり

プロジェクト研究報告

学級規模及び学校規模による教員間相互交渉の状況の違い

に、同教科の教員及びその他の教員と行ったコミュニケーション全体に占める、コミュニケーションの内容の割合について質問紙で回答を求めた。そして、ウエアラブルセンサのデータと質問紙の回答とを組み合わせ、どのような教員と、どのような内容についてのコミュニケーションをとったのかを秒単位でデータ化した。

形成的評価

 教員が実施する数ある教育的介入の中でも、形成的評価は児童生徒の学力に与える影響が大きいことが多くの先行研究で明らかとなっている。また、形成的評価の効果的な実施方法を決めるには、同じ教科の教師どうしの協同が必要と考えられる。そのため、本研究では同じ教科の教員どうしの、形成的評価に関する対面コミュニケーションに焦点化し、この時間の学級規模別差異を、学校規模(学級数)別に検討した。

結果

 調査対象校は12学級(各平均学級規模33.9、34.8)、14学級(各平均学級規模34.2、36.1)、15学級(各平均学級規模34.3、35.7)2校ずつ、計6校であった。分析対象教員は一人で一学年の教科の授業全てを担当している教員に限定した。 各校の対面相手の属性別の対面コミュニケーションの割合は図2、同教科教員との対面コミュニケーションの内容別割合は図3の通りであった。12学級の学校には当てはまらないものの、同じ学校

規模であれば、学級が小規模な学校である方が、対面コミュニケーション全体に対する同教科の教員どうしの対面コミュニケーションの割合が高いこと、同教科の教員どうしのコミュニケーションの内容に占める形成的評価に関するものの割合が高いことが示された。 なお、学校規模が同じ学校間での学級規模の差自体が小さい。そのため、同教科教員どうしの対面コミュニケーションの割合や、形成的評価に関するコミュニケーションの割合の差が学級規模間で差が見られるものの大きいものとはならなかったと考えられる。(初等中等教育研究部総括研究官/山森光陽)

図1 本研究で用いたウエアラブルセンサ   (着用イメージ)

図 2 �学校別の対面相手の属性別の対面コミュニケーション時間の割合

図 3 同教科教員との対面コミュニケーション   の内容別割合

同教科 の教師 同学年 の教師 他教科 他学年 の教師

管理職

学級数15 学級規模

35.7

学級数15 学級規模

34.3

学級数14 学級規模

36.1

学級数14 学級規模

34.2

学級数12 学級規模

34.8

学級数12 学級規模

33.9

学級数15 学級規模

35.7

学級数15 学級規模

34.3

学級数14 学級規模

36.1

学級数14 学級規模

34.2

学級数12 学級規模

34.8

学級数12 学級規模

33.9

形成的評価 準備

授業

生徒指導

校務分掌

その他

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N a t i o n a l I n s t i t u t e f o r E d u c a t i o n a l P o l i c y R e s e a r c h N E W S

 国立教育政策研究所では、平成29年1月27日に第Ⅲ期「魅力ある学校づくり調査研究事業」(平成26〜27年度)報告書を公表した。本事業は、中学校区を単位に不登校・いじめの「未然防止」に焦点化した取組とその効果をテーマとして、平成22年度から実施してきたものである。第Ⅲ期となる平成26年度〜27年度は、18府県(2政令市を含む)の18中学校区で取り組んだ。

1.事業の概要

 不登校者数を新規数(前年度不登校でなかった者)と継続数(前年度不登校であった者)に区別してその推移を追うと、新規数は中1〜中3までほとんど変わらない(図1)ことに着目し、新規数を抑制する取組を行った。

 具体的には、全ての児童生徒が学校を魅力ある場所と感じられているかを把握するため、意識調査を中学校区の小5〜中3の全児童生徒に実施し、その結果を踏まえて設定した目標に沿って一定期間実践を行った。そして、再び意識調査を行い、これまでの取組が効果を上げているかを点検し、必要に応じてその後の取組を見直して実践した。このサイクルを、全教職

員が参加して年3回2年間行った(図2)。

 その結果、中学校不登校生徒数の割合が全国平均を上回っていた13校中7校で全国平均を下回り、全国の中学校不登校生徒数が微増する中、指定地域全体では、本事業開始前の平成25年度末と比較して約30%の不登校生徒数を減少させることができた。(図3)

2.報告書の特徴と内容

 本報告書は、本事業の成果を踏まえ、生徒指導に関わる教育委員会関係者及び学校関係者に活用していただくことを目的に、まず「魅力ある学校づくり」の視点、手順、成果について、次の5つに

とりまとめた。(1) 不登校数を減らすには新た

な不登校を抑制する「未然防止」の取組が必要不可欠

(2) あらゆる教育活動で「居場所づくり」と「絆づくり」に取り組む

(3) 未然防止のための生徒指導のPDCAサイクルとは?

(4) なぜ、サイクルを3回繰り返すのか。何が、なぜ、変わるのか

(5) PDCA×3はいじめの取組としても効果的

 次に、指定地域からのレポートとして以下の内容を示した。 レポート<1>「本事業で何がどう変わったのか、その転機となったのはいつなのか」 レポート<2>「各指定地域における協議内容や中学校区、各校での取組」 巻末には、調査研究の成果を踏まえ、以下のメッセージを掲載した。(1) 評価の高いプログラムで

あっても、導入しただけで効果が上がるわけではない。これまで学校で大切にしてきた取組を、計画的・継続的に点検・見直しするだけで大きな効果がある。

(2) データに基づく話合いの繰り返しが、共通理解と実効性のある取組を推進する。結果に一喜一憂せず、データに基づいて学年全教員で点検・見直しを行うことがより多くの児童生徒に届く取組につながる。(生徒指導・進路指導研究センター)

調査研究報告

PDCA×3=不登校・いじめの未然防止(第Ⅲ期「魅力ある学校づくり調査研究事業」(平成26〜27年度)報告書)の公表について

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9国立教育政策研究所広報 第 191 号

調査研究報告

「東日本大震災からの学校施設の復興プロセスに関する調査研究」報告書について

1.背景・趣旨

 学校施設だけでなく地域に甚大な被害をもたらした津波災害からの復興は、事業の集中、人材不足、資材の高騰、多くの住民が避難所生活を余儀なくされている状況など、極めて厳しい状況の中で進められたものである。 当センターが実施した「学校の復興とまちづくりに関する調査研究」においても、津波被害を受けて学校施設の移転等を実施している自治体が直面した移転用地の確保や人材不足などの困難な課題が明らかになった。 このことを踏まえ、東日本大震災の津波被害を受けて学校施設の移転等を実施している自治体の復興プロセスや課題等に関する実態を調査し結果をとりまとめ、災害に強い安全安心な学校づくりに資するよう報告書を公表するとともに全国の自治体等へ情報発信を行った。

2.調査対象・内容

 東日本大震災の津波被害を受け学校施設の移転計画等を実施している公立の小学校及び中学校を対象とし、自治体にヒアリングを行い、完成までの復興プロセスが明らかになっている19の学校施設の移転計画等を調査対象とした。 調査内容は、学校施設の移転計画の状況、復興プロセス、防災機能などの実態調査に加え、「学校の復興とまちづくりに関する調査研究」研究会において支援を行った石巻市の2つの学校施設の移転計画に関する事例調査を行った。

3.調査研究結果概要

○実態調査結果1)地域の中の学校施設の役割 学校の移転プロセスにおいて、学校施設の完成までの各段階(復興計画、基本構想、設計)において、多くの学校で学校づくりについて議論するための委員会が設置され、また、学校関係者以外にも保護者、地域住民の積極的な参加が見られるなど、学校づくりプロセスへの地域の関心の高さが伺える結果となった。 移転後の学校施設では、ほとんどの学校が指定避難所又は指定緊急避難場所として指定されているほか、施設の地域開放や地域の産業・伝統芸能・自然等の地域に関する教育の場としての機能も求められるなど、学校が地域の拠点施設として捉えられている。2)�学校施設の復興とまちづくりの連携

 津波被害からの学校施設の復興は、まちづくりとの関係も重要な要因となった。体制面では、教育委員会とまちづくり担当部局が連携して取り組んでいるケースが8割を超え、用地の選定、復興構想・復興計画の策定、設計、工事に至る一連のプロセスにおいて協力がなされており、こうした連携によって、学校の再建がまちの復興計画をリードした事例もあった。3)�学校施設の復興プロセスへの専門家の参画

 災害からの学校施設の復興は、通常の学校建設のプロセスとは異なり、極めて厳しい状況の中で進

めていかなければならない。様々な課題を抱えながら復興プロセスを進めるために、住民参加のための工夫、行政間の連携に加え、建築やまちづくりの専門家の参画等は有効な手段になると考えられる。○事例調査1)自治体への外部からの支援 東北大学支援チームが行った石巻市への支援について、支援体制、支援内容、具体的な実施内容のほか、支援から得られた知見として、まちづくりとの関連性を学校づくりの関係者と共有することの重要性、設計者をプロポーザル方式により選定した意義などが示唆されている。2)�プロポーザル方式によって選定された設計者の取組事例

 設計者の取組について、被災地の学校再建に当たっての設計体制と業務の進め方、プロポーザルの課題を受けての設計の取組のほか、被災地での学校再建に参加して得られた知見として、関係者(保護者、地域住民含めて)が継続して復興プロセスに関わることの重要性が示唆されている。

〔研究成果一覧〕http://www.nier.go.jp/shisetsu/html/04.html

(文教施設研究センター)

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事業報告

業務日誌、人事異動、平成 29年度実施予定の行事等一覧

【人事異動】

【業務日誌】(平成 29年 2月〜平成 29 年 3月)1/18(水)~ 2/23(木) 平成 28年度社会教育主事講習[B] 社会教育実践研究センター2/7(火)~ 2/10(金) 平成 28年度教育課程研究センター関係指定事業研究協議会 文部科学省、ビジョンセンター東京3/9(木)~ 3/10(金) 平成 28年度地域教育力を高めるボランティアセミナー 放送大学 東京文京学習センター3/10(金) 平成 28年度第2回評議員会 所内第一特別会議室

異動後の役職 異動前の役職〔2/ 10〕 文部科学省大臣官房付 (教育課程研究センター研究開発部長) 佐��藤��弘��毅

教育課程研究センター研究開発部長 (文部科学省大臣官房付) 加��藤��弘��樹〔3/ 31〕 定年退職 (初等中等教育研究部長) 大��杉��昭��英

日本体育大学教授 (教育課程研究センター基礎研究部長) 今��関��豊��一独立行政法人国立青少年教育振興機構大雪青少年交流の家所長 (社会教育実践研究センター長) 渡��部�� ��徹

法政大学教授 (初等中等教育研究部総括研究官) 松��尾��知��明東洋大学教授 (教育課程研究センター基礎研究部総括研究官) 後��藤��顕��一定年退職 (生徒指導・進路指導研究センター総括研究官) 滝    充日本スポーツ振興センター代々木競技場プロジェクトリーダー (文教施設研究センター総括研究官) 福��手��孝��人

帝京大学大学院教授 (教育課程研究センター研究開発部教育課程調査官) 赤��堀��博��行敬愛大学教授 (教育課程研究センター研究開発部教育課程調査官) 向��後��秀��明宮城県水産高等学校長 (教育課程研究センター研究開発部教育課程調査官) 瀧��田��雅��樹京都女子大学教授 (教育課程研究センター研究開発部教育課程調査官) 水戸部��修�治福島大学参事(総務担当) (総務部総務課長) 永��田��勇��生

事業報告

OECD国際幼児教育・保育従事者調査について

国際幼児教育・保育従事者調査(International ECEC Staff Survey)とは

 OECD(経済協力開発機構)では、2018(平成30)年から新たに幼児教育・保育(ECEC:Early Childhood Education and Care)施設に関する国際調査を実施します。この調査では、保育者の資質・能力の向上や勤務環境等に関してデータを収集することを目的としており、日本を含め、ドイツ、ノルウェー、デンマーク、韓国など計9か国が参加予定です。 この調査の結果から、国際比較により、日本の幼児期における教育・保育の実態、良い点や課題について情報を得ることができ、国

の政策立案や実践の改善のために活用されることが期待されています。 本年6月に予備調査、来年には本調査を実施する予定であり、対象に選ばれた園におかれては、調査の実施に御理解と御協力をお願いいたします。

調査の概要

(1)調査の対象者  全国の国公私立の幼稚園・保育所・認定こども園(合計220園を無作為抽出) 園長・所長と3〜5歳児を担当する保育者(幼稚園教諭、保育士、保育教諭等)(2)調査方法 郵送による質問紙調査

(3)調査テーマ 園の環境、保育のプロセスの質、園でのリーダーシップ、保育者の信念と保育実践、自己効力感、職場の雰囲気・勤務環境、仕事への満足度、保育者養成・研修など(4)調査実施時期(予定) 本年6月に予備調査(30園)、平成30年に本調査(220園)

 調査の概要については、国立教育政策研究所のHPにも掲載しています。http://www.nier.go.jp/youji_kyouiku_kenkyuu_center/oecd.html(幼児教育研究センター総括研究官/山田亜紀子)

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筑波技術大学聴覚障害系支援課長 (研究企画開発部総括研究官 命・総務部企画室長) 小��暮��聡��子文部科学省大臣官房人事課専門官辞職(岩手県教育委員会学校調整課総括課長) (教育課程研究センター研究開発部学力調査課長) 小久保��智�史

愛知県東海市立富木島小学校教諭 (教育課程研究センター研究開発部研究開発課専門職) 池�田��森太郎新潟市立新津第三小学校校長・新津第三幼稚園園長 (教育課程研究センター研究開発部学力調査課分析係長) 間��嶋 ����哲横浜市教育委員会指導部特別支援教育相談課主任指導主事 (教育課程研究センター研究開発部学力調査課調査係長) 笠��原��丈��史島根県教育委員会社会教育課社会教育主事 (社会教育実践研究センター専門調査員) 糸��賀��真��也北海道教育委員会生涯学習推進局生涯学習課主査 (社会教育実践研究センター専門調査員) 尾��山��清��龍北海道函館西高等学校教頭 (教育課程研究センター研究開発部教育課程調査官(実務研修生)) 藤��島��尚��子神奈川県教育委員会高校教育課 (教育課程研究センター研究開発部教育課程調査官(実務研修生)) 歌�川��真一郎教育課程研究センター研究開発部教育課程調査官 (教育課程研究センター研究開発部教育課程調査官(実務研修生)) 遠��山��一��郎佐賀県教育委員会学校教育課指導主事 (教育課程研究センター研究開発部教育課程調査官(実務研修生)) 鶴��田��智��樹相模原市立内出中学校教諭 (教育課程研究センター研究開発部教育課程調査官(実務研修生)) 中��里��勝��也筑波大学附属中学校教諭 (教育課程研究センター研究開発部教育課程調査官(実務研修生)) 山��口��泰��宏栃木県立鹿沼南高等学校教諭 (社会教育実践研究センター社会教育特別調査員) 齋��藤��有��子

〔4/ 1〕転出

文部科学省大臣官房付併・内閣府政策統括官(共生社会政策担当)付参事官併・死因究明等施策推進室参事官

(研究企画開発部長) 田��口��重��憲

文部科学省大臣官房付(内閣府政策統括官(科学技術・イノベーション担当)付参事官(国際担当))

(教育課程研究センター長) 梅��澤��� �敦

併解・教育課程研究センター研究開発部教育課程調査官免・学力調査官

(文部科学省初等中等教育局主任視学官 併・教育課程研究センター研究開発部教育課程調査官 命・学力調査官) 清��原��洋��一

文部科学省初等中等教育局視学官併・教育課程研究センター研究開発部教育課程調査官 (教育課程研究センター研究開発部教育課程調査官) 大��滝��一��登

文部科学省初等中等教育局視学官併・教育課程研究センター研究開発部教育課程調査官命・学力調査官

(教育課程研究センター研究開発部教育課程調査官) 平��木���� 裕

文部科学省初等中等教育局幼児教育課子育て支援指導官 (教育課程研究センター基礎研究部総括研究官) 本��田��史��子文部科学省初等中等教育局教育課程課庶務・助成係長 (教育課程研究センター研究開発部研究開発課企画係長) 菅 ����貴��博

〔4/ 1〕 研究企画開発部長命・教育研究情報推進室長 (日本学術会議事務局参事官) 井��上��示��恩

教育課程研究センター長併・生徒指導・進路指導研究センター長 (教育課程研究センター研究開発部長) 加��藤��弘��樹

教育課程研究センター基礎研究部長併・初等中等教育研究部長 (國學院大學教授) 猿��田��祐��嗣

併・社会教育実践研究センター長 (文部科学省生涯学習政策局社会教育官) 妹��尾 ����剛命・初等中等教育研究部副部長 (初等中等教育研究部総括研究官) 藤��原��文��雄生涯学習政策研究部総括研究官併・高等教育研究部総括研究官 (帝京大学教授) 加�藤��かおり

生涯学習政策研究部総括研究官併・社会教育実践研究センター社会教育調査官 (広島経済大学教授) 志々田�まなみ

文教施設研究センター総括研究官 (文部科学省文教施設企画部参事官付参事官補佐) 安��田� ���誠併・教育課程研究センター基礎研究部主任研究官 (文部科学省大臣官房人事課専門官) 泉��澤��潤��一生徒指導・進路指導研究センター主任研究官 (西九州大学講師) 宮��古��紀��宏国際研究・協力部研究員 (国際研究・協力部国際調査専門職) 梅��澤��希��恵教育課程研究センター研究開発部教育課程調査官命・学力調査官 (茨城県大子町教育委員会指導主事) 菊��池��英��慈

教育課程研究センター研究開発部教育課程調査官 (埼玉県深谷市立藤沢小学校校長) 浅��見��哲��也教育課程研究センター研究開発部教育課程調査官 (札幌市教育委員会学校教育部教育課程担当課指導主事) 渋��谷��一��典教育課程研究センター研究開発部教育課程調査官命・学力調査官 (静岡県立科学技術高等学校教諭) 遠��山��一��郎

教育課程研究センター研究開発部教育課程調査官命・学力調査官 (茨城県立太田第一高等学校教頭) 下�山�田 芳�子

教育課程研究センター研究開発部教育課程調査官 (静岡県立焼津水産高等学校教諭) 西��澤��美��彦教育課程研究センター研究開発部学力調査官併・教育課程調査官 (埼玉県教育委員会市町村支援部人権教育課主任指導主事) 伊��藤��幸��男

教育課程研究センター研究開発部学力調査官併・教育課程調査官 (神奈川県藤沢市立高浜中学校教諭) 市��川��信��子

命・学力調査官 (教育課程研究センター研究開発部教育課程調査官) 直�山 木�綿�子社会教育実践研究センター専門調査員 (茨城県教育委員会生涯学習課社会教育主事) 國�府�田� 大社会教育実践研究センター専門調査員 (栃木県総合教育センター社会教育主事) 白��井��淳��子教育課程研究センター研究開発部教育課程調査官命・研究開発部副部長 (日本芸術文化振興会基金部企画調査課長) 清��水��正��樹

総務部総務課長併・教育課程研究センター基礎研究部基礎研究課長 (科学技術振興機構イノベーション人材育成室調査役) 水��村��義��昭

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研究企画開発部総括研究官命・総務部企画室長 (お茶の水女子大学学務課長) 石�川��いずみ

併・教育課程研究センター研究開発部学力調査課長 (文部科学省科学技術・学術政策局人材政策課課長補佐) 米��田�  梓教育課程研究センター研究開発部研究開発課課長補佐併・研究開発課企画係長

(生徒指導・進路指導研究センター企画課課長補佐 併・企画課企画係長) 岩�城��由紀子

総務部総務課総務係長 (総務部総務課人事係長) 坂��本��陽��子総務部総務課人事係長 (総務部総務課人事係主任) 木�村��香奈子教育課程研究センター基礎研究部基礎研究課企画係長命・総務部企画室研究支援係長 (総務部総務課総務係長) 繁��田��� �華

免・総務部企画室研究支援係長命・総務部企画室専門職

(教育課程研究センター基礎研究部基礎研究課調査情報係長 命・総務部企画室研究支援係長) 今��岡��二��郎

教育課程研究センター研究開発部研究開発課専門職 (愛知県東海市立横須賀中学校教諭) 神��保��岳��史教育課程研究センター研究開発部学力調査課専門職 (横浜市立岡野中学校教諭) 岩��崎��知��美教育課程研究センター研究開発部学力調査課分析係長 (文部科学省初等中等教育局国際教育課教職員派遣係長) 田部井��伸�郎教育課程研究センター研究開発部学力調査課調査係長 (教育課程研究センター研究開発部学力調査課専門職) 瀧��山��聡��美生徒指導・進路指導研究センター企画課企画係長 (千葉県教育委員会教育振興部指導課指導主事) 本��澤��孝��博��教育課程研究センター研究開発部教育課程調査官(実務研修生) (埼玉県立川口北高等学校教頭) 鴨志田��新�一

教育課程研究センター研究開発部教育課程調査官(実務研修生) (神奈川県立市ヶ尾高等学校教諭) 佐��藤��治��郎

教育課程研究センター研究開発部教育課程調査官(実務研修生) (佐賀県立鳥栖商業高等学校教諭) 今��村��豊��記

教育課程研究センター研究開発部教育課程調査官(実務研修生) (相模原市立相原小学校教諭) 山��上��啓��介

社会教育実践研究センター社会教育特別調査員 (栃木県立栃木工業高等学校教諭) 原 ����昌��作

国立教育政策研究所 平成 29年度実施予定の行事等一覧5/30 ~ 5/31 平成 29年度全国キャリア教育・進路指導担当者等研究協議会 国立オリンピック記念青少年総合センター 生徒指導・進路指導研究センター5/30 ~ 6/2 平成 29年公民館職員専門講座 社会教育実践研究センター 社会教育実践研究センター6/1 ~ 6/2 〔平成 29年度全国教育研究所連盟総会・研究発表大会〕 〔ホテルポートプラザちば(千葉県千葉市)〕〔全国教育研究所連盟〕6/8 平成 29年度生徒指導研究推進協議会 文部科学省3階講堂 生徒指導・進路指導研究センター6/12 ~ 6/23 平成 29年度図書館司書専門講座 社会教育実践研究センター 社会教育実践研究センター7/1 又は 7/2 第 19回 OECD/ Japan セミナー 文部科学省3階講堂 国際研究・協力部7/21 ~ 8/25 平成 29年度社会教育主事講習 [A] 社会教育実践研究センター 社会教育実践研究センター8月(未定) 平成 29年度第 1回評議員会 所内第一特別会議室 総務部企画室9/5 ~ 9/8 平成 29年度新任図書館長研修 社会教育実践研究センター 社会教育実践研究センター

9/25 全国学力・学習状況調査の調査結果を踏まえた学習指導の改善・充実に向けた説明会

東京会場(文部科学省3階講堂) 教育課程研究センター

10/3 全国学力・学習状況調査の調査結果を踏まえた学習指導の改善・充実に向けた説明会 広島会場(広島国際会議場(広島県広島市))教育課程研究センター

10/4 ~ 10/6 平成 29年度博物館長研修 社会教育実践研究センター 社会教育実践研究センター10/16 ~ 10/20 平成 29年度メディア教育指導者講座 社会教育実践研究センター 社会教育実践研究センター11/7 ~ 11/10 平成 29年度社会教育主事専門講座 社会教育実践研究センター 社会教育実践研究センター11/16 ~ 11/17 〔平成 29年度全国教育研究所連盟研究協議会〕 〔松山市立子規記念博物館(愛媛県松山市)〕〔全国教育研究所連盟〕12/13 ~ 12/15 平成 29年度博物館学芸員専門講座 社会教育実践研究センター 社会教育実践研究センター12/21 ~ 12/22 平成 29年度地域教育力を高めるボランティアセミナー 未定 社会教育実践研究センター12/22 教育研究開発シンポジウム 未定 社会教育実践研究センター1/22 ~ 2/28 平成 29年度社会教育主事講習 [B] 社会教育実践研究センター 社会教育実践研究センター1/23 〔全国教育研究所連盟委員会〕 〔所内第一特別会議室〕 〔全国教育研究所連盟〕

2/6 ~ 2/9 教育課程研究センター関係指定事業研究協議会 文部科学省講堂(3階・旧庁舎6階)他会場(東京)は未定 教育課程研究センター

1~ 2月(未定) 平成 29年度文教施設研究講演会 未定 文教施設研究センター3月(未定) 平成 29年度第 2回評議員会 所内第一特別会議室 総務部企画室未定 平成 29年度教育改革国際シンポジウム 未定 高等教育研究部

※多数の所外の方の参加を伴う行事や,成果報告会,評議員会等の所全体の運営に関わる行事を中心に掲載。

国立教育政策研究所広報 第 191 号発行者:国立教育政策研究所� 〒 100-8951 東京都千代田区霞が関 3-2-2� TEL:03 − 6733 − 6833(代表)� URL:http://www.nier.go.jp/発行月:2017 年 4月� ISSN�1346-7735